第682話 静岡・大崩海岸編ファイナル☆『人と野生動物はそんなに遠くない』 [廃村さーくる(古煉瓦)]
※記事の後半にはかなりショッキングな画像があります。
正直・・・掲載するか迷いましたが、あえて掲載いたします。
『身近な野生』
知るのも見るのも、そしてここで引く事も閲覧者さまに全てお任せいたします。
ではでは第682話。
大崩海岸の廃墟と野生と煉瓦編、ファイナルです。
『うっは!まじっすかココw もう笑いが止まらないっす♪ グヘヘヘ^^』
琴音は半分発狂してるんじゃね?ってくらいにおおはしゃぎ^^;
半狂乱?みたいなw
でも確かに妹様が大好きな煉瓦の刻印がそこかしこにむき出しになっていたのだ。
致し方ないところでもあるが・・・乙女を完全に忘れとる^^;
ーーーふと、
夕実ちゃんが『はい!琴音せんせー!』と手を挙げた。
『何かね?夕実っち君。おっほっほ^^』と教授か先生気取りに琴音が夕実ちゃんを指名した。
『えっと・・・です。このマルにTの刻印は、何て煉瓦工場の刻印なんでしょうか・・・ですう^^;』
『ふむふむ実にいいーこと聞いてくれたね夕実っち君。おっほっほ^^
これは東京煉瓦株式会社という明治期の煉瓦工場の刻印らしいっす^^』
ここで2人のベタなコントをニコニコしながら見ていた坊勢さんも割って入ってきた。
『なるほどなるほど。東京だから“T”という頭文字が刻まれてるってことですかね先生さんよ^^』と。
ベタな刻印だが、昔の刻印は大概そんなもんだったりする。
いろはにほへととか、イニシャルとかね^^
桜の刻印とか図柄っぽい刻印は、そうそう無かったりするわけだ。
でもここで、ボクは少し疑問に思っていたことをあえて琴音先生に質問をしてみたのだ。
『えーとせんせー。先ほど先生は東京煉瓦株式会社らしいと、
少し言葉を濁しましたね^^
それはいったいどういうことなんでしょーか?』
ボクの質問に少しムッとして、その後『うー・・・ええっと・・・』と言いあぐねる琴音先生。
それを見て坊勢さんと夕実ちゃんは『どうしたんですか先生!』と、まだまだベタなコントを続けている。
しょうがないのでボクが更に続けた。
『本当は不確定ってところなんでしょ?先生^^
先生の好きなネット検索では東京煉瓦株式会社の記述に詳しいところは中々ヒットしないんじゃないかな?
これは図書館なりで、東海道本線の昔の建造記録や出資額資料、出資会社、関わった建築会社とかその他諸々からしっかり探さないといけないと思うのですがどうでしょう^^』と。
『ううう・・・お兄ちゃんのイジワル^^;』
ネットの世界では『女帝』と呼ばれていた過去がある妹様。
でも、それはあくまでもネットの情報の世界の中での話し。
世の中の過去の情報がすべてネットの海にあるのかといえば、
そうじゃない。
限界もまたある。
今回たまたまイジワルな質問をしてみたのは、ボクがいなくなった廃村サークルの今後の活動を
彼女らはネットの情報頼り一辺倒で事を済ませてしまうんじゃないかと危惧したからこそでもあったりする。
(今回はたまたま東京煉瓦株式会社に非常に詳しい記述のある検索結果が得られなかったから、こんな感じで書いただけであります。
しっかり検索すればここの煉瓦の刻印も会社の概要もあるのでしょうがね^^
とはいえ、ネット検索ではいまいちどんな煉瓦会社だったのか不確定なので、足を色々なところに運んで年代や刻印の事とか調べて確定させたいと思います^^)
ボクのイジワルな質問に妹先生は悪びれる。
『はいはいそーだよ。どこもかしこも私が欲しい情報はらしいだよw
ま、そんなことより、ここに来た記念に刻印煉瓦をゲットしにいくっすよ!
ひゃっはー!』
そう言って、再びこの煉瓦の瓦礫の山へ
どうやらお持ち帰り用の煉瓦をゲットしようと妹さまと、いやいやながらつき合わされてる夕実ちゃんが走り出したのだ^^;
『おーい、オモシロそうだなその宝探し的なものw』と、坊勢さんもそれに追従する。
楽しそうに皆動いてるけど、ここって結構危ないんだぞ?
