第669話 横須賀・夏島編☆vol③『煉瓦さーくるにようこそっ☆前編』ゼロ戦百機の大格納庫&貝塚&古煉瓦の渋み [廃村さーくる(古煉瓦)]
『ここは普段めったに入れないんだよっ♪』
私の背中を押していたはずの彼女の手は、いつのまにか私の右手を引っ張って先導していた。
おっとっと・・と、ぬかるんだ道に脚を取られる私を気にせずにグイグイと^^
その顔はまるで『お母さん!お母さん!こっちでこんなの見つけたんだよ♪』と、はしゃぐ小さな小さな女の子の様そのものですぅ^^
昔から彼女はそうだったかもです^^
彼女は好きなことに対しては感情を決して隠せないタイプだと。
ここまで私をこのツアーに参加させたかった意図は未だに分からない私ですけど、
あんなに嬉しそうで楽しそうな琴音っちの笑顔を見せられたら、まあそれはもういいかな?なんて思っちゃいました^^
第669話。夏島ツアー編!すたーとですぅ^^
日産追浜工場のコンクリートの外壁と、小高い丘に挟まれた小道を進む私たち。
丘のふもとには到るところにコンクリートで塞がれた怪しげな場所が点在してたのですぅ。
他のツアーの方々もコンクリートの前で足を止めてはパシャパシャと写真撮影です^^
大きいものにいたっては高さ2メートルは越えていて、穴と言うよりもトンネルを塞いだようにも見えたデス^^
そこでガイドさんが『傾注!傾注! みなさん?この穴はお察しの通り“地下壕跡”の入り口です^^』とおっしゃった。
その言葉に皆、やっぱりそうだよね的な頷きをする。
琴音っちもウンウンと。
・・・私だけですか。全然わっかんなかったのw
(※夕実ちゃんは戦争遺構には訪れたことがありません。菅原兄妹との廃村さーくる活動でも出向いたことが無い)
『さて皆さんにはこの地下壕跡が“どれだけ巨大であるか”を知っていただくために、この先へと参りましょう^^』
そう言ってガイドさんがさび付いたフェンスの扉をギイ・・・と開いて、皆を迎え入れるのです。
その先には山肌を伝う鉄パイプで組まれた階段が続いていました。
ということで~、琴音っちに続いて私も突入ですう^^
しばらくすると途中から石の階段に変わりました。
私はふと琴音っちに声を掛ける。
『ねえねえ琴音っち~。この石段も結構古そうだね^^』
『うはー!マジワクワクするっす☆』
・・・会話がかみ合わない^^;
どうやら彼女は私が声を掛けたのも耳に届かない興奮状態みたい^^;
---階段を上りきった?ところで
景色が一変することになりますです^^
目の前にはコンクリで塞がれることも無く、ぽっかりと口を開けたトンネルが奥へ奥へと続いていたのですう。
ここでガイドさんが皆を集めての講義が始まりました。
『先ほどこの夏島に眠る地下壕跡が、いかに巨大か御見せいたしましょうと言いましたね^^
実はですね、この地下壕は“三層構造”になっているのです^^
今みなさんが目の当たりにしているのは標高20メートル付近の“第二層”なのですよ^^』
皆さんは知識も豊富そうな方々なのに、一様に驚いてみせる(みんな優しいなあ^^)
私はというと純粋に驚いてしまいました。
だって、ビルだったらB1・B2・B3階ってことですよね?
こんな洞窟みたいなのが三層になってるだなんて!?
その上、地表より高いところなのに『地下壕』ってところにビックリですw
ガイドさんは更にここ三層の地下壕跡へのお話を続けるのです。
『ここは正確には“横須賀海軍航空隊基地の緊急戦備跡”と呼ばれています^^
太平洋戦争末期、日本は戦況が思わしくなく、
いよいよ本土決戦にて敵を迎え撃つことになっていきます。
そこで夏島の中腹を掘り込んだこの地下壕跡へと戦時に必要な施設を次々と備えたわけなんです。
それが緊急戦備跡^^
この二層目とこの上に存在する三層目は詳細不詳なのですが(三層目は人員が退避する為の壕だったのでは?と一応言われています)
第一層目は、
倉庫や魚雷庫、ポンプ室に弾薬庫などなどに使われていたそうです^^
そして一際大きくて、コンクリートで埋め固められた場所がありましたよね?
実はそこから近隣の“野島隧道”にかけての大型隧道は、
百機のゼロ戦を格納できるという
日本屈指の巨大な航空機格納庫だったそうです^^』
百機!?
