第542話 廃な感じの奥多摩編☆vol④『はじめてのともだち』奥多摩ロープウェイ跡

『あのね！あのね！お父さん。こ・・・今度、お友達を家に連れてきても・・・いい・・・かなあ？』

　

　かつて私はいじめられっこでした。

　母親の死で塞ぎ込んだ私は言葉数も少なくなり、そこを付け込まれたんです。

　・・・辛い日々だったなあ・・・。

　

　－－－そんなある日、彼と彼女に出会った。

　そして辛い日々から私を連れ出してくれたんです。

　

　再スタートの最初の友達が『菅原先輩』と『琴音っち』

『友達を連れてきてもいいかなあ』と、告げたときのお父さんの顔も忘れられない思い出です。

　あまり家庭に興味が無さそうな父親だったけれど、お母さんの死から少し変わったお父さんではあったけど、いつも難しい顔をしていたお父さんが、

　顔をくしゃくしゃにして喜んでくれたのは大切な思い出。

　きっと薄々は感じてたのかも。私がイジメにあってることを。

　

　それからは菅原先輩や琴音っちとよく遊んだ＾＾

　海や山、伊豆にある遊園地とかいっぱいいっぱい一緒に行ったんだよ＾＾

　そこから友達の輪も広がった。

　そして今がある。

　

　そう言えばあらたまって感謝を伝えていない気がしてます。

　というか、させてくれないんですよ彼たちは。

　そういうかしこまったもんはいいからって感じでね。

　

　途中から気づいた恋心。

　今日、感謝と一緒に伝えたい。

　

　私は手提げの鞄をギュッと抱え込んで、彼の後に続いたーーーーー

　第542話スタートです☆

『ようやく辿り着いたようだね＾＾　自分達の御眼鏡に適う代物か、早速物件を見学しようじゃないか。

　引っ越した後に後悔しないように念入りにな。アッハッハ』

　まるで廃墟を不動産物件の様に例えて突き進む教授さん＾＾；

　私たちも遅れまいと、腰の高さの鉄柵をうんしょと越えて着いて行ったのです。

『うは！いきなりゴンドラ登場っすかマジでｗ』

『本当に、そのまま残ってるんだ・・・めっちゃ感動ですよ教授！』

　菅原兄妹は、着くや否やおおはしゃぎ。

　何を隠そう、私もワクワクしちゃったのは内緒です☆

『ううー、めっちゃ乗りたいんですけど！マジで』

『それはよしたほうがいい、琴音君。見た目には今尚丈夫そうにぶら下がってはいるけれど、それはあくまでも見た目だ。

　なにぶん経年劣化が激しい代物ですからな。あっはっは』

　窓ガラスは抜け、吹きさらしのロープウェイ。

　でも・・・でもでもまだまだなんか平気そうにも見えた。

　さっさと施設内へと歩を進めた教授に対して、私たちは中々この場を後にしようとはしなかった。

　菅原先輩に至っては、軍手を持ち出してゴンドラ下を散策。

　琴音っちは琴音っちで教授の言いつけを守りつつも、まるで目の前の餌をニャンニャンと肉球で弄ぶかのように、

　食べずともいつ食ってかかろうかと言わんばかりにゴンドラ内を舐めまわしていた＾＾；

　これほどまでに執着するのには理由があった。

　私はそれを知ってる。

　そして私もまた彼らと同じような気持ちだった。

　

『夕実っち、懐かしいよね。ロープウェイ＾＾』

『うん。懐かしいよ＾＾』

　琴音っちが私の顔を見ずに話しかけてきた。

　

『思い出すよねロープウェイとかさあ。伊豆の淡島マリンパークで子供の頃さんざん遊んだよね～マジでさ』

『夕実ちゃんと琴音はイルカのショーとかアシカのショーなんかそっちのけでロープウェイの周りで遊んでたよなそういえばｗ　うん、とても懐かしい＾＾』

『お兄ちゃんだって船でも帰れるのにロープウェイで絶対帰る！って泣き喚いてたじゃんかーｗ』

『泣いてねーし＾＾；脚色すんなぼけーｗ』

『でもでもでもー。先輩ってば帰りのロープウェイじゃ窓に顔をべったりくっつけて感動しまくってましたですよー♪』

『だってねえ・・・ロープウェイが珍しかったっていうのもあったけど、

　あの鉄の塊がそれに見合わない索条１本で高所から低所へ言ったり来たりのドキドキワクワク感は、子供心にはたまりませんよ☆

　・・・って言うか、ボクだけじゃなくって琴音も夕実ちゃんも皆窓にかぶりつきだったじゃんかｗ』

『『そうでした。えへ♪』』

　

　かつて、先輩と琴音っちとおでかけした。

　再出発の始めてのお友達に喜んでくれた父親が、自分の趣味である釣り場も兼ねている『静岡県は伊豆にある、淡島マリンパーク』という小さな小さな島にご招待してくれたんです。

