第608話 思えば遠くに来たもんだ♪ 与那国島編vol③『廃製塩所跡と久部良バリ』 [島旅]
『えっ!? 観光で来たの?』
実は何度か与那国島で出会った人に言われた台詞。
いやいやいや・・・
普通ーーー、この日本の最西端である島なんだから観光目的の旅人が多いに決まってるじゃないと思うでしょ?
でしょ?
・・・だよね?
でもね?
『ダイビング目的』のダイバーさんの方が多いんだってさ。
夏場はボクのように観光で訪れる人もそこそこいるんだけれど、
正月と言いますか冬季は9割方ダイビング目的で来られる人が多いんだって^^;
---でも納得だよね。あの海を見せ付けられたらさ^^
そのうえこの島の南側には、例の海底遺跡もあるからね~♪
お金の余裕があったらば、ボクもやってみたいかな。
ダイビング^^
さて、主人公ちょいのりはテキサスゲートを潜り抜けて次の目的地へと向った。
その名も『久部良バリ』
そこはどんなところなのか?
第608話、思えば遠くに来たもんだ♪与那国島編スタートです^^
ダンヌ浜から数十分、擦れた感じの『久部良バリ』という標識を発見^^
国道から逸れてさっそく向うことに。
日本最西端の中学校なのね。
この界隈は『久部良』という与那国島でも最も西の地区なんだが、この地区にあるものは全て『最西端』ってことになるのかもね^^
交番も自販機も何でも最西端かw
そしていよいよ到着だ。久部良バリっていったいどんなところなんだろうか。
駐車場に原付を止めて、さっそく向おうと思ったのだが・・・
なんと目的の場所までは舗装工事中だったのだ^^;
ええ~?ここまで来たのにい???と、ここで辺りを見回しつつ、いったいどうしようかと考え込んだ。
傍らにはこの久部良バリとはどういったものなのかの説明が載ってる石碑があるのみ。
びみょーに読みにくいわね^^;
妊婦?・・・転落死??? ええ!?なにここ^^;
ま、それは後で説明をするよ。それよりもここまで来たなら諦めきれないボクとしては、正規ルート以外ででも行ってやろうと思った。
それが藪道だろうがなんだろうがね^^
---そしたらさ~
ぬおっ!? ちゃんと迂回路があるじゃないの~♪
良かったじゃない藪こぎしなくってw
といいますか、パッと見、藪漕ぎできそうな草木じゃなさそうですよ^^;
まあ~なにはともあれありがたい^^ 迂回路レッツゴーっす☆
うわあ・・・なんか少しキモイんですが^^;
ソテツの種子かな? 確かにグロイよなあ~w
そのまま食べると毒らしいけど、手を加えれば食べられるらしいよ^^
そんな感じでソテツの林をてくてくと進むおいら。
ふと足元を見ると、ところどころ硬い岩盤が見え隠れしていた。
もしかしたらここって、土壌じゃなく岩盤の上に植物たちが植生してるのかな?と思った。
ま、先をいそごうか。
茂みを抜けると開けた場所に出た。そこは海が目の前の崖。
どうやら目の前のコレが久部良バリのようだ。
『ようだ』って、なにか看板とか無いの?
看板とか場所を示す物はなんもないんだよ~w
てゆーか何もねーじゃんか。岩だけじゃん。
まあまあ。もう少し近づいてみようよ^^
裂・・け・・目・・?
落ちたら怖そうだけど、コレが久部良バリってやつぅ?
そう、コレが『久部良バリ』
そしてこの与那国島の悲しい過去の遺物でもあったりするんだ。
いまでこそ木々に深さを奪われているけれども、
幅3メートル、深さ7メートルの大穴だ。
この大きな裂け目がいったい何を物語るものであるのかは、この島の過去を少し紐解かなくてはいけないかな^^
ーーー与那国島を含める八重山諸島は、かつて薩摩藩の支配下におかれた琉球王国に統治されていたわけなんだが、
税金徴収として『人頭税』という重い税制を強いられていたんだよね。
『人頭税』?
15歳から齢50までの人一人に対して一律の税が課せられる制度なんだけど、
それは稼ぎがあろうがなかろうが一律。
病気して稼げなくても?
妊娠して働けなくても?