正直私はゼロ戦の大きさもわからないですが、それでもとてつもなく大きく広いところなんだということは分かりました。
琴音っちに至っては
『うは!マジっすか☆』と大きな声を上げて、ボランティアガイドさんに質問攻めしてましたです^^;
ちょっと琴音っちのオーバーアクションに知り合いとして恥ずかしくなっちゃったんだけど(皆もちょっと笑ってたし)
でもでもガイドのオジサマは、とても嬉しそうに琴音っちの質問に答えていたのですぅ^^
その後は残念ながら第二層の地下壕跡の内部見学は無かったのですが(ガイドさんが言うには)
『入り口近辺でしたら是非どうぞ^^』というガイドさんのお達しを受けてーーーー
琴音っちと数人のオジサマがウロウロしていましたですうw
なんかめっちゃ明るいライト持参していた琴音っちに、
ガイドさんやオジサマ達も『君は用意がいいねえ~♪』と、なぜか褒められてましたよ^^;
・・・あんたどんだけ周到なのよ^^;
この後は第三層目へと皆さんと共にのぼっていきましたです^^
辿り着いたここは塞がれていて、特にこれといったとこではなかったかもです。
ちょっと興味を持ち始めていた素人の私も正直ガッカリですね^^;
ーーーさて、
その後はいよいよ夏島の頂上へとやってきました^^
木々の間からは、この周囲の工場群が見下ろせるですう^^
ガイドさんに連れられるまま奥へ奥へと進む私たち。
その端々に怪しいコンクリートの物体が。
なんだろこれ?
倒壊した電柱みたいなものもありますです。
そして再びここでガイドさんのお話が始まったのですう^^
傍らに横になってる樹を指差しつつーーー
『あらら。皆さんこの樹を見てください^^
この樹はつい先日まではこんなところに無かったのですが、
先ほどの45年ぶりという大雪の重みに耐えかねて折れてしまったようですね^^;
実はここ夏島。そもそもなんで夏島と呼ばれるようになったのかと言いますと・・・
雪が降らないから夏島という単純な名前付けだったりしますw
ちなみに黒船来襲で有名なペリーさんが海図に記した夏島のネーミングはウェブスター島。
ついでに横須賀にポツンと浮かぶ猿島は“ペリー島”だったりします^^
おっとっと脱線してしまいましたね。ごめんなさいw』
いやいや。歴史に疎い私だったですが、コミカルに楽しくお話してくれるボランティアガイドさんのお話にグイグイと惹きつけられるのですう^^
ガイドさんは照れ笑いをしつつも更にお話を進めます。
『今皆さんが夏島の頂上付近で目にしたコンクリートの物件は、
太平洋戦争時の夏島機銃砲台跡だったり、
明治22年から大正初期に造られた砲台場跡だったりするんです^^
明治・大正・昭和とその時代時代の痕跡を残す面白い場所でもあるのですよ^^
そしてそれ以外の年代の痕跡もここには残っているのでそれを皆さんで見に行きましょうね^^』
ガイドさんを先頭に、広場めいた場所から細い小道へと向う。
『ここからちょっと道幅が狭くなりますので注意してください^^
両脇は崖となっておりますので^^』
なんか物騒なこと言ってますけどガイドさん!
恐る恐る琴音っちの袖を掴みつつ付いていく私。
ほんとに両脇崖なんですけどw
(ちょっと夕実ちゃん視点でオーバーに書きましたが、ここは夏島山頂の尾根の部分でしょうね^^ そこまで崖じゃないですw)
ドキドキしながらもちょっと開けたところに到着です。
(この夏島の頂上付近は広い山と狭い山が繋がってるような感じになってます。夕実ちゃんチームは狭いほうの山へと向いました^^)
見るとそこには、明治憲法起草記念碑の周りにあったパネル展示がいくつかあったのですう^^
ここで三度ガイドさん
『皆さん、地面を注意深くご覧になってください^^』と皆に地面を注目するようにと促がしたです。
ん?なんですかわきゃー!
白いのがいっぱいです。
拾い上げてみるとそれは貝殻っぽい奴だったです。
『ここでもうひとつの年代が登場して参ります。
実はこの夏島。夏島貝塚と呼ばれていまして、
縄文時代早期から前期にかけての古代遺跡跡でもあるのです^^』
『うはマジっすか☆』
一際声の大きい琴音っちの驚き声に皆またドッと沸く☆
私もほんとは驚いて声をだしちゃったですが・・・彼女の声にかき消されたようでありがたいですw
『ここでは貝塚以外にも土器や石器などもいくつか発見されています^^
さてここまで4つの年代を見てきたわけですが、
この貝塚の更に先には明治~大正を代表する物件がいくつか残っているので皆さんと行ってみましょうか^^』
---ガイドさんの先に促がす言葉に
琴音っちが『待ってました☆』と思わず声を張り上げる。
え?何?何?どゆこと?