『そこは危ないからやめておきなさい!』と、縦横無尽に歩き回る彼女たちに逐一注意しながらボクも歩き回る^^;
分かってない。分かってないよ・・・・
君達が今どんなに危険なところを歩き回っているのかを。
『きゃあああああああああああああ!』
不意に煉瓦の壁に彼女たちを見失ってかくれんぼ状態になった時。
夕実ちゃんの悲鳴が響き渡った。
急ぐと自分も危ないのだけれどそうも言ってられない。
声がする方にボクは駆け寄った。
『どうした!怪我は!?』と、煉瓦と煉瓦の細い隙間にぺたりと腰を落とす夕実ちゃんに声を掛ける!
するとーー
『ううう・・・フナムシ嫌いですう・・・^^;』と、煉瓦を這うフナムシ君を指差した・・・
一応、昔から彼女が海ゴキちゃんを嫌いなのは知ってたけれど、
知ってたけれど、
あなた海辺育ちでしょ?
フナムシくらいで大声あげないでよ^^;
・・・とはいえ怪我とかじゃなく、ホッとした。
『バンッ!』
ボクの後ろから着いて来た坊勢さんが地面を踏みつけて大きな音を鳴らす。
すると、ワラワラしていたフナムシ軍団が、あっという間に煉瓦や石の間に消えていった。
そして夕実ちゃんに大丈夫?と気遣い手を引く坊勢さん。
そしてなぜか変な問いかけをしてきた。
『海ゴキちゃんと家のゴキちゃんって、どっちが早いか知ってる?』
え?
なんでまたそんな話?
ボクと夕実ちゃんは『ぽかーん』と口をあけて呆然。
かまわず坊勢さんは話を続けるのだった。
『ゴキちゃんは3対の駆動、つまりは6本足だけれども~
フナムシ君は7対の駆動。実に14のタイヤで動き回るのだよ^^
スピードなら断然フナムシ君なんだぞw
君達はゴキちゃんを丸めた新聞紙やハエたたきで追い込むこともたま~に出来るだろ?
でもどうだい。
フナムシ君を丸めた新聞紙で叩ける気がするかね?^^』
・・・確かに無理っぽい。
いやそんなの別にどうでもいいじゃんか^^;
と思っていたら、
『フフフ♪ フナムシさんってスゴイ!スゴーイ!ですう^^』と、いつのまにか笑ってる夕実ちゃんがそこに居た。
そしてそこになぜか坊勢さんの優しさが垣間見れたような気がして、ボクは前よりももっと彼女が気になるのだった。
ここで夕実ちゃんの悲鳴につられてか。
ひょっこりと琴音が『どったのよ?』とかる~い感じで現れた^^;
夕実ちゃんのフナムシは置いておいて・・・
君達にはまるでこの土地の危機感が無いと思ったボクは、本当ならば先に言っておくべきだったことを皆に告げるのだった。
『この辺り一面に散らばっている煉瓦の破片と言うか塊は、
煉瓦のトンネルの崩落現場そのものなんだよ?^^;
しかも現在進行形の崩落現場なんだ。
たまたま歴史のある煉瓦だったりするだけで・・・
本来なら危険この上ないわけなんだ^^;
だから慎重に行動してもらいたいんだよ・・・^^;』
ここが昭和23年の台風で崩壊してからずっと放棄された場所であるとか、
元々、この煉瓦の瓦礫が上に見えた煉瓦の隧道(トンネル)の坑口(入り口)の崩落の塊なんだよと彼女たちに告げた。
『ええ!? そ、そうなんだ』と驚いて顔を強張らせた坊勢さんと夕実ちゃんはまだいい。
実はそこまで知っていたはずなのに、浮かれていた妹の琴音に喝を入れたかっただけでもあった。
意図を汲んでくれたのか、流石に琴音も『ちょっと舞い上がってたかも・・・^^; これからは慎重に行動するっす^^;』と、
一応は反省してくれたようだ^^
その後は危険そうな部位を巡らずに、琴音の今回の旅路の目的である『刻印煉瓦の欠片を入手』という目的に
皆協力して探しまわったのである。
正直、刻印煉瓦はワンサカあったのだが、
『刻印もあって、かつ、持ち出せるような煉瓦の小片』となると、
それは中々無かった。
