第502話 八ッ場ダム・吾妻渓谷編vol①『もみじの谷で恋愛ゲーム?』吾妻渓谷・八ッ場ダム・紅葉 [廃村さーくる]
『この前ですねえ~、先輩と二人きりで旅行してきたんですよー♪』
私の前で嬉しそうな顔をして話をする彼女。
別にただの同郷のよしみの里帰りじゃないさ!と思った。
うん、思ったはずなのに何故か胸が『ずきり』とする。
ポコポコとどろっとしたお湯のように胸の辺りが熱くなる。
私ーーー、そろそろ考えようかと思ったんです。この時に。
そして自分の臆病な恋物語を書き換えたいと。
そんな私はこっそりと一大決心です!
菅原君に『心霊研究部の件でちょっと・・・』と、二人きりの旅を提案してみたんですーーー
彼は天井をふいっと見上げ、目をパチクリさせ、一呼吸間をおいてから切り出した。
『えっと・・・どんな案件なのかなあ? それによっては考えてもいいんだけど^^』
ここで私は嘘をつく。
好きだから嘘をついたのだ。
私はあらかじめ考えていたウソを彼に告げた。
『えっとねえ、群馬県は八ッ場ダム建設予定地の過疎化した集落周辺に色々と噂が・・・』と。
その言葉にピクリとPCのマウスに手をかけていた彼の肩が反応したのが見て取れた。
『お、いいかも^^ 実はボクもね、ちょっとそっち方面に興味あったんだ^^
自分が行きたいところも寄ってくれるって条件ならいいよ^^
でも・・・なんで二人でなの? リンダ君とかはいいの?』
ここで私は更に用意しておいた、いくつもの嘘からひっぱりだした言葉を彼に対して返したのだ。
『彼女には伊豆方面の心霊案件に新人さんと出張ってもらう予定だから^^』
『ああそうなんだ^^ じゃあ~こっちのメンバーを誘ったりとかしてもいいかな?』
『それはNG!』
間髪いれずに強気にNOを言う。
そして彼が次に言うであろう言葉を言う前に私が続ける。
『今回は部的にも真剣なんで、菅原クンの助力がどうしても必要なの!だからお願い!ね?』
人生でこんなに真面目な顔して相手に訴えたことってあっただろうかというくらいに頭を下げて懇願した私。
演技だけど演技じゃないみたいな。
その迫真の?私のダイナアクトレスな演技に彼が根をあげた。いや上げさせた。
『うん、分かったよ~^^ ボクでいいなら協力するね^^』
かくしてわたくしこと『首塚かなめ』の『ドキッ!秋の紅葉でラブラブ大作戦!』がここに始まるのでしたーーー
なんとかかんとか目的の日に辿り着いた♪
そして今まさに菅原クンとの二人きりの旅に出ている最中なのであります^^
えへへー
いつもと違って魑魅魍魎(夕実ちゃんとか夕実ちゃんとか、その他)が居ないから会話も独り占め!
彼との些細な会話でもなんだか嬉しい。
たわいのない彼の動作ですら私しか見ていないんだなあと思うとなぜか幸せ。
そんなこんなで晩秋の寒さもぶっ飛ぶくらいにホカホカした目的地までの車中を過ごしたのです^^
で・す・が!
これに甘んじていては何も始まらない!
私は『何かを変える』為にこの舞台を用意した。そしてソレの為にいくつもの嘘を貫いたのだ。
私は色々と用意してきた。
自分の恋物語を書き換えるためのテクニックを
まずは第一ステップ!
『か弱き女の子をアピールしてドキドキ作戦』を決行です。
自分解析で、自分というものは多少大人ぶった言動をとっていたことに気づいた。
だからこそあえてここで弱い部分をみせて『やっぱり女の子なんだ。守ってやりてー!』と、ギャップ萌え作戦に出たのであります☆
『あ!? いっけなーい・・・。銀行に寄るの忘れてたわたし^^; 手持ちが何も無い・・・ううー・・・どうしよお・・・』
『あらら。夕実ちゃんならともかく首塚さんにしては珍しいですね^^ お金ならボクが出しますよ。心配しないで^^』
おーい来た来たー!さっそくギャップがアリアリな感じに受け取ってくれたみたいでだいせいこー!
