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第218話「八っ場ダム」ファイル②こんなところがなくなっちゃうんですか? [廃村さーくる]

「八っ場ダム」

 ニュースを見ている人なら、なんとなーくでも知っているんじゃないかな?

 そうそう、それです。

 そんな感じです。

 今日は、政治やら反対運動等々云々は一切抜きです。

 是非とも「この場所」と言うものを少しでも知ってくださいね^^

混浴?2.jpg

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「先輩!先輩!聞こえますぅ?聞こえちゃってます?」

 都内から群馬くんだりまで電車を乗り継ぎ乗り継いで、ようやく露天風呂で落ち着こうかと思っていた矢先に

 夕実女史の壁一枚隔てた女風呂からの喧騒。

 ボクは少しめんどくさそうに竹葺の壁の向こうへと言葉を返すのでした。

「う~ん、どうしたのかなあ~夕実ちゃん?」

「向こうの建物を見てくださいよ、わきゃー☆」

 せっかく肩までどっぷりと硫黄臭のほんのりする湯船に浸ってたのに、彼女に促がされて渋々と腰を上げ、

 冬枯れの木々の向こう側の建物に目をやるのでした。

 ・・・本当はこの後、自分しか居ない湯船でバタ足とかクロールとかしようかなあーって思ってたのにー!

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 目の前に広がる景色はホテルらしきコンクリート壁。

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 ・・・んん?

 よく見やるとそれはどう見ても・・・「廃墟?」

 窓があるであろう場所に窓が無く、部屋であるであろう場所に壁が無かった。

 建物らしきものの天井は無く、本来なら見えるべくも無い向こうの景色が見えたのです。

「うん。あれは・・・廃墟かもね」

「わきゃーーーー! でしょでしょ!先輩☆」

 女湯の夕実ちゃんに聞こえるか聞こえないくらいのボクの呟きだったのに、

 彼女はコップでも壁に当ててこちらの音声を聞き取ってたんじゃないかというくらいに、大きな声で反応した。

「せっかくですしー、温泉を出てアソコに行って見ましょうよ~先輩!」

 ・・・ボクタチはこの源頼朝が発見した湯とされる「王湯」に、ほとんどゆっくりすることも出来ず、目の前の廃墟らしき建物へと向かうことになったのです。

・・

・・

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「旅館かホテルだったところの取り壊し作業って感じですねー、先輩。廃墟でもなんでも無いって感じですか?」

「う~ん・・・どうなんだろう」

 そもそも「廃墟」の定義はどこからどこまでなのかよくわからない。

 人が住まなくなり、利用しなくなり、ある程度年数を掛け風化していった建物が「廃墟マニア」にようやく廃墟と認められてるような気がしないでもないのだが、

 そうじゃ~無いんじゃないかと少し思う。

「ううー・・・取り壊して、新しく立て替えるんですかね?」

 夕実ちゃんは工事現場のおっちゃんに、しっしッ!向こう行け!と手の平で促がされ、少し不満げに頬を膨らませながらボクに言う。

「いや・・・工期はだいぶ遅れているけれど、いずれ『ダムの底に沈んでしまうこの場所』へ、わざわざ建て直しをすることは無いんじゃないかな?」

「むーーーッ!それもそっかーー☆」

 ・・・本当に理解したのかよく分からないのだが、ポンッと手をたたきウンウンとうなずく彼女。

「先輩? 次は何処に行きますぅ?」

「そうだね~。今来た温泉街を戻って、八っ場ダムのメインの建設予定地の方までのんびりとお散歩でもしてみようか? 途中には吾妻渓谷って言ってさ、風光明媚な場所もあるし」

「わきゃーーーー! 超行きたいです先輩☆」

 こうしてボクタチは、今来た道を逆に歩むことにしたのです。

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「先輩!先輩! ・・・そう言えば・・・ここまでブラブラとダムに沈んじゃうんじゃないかってところを歩いてるんですけど・・・

あんまり「そんなの反対ーー!!」って感じの印象が町並みからは感じられない気がするんですけど、気のせいでしょうかぁ?」

 ・・・まあそういえばそんな感じもするな。

 無料で配布されてたパンフレットの中には今の八っ場ダムの進行状況を伝えるものがあったり、

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 ダムに沈んでしまった後に利用されるであろう代替地の案内図がそこかしこに立っていた。