昭和23年から放置プレーされてきた煉瓦トンネルの崩落跡地だと言うのに、
塊のまんま崩れ落ちて
小片すら非常に少ないのだ。
それだけかつてのこの煉瓦のトンネルは『堅牢』だったと言うべきか^^
明治期から数えて100年は過ぎているのに
管理もされず風化の一途だというのに
コンクリなら40~50年で脆くなるというのに。
ーーー途中、
ボク達があんなに苦労して降りてきたはずの道から、
楽しそうに家族連れが海岸までやってきたことに驚き^^;
(子供が降りられる感じじゃないんだけどなあ・・・・^^;
別の道でもあんのかな^^;)
『お宝マジげっと!♪』
それでもなんとか妹様は、納得いく様な刻印煉瓦をゲットしたようだ。
自分の妹ながら彼女の執念恐るべし・・・^^;
さて、
このまま帰途につくのもよかったのだが・・・
どうしてもこの旧石部隧道跡の『もうひとつの噂』も気になっていたオイラ。
チラッチラと旧石部隧道を見上げていたボクに気づいたのか妹様が声を掛けてきた。
『ねえねえお兄ちゃん。確かアソコって、ホームレスのおじさんが住処にしてるって聞いたけど^^;』
それにピクリと坊勢さん反応。
『なぬ!? あんな危なそうなとこに人が住んでると??? 少しジャーナリズム(邪な好奇心)の血が騒ぐな^^』
琴音や夕実ちゃんは、言っちゃ悪いがホームレスさんの住処というキーワードに腰が引けていたのも無理は無いが・・・
坊勢さんはちょっと違う反応だった。
続けて坊勢さんが口をつく
『ふむふむ。ちょっとばかしインタビューとかしてみたいな^^ 缶酒ひとつでも渡して話でも聞いてみたいもんだ^^』と、超ノリノリ。
まあこれはボクにとって願ったり叶ったりの反応だ。
っつーことで、渋々な残り2人の女子を安全圏?に待たせて、
ボク達2人だけ、旧石部隧道跡へと乗り込むことになった^^
すぐ目の上だというのに藪が遮る坑口だった。
ここはボクが先導して藪漕ぎ。
途中、ご丁寧にロープまで用意されている道順。
時たま彼女の手を引いて導くのだけれど、その彼女の手の感触は、
普段仕事に対して厳しい彼女からは想像できなかったくらい、普通の女性の柔らかな手だった。
勝手に彼女に対してイメージを抱いていただけだったようだ。
---ようやく坑口前まで到着。
思わず2人して『うわあ・・・』と、何ともいえないため息を口にする。
『う~む・・・マジごみの山だな菅原君よ^^;』
『そうです・・・ね^^; 本当は煉瓦の歴史的に見ても立派な遺構なんですが・・・これはヒドイw』
中にはここの住人は居なかった。
どこかにでかけているのだろうか?
それとも、もうこの場所を捨ててしまったのか?
残ってるのは住人が残したのか溜め込んだのかわからない膨大なゴミの山だけが延々と奥まで続いていた。
時折天井から滴り落ちる水滴をゲームのように避けつつ、かつ、ゴミの山で不安定な足場を注意しつつも奥の方へと進むボク達。
途中ライトを点火。
煤けた煉瓦壁にボクは感動していたのだが、あっという間に行き止まりだった。
ここにもう長居は無用と感じ、退散することに。
出口に戻ってきたところで、坊勢さんが隣の隧道の入り口に気づく。
『あの海側のトンネルの入り口も気になるな。あそこには行かんのかい?菅原君よ^^』
『流石にやめておきましょう^^
あそこも勿論旧石部隧道。東海道線の下り線跡なんですが、
本来は入り口に見えるアソコも、実はトンネルの途中部分なんですよ^^;
金太郎飴のようにキレイに煉瓦の入り口をして見せてはいますが、
先ほどうちの妹がはしゃぎまわって探索していた煉瓦の瓦礫。
アレが本当のこのトンネルの出口付近の成れの果てなんですよ・・・』
煉瓦トンネルの断面はどうなってるのか?
