第253話『湯西川温泉』Vol②え!?また混浴?先輩わざとじゃないんですかぁ? [廃村さーくる]
「そう言えば・・・これから行く湯西川温泉って廃村となんか関係あるんですかぁ? 先輩」
白銀の世界とはよく言ったものだと思う。昔の人の表現ってすごいよね。
ただ白いと言うにはどこか違う不思議な雪の世界。
ボク達だけを乗せたバスは、湯西川温泉駅から温泉街へと進んでいた。
「ううん? ああ~今回は、廃村とかそーいうのは抜きだよ。純粋に温泉とかしようねってところかな」
周りの雪景色に見とれていて、夕実ちゃんの質問に少し遅れて答えた。
「心霊スポットならあるかもよ~。だって湯西川って落人伝説の地でしょ? 菅原君」
「・・・落人伝説ぅ~???」
首塚さんの言葉に夕実ちゃんは少し怪訝そうにボクを見る。
・・・どうやらその答えをボクから聞きたいようだ。
「うん、まあ~首塚さんが言うように、湯西川温泉には『平家の落人伝説』というのがあるんだよ。
簡単に説明すると、源平の戦いに敗れた平家の家臣の生き残りが源氏の追っ手から逃れて身を隠したのがここ湯西川ってことになるのかな。
・・・別に心霊とか廃村とか関係ないからね。言っておくけど」
そう言いながらボクは夕実ちゃんではなく、首塚さんに釘を刺すように視線を向けるのだが・・・
彼女は携帯いじりに夢中で気にも留めないご様子です^^;
「じゃあーじゃあー、アレですね!わきゃー☆」
夕実ちゃんが言うアレってなんだい?と、ボクはしばし考えるのだが、さっぱり検討がつかない。・・・はて?
「私と先輩のご先祖様は源氏じゃないですかぁー。これから湯西川に平家討伐の旅ってことですよね! よーし捕まえるぞー♪」
そりゃ確かにご先祖様はそうだけど・・・、それは違うだろっw
思えば前回の旅が源為朝の家来が築いた町「稲取」の廃病棟探索で、今回は平家の落人の里だな。
これも何かの因果だろうか?
ま、今回の旅の本当の目的はもう少し伏せておこうかな。
「ほらほら。もうすぐバスを降りるよ? 夕実ちゃん、首塚さん、そろそろ仕度して」
『『は~い』』
「ここのホテルの温泉に入るんですかぁ? わきゃー☆ ちょっと豪華そうです♪」
「いいや違うよ? ここから温泉場の中心までのんびり歩こうかと思ってね、少し手前で降りてみただけ」
えーーーーなんでそんなことすんのさ?と渋い顔のお二人さん。
そんなのおかまいなしに、こっちだよ?と先導切って歩き出す。
「あと少しってどのくらいよ! 家とか全然見えないんですけど菅原君w」
少しとは言ったけれど、ここから温泉場までは歩いて20分以上だろうか。
「雪景色を見ながら歩くのも結構オツなものだとは思いませんか?」
『『思いません!』』
珍しく呼吸が合う夕実ちゃんと首塚さん。
「やっとそれっぽい景色になってきましたよ~・・・。信号機がこんなに素敵だなんて初めて思いましたです、わきゃ~・・・」
ふと道路沿いの民家に目がとまる。
この雪空に割れた窓ガラス。・・・人の住んでる気配が感じられない。廃墟だろうか?