しかも包容力ある優しさまで引き出せたよ私ってばw
『あ、でも次の駅で途中下車してみて郵便局か何かを探してみるのもいいかなあ^^ じゃあ降りましょう!』
目的地手前の『岩島駅』で降ろされちゃった・・・
本当はお札も一杯入った自分のお財布をこっそり見ながら、
この作戦は彼には向いてない。そう思ってさっさとホームから出て行く彼を追いかけたのです^^;
『あ!セブンイレブンがあるよ^^ あそこならATMもあるだろうし安心だね^^』
私は旅路に既に事足りるお金を持っていたにもかかわらず、
ATMにカードを通してどーでもいい数千円を引き出して見せるのでした
『菅原クン、ありがとうね^^;』と・・・。
---仕方ない。
次のラブラブ大作戦に移行しよう!と考えていた私に、そうはさせまいと言わんばかりな言葉を菅原クンが言ってきた。
『次の電車まで時間があるから、このまま歩いて行こう!』
はあ?マジで?
私的には次の駅に着いてからのラブラブ大作戦を想定していたのになんと言う変化球^^;
しかもここから次の駅なんてめっちゃ遠いじゃんかーw
自分の第二第三の計画の為に電車に乗りなおそうと思う間もなく彼はスタスタと歩き出してしまう。
・・・しかたない。道すがらの道中で、自分が用意した48のラブラブ大作戦をどこで使えるか考え直すことにしよう^^;
『ちょっと待ってよ~^^』と、笑顔を作って彼の後を追いかけることにした。
歩くこと小一時間ーーーー
周りの景色など考えることも無く次のラブラブ大作戦を悶々と考え、菅原クンの周りの景色のレクチャーも右の耳から左の耳へとスルー状態だった私ですら、
段々と様変わりしていく360度にいつのまにか顔を上げ、辺りを見回しながら歩いていたことに気づいた。
『秋がいっぱいーーーだね。ここ^^』
『ここは吾妻渓谷って言う、れっきとした国指定の名勝だからね^^ ぼーっとしてないで見ないと損だよ^^』
あらら・・・見透かされていたみたい^^;
『日本一短いトンネル“樽沢隧道”?』
歩道に掲げられてる標識の矢印の向こうを思わず見てみると、
ああ~確かにちょびっとしか無いトンネルだ^^
『川原湯温泉駅から歩いたほうが近いけど、1個手前の駅から線路と峡谷、そして紅葉を見ながら歩くってのもいいと思わない?
ボクはそういうの好きなんだ^^
ドラマは途中から良いとこどりじゃなくって最初から見るのがいいって感じかな^^』
ああ、忘れていた。この人ってそういう人だったって事を
また、そういう彼が好きだった自分さえ忘れていた事にも気づいた。
とはいえ、ここまで来た。
私のラブラブ大作戦と言うくもの巣の範囲に彼は踏み入ったのです。
私はさっそく次ぎのラブラブ大作戦を決行するべく、彼を追い抜き笑顔で『こっちこっち♪』とおいでをするのでした。
【恋のつり橋効果理論】
私は色々と調べ上げた。
人は、なんでも興奮状態を覚える場所では恋愛のドキドキと錯覚してしまうことがある・・・らしいという理論をみっけたのだ。
ふっふっふ。
この吾妻渓谷には橋が二つあるのはネットでリサーチ済み!
ここでグラグラ揺ら揺ら、そしてどっきどきのラブラブを体験するのだ!
さっそく最初のプレイス『鹿飛橋』入り口に到着☆
『ねーねー菅原君♪ ここ行ってみようよ^^』
『お~いいよ~^^どんな紅葉が見れるかちょっとワクワクだね^^』
ここまで来ると立派な景勝地。ギャラリーも紅葉見たさにワンサカだけれども、
急くように菅原クンを振り返りながらもラブラブ大作戦の橋へと私たちは向った
そして見えてくる赤い橋。
『早く!早く!ココから見渡す景色ってよさげ♪』と、手に掛け踏みしめたその橋は実にびくともしない
頑丈な橋でした。
揺れねーのかよ!