煉瓦トンネルの建造はどうなってるのか?
それを見るにはこれ以上最高のお手本の場所は無いかもしれない。
でも、そこにいたるにはとても危険をともなう。
坊勢さんとボクは自前のカメラの望遠でトンネル間口を舐めるように撮影しつつ、置き去りにされている琴音や夕実ちゃんの元へと戻るのだった。
さ!後は帰るのみです。
本当なら意を決して先ほどの険しい道を逆戻りするのですが・・・^^;
夕実ちゃんが海岸線に何かを見つける。
『足跡が砂浜にあるですよ!?』と。
ほほ~。これは釣り人か誰かが歩いてきた証拠。
しかも足跡の先は海上橋(つまりは帰り道の方面)へと続いているじゃないか。
それならばと帰り道は路線変更です^^
『じゃあ皆、帰りは砂浜ブラブラして帰りましょうぜ!』と告げたところ、
『『『はあ~い♪』』』と、一際明るい返事が返ってきた。
・・・ボクもそうだが、皆もあの帰り道は嫌だなあ~って思ってたのね^^;
歩き出したボク達。
振り返るとここの象徴とも言える湾曲した煉瓦トンネルの瓦礫が見えた。
見上げると険しい垂直の崖・・・
あの上に先ほど歩ってきた現在使われている石部トンネル(車道)があるわけだ。
右手はすぐさま砂浜だ。
かつては用宗の先から延々と続く砂浜だったそうだが、
河川工事。特に砂防のおかげで静岡・駿河湾の海辺もすっかり砂浜の面積が減ってしまったらしい。
人の安全な暮らしの為に川の護岸、砂防をしたわけだが、
結果的に何か失ったものもあるということも忘れてはいけないような気がした。
ふと、
琴音が、タッタッターと海っぺりまで走り出す。
手にはどこで拾ったんだか小枝をタクトのように振りかざし。
そしておもむろに砂浜になんか書き出したのだ。
それは何かな~?と皆と覗き込む
『ここに来た証しに、琴音参上!って書いたったw』
『お前は子供か^^;』
なぜか彼女に言った言葉がチクリと自分の胸に返って来たような気がしたが、まあ気のせいだろう。
先を急ぐことにした。
テトラポッドの山が目の前に現れた。
ここを登りさえすれば、現在の県道はもうすぐそこだ。
とはいえ、テトラポッドは甘く見てはいけない。
不安定な磯場より安定しているのは間違いないが、それに騙されてはいけない。
足を滑らせて間の深みに嵌ってしまうなどという事故もかなり多い。
釣りキチの親父がテトラには気をつけろと言っていたので、今の今でも心に決めている。
ボクは『苔とかノリとか無いテトラを選んで上って行こうね^^』と皆に促がした。
すると相変わらず無鉄砲な妹様が、
磯なら私のフィールドだぜ!と言わんばかりに、ドンドンと先に行こうとするのだった^^;
そういうのやめてくれませんかね妹様。
なんであんたはそんなに我が強いのかね^^;
ーーーテトラポッドと磯のゴロゴロとした石との境界線に辿り着いた頃だった。
琴音が急に立ち止まる。
はて?どうしたのかと彼女の後ろ手に近づいた。
彼女の背中は少し震えているようにもみえた。
なぜか少し緊張が走る。
彼女の肩越しに前方を見やるがーーー別段変わったものも無い。
あるのはテトラポッドと丸石だ。
・・・ん?
そこに少し違和感を見つける。
浜辺からは少し遠のいた場所だ。
周りは海苔も苔も這い付いていないキレイな白石ばかりなはずなのに、
ひとつだけポツンと苔むした石のようなモノがあったのだ。
よくよくそれを注意深く見やると、それは石でも岩でもなかったのだった。
思わず『ゲッ!?・・・イノシシ!?』とボクが声を上げると
『ヒィッ・・・』っとびくつく琴音。
目の前の大きな苔むした岩だと思っていたのは、
(※閲覧注意です)
イノシシの死骸だったのだ・・・
まさかの遭遇だった。
見た感じ、そこまで古くない。
ボクの後ろから近づいてきた坊勢さんや夕実ちゃんも絶句だった。
しばらく呆然とイノシシの亡き骸を見詰めて立ちすくむボク達。
どこからか飛んできた虫に鼻先を掬われて、ボクはようやく正気に戻った。
『こんなところになぜイノシシが?』
ボクの疑問に、ウッ・・・っと口を押さえつつも坊勢さんが崖上を指差す。
『これはかなり驚いた^^; こういっちゃなんだが、ワシは君に付き合ってみて色々と知ることが出来たきがする。
そのイノシシがどういう経緯でここに朽ちたのかは分からないが、
ワシの推察としては恐らく崖上から落ちてしまったとかではなかろうか?』
う~ん、どうなんだろう?
