2011この夏ボクは疎開しました本編④『これが属に言う恋なのォ?』 [この夏ボクは疎開します]
『へぇ~君って千葉から転校してきたのお?都会っ子じゃん^^』
福島から千葉へ。そして今は静岡県は戸田という地区に越してきたボク。
あの大震災。そしてあの原発事故でボクは最初の引越し先の千葉県の学校で
『いじめ』を受けた。
福島に住んでいたから・・・。
ただそれだけで『ふくいちもんめ』と、周りの子に嫌がらせを受けた・・・。
『ほーしゃのーがうつるだろー!』とか、
『お前のパワーは1000ベクレルだキャハハ☆』って・・・。
入院していたお父さんを病院ごとボクから奪った津波。
憎い。
悔しい。
泣きたい。
ううん。さんざん泣いたよ?ボク。
ねえ知ってる?
泣きすぎると本当に涙って出ないんだよ?
声も出なくなるんだ。
でもね。
泣かなきゃ気が狂っちゃうんだということを
どうしようもなくなっちゃうんだということをボクは知ったんだ。
---そんなボクに最初の引越し先の千葉で追い討ちをかけるんだ。
誰も近づかないんだ。・・・ボクに。
お父さんの事で泣くんなら許せるって自分に誓ってた。
だからいじめられても泣かなかったよ?ボク。
・・・つらかったけど。
でもお母さんに勇気を出して相談した時は堪え切れませんでした。ゴメンナサイ・・・。
お母さんの『千葉から引っ越してきましたってことになるから』と、提案を受けて更に引っ越した。
それが戸田。
『イントネーションには気をつかおうね』とボクを抱きしめながら、転入手続きで訪れた学校前でのお母さんの悲しい顔は一生忘れない。
---6月後半
ボクは新しい学校に通うことになる。
ボクが福島から来たことを知っているのは校長先生と担任の先生とボク達家族だけ(※物語上、別の主人公『透子』と『たけし』の担任も知っています)
方言っていうほどの方言なんてボクにはないよ?
・・・でも、言葉のイントネーションはやっぱりどこか違う部分があるのは千葉の学校の時に分かってた。知ってた。
だからボクはボロをださないようにださないようにと、少し無口な男の子にまわりの子っちには映ってたのかもしれなかった。
でもそんなボクに声を掛けてきた子がいたんだ^^
『どーもすみませーんw こんな田舎によーこそー!てへへ~ で、賢治君ってめちゃ都会っ子じゃーん^^
ねーねーねー!色々教えて教えて~♪』
とても明るい女の子。
この子が喋り出すと自然に別の女の子男の子が彼女の後ろから『何?何?』って沸いて近づいてくる、うーん・・・なんだろ?
なにかゲームの魅力パラメーターが最大値なんじゃないかな~って感じの娘でした。
ボクはイントネーションに気をつかいつつ、でも彼女に色々と答えてみせる。
『千葉って都会・・・かな?』
『少なくとも戸田よりはw にゃはは^^ だってここツタヤとかないよ? 沼津まで行かないとないもーん^^;
千葉って関東でしょ?でしょでしょ?
町に一軒は必ずツタヤがあるって聞いてるよ~』
東京に近いところはそうだけど・・・そこまで都会じゃ・・・
『えっと・・・ツタヤが都会基準なの?^^;』
『えへへ~、別に漫画喫茶でもいいかなw どのみち戸田には無いんだけどね☆』
彼女の言葉に皆が笑う。
・・・ああ、なんだろう? このキモチ。
東日本大震災が起こる前までは、ボクもこんな感じだったじゃないか。
周りに友達がいて楽しかったじゃないか。
思えば今よりたくさんボクも笑うことがあったんだよな・・・
ーーーこの子に声を掛けてもらって正直うれしかった。
なんかちょっぴり、うまくやっていけそうと思った。
彼女の名前は三春。みんなからは『みーちゃん、みーちゃん』って呼ばれているクラスの人気者だったんです。
『ではではこの町をわたくしめがご案内なさってよ?おほほ~^^
コンビニ・ツタヤは無いけどさ~(実際にはあります)
それでも楽しいとこいっぱいあるから紹介させてよ賢治く~ん^^
ううん。今から君は『ケンケン』ということで!』
そう言いつつ、彼女は後ろの友達たちに振り返り、
なかば強制的にボクが『ケンケン』というあだ名になったのを納得させていたのだ。
おかげでボクはいつのまにかケンケンです^^;