次回に続く☆
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
今回は首塚さんの物語。
そして再びの『八ッ場ダム建設予定地』です。
廃村さーくるシリーズ最初のロケハンの舞台だったりよね。
紅葉、温泉、そして前回には出てこなかった廃墟も登場します。そして消え行くものと生まれいずるものが混在した『廃村さーくるシリーズ』のテーマそのものが全部詰まった場所。物語になると思います^^
ご期待ーーーしないでください☆
※今日はとんでもなく仕事が忙しかったので、記事を書き上げただけで寝かせていただきます^^;
訪問などはまた後日ということで~☆
こっそり、えっちっぽい絵とかがんばったよ~^^
↓
http://sinn-niwakunoakuma.blog.so-net.ne.jp/2012-11-12
いつかすんごいの描いて、エログロなブログノベルも書いてみたいぞよw
おお~~~!ついに首塚さんが動き出した~~~!
でも、恋愛不慣れな感じが・・・さらに、部長も気が付いていない鈍感さ・・・
このたびがどうなる?!
by リン (2012-11-11 06:31)
ダメだ、この菅原先輩・・・。
女心が分かってないw
by しきみ (2012-11-11 08:17)
なにやらいい感じのコンクリアーチ橋がありますなぁ(´ω`)
樽沢トンネルの線路付け替えでどうなることやら…(・_・;)
…くまっちは出てこないけど、ホンモノの野生のクマさんには出くわさなかったですかヽ(・Å・)/ガオーッ
by 下総弾正くま (2012-11-11 09:52)
ちょいのりさん、
首塚先輩のお名前は、かなめ さんだったのですね。
初めてお聞きした気がしますね。
既出なのかな?
by kiyo (2012-11-11 11:48)
首塚さんの恋愛も紅葉のように赤く燃え上がって・・・・
そして散るのでせうか(^w^)
by rtfk (2012-11-11 11:57)
もう自分には、こういうお話に縁がないので
物語を読んでいるだけでワクワクしますね^^
by 銀狼 (2012-11-11 12:17)
紅葉でラブラブ大作戦なんてロマンチック~
ハッピーになって欲しいな~
これからクリスマスもあるし('∇^d)
by miwa (2012-11-11 13:30)
お二人さん、ハチャメチャ珍道中・・・続きが楽しみ(^^)
ややオーバー気味の紅葉の写真がとても明るく爽やかに、二人の若さ溢れる爽やかな物語の展開にベストマッチングですね。
by 駅員3 (2012-11-11 14:07)
作戦を練るって 無駄な気がします。
相手が鈍感すぎw
by サンダーソニア (2012-11-11 16:01)
女子と二人旅ねえ。。。経験ないですわ^^;
鈍感だし(-_-)ニヤリ
by 吟遊詩人41 (2012-11-11 17:11)
おなごど二人旅。。。
まずは温泉だべ。。。?^^v
by yoshinori (2012-11-11 19:40)
首塚さんのラブラブ作戦がどんどんつぶされてる気が^^;
まぁ、菅原君はそっち方面はニブイからなぁw
あれっ、菅原君ってちょいのりさんがモデルだったりします^m^
by ニッキー (2012-11-11 21:52)
を~、秋の紅葉は綺麗ですなぁ
<そっちかよw
自分の大学生の頃ってどうだったっけ、、、
どちらかと言うと友達(男女共)の相談相手だった気が、、、
こんな雰囲気のってなかったなぁ
by まめ (2012-11-11 22:47)
綺麗な紅葉が素敵です。それに渓谷の
美がマッチして、良い写真を見せてもらい
ました。
by ryuyokaonhachioj (2012-11-12 05:13)
かなめさん って名前だったのね♬
なんかいいな〜 こいう計画 ケナゲだわ
by ねこじたん (2012-11-12 10:36)
これはこれは綺麗な紅葉ですね~♪
一つ前の駅から歩くなんて素敵!
美しい風景を二人で((o(>▽<)o))きゃ!
いいわあ~♪
by 美美 (2012-11-12 13:35)
紅葉キレイっすね^^。
ストーリーの展開によっては、
葉っぱがもっと赤くなるとかw
by DEBDYLAN (2012-11-13 00:05)
女性の心理描写がすごいですね.
カミさんを始め,女性の気持ちが判らない私には,
勉強になりますよ.
エ〇の方はあえて訪問しません.癖になったら困るし(笑)
by 唐津っ子 (2012-11-13 00:28)
入れ違いましたね。
by さきしなのてるりん (2012-11-14 19:13)