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 何よりボクがイメージしていた、いかにもダム建設闘争でありそうな「建設反対の立て看板や、ノボリ」なんてものは一切見ることが無かった気がする。 

 ・・・昔は反対運動が激しかったと聞いていたのだが・・・。

「疲れちゃったんでしょうかね。みんな」

 夕実ちゃんは、道の途中にあったベンチにちょこんと座り、そう呟いた。

「ボクも正確には調べてはいないけど、ダム建設の予定が始まってから、おそらく4~50年は過ぎてると思うんだ。

その間に延期やらなにやらで、どっちつかずのままここまで来てしまったと。

 ・・・ここに住んでる人たちも疲れちゃうとはボクも思うよ」

 ですよね☆とボクの言葉に相槌を打ちつつも、何かベンチの上でゴソゴソとしている夕実ちゃん。

 見ればベンチの周りの雪を せっせせっせと掻き集めている。

「ん? 何してるの夕実ちゃん?」

「わきゃーーーー! いいからいいから行きましょ次、次ぃーーーーッ!」

そう言ってボクに何かを見せないように無理矢理に手を引いて坂を駆け下りる夕実ちゃん。

 そうして、もうすぐ温泉街の入り口まで普通に下るはずだった。

 ・・・はずだったんだけどなあー・・・

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「あの・・・夕実ちゃん?」

「ハイナンデショウ?」

 ボクの声に対して実に・・・めちゃめちゃ機械的にお返事してくださる夕実ちゃん。

「もうさあー・・・温泉は充分満喫したよね? まだ入りたいの? 時間も無いし、さっさと行こうよ?」

 そう言って彼女の手を引っ張るのだけれど、彼女はこんなに重いんかい?というくらいに微動だにしない。

 お前は岩か!

「せっかくこの川原湯温泉には三つの共同浴場があるのに、全部入らないなんてもったいないじゃないですかーーッ!」

 ・・・いやまあ~・・・そりゃそうなんだけど・・・

 ここはまずいよ。

 いや過去にこの湯には来た事があるのだ実は。

 川原湯温泉のメインストリートから少し駆け上がった小高い丘にポツンとある実に見晴らしの良い露天風呂だ。

 ・・・しかも関東圏にある数少ない混浴露天風呂(百円です)

 カップルさん達には~~超良いんじゃないかな^^

 ・・・でも、カップルでもない男女には・・・

 露天風呂の前で腕の引っ張り合いをしていたボク達。

それが急に在らぬ方向へと引っ張り上げられた。

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「先輩!先輩! そこに聖天神社ってのがありますよ! 試しに行ってみましょうよ☆ 私まだ初詣してなかったから丁度いいし♪」

 そっちはもっとダメだああああああああああーーー!!!

 でもその理由もどう説明していいのか分からないうちに夕実ちゃんがドンドンと鳥居をくぐって突き進む。

 ボクは仕方なく、彼女の後を追うことにいたしました・・・。

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「お賽銭あげましょ・・・・・・・・・・・・・・・・・え!? え!? えぇぇぇぇえぇえーーーーーーーーーーーーーーーーッ???? ・・・・うう・・・ぅぅ・・・わきゃぁ・・・・」

 社に着くなり、急に顔を真っ赤にして俯く夕実ちゃん。

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 ・・・まあ~そういうことです。

 ここは「男体神や女体神を祭ったところ」

 木を削り、いかにも~な御神体が祭られていたりするのです^^;

「そういうことなら早く言って下さいよ先輩ィィィッ!!! わきゃわきゃ・・・」

 だから行くなと申したであろうが。

 ・・・まあ、ご利益ご利益ということで、ここでお賽銭を投げつつも、今年の初詣完了です☆

 夕実ちゃんは、わきゃわきゃ!言いながら、財布の中の小銭をあらぬ方向に投げまくってましたけどね^^;