坊勢さんの言うように、たまたまイノシシ君が崖から滑落して命を断ってしまった可能性もあるかもだ。
そもそもイノシシにとってこんな磯浜は動きにくいだろうし、餌場では無いとも思えるし^^;
崖上の向こうには人が踏み入れない山々がしばらく続くから、そこら辺が彼らのテリトリーだろうし・・・
その線が濃厚か?
とはいえかなりのショッキングな遭遇だった。
『うはあ・・・イノシシには会った事あるっすけど、こういうのは初めてだなあ・・・マジで^^;』
さすがの妹様も少々臆した様子。
『タヌキさんの死骸なら・・・伊豆の道路で散々見かけたですが・・・
イノシシさんのは・・・はじめてですう^^;』
もっと怖がってしまうかと思ったのに、そこまで怖がりもしなかった夕実ちゃんを見て少しホッとした^^;
確かに伊豆の人ならばタヌキの死骸くらいなら道路でよく見かけるだろう。
イノシシの死骸はともかく、
イノシシ自体は名物になるくらい結構いるしね^^;
かつて、いのしし村というテーマパークもあったくらいだし(今は介護センターになってますが)
昔は下田へと向う国道沿いに、檻の中にイノシシを平然と飼ってるお宅があって、それを車越しに見るのもあった話しだし^^
とは言えボクも皆同様に震えた。
と言うか野生動物が実はすぐそこの生き物だと言うことをすっかり忘れていた。
都内に居るから忘れてしまっていたが、野生と人の生活圏はそこまで遠く無いのだ。
先に群馬のある市役所の敷地内で熊が闊歩するなんてこともあった。
伊豆の伊東の温泉街(商店街)をイノシシが歩き回り、警官が発砲。猟友会の方達が仕留めて事なきを得たなんてこともニュースにあった。
野生動物からしたら、防衛本能で人を傷つけることもある。
基本、人は野生と対峙した場合には、
相手が自分の体重以下の存在だとしても負けるくらいの弱い生き物だ。
ボクは彼(横たわったイノシシ)を前に、皆に改めて注意を促がした。
『今回はイノシシ君には申しわけないけれど、ボク達はラッキーだった。そう思おうよ。
今まで偶然にも危険な動物たちに出くわさなかったことに感謝をすると共に、今一度、危険はそんなに遠くないということを自覚しよう』と。
すると皆、うんうんと言葉をあげずに頷いてくれるのだった。
そして坊勢さんが
『なあ皆の衆。このイノシシ君に手を合わせていこうじゃないか^^』と提案してきた。
ボク達はイノシシ君の亡き骸の前に並び、手を合わせて目を瞑るのだった。
テトラポッドの山を越えて登り切ると、そこはコンクリで固められた広い護岸の道だった。
とは言え崖上からいくつもの石が転げ落ちている道には変わりない。
そそくさといそいそと注意深く上下見ながら先へと進む。
ようやく元の県道へと戻ってきた。
『最初からこっちから行けばよかったんじゃね?マジで』という琴音の言葉は華麗にスルーして、
ボク達は元来た海上橋付近を、今度は橋の上から眺めることにした。
築数10年。いやもっとか。
崖と緑に埋もれていきそうな廃道に、皆言葉には出さないけれども表情に色々な思いを浮かべているような気がした。
遠景の富士山を目標に、ようやく用宗駅へと辿り着く。
この大崩海岸も、冨士を望む静岡きっての眺望の場所だったのは過去の話とは言え、
ここに来た人なら今でもそれが分かってくれる。そんな場所だったと思います^^
ーーー静岡駅に到着するなり坊勢さんがオシッコを我慢してる人みたいに忙しなくモゾモゾあせあせと慌てだす。
『ああヤッバイ^^; 時間が押してる!押してるぞい!