でもなんか嬉しかった。
みーちゃんのおかげで新しい学校生活はとても楽しい。
今までのことを考えると幸せだった。
---でも、それでもボクはイントネーションには気を使う生活は忘れていなかった。
楽しい。けど少し窮屈。
そんなもやもやを癒すのに、ボクはこの戸田の御浜岬にたまに出かけるのでした。
ここにいるだけで、ここから景色を眺めているだけで、少し嫌なことも忘れるからだ。
---そこに、数日前に出会った麦藁帽子をかぶってるお姉ちゃん(らしい。学年1個上)をまた見つける。
うーん・・・見つけたんだけど・・・
『あの・・・お姉ちゃん・・・。そんなとこで・・・何してるんですか^^;』
『見ればわかるでしょ? 帽子が飛ばされて木にひっかかっちゃったから取ろうとしーてーるーのー。うんしょ!うーん・・・とどかなーいなー』
前回は海に帽子落っことしてたのに、今度は木ですか^^;
よくブーメランのように飛ぶ麦藁帽子ですね^^;
『あ、危ないですよ・・・誰か呼んで来ましょうか?』
『へーきへーき^^ ホラ!』と、
両腕を木の幹に抱きついたまま、起用に足先を枝に掛け、ゆさゆさと揺すって見事麦藁帽子を落とすことに成功したお姉ちゃん。
---すると、
よいっしょ!と掛け声と共に抱きついていた木の幹から両腕をパッと離して飛び降りてくる。ええええ!?
ボクには絶対無理な高さからのダイブ!
『格好に似合わず、結構お姉ちゃんってワイルド・・・ですね^^;』
『ああ~この白いワンピースぅ? これってね、私が危なっかしいことしないようにわざと動きにくくて、パッと見、おしとやか~って見えそうな服ばかりをお母さんが選んで来るんだよ^^;
いわば”おしとやか養成ギプス”です!』
・・・なんだそりゃ^^;
まあ、少なくとも本当はワイルドなお姉ちゃんだったことだけは理解できた。
『で、君?』
『はい?なんでしょ?』
脱いでいた靴をトントンと履きなおし、ゲットした麦藁帽子をかぶりつつ振り返りボクに問いかける。
『君、私のパンツ見たでしょ。やっぱり君はエロ小学生だね☆』
『み、みみみ見てませんよ!!! 』
『ほんとかなあ~? ま、そういうことにしておくね少年☆』
いや・・・1個上なだけで、お姉ちゃんだって小学生じゃんか^^;
えっと・・・ちょっとだけパンツは・・・見えました。はい。
でも見えたなんていうわけないじゃん!
『あれ?おでこにパンツ見ちゃったけど内緒にしとこう!って書いてあるよ~^^』
『書いてありませんから!』
彼女の思うがままに振り回されるボク。
でもなんか色々ともやもやが吹き飛んでいた。
ここに来るのが楽しい。
・・・お姉ちゃんがいるから・・・楽しい・・・のかな?どっち?
ワカンナイや!でも楽しいのは間違いが無い。
『お姉さんのパンツは何色だったかゲームしよっか?』
『いやしませんから!意地でもボクがパンツ見たことにしたいんですね^^;』
『ま、そんなとこ~♪』
いつのまにか二人で浜辺でおしゃべりをしていた。
相変わらずへんてこりんなおねーちゃんなんだけど、話していて楽しいんだ^^
いつのまにやらそれは日が沈むまで続いていたことに気づく。
『じゃ、私のパンツが見たかったらいつでもここに来なさいエロ小学生!学校終ったらだいたい私はここいらへんにいるからさ』
『え・・・エロはよけいなんだけど、ああ・・・はい^^ じゃ、バイバイ!お姉ちゃん』
『達者でな~』と意味不明な言葉を発しつつ、先に大手を振って走って帰るお姉ちゃんを見送るボク。
なんだろう。
また会いたいと思ってしまったボクは、彼女が見えなくなるまでずっと見送った。
あれ?そういえば名前もまだ知らないじゃん。
今度会った時は聞いてみよう。
ううん。聞いてみたい。
もっとお喋りしたい。
そう思いつつ、ボクは少しにやけた顔をしつつ家路に向ったのでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました^^
最後の絵が気になるんだけど・・・
それは次回以降のお楽しみっつーことで☆
麦わらの彼女は・・・小学生でしたか・・・
勝手にイメージが高校生でした(ー_ー)!!