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「ここまで来てー、入らないとか言いませんよね?」

 ボクの胸倉をキュと締め上げて、普段より可愛らしく。でもなぜかとても威圧のある感じで命令される女王様がここにいらっしゃいました。

「・・・分かりました。・・・でも・・・」

「でもなんですか?」

 グググ・・・と締め上げる手が更に力強くなる・・・

 あんたどんだけ混浴したいねん。

「せめて先に湯船に浸からせてください・・・。せめてそれが若い成年男子に対する温情かと思われます・・・」

 そういって、ボクは先に開放的すぐる脱衣所に(隠すものとか壁とか、ここには全然ねーから!)赴き、いそいそと脱ぎ脱ぎして、礼儀として申し訳程度に掛け湯して、

湯船に、ちゃぷんと浸かったのです。

「もう、いいですか~~? わきゃー☆」

 なんだか嬉しそうな夕実女史。

 あんた痴女エリートになれるよ。

「脱ぎ脱ぎしますから~、とおくの木々でも見ていてくださいね☆」

 ・・・そう言われても~・・・目には木とか一杯写ってるけど、想像でいっぱいいっぱいなんですけど。

 ハア・・・ハア・・・

 冷静を保とうとしてるのに、なぜかハートはドキドキです。

 あの神社を見やった後ですから余計にツライ・・・

「もういいですよ? こっち見ても♪」

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 ここまできたらしょうがない。

 脳内HDD(えっちなでーでー)に焼き付けるべく、オイラは湯船の中を周れ180度いたしました。

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目の前には「水着の夕実ちゃん」

「あれ~? どうしたんですか~先輩☆ ちょっとガッカリとかしてます? わきゃー☆」

「いや・・・別に」

 そんなお約束とかいらねーーし!

 混浴に水着とかご法度だよ・・・

 




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・・・ちなみに、ちょー開放的な脱衣所の壁には、こんな穴が開いてたりします。

 勿論バッチリです(うふふ~☆)

 川原湯温泉とか行ってみたくなりました?




nice!(83)  コメント(16) 
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コメント 16

まめ

いや、遠慮しておきますw
温泉には行きたいですけどねぇ。
by まめ (2011-01-28 07:08) 

リン

・・・・夕実ちゃんって。。。結構男を手玉に取るタイプ?!
by リン (2011-01-28 07:16) 

デルフィニウム

ひざ痛のためコピペ訪問中です。
by デルフィニウム (2011-01-28 14:11) 

yoshinorhythm

ステキな神社☆
神社参りしたあとで、女性と一緒に温泉へGO!
その後は神様の言うとおり・・・。^^;
無いですかね。(爆)

by yoshinorhythm (2011-01-28 14:54) 

(。・_・。)2k

誰と行こう( ̄∀ ̄*)
by (。・_・。)2k (2011-01-28 16:35) 

たかれろ

一緒に行きましょうか(゚∀゚)9
by たかれろ (2011-01-28 22:43) 

下総弾正くま

出た~珍萬系物件Σ(゜Д゜;
岩手の某温泉敷地内にもこの手の神社があって、自分と入れ違いで1人旅風の女性が…わきゃー(*/o\*)

…水着でもいいので、求む、一緒に入ってくれる乙女・・・(*´ω`*)
by 下総弾正くま (2011-01-29 00:26) 

ちょいのり

まめさん、ここは・・・行かないほうが良いかもね^^;

by ちょいのり (2011-01-29 01:06) 

ちょいのり

リンさん、先輩を困らせて気を引くってのが夕実ちゃんの裏設定です^^

by ちょいのり (2011-01-29 01:07) 

ちょいのり

デルフィニウムさん、無理はしないでね^^ ご訪問ありがとうございます☆

by ちょいのり (2011-01-29 01:08) 

ちょいのり

yoshinorhythmさん、かつてこの神社と温泉に、カップルで出向いた男がいました。・・・誰とは言わないけどねw
えへへ~☆
by ちょいのり (2011-01-29 01:10) 

ちょいのり

(。・_・。)2kさん、相手は~・・・ブロガーさんとかかしら?
それともキャバ嬢とかかなw

by ちょいのり (2011-01-29 01:12) 

ちょいのり

たかれろさん、さすがにたかれろさんの所からここへ行くのはキツイでしょw

by ちょいのり (2011-01-29 01:13) 

ちょいのり

下総弾正くまさん、ダメですよおー!
湯船には手ぬぐいや水着など、布地は禁止です。
まっぱで素敵な社交場、それが混浴の醍醐味ですぜ!

by ちょいのり (2011-01-29 01:15) 

吟遊詩人41

風呂に水着は、、、アリかも^^←マニア?
by 吟遊詩人41 (2011-01-29 16:07) 

てんぽく

ちょっと行ってきますんで、可愛い女の子がひとりで入浴中の時間を教えてください!
by てんぽく (2011-01-29 21:14) 

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