「むむむ、何か感じるわ・・・っととと!?」
「今日はそういうの抜きですから!もーーーー!」と、首塚さんとボクの背中をぐぐぐっと押しやる夕実ちゃん。
「分かったからもー押さないでよリアルで~^^;」
廃屋を横目に渋々と前へと歩き出す首塚さん。
「まあ、イマドキ、どこの町でも探せばこのくらいの廃屋はいくらでもあるでしょうしね。ではでは先へ急ぎましょうか」
「なんかー、どのお店も軒先に雪だるまの飾りがぶら下がってたりするのね?」
「さっきのお店は白い雪だるまでしたけどォ、ここのは赤い雪だるまですね。わきゃー☆」
湯西川の中心街と言える場所まで辿り着くボク達。
それぞれの店の軒先には雪で作られた雪だるまやウサギなんかが並んでいたり、
ビニールで出来たカラフルな雪だるまの人形なんかが飾られていた。
その中心街を更に進んで行く。
「う~ん・・・おっかしーなあ~。橋の袂にあるはずなんだけど『平家集落』の近くまで来ちゃったな・・・」
駅で取ってきた無料のパンフレットの簡易な地図を頼りにここまで歩いてきたのだけれども、どうやら道をひとつ間違えたらしい。
「え~~~~、疲れちゃいましたよォ先輩ぃーーー。温泉どこなんですか? わきゃ・・・」
「だらしないわね」
・・・ああ~はいはい、ごめんなさいね。
た~し~か~に~間違えたさw
「ま、予定と少し違ったけれど、この平家集落の脇道を通って、目的の温泉に向かいましょう。
ここから目的の場所が遠くに見えたので今度こそバッチリですから。あはは・・・」
二人の冷た~い視線をよそに、ボクは川沿いの小道へと降りていくのでした・・・。
ここは平家集落跡と呼ばれ、昔は茅葺屋根の家が軒を連ねていたのですが、今はおみやげやさんやお食事処として改修されて利用されていたりする場所です。
「・・・なんか見た事無いジュースがいっぱいの自販機です。わきゃー☆」
・・・これまた随分と古めかしい自動販売機が放置されてる(もしくはわざとなのかも^^;)
「あーーおだんご食べたいです!わきゃー☆」と言う夕実ちゃんや、
「アルコール成分がリアルで足りてないっ!」と指をくわえてる首塚さんをなんとかなだめながらもようやく目的の場所が目の前ってところまで到着です。
「も、もしかして・・・あの掘っ立て小屋みたいなのが今回の温泉とか言うんじゃないでしょうねーリアルで」
・・・掘っ立て小屋とか言うな! 掘っ立て小屋みたいだけどさw
「まあ~とりあえず行きましょう」
ボクは彼女たちの後ろ手に回り込んで強引に先を促がすのでした・・・。
「ここは共同浴場の『薬師の湯』って言うんだ。せっかくここまで来たんだから入っていこう」
「あの~・・・せ、先輩? ひとつお聞きしたいことが・・・あるのですが・・・」
「私からも聞いてみたいことがあるの。・・・ここって浴槽は・・・『ひ・と・つ・?』・・・リアルで?」
「二つには見えないよね~・・・あはは^^;」
『『混浴ですかっ!』』
・・・はいそうです☆
そう、ここ湯西川の共同浴場「薬師の湯」は『混浴』なんです。
「わ、わわわわわ私はへーきですよ、わきゃー☆」ともじもじ体をくねらせる夕実ちゃん。
「・・・だって・・・先輩とはこれが初めて・・・じゃ無い・・・ですもん。わきゃー☆」
その夕実ちゃんの言葉に「リアルでっ!?」と、首塚さんがなぜかボクを睨みつける。
「ふ、ふふふ・・・。じゃ~夕実ちゃ~んがそうなら私も混浴とやらをしてみるって感じです☆
とりあえず一緒に脱衣は出来ないのでー、
菅原君は、お外でしばらく待ってなさい!」
・・・ということで「もーいいですよー」と、お声が掛かるまで、ボクは外で待機することに^^;
ようやく許しを得て入るとそこにはバスタオルに身をまとった女の子二人組みがいらっしゃいました。
「じゃ~ちょっと待って為さい。私は巫女の家系なんでー、柔肌を人様においそれと見せ付けるわけにはいかないのさ☆ とりゃー!」と、
首塚さんは掛け声とともに、天井の梁に向かって何かを投げるのでした。
しゅるるるる~。
ばさっ!
天井からぶら下がる、ひとつの浴槽を袂に分かつ大きなカーテン。
「これで男子風呂。女子風呂の完成って感じ☆ リアルで♪」
(ここは妄想だから・・・w)
「ま・・・とりあえず湯を堪能しましょうか^^;」
少し熱めのお湯。
普通なら、アチッ!って言いながらすぐに出てしまいそう。
でもこの寒空を歩いてきたボク達にはとても心地よかった。
朝、早出で遠くまで来た労が報われる、そんな感じだ。
ふと、カーテン越しに夕実ちゃんが問いかけてくる。
「先輩って、わざと混浴ばかり狙って・・・えっちいーです」
「わざとよね・・・わざとw うんうん☆」
夕実ちゃんの言葉に相槌を打つ首塚さんの声。
・・・そんな不純な気持ちは・・・無いんだけどなあ。
・・・共同浴場なら安いしさ(ここは善意で200円以上の湯銭代です^^)
・・・たまたまだよ、って言っても信じてもらえ無そうなので、あえて聞き流した。
しばらく、ぼーーーーーっと天井の梁などを見つめて心も体も芯から癒していたのだが・・・
夕実ちゃんの大声で我に返る!