　今は釣りは禁止になってたり、島を自由に闊歩する孔雀さんはいなくなってしまったけれど、

　イルカやアシカのショー・水族館などがあるテーマパーク的な存在。

　その島に渡るにはちっさな船かロープウェイという二つの選択肢があったんです（今はロープウェイ休止中？）

　勿論みんな断然ロープウェイ派閥です。与党です☆

　船なら（といっても当時は漁船みたいな船。今はちょっと立派な感じの船ですう）入島料のみ。

　でもロープウェイは別料金。

　経済的に厳しい家庭事情だったけれど、その時ばかりはお父さんも嬉しそうに『乗って来い！お父さんの乗る船と競争だ＾＾』って、

　みんなにおこづかい渡してたのを覚えています。

　とてもとても楽しい、友達との最初の『おでかけ』

　

　私だけじゃなかったんだよね？

　だから琴音っちも先輩も思い出話が尽きないんだよね？

　－－－嬉しい。ただただ嬉しい☆

　正直、目じりに滲んだものをポリポリと痒いフリして拭っていたのは私だけの胸の中にです。

　

　－－－流石にロープウェイの廃墟の前で長居しすぎたみたい

　暗闇の施設内から教授さんが顔を覗かせる。

『おいおいおい・・・。まだまだ見るべきところはたくさんあるのですぞ？

　そもそもここの歴史もまだ語ってないし、語らせてくださいよ。アッハッハｗ』

　ああ・・・そういえば私たちって今、廃墟に来てるんだったｗ

『『『はあ～い＾＾』』』と、一同、

　お尻や手の埃をパンパンパン！とはたきつつ、教授さんが促がす施設内へとついていくのでしたーーー

　

　次回、奥多摩ロープウェイ跡編ファイナルですぅ～＾＾

　

ここまで読んでくださり、ありがとうございました＾＾

廃墟の話、全然進んでなくね？

そうだけど、一応『廃村さーくるシリーズ』的には重要な話なんだよ今回はｗ

　夕実ちゃんの過去や、先輩と琴音がいかに彼女にかかわりのある存在だってことを描くには最高の素材をいただけました。

　ありがとうございます教授ｗ

ロープウェイの件は、実際のおっさんの話？

そだよー＾＾　子供の頃に遊んだ伊豆の淡島マリンパークでのロープウェイでの感動をそのまんま思い出して、夕実ちゃん達に再現してもらったってところかな＾＾

　実際は親父の魚釣りに毎回連れられていく場所のひとつではあったのだが（嫌々ね＾＾；　朝早いし眠いし子供の頃は魚食べるの好きじゃなかったから）

　このロープウェイだけは、はしゃぎまくりでしたよ、オイラ＾＾

　そこをフィクション・ノンフィクションまぜこぜで書いた感じ。

さて、次回でこの奥多摩編もファイナル。

　本来ならとっくに書き終わってるはずだったのだが、中々忙しくってね＾＾；

また言い訳か

続けざまファイナル編書こうと思ってたのだが、今日は久しぶりの休みなんで～、

　日々の仕事の疲れを癒しに、温泉とお酒と桜を見に行こうと思ってるので先延ばし決定だｗ

お土産ヨロシク！

温泉とお酒と桜編もいずれアップ予定（いつもの物語風ではなく、日常パートで）

　ではではまた次回、お会いいたしましょう＾＾

 

タグ：琴音っち 菅原先輩 夕実ちゃん ロープウェイがワクワクしたって書いてはいるけれど、実は漁船みたいな船で島へと行くのも大好きだったりするんですよこれが＾＾ 島旅 伊豆 今は釣り禁止 電気ウナギとか水族館に居て、ワクワクしたなあ～＾＾ クジャクが海に飛び込んだって話を聞かされた時は子供の頃ショックだったね 島に居るクジャクが大好きでねえ、追い掛け回したこともあったけど、羽を広げたその様はとても子供心に印象的だった ロープウェイの思い出 淡島マリンパーク 思い出シンクロ 廃墟 奥多摩ロープウェイ跡

コメント 24

ロープウェイって今でもワクワクするなぁ＾＾）
最近だと函館山に登るときに乗ったけど
デカくてイマイチだった・・・（＠＠；）
やっぱちっちゃいのでないとね～☆

by 獏 (2013-02-25 06:02) 

ロープーウェイ、結構ゆれるんですよねぇ。
そこまで高所嫌いではありませんが、落ちた時のことを
ついつい考えちゃいます。
by まめ (2013-02-25 06:26) 

ロープウェーは子供のころ本当にワクワクドキドキさせてくれる素晴らしい乗り物でしたね。
僕は、初めて箱根のながーい、ながーいロープウェーに乗った時の感動はいまでも忘れられません。
by 駅員3 (2013-02-25 06:51) 

おはようございます。
歩けない場所を上から目線好きです・・・ロープウェー。
下の息子と原価計算・・・を、笑っちゃいました。
コメントありがとうございます。
by YUTAじい (2013-02-25 07:13) 