平等だけど不平等じゃんかソレ^^;
今の消費税とか国民年金もまあ~近いものがあるけれど、それは置いておこう。
ここ与那国島。日本の最西端にもかかわらず最盛期には人口を二万を越えるところだったそうです。
この島を豊に盛り上げるには人を多くするのが良しとした時代があり、生めよ増やせよだったわけだ。
当時は女性の数が男性よりも多かったとも聞いてます。
そこに人口増加による食糧不足と、先ほどの『人頭税』が関わってくるーーー
『それなら人減らし』という短絡な考えな元、
『妊婦にこの裂け目を飛び越えさせて、飛び越えたものだけが生き延びることが出来る』としたのが、ここ久部良バリという裂け目だそうだ。
えっと・・・サイアクっすね・・・
時代とはいえ酷い話ですな・・・
実は諸説(伝承・説話)あるので全部が全部本当かどうかはワカリマセンですが、
少なくとも重い税制に苦しめられてきたこの島の人たちの苦渋の思いがこの場所にはあるのだと思います。
久部良バリはここですって標識は無かったが、すぐ傍に地蔵菩薩様があったのでボクはここで手を合わせた。
---それでね?
どうしてもどうしてもこの久部良バリのすぐ向こう側にチラチラチラチラ見える建物が気になってましてね~
何アレ?
う・・・。もしかしてオッチャンの好物かw
なんかどう見ても廃墟っぽいと思ってウズウズしてたのだよw
でもそこに到るには舗装工事中の道を行くしか無さそうだったのだ。
重機やトラックが周りに結構あってさ~
近づいたら『お前はここで何してる?』とか言われそうな気がして躊躇してたw
(ちなみに舗装工事の建て看板には進入禁止とも立ち入り禁止とも書かれてはいません)
するとどうだろう。現在時刻12時を過ぎた頃。
工事現場のオッチャンたちはいつのまにか居なくなっていたのだ!
飯でも食いに行ったのかしら☆
・・・ということは~
これは行くしかないよな!
(普通に通っていいですか?そこの建物見ていいですかって聞けばいいだけなのにねえ^^;)
ドキドキしながら目の前まで到着。
ぐおおおおおおおおおおおおおっ!!!
まるでイギリスの『ストーンヘンジ』っぽいじゃねーか♪
さっそくその廃物件ぽいところの回廊部分に突入っす☆
これから完成を目指すような建物って感じじゃなさそうね。
まあ廃墟でしょうな。
でも変わった造りじゃね? ここって何の廃墟???
オイラもさっぱりわからんよ^^; 別に与那国島の廃墟なんてリサーチしてなかったしな(そりゃそうだ。ボクの中では島旅と廃墟巡りは別物ですから)
ただただ不思議な作りに驚きながらも回廊部分?をひた歩く。
うわ・・・、天井からコンクリが落ちてきてるし瓦礫ばっかりじゃんか^^;
危ないとこよねえ・・・
ここから見える海もまた最高!
廃墟と言うフレームに切り取られた景色を満喫っすよ!
ぐるっと一周してみたところ、同じような建物が隣にもあった。
中庭的部位にもポツンと土台のようなものが残っている。
結局、ここってなんな訳?
今までオッチャンの廃墟巡りを見てても概観を見ればなんとな~く想像できたけど、マジここは意味不っすよ^^;
オイラもこの時点じゃさっぱり分からなかったとですw
自分が今回お世話になる『民宿・阿檀(アダン)』のご主人に後ほど伺ったところ、ここはーーー
『廃製塩所』
つまりは塩の工場の成れの果てだそうだ。
塩工場跡だったのね。
とはいえ塩の工場と言われても、イメージはさっぱり思いつかない未知の世界ですな。
だよな~^^; オイラ、塩工場なんてテレビでもネットでも見たこと無かったからなあ^^;
アダンのご主人に伺った所、
『ああ~そこは内地からやってきた人が造った工場だったんだけれど、なくなっちゃったんだよねえ^^
他にもカツオの工場とかもあったけど、今はなくなっちゃったねえ^^』と教えてくれた。
『内地』?
沖縄の人達から見たら日本本土(本州)が内地って例えかな?