ではではここで皆とも一旦お別れだな^^
ワシはこの後、浜松で“ウナギと子育て”の取材に、ある企業さんのお宅に向わないといけないのでな^^
今日は色々楽しかったぞい^^
またちょっと同行させてくれないかねw
ま、菅原君。
君にはこれからもご縁がありそうだ。ではアデュー!』
颯爽と新幹線ホームに突っ走ってく彼女。
ボク達は帰りも新幹線を利用する予定だったのだが、その手配も資金も全て坊勢さんがしてくれたのだ。
浜松方面行きの坊勢さんを対岸のホームから見届け、大きくお辞儀をしてボク達は見送った。
そして東京行きの新幹線こだまが静岡駅に滑り込んできた。
帰りの車中、ボクだけが車窓をノンビリ眺めながらも起きていた。
夕実ちゃんと妹様はグースカピーです^^
よだれ垂れてるし乙女もへったくれもないですw
まあでも皆かわいらしいよ^^
本当は終点までの小一時間、彼女等に倣ってうとうとと寝ても良かったのだが、ある事が気になって眠れなかったのだ。
『ウナギと子育て』ってどんな取材なんだろう・・・と、
なぜか悶々として。
---ここまで静岡・大崩海岸編を長きに渡り読んでくださりアリガトウございました^^
今回、イノシシ君の亡き骸を掲載してしまったのはお詫びいたします。
とはいえ、自分に対しての戒めと言いますか警鐘ですね。
今回はたまたまああだったけれども、いつどこでなにかあるか分からないということです。
熊に会う事もあるかもしれないしね。勿論毒蛇もだ。
今回の記事を思い返しつつ胸のどこかに置いておきつつ次への旅路の糧にしたいと思います^^
さて、次回は近場のお話です^^
内容的にはまたもや煉瓦。あとなぜか競馬も絡んできますw
例えるならばアングラな部分も含んだ『多摩川アンダーザブリッジ』とでも言ったところでしょうか^^
ではではまた次回お会いいたしましょうず☆
※ちなみに今回訪れたトンネル(下り線)と崩壊したトンネルは建設の年代が異なります。
崩れたトンネル。つまりは崩落して海岸に煉瓦を撒き散らしてる方が、ずっと古いトンネルだったりします^^
by ちょいのり (2014-05-22 15:37)
海にイノシシは違和感たっぷりです。
一体どうしたのでしょうね?
山から滑り落ちてしまったのか?
不思議です。
by コンブ (2014-05-22 16:19)
崩落した煉瓦トンネルの瓦礫越しの青空
大きくひび割れた煉瓦の塊
青空に引き立てられる廃の美しさに震えました^^
フナ虫の素早さは七対駆動によるものだったんだ@@;)
by さる1号 (2014-05-22 18:27)
イノシシ、あわれ・・・・
by とし@黒猫 (2014-05-22 20:33)
フナムシは私も嫌いです。
カサコソする音が嫌なんですよね~^^;
持ち帰った煉瓦はケースに入っていたりするのかな~
by 美美 (2014-05-22 22:28)
イノシシ様、、、もう鍋の季節じゃないし(´Д`)
by 吟遊詩人41 (2014-05-22 23:33)
フナムシとゴキちゃんの対比、面白~い(笑)
次回の煉瓦と競馬のコラボ、めっちゃ楽しみです!!
(木曜日がお仕事休みですか?)
by 唐津っ子 (2014-05-22 23:37)
交通事故とかよりも、さらにリアルに
この子たちの本来の場所を人間が
作り変えちゃったんだなぁって実感
しました。合掌・・・
by みずき (2014-05-22 23:51)
イノシシ君。お気の毒様です。
猪突猛進で突っ走って来たのでしょうか。
コンクリートで固められた絶壁が妙に畝っているのが不気味でした。崩壊するのも分かります。
見上げれば、切り崩したバウムクーヘンのようなレンガの残骸。
お気をつけくださいませ。
by orange (2014-05-23 02:09)
大崩海岸、興味沸きますね、老体では無理かな?
by katakiyo (2014-05-23 05:46)
今日はいつもと趣向が少し違う雰囲気で
アカデミックが苦手な獏にも楽しめました♬
イノシシ???