苦手なもの・・・
ロープウェーにジェットコースター・・・
リフトもダメだなぁ　(^^;
乗ると手と足の裏に変な汗かくのね~
ちょっと行きたい場所があるんですが高低差が激しいロープウェイ乗らないとなんで3年間悩み中　(^^;
淡島マリンパークはワイヤー架け替える資金難で休止とか聞きましたね。
by 風太郎 (2013-02-25 08:40) 

ちょいのりさん、
やはり、夕実ちゃんと、菅原くんと琴音ちゃんたち兄弟とは、非常に強い縁があるというコトだったのですね。
幼い頃の夕実ちゃんにとっては、まさに生きる希望だったのでしょうね。
となると、琴音ちゃんの他の女の子を菅原君に寄せ付けない行動の一端は、自分にとって許せるのは夕実ちゃんだけという意味もあるのでしょうね。

さあ、どうなるやら？
がんばれ、夕実ちゃん。

by kiyo (2013-02-25 10:48) 

ここのロープウェイは　
飛び出す勢いがあるのだったような？
悲鳴をあげましたｗ
by サンダーソニア (2013-02-25 12:13) 

てっきり玄岳ドライブインのロープウェイかと思ったら淡島だったんですね…＾＾；
施設自体は生きてるみたいですが、どうなるんだろう…（・_・；）

どうでもいいけど、たまに「ロープウェイ」と「ロープウェー」で迷います＾＾；
by 下総弾正くま (2013-02-25 12:52) 

高所恐怖症なもので、ロープウェーに乗っても
窓から景色を見る事がいまだに出来ません＾＾；；；
by 銀狼 (2013-02-25 13:03) 

僕が初めて乗ったロープーウェイは、登別温泉の
クマ牧場に向かうやつでした。ドキドキしたなあ。
by johncomeback (2013-02-25 15:46) 

ちょっと・・このロープウェイ・・何だか怖くない？
そして・・休日なのね！何処の温泉でまったりしてるの～？
by viviane (2013-02-25 17:53) 

淡島の昔のロープウィイはゴンドラが籠でしたね、いまはすっきりごんどらになりましたね、花と酒と温泉ですか河津辺りか伊東かな？
by 馬爺 (2013-02-25 18:00) 

私もロープウェイはワクワクしますよ（＾◇＾）
でもこの廃墟はちょっと恐くも感じます。
何故だろう（微笑）
by 美美 (2013-02-25 19:39) 

ロ－プウェイ、今でも好きです＾＾
スノボに行ってゴンドラやロープウェイに乗るのが楽しみだったりします^^;
by ニッキー (2013-02-25 21:33) 

教授のブログでも拝見しましたが，
このロープウェイのゴンドラは生きているみたいで，
ちょっと怖いです．まして，高所恐怖症気味なので･･･

今日は温泉と桜とお酒ですか？
うらやましい休日の過ごし方ですね!!!
by 唐津っ子 (2013-02-25 22:18) 

草津スキー場で山頂まで行けるロープウェイ
アレは　オイラでもビビッた。。

by DON (2013-02-25 23:18) 

このロープウエィのゴンドラって、なんとなく
乗ったら動きそうな雰囲気がありますね。
by みずき (2013-02-25 23:28) 

桜ってコトはアソコかな?
アップ楽しみにしてます^^。

by DEBDYLAN (2013-02-26 00:53) 

なるほど。。。
そういうことで半分フィクションなんですね～！
by リン (2013-02-26 06:14) 

オモヒデが　モリモリなんですね〜
おいら　チビッコたちをロープウェイに乗せた時の
ふわ〜　って顔が　大好きです♪
by ねこじたん (2013-02-26 09:38) 

ロープウェイ、随分乗って無いです～　＾＾；
楽しいですよね、とっても♪
鋸山のロープウェイでも乗りに行こうかなぁ　＾ｍ＾
そう言えば昔ディズニーランドにも
ロープウェイがありましたよね、確か．．．
by haku (2013-02-26 20:58) 

あれ？
デジャビュ？
なんかつい最近見たことのあるような・・・(笑)。
by てんぽく (2013-02-27 03:35) 

ご無沙汰致して居りました。
先日・不注意に因る怪我で、入院治療する羽目に･･･
昨日、やっと退院出来ましたので・休止中のブログライフを
不定期ですが・再開致す事に、休止中お立ち寄り頂いた方へ
お礼を兼ねてのご挨拶を。
今後とも、お見捨てに成る事無くお付き合いの程お願い致します。
by okin-02 (2013-02-27 10:36) 

ゴンドラまで残っているなんて、スゴイですね。三頭山（？）の上の方まで、昔はロープウェイで行けたんですね（多分）。淡島は以前、熱海から眺めた．．．と思ったら、あれは初島でした＾＾；。
by sakamono (2013-03-02 13:43)