もしくは石垣島とか八重山諸島から見た沖縄本島のことを内地って言うかもだね^^
その他所のとこからやってきた人達がここ与那国島に塩工場を造ったのだけれど・・・
結果としてうまくいかなかったみたいだね。
それがこの成れの果てである廃製塩所らしい。
(“アダンの塩”と言う銘柄を2004年まで造っていたとの事です)
一通りこの廃墟をぐるぐるした頃ーーー
『ブロロロロ・・・・・・』と、この廃墟に近づく軽のワンボックスが。
ヤバイ!工事のオッチャンが帰ってきた☆
別に理由を告げれば済むことじゃないのさw
立ち入り禁止と掲げてあった訳でも無いし、なぜコソコソしますかなw ご主人様^^
(別段、立ち寄ってもかまわない廃墟のようです。あくまでも自己責任ですが。
地元の人はなんとも思ってないらしい^^; 先に言ってくれよおーw)
だって~なるべくなら迷惑掛からないようにこっそり観察して自己満足に耽りたいじゃないw
ということで~、
お邪魔にならないようにここから崖を下って、久部良バリまで戻ることにしたのだ^^
要するに見つからないようにあえて崖下から戻ったっつーことっすねw
簡単に言えばなw
降りられない感じでも無かったので降りてみたんだが・・・
なんか凄くトゲトゲした岩ばかりね。
何でも石灰岩などが海食で削り取られて出来た地形らしいよ?
おかげでサンダルに刺さりまくりですよ^^;
なんとか緩やかな場所まで降り立って横移動。
久部良バリの丁度真下辺りまでこれた。
後は比較的昇り易そうだったので、岩に手を掛けてゆっくりと上を目指した。
案外余裕だったなあ~と思った矢先
『チクッ・・・・・・』
トゲトゲした岩で指を切ったよお~・・・^^;
自業自得っすよ^^;
なんだかんだあったけど、多分久部良バリの裂け目の先まで到着。
周りを見回してみるとこんなだった。
絶対行きたくねーw
ようやく元来た場所まで到着っす^^
工事のオッチャンたちが未舗装道に腰をかがめて作業しているのが遠くに見えたよ。
この炎天下、お仕事ご苦労様です^^
---さてと、
駐車場までの帰り道にポツンと石碑がたっていたんだがーーー
日本最後の夕日が見える丘っすかあ^^
ココまで来たんだから当然おっちゃんは今回も夕日を見るんでしょ?
どうやらここが夕日のベストポジションってことみたいね^^
ということは、やはり夕方になったらコチラに寄るのですかな?
いやいやいや。オイラが夕日見たい場所はここじゃないっすよ。
ここから見える、あの岸壁の上に建つ灯台から望むのがやっぱりベストなんじゃないかな^^
あそこの灯台?
次回、いよいよお待ちかねの『日本の最西端』です^^
ここまで読んでいただきありがとうございました☆
妊婦に3m、、、
酷い話しですね、、、
by (。・_・。)2k (2013-09-18 04:32)
おはようございます。
一つ一つに歴史イワレが、心に沁みます。
by YUTAじい (2013-09-18 05:27)
与那国島だけじゃなく、沖縄には昔から酷い仕打ちをしてきたんだよね、内地の人は。
風景が綺麗なだけに、悲惨さが増しますね。
by johncomeback (2013-09-18 05:51)
探検や冒険的な観光もアリですよ。d(^_^
by ナビパ (2013-09-18 06:48)
道産子の私、ごく普通に「内地」を使っております。現在は自分が内地に出稼ぎに来ていますので使う機会は少ないのですが・・・
悲しいというよりは怖い現実があったのですね。
by suzuran6 (2013-09-18 06:52)
じ~んと感じる今日のちょいのりくんの記事・・
海の美しさが一層愛おしく感じました
しかし~ちょいのり君は本当に板さん?
by viviane (2013-09-18 07:32)
20,000niceへのコメント頂きありがとうございました。
これからも応援宜しくお願いします。
by sarusan (2013-09-18 08:20)
最後に見える夕陽を智子さんと眺めたいなぁ・・・
沖縄には、あちこちに廃○○があるけど、内地と違うのは、危険な動植物が沢山居ること!!