彼女がそんなにも待ち望んでいるものがあるの?この先に。
またまた大きな声を出して彼女が皆さんから笑われるのかと思いきやーーーーーー
『お!君もそこ目当てか^^ 実はオジサンもなんだよ~』とか、
『中々若い女の子にしては渋い趣味だねw でも分かるよ君のキモチ。だってオジサンもそうだもの^^』と、
逆にツアーのオジサマ達に感心を抱かれていましたですw
ええ!? 皆さんのツアー目的って地下壕跡でも貝塚でも無いのお???
私は知らないことばっかりだったから、これだけでも充分お勉強と言うか興味もてたのに?
ガイドのオジサマを先頭に小道へと歩を進める私たちの前に、
枯れ草の中からひょっこりと石の縁石みたいなものが顔を出し始めたのです。
最初は昔の道の名残りくらいにしか思わなかったのですが、
徐々に徐々に先へと進むにつれその様は変わっていくのでした。
下り道となったところで、縁石だと思っていたその下から煉瓦?が顔を覗かせたのですう。
すると琴音っちとオジサマ達が一気にざわつく。
『うは♪きましたよ煉瓦!』
『いいね~^^ いいねえ~♪』と、
いつの間にか琴音っちとオジサマ連中は友達のように喜び合う^^;
そ・・そこまで煉瓦が・・・いいのお?
---確かに朝方、彼女と共に出向いた大田区の煉瓦の防波堤跡には、
私もちょっぴり古煉瓦の趣きもいいかな♪とは思っちゃいましたが。
・・・はっ!?
も、もしかして・・・
あの羽田の煉瓦の防波堤跡に私を連れて行ったのは
私に煉瓦に興味を持ってもらおうとかいう彼女の作戦?
その為のワンクッションだった・・・とか?
いや・・・まさかです~^^
無い無い。そんなの無いですう。
私ってば深読みしすぎですね☆
えへへ。めいたんていコナン君じゃあるまいし^^
---ふと、あんなにはしゃぎまくってた琴音っちが
私のところにてくてく寄ってきて、急に真顔で話しかけてきたです。
『実は夕実っちい。私ってばこんな感じで古煉瓦が最近趣味なんだ。
でね?
ちょっと夕実っちにドン引きされちゃうかもだわさと思った私は、
それとなく私の趣味を知ってもらえれば~なんてな感じで、羽田の煉瓦堤防とか嘘ついてまで連れまわしちゃったんだ。
ここまで隠してて・・・嘘ついちゃったりして・・・
ゴメンナサイ!』
全然深読みでもないしそのまんまだし、私名探偵だしw
いやむしろ、普通に誘ってくれさえすればーーー
いや別に古煉瓦好きなんて隠すほどでもーーー
と、私は思ったのです。
何はともあれ、やれやれですうw^^;
ここでガイドさんがパンパンと手を打ち、
『おやおや煉瓦好きの方も多くおられるようですねw
そう、ここ夏島には数多くの煉瓦の遺構が残されています^^
今いる場所はかつてあった“電灯所”へと続く通路だったわけなんですが
(明治期の軍用の施設は大正・昭和期に航空隊基地造成の影響で削られたりして消滅していたりします)
その通路の煉瓦には煉瓦の刻印がいくつか散見されるので、是非とも見ていってください^^
皆さんにも分かりやすいように矢印を置かせていただきましたから^^』と、
煉瓦をじっくり見てくださいな♪とおっしゃったのです。
そこからはオジサマ達も琴音っちもフリーダム!
まるで宝探しゲームのように縦横無尽に煉瓦をあれこれ探索開始ですw
私はと言うとーーー
ボランティアガイドさんが皆さんの為にわざわざ目印を付けて下さった煉瓦の刻印とやらを素直に観察です^^
(オジサマと彼女は目印以外にも刻印あるんじゃね?と、煉瓦の裏側見たりとか脱線してましたがw)
ほえ~! 桜の印があるです^^
こんなのが煉瓦にあるだなんて知らなかったですよお^^
知ってみると面白いものですね♪
さて、この後私は彼女からトンデモ提案を受けることになるの。
ここまでの彼女の行動にはもう一つの意味があったということを知らされることになるのだが・・・
-----次回に続く☆
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
本来なら告知していたように夏島編はファイナルだったはずなのですが・・・
記事が長くなってしまったので二回に分けさせていただきます^^;
また、
気づいたらもうすぐ夜明けっぽいので、訪問や返礼等々は後日とさせていただきますw
ではでは、か・し・こ・♪
夏島は宝物の宝庫ですね~
貝塚に煉瓦に洞窟。続き楽しみにしています。
by PENGUIN (2014-04-13 10:33)
桜印の赤レンガ、興味をそそりますね^^
零戦100機が格納できるってすごいです。
250m位の空母が50〜60機ぐらいですから、
相当な大きさだと思います。
by onemore (2014-04-13 15:05)
航空隊に地下があるんですね。歴史を感じながらの探検はワクワクしますね。^^;
by ソニックマイヅル (2014-04-13 16:19)
そんな大規模な格納庫が・・(驚)
ムフフ 煉瓦や遺跡が好きならば
呉市に連れて行って差し上げたいなぁ^^)♬
by 獏 (2014-04-13 18:55)
前にも書いたことありますが、
北海道に来られる機会があれば、是非江別市に
お連れしたいなぁ。。。^^
煉瓦いっぱいありますよ^^v
by 銀狼 (2014-04-13 19:10)
零戦百機(@_@;)
どれだけ大きいのか想像もつかないです(*_*)
煉瓦の印、今度煉瓦を見かけたら探してみます(^.^)
by ニッキー (2014-04-13 22:51)
地震国に三層の地下構造って、なんか
中にいると怖くなっちゃいますね。
遺構の煉瓦OKってことは、飛鳥山にあった
煉瓦の遺構も守備範囲内ですね^^
by みずき (2014-04-13 22:57)
すげぇ~!