「こ、こここここ、ここ見てくださいよ! 首塚先輩!」
「何よ~? 夕実ちゃ~ん」
「ここ、穴穴穴、穴が開いてますですわきゃー☆」
「ん~? ありゃりゃ。ほんとーね! ・・・どれどれ」
「・・・外からバッチシ丸見えって感じかな? リアルで。
・・・ねえねえ、聞こえてる菅原君~。
ま・さ・か、ここから私たちの着替えとかって見て・・・無いわよね?」
「そんなの知りませんよ~・・・。勘弁してください。 ・・・ただ、こういう木目の張り板なんかを使用している建物なんかには、割りとよくあることだったりしますよ。
後は個人の判断に任せますってところだと思います」
「ふ~ん・・・冷静すぎて怪しいって感じ~。・・・まあいいわ。信じてあげるから」
・・・ぜってー信じてねーだろw
「じゃ、そろそろ次に向かいますか」
『『はーい』』
※次回はここ湯西川の『名物』に触れる旅路です^^
ここまで長々と妄想交えた記事を読んでいただき、ありがとうございました^^
自販機。。。なつかしいぃ~!
そして、混浴にはやっぱり穴があるんですね~^m^
なんかかわいい(#^.^#)
だって混浴だから入っちゃえばいいのにね~!
by リン (2011-03-10 05:42)
味のある温泉でいい感じですね。
でも、さすがに小さいので何人までなんでしょうねぇ。
by まめ (2011-03-10 07:02)
すごい天気だったのですね~
菅原先輩までタオルが女の子巻きだ♪
雪と温泉 いいですね
by ねこじたん (2011-03-10 12:25)
↑ ホントw
by デルフィニウム (2011-03-10 13:06)
あららw 気づかなかったな~^^;
by ちょいのり (2011-03-10 13:26)
コメントありがとうございます。
無事卒業できました(´v`)
これからもよろしくお願いします(_ _)
by Euph_bass (2011-03-10 20:50)
雪見温泉 いいですね~!
by aeon (2011-03-10 21:36)
見てるだけで寒くなっちゃった^^;
by DEBDYLAN (2011-03-10 22:06)
あっ、そうそう、1つ大事なことを言い忘れてました^^;
前回ここに行った帰り、夜9時頃にリアルになんか出そうなトンネルは通りましたよぉ^^;
by 下総弾正くま (2011-03-10 22:46)
湯西川温泉は平均年齢70歳のオネエサン100人連れて行ったことがあります(添乗ですが^^)
さすがに仕事で行ったから何の記憶もないですw
by 吟遊詩人41 (2011-03-10 23:17)
菅原先輩が後から入ったのね^^;
先に入るんじゃなかったのかな???
(*≧m≦*)ププッ
しかし。。。混浴好きだね~ (o・ω・))-ω-))うん
その時の感じも詳しく聞きたいものだよね~^^v
by chie (2011-03-10 23:27)
リンさん、な ぜ か いつも穴があるんですよ~w
まあ、探すほうも探すほうなんですけどねw
by ちょいのり (2011-03-11 01:32)
まめさん、ここは、ちっさーいです。
せいぜい3~4人・・・くらいかなあ。
まあ~とにかく『熱いw』
by ちょいのり (2011-03-11 01:33)
ねこじたんさん、それはね~裸体をなるべく晒さないという配慮ですよ(大嘘w)
by ちょいのり (2011-03-11 01:35)
デルフィニウムさん、意外とシャイな男の子なんですよ(大嘘ですw)
by ちょいのり (2011-03-11 01:36)
Euph_bassさん、ご卒業おめでとう^^
ちょっと高校生活とかドキドキしてないかな^^
思い出たくさんつくろうね♪
by ちょいのり (2011-03-11 01:37)
aeonさん、この温泉の対岸にはもうひとつ露天があるんですよ~。
そこは、橋から丸見えだったりします^^;
by ちょいのり (2011-03-11 01:39)
DEBDYLAN さん、意外と寒くないんですよ~。
風がほとんどなくって、ゆっくりゆっくり降りてくる雪はとてもキレイでした^^
by ちょいのり (2011-03-11 01:40)
下総弾正くまさん、そういう情報は教えてちょw
このシリーズで使えるからさ~^^
by ちょいのり (2011-03-11 01:42)
吟遊詩人41さん、な、70人の熟女を先導してお仕事してたのですか!!
・・・なんかハードな気がしてくるのはボクだけじゃないはずw
でもなんか、お煎餅やみかんのおすそ分けとかもらえそうな気もしますねw
by ちょいのり (2011-03-11 01:45)
chie さん、シナリオ的に(妄想的に)は3通りあったんですよ。
『先に先輩が入って、少しえっちーなストーリー』
『後から入って無難なストーリー』
『ここに来る前に別々行動で、着替え中にばったり突入』
って感じでw
混浴はやっぱり温泉語る上では絵になりますからw
by ちょいのり (2011-03-11 01:51)
自販機懐かしい~~~!^^;
マジマジと見てしまいました。。。(爆)
ってか、混浴。。。
お姉ちゃんに囲まれて、日本酒飲みながら
入りたい・・・。
ついでにおねえちゃんにも、入り・・・。
やめときます。(笑)
by yoshinorhythm (2011-03-11 09:15)