僕を連れていった方が安全だよ(^^)v
動画は実はBGMを被せたら、著作権の問題で再生出来なくなっているようです!
by 駅員3 (2013-09-18 09:09)
つらい過去ですね。
妊婦さんにそんなことさせるなんて・・・
by なかせ (2013-09-18 09:17)
色々勉強になりました。なるほどこんな離島で人口増えたらおのずと食料不足になりますね。しかし妊婦にって・・・ひどすぎますねぇ。
塩工場だったんですね、なんの跡地かきかないとわからないですね。
by みぃにゃん (2013-09-18 09:46)
塩工場で海岸際だから
余計に痛みが目立つのでしょうねー^^;
by サンダーソニア (2013-09-18 11:35)
気持ちいいでしょうね。
遮るものが何もない海の夕陽。
大きなお腹で3mを越える幅跳び。それは無理でしょう…なんとも悪政は虎よりも猛なり。
by orange (2013-09-18 11:50)
その話、何かで聞いたことがありますね。
3mだと妊婦じゃなくても落ちますわ。。。
最西端のものが沢山♪ ありすぎたら逆にゲンナリするかもw
by まめ (2013-09-18 12:04)
人頭税・・・宮古島にもありました。
気になって調べましたが、石垣島にもあるようですね・・・
でもいいな~与那国、いつかは行きたいです(^^ゞ
ちなみに北海道も本州を内地と言いますよ。
by 北旅人 (2013-09-18 12:19)
人頭税のことは宮古島で身長を図る石を見て
知っていましたがこの悲劇そしてクビラバリのことは
初めて知りました・・・・・(涙)
by 獏 (2013-09-18 12:22)
ちょいのりさんは、どこへ行って興味の種がつきませんね
私も好奇心が強い性格ですが完敗です
by koh925 (2013-09-18 12:22)
やはり、南の島ですね。空も海も綺麗ですね。
ヒガンバナの黄色を見つけた時は嬉しかったです。
はじめてなので~~。
by ryuyokaonhachioj (2013-09-18 14:56)
今の時代では考えられない人減らしですね・・・。
それにしても、見通しどころか風通しもいい廃墟でしたね~^^;
by しきみ (2013-09-18 21:30)
非常に悲しい過去ですね・・・
つくづく今の世の中に生まれてよかったなって思います.
by 唐津っ子 (2013-09-18 22:44)
歴史を感じますね。
悲しい過去、時代ですね。
綺麗な夕日、楽しみにしています(^^
by 美美 (2013-09-18 22:47)
回廊だけ残ってると不思議な光景ですね^^
人頭税、中学の歴史で習いました。
当時、妊婦さんを飛ばしてたら人口がどんどん
減っちゃうじゃんって思ってましたよ。
by みずき (2013-09-18 23:17)
あまりにも悲しい歴史ですね(>_<)
こういう酷い過ちは繰り返さないようにしなくては・・・
抜けるような青空は南国の空ですね^^
灯台からの素敵な夕日写真と記事、楽しみにしています(^^♪
by ニッキー (2013-09-18 23:56)
南の島でも廃墟探検なんすね^^。
それにしてもイロイロ知ってるよなぁ。
見習わないと^^;
by DEBDYLAN (2013-09-19 00:11)
おはようございます。
来月お休み予定早めに・・・私は合わせますから。
by YUTAじい (2013-09-19 05:40)
えぇ~島旅と廃墟巡りは別物なのぉ~!? (-_-)ニヤリ
…じゃ、廃墟の島は…(-_-)ニヤリ
…それにしても、製塩所で何であんな回廊構造になってるんだろう…(・・?)
by 下総弾正くま (2013-09-19 07:09)
山の石も断面が鋭いのですが、ここの岩は、カミソリみたいな鋭さですね。。。お大事に。
by さといも野郎 (2013-09-19 20:22)
ということは、島の東端は最西端の東端ってことになりますかね(^^;)
by momiji (2013-09-19 23:07)
初めまして。獏さんのお誘いでお邪魔致しました。
どうぞよろしくお願いいたします^^
私も7月に与那国島へ行ってきました。久部良バリへも行き、お地蔵様にも手を合わせ廃墟もしっかり見学してきました。
塩工場だったんですね。
与那国島シリーズ、楽しみにしてますっ!
by あびまま (2013-09-20 15:30)
手 いたそうなんですけど…
夕陽 きれいなんだろうな〜
by ねこじたん (2013-09-21 18:20)
なるほど製塩工場の跡地とは、想像もつかないですね。
海水をぐるぐる流して、蒸発させる...と推測^^;。
by sakamono (2013-09-21 18:41)