夏島ってこんなだったんだ~
コレはいろいろな意味で面白いですね!
by 風太郎 (2014-04-13 23:34)
そういえば父親が終戦間近に海軍の横須賀基地に居たと。昔、聞いたことがあります。何をしていたのかは不明。今ではそれを教えてくれる人も居なくなり..
この壕の様子を見ながら、園時代の物なのだなぁと思ってしまいました。
by orange (2014-04-13 23:36)
零戦100機格納出来るとは、めっちゃ大きいですね!!
いろんな遺構がありますねぇ
by 唐津っ子 (2014-04-13 23:37)
横須賀行きたいなぁ。
僕の場合はアメリカンな雰囲気を感じになんだけど^^;
by DEBDYLAN (2014-04-14 00:43)
恥ずかしながら夏島の存在じたいしりませんでしたが、凄い島ですね。
いろんなジャンルの好き者にとって宝島ですね(^▽^)/
特にちょいのりさんにとっては、タマランチ会長でしょう。
by johncomeback (2014-04-14 05:57)
あっははは、素敵に探検にみなさんワクワクドキドキですな!!
それにしても夏島の煉瓦遺構がフランス積みとはちょっと意外です。
ちょっと夏島の江戸末期からの歴史を調べてみないといけませんな!!
by 駅員3 (2014-04-14 08:04)
三層!広すぎて検討が付かないですね。しかも百機も!収納可能tって。観た感じ山の中って感じしますが
飛行機そこから飛ばせるのですかね~?
スゴイ場所ですね
by みぃにゃん (2014-04-14 09:34)
日本って結構すごいことを
していたものですね@@
by サンダーソニア (2014-04-14 10:52)
興味深く記事を拝見していましたが、そこでレンガが
出てくるとは思いませんでした。完全にしてやられ
ましたね^^;。
by sakamono (2014-04-14 14:07)
なるほど!!
いつもあっけらかんと遊んでいる八景島の
お向かいにこんな歴史的なポイントが
有ったとは・・=^-^=
ちょいのりさんのお陰で
なんだか古煉瓦が気になります♬
by まこ (2014-04-14 14:38)
夏島は、まさに日本軍の遺跡資料島ですね
史跡遺産に登録されないのかな?
by koh925 (2014-04-14 17:35)
パンフのようなものに載っているのは高射砲ですかね?
by 馬爺 (2014-04-14 18:01)
三層の地下構造の基地とか100機の零戦の格納とか
萌えるワードがたくさん~≧≦
横須賀、探検したい~
by さる1号 (2014-04-15 10:32)
見どころ沢山なんですね!知らなかった。
子供がいると旅行は基本的に遊べるところメインですからねぇ、知識の探求っていいなぁ・・・
# 旦那は別に旅好きではないですよ
# 単に車(範囲狭いけどw)が好きなだけです
by まめ (2014-04-15 12:42)
昼間行っても怖そうですね。夜行ったら、取り憑かれそうな感じが。
by youzi (2014-04-16 06:13)
ゼロ戦が百機ですか!
ゼロ戦ってそんなに小さかったんでしょうか?
煉瓦に桜のマーク、可愛らしいですね(^^
by 美美 (2014-04-16 13:33)
ここを掘った時に出た土はいったい何処に隠していたのでしょう?
おそらく人海戦術で、掘ったのでしょうね、その頃戦争に勝てると思っていたのかなぁ~とか色々と考えてしまいますね。
by suzuran6 (2014-04-17 09:20)
今回の探検は ガイド付きで
深~い お話と
深~い 三層からなる地下
興味深々 読ませていただきました
by sumijuni (2014-04-17 11:53)
凄すぎます、興味が薄い私でも参加したくなってきました。
by ゆうくん (2014-04-17 11:57)