どんどん、いろんな登場人物が絡み合ってきますね!
それから、あだ名の大切さを思い出しました^m^
by リン (2012-05-31 05:51)
ウマイナー続きに期待を持たせるそのテク!
見ならわないとw(かなり 本気w
by サンダーソニア (2012-05-31 08:51)
うーん。ヘビーですねえ・・・。(>_<)
by 大林 森 (2012-05-31 11:08)
このおねえちゃんのキャラがめっちゃ気になるっす!!
このまま大人に成っちゃうのかな、それとも……
by 駅員3 (2012-05-31 14:54)
ちょいのりさん、
悲しいけれど、昔から、虐めに加わらないと、虐められるっていう子供達の構造がありますね。
始めたのは、数人でも、あっという間に、クラス全員で虐めているっていう例を多々見てきました。
悲しいけれど、温暖な地、伊豆・沼津でも変わりません。
今と違って、孤立した村社会で、伝染病や、奇病から村民を守る唯一の手段が、
変わったものを排除するコトだったと思います。
今でも、子供同士の素朴な集まりでは、そういった他者排除のルールが幅を利かせていますね。
最後の絵を見て、折角、明るい展開のなったに、ケンケンは、どうなっちゃうのでしょうか?
できれば、明るい展開にしてください。
by kiyo (2012-05-31 15:31)
同じ千葉県でも、木更津は田舎です orz
by haku (2012-05-31 18:24)
同じ千葉県でも、流山は更に田舎ですだ(-_-)ニヤリ
by 吟遊詩人41 (2012-05-31 19:57)
あ、ツタヤはありますよ(-_-)ニヤリ
by 吟遊詩人41 (2012-05-31 20:06)
同じ千葉県でも、松戸市はマッドシティーです(-_-)ニヤリ
by 下総弾正くま (2012-05-31 21:34)
なんかこのおねーちゃんも、
こういう言動で自分を騙しながら頑張って
日々生活してるような気がしちゃうキャラ…。
そっかー。けんけんと一つしか歳違わないのかぁ。
女の子はませてるからもっと年上に感じたのかな?
続き気になる…。
茨城は、南東北とよく言われます(-_-;)
いーんだけどね。
by tomomame (2012-05-31 21:53)
ツタヤってレンタル屋さんです夜ねそれが都会の基準なんですか?
そうすると沼津は都会なのかな?5軒位ありますね。
でもとても都会とは思えないですよ、バスは1時間に3本しかも通勤帯だけ電車はJRのみ私鉄は小田急の相合乗り入れの朝霧だけ、5階建て以上のビルもたてられない都会?
by 馬爺 (2012-05-31 22:27)
最後の絵が,ちょっと怖い・・・
by 唐津っ子 (2012-05-31 23:14)
最近になって、ようやく駅前にTUTAYAができました。
そういえば、沿線の中では田舎駅扱いです^^;
by みずき (2012-05-31 23:52)
ハチュコイ♪? むふ
あだなって 嬉しいですね
なんだか 溶け込めるようなきがします
by ねこじたん (2012-06-01 01:55)
hakuさんと吟さんとくまさんでギャグしないでよもーw
三連コンボでうけたw
by ちょいのり (2012-06-01 01:59)
ツライお話ではあるけれど、ところどころに光が差す場面などは入れて行きたいと思ってます^^
陰鬱すぎるお話はボクも苦手ですので^^
最後にはハッピーエンド・・・とは現状の原発問題のありかたを見るといかなそうなところもあるのですが、
このお話的には子供達の最良のエンディングになるようには考えてますので安心してください^^
by ちょいのり (2012-06-01 02:03)
若干今と昔と構図は違えど、同じですね。
まぁ、大人社会でも良くありますが。
コミュニケーション能力って、どうやって磨くものなんで
しょうかねぇ・・・
by まめ (2012-06-01 06:33)
デートって響きはいいわね。^m^ ヾ(-ε-o)ォィォィ
by サンダーソニア (2012-06-01 14:36)
明るい展開に期待したいな。
なぁんて。
いやマジで。
僕らがそうしないといけないもんね。
現実を把握しつつ。
by DEBDYLAN (2012-06-01 22:11)
子供の頃って、知らず知らずのうちに
人を傷つけちゃったりするんですよね。。。
私も、ちょっぴりだけいじめられっ子経験ありなので^^;
ちょっと判るんだよなぁ。。。
by 銀狼 (2012-06-01 23:29)