ぜ~んぜん見慣れています(爆)
実家の裏山に生息していて
罠にかかって暴れているのをよく見ていましたから☆
食べると美味しいんですよねぇ~(^m^)
by 獏 (2014-05-23 06:16)
この青空が、より一層郷愁をさそいますね。
あー、お出かけしたい!!!
by 駅員3 (2014-05-23 07:08)
おはようございます。
またまた・・・長編お疲れ様です。
煉瓦・石垣忙しいですね・・・。
by YUTAじい (2014-05-23 08:07)
おはようございます。おそらく滑落したんでしょうね。かわいそうです。^^;汗
by ソニックマイヅル (2014-05-23 08:59)
最後は、ちょっと衝撃的というかもうちょっと早かったら回収できたのに... 惜しい!って思ってしまった。
それにしても、いろんなところがあるんですね。
最近、廃墟や戦跡に行くことが多くなっていて、ヘッドランプがかかせなくなりました... でも、一人じゃ怖いね。
by 島酔潜人 (2014-05-23 11:40)
行くところ行くところ、いろいろな意味でも怖い場所ですね。
あまり無謀なことはなさらずに。
イノシシも瓜坊の頃は可愛いのに、大きくなると怖いです。
by まめ (2014-05-23 12:50)
野生動物が滑落しちゃう危険な場所なんですね(@_@)
先日大山に登りましたが、「シカにえさをやらないでください」「猿が出ます」「熊に注意」の看板があちらこちらにありました(*_*)
ついつい怠りがちですが、野生動物に遭遇することちゃんと頭に入れておかねば(>_<)
by ニッキー (2014-05-23 14:12)
すぐ山だから いても不思議ではないですね。
崩れる名所?です。
by サンダーソニア (2014-05-23 14:46)
フナ虫とゴキの話に思わず納得しちゃいました
イノシシ、ちょっと可哀想です
by くまら (2014-05-23 14:57)
海辺にイノシシ・・・
迷い込んだ挙句に滑落してしまったんでしょうね(合掌)
私的にはイノシシよりもフナムシの方が
苦手だったりします^^;
by 銀狼 (2014-05-23 20:09)
天城の「いのしし村」に行ったのは秩父市民だった頃だから、
30年位前だなぁ。芸とは言えない芸を強引にやってたなぁ。
僕も秩父でタヌキの死骸は良く見たけど、いのししは無い
なぁ。でも秩父は「いのしし鍋」が名物でした(^▽^)/
by johncomeback (2014-05-24 05:05)
まだ子供の猪っぽい見たいですね。かわいそうに…自然の厳しさですね。
by みぃにゃん (2014-05-24 10:15)
干支がいのししのsuzuran6としては、涙無しでは見られない光景です。
崩壊しつつあるトンネル・・・結構危険ですね。
by suzuran6 (2014-05-24 12:01)
フナムシがショッキングな画像かとおもいきや、
まさかのイノシシ・・・^^;
レンガもかなり見どころのある画像でした。
by ワンモア (2014-05-24 13:14)
言われてみれば、レンガの塊が、どかっと落ちてきた
ような感じですね。やっぱりキケンな場所なのでしょう。
私も昔、奥多摩の山を1人で下山中、クマに遭遇した
コトがあります。とても、コワかった...。
(こちらへ来るコトもなく、藪の中へ消えて行きました)
by sakamono (2014-05-24 15:37)
ゴミに山のトンネルにも驚きましたが
イノシシの死骸にはドキッ!
またさ投身自殺じゃないですよね
by koh925 (2014-05-24 15:51)
いのしし村、いつの間に…(・_・;)
そういえば昔、テレビの投稿ビデオコーナーみたいなので道路にイノシシが走ってて、「しし鍋、しし鍋」って笑いながら撮ってるやつやってたっけ…^^;
by 下総弾正くま (2014-05-24 19:51)
近所なのに知らないコトばっかりだった^^;
by DEBDYLAN (2014-05-24 20:58)
おはようございます。
BP号は孫へのプレゼント・・・オーダーでケース購入しました。
by YUTAじい (2014-05-25 07:25)
イノシシかわいそうですね…
しかし恐ろしいゴミの量だなぁ
by フィルコ (2014-05-30 02:12)