第697話 山梨八ツ沢発電所遺構編☆vol②『今でも現役バリバリの煉瓦たち』猿橋&第一号開渠(かいきょ)など [廃村さーくる(古煉瓦)]
『全部う~そさ!そんなも~んさーーー♪』と懐メロが、
バッグの中で外に出たがり大暴れ。
う・・・あれ?教授さんからの着信みたい^^;
私の肩に寄りかかって寝息をたてている夕実っちを少し肩で押しのけてメールを覗き込んだ。
『いまどこにいるの?アッハッハ』
私は急いで夕実っちを揺り起こし、駅前で手を降る教授さんの下へ向ったーーー
第697話、スタートっす☆
少し早めに現地に到着していた教授さんと合流。
私達はしばらく駅のコンコースの窓から煉瓦のプラットホームの観察をしていた。
すると、今回お世話になる煉瓦研究ネットワーク東京さんのメンバーの女性に声を掛けられたっす^^
『おはようございます^^ みなさん☆』
---待ち合わせ時間定刻。
ぞろぞろとメンバーらしき人たちが駅の階段から降りてきた。
が、
まだ数人いらしてないとのこと。
どうしたのかな?と思っていたら、女性のメンバーさんが
『みなさん、煉瓦のプラットホームに夢中のようですよw』と、ここからホームのほうを指差した。
・・・ああほんとだ。何人か駅のホームから食い入るように下を覗いているっすw
さすが煉瓦に取り付かれた集団っすね☆
---それでは皆さんおそろいの様なのでーーー
数分遅れで集合場所に勢ぞろいしたのは、私達を含めて丁度10名のメンバーさん達。
『え・・・えとえと・・・い、いっぱんさんかの・・・大瀬崎ですう・・・^^; きょ、きょうはよろしくお願いします!』
夕実っちは初参加ということもあって皆さんにご挨拶。
『ううう・・・めちゃめちゃ緊張したですよ^^;』と小声で私に言って来た。
『みんな気さくでいい人ばっかだよ夕実っち。だから安心するっすよ^^』
『は、はいですう^^;』
私も猿島の時は夕実っちのように緊張したなあ~w
あの頃の自分を見るようでなんか懐かしくも思えた。
『ではではまずは先ほどの煉瓦のプラットホーム。通称ゼロ番線ホームを覗きに行ってから、今日の今後の予定を説明いたしますよ^^』
と、今回の企画を練った男性のメンバーさん(以下、呼称をリーダーさんとします)が、皆を先導した。
私達も末席にてついていくことに(教授さんはアッハッハと皆より先に先行してるけどw)
架線作業の敷地内にお邪魔する私達。
『わきゃー!ここ入ってもいいですか?』と夕実っちが恐る恐る聞いてくる。
『煉瓦研究ネットワーク東京さんの力を信じるのだ夕実っちさんw』
『ほえほえ~すごいですう^^』
作業中の皆さんに『おはようございます』『よろしくおねがいします』とお声を掛けつつもゾロゾロとゼロ番線ホームのベストスポットへと向った。
車止めの向こうに煉瓦のゼロ番線ホームが顔を出す。
ここで皆さんはカメラを構えだした。
私達も負けずにパシャパシャするっす(夕実っちはスマフォのカメラ)
今度は向かい側まで皆で移動して、猿橋駅のプラットホームをじっくり観察。
ここで教授さんが『こうやって見ると私達が今利用しているホーム下も煉瓦だったんだね。
よくみると煉瓦のプラットホームの上にコンクリで高さを出しているようだ^^
壊さず再利用。素敵な煉瓦じゃないか。アッハッハ^^』
現役バリバリの古煉瓦ちゃん最高っす^^
廃墟と違って再利用率が高いのもまた、私が廃村サークルを古煉瓦バージョンに移行しようとしたキッカケでもあるっす^^
---私達は元の集合場所へと再び向うことに
そこではリーダーさんから今回の目的の場所の資料を手渡され、今日一日の行程のお話がありました。
なにより今回は猿島編のように地元の教育委員会さんの助けはあまり無いとのこと。
『自力で見つける煉瓦の旅ですので皆さんなにとぞご協力くださいw』とリーダーさんがおっしゃった。
そこに
『ひとつかふたつでも周れれば今日は御の字じゃないかねw』と、歴史資料館の館長さんがツッコミ(以下、呼称を館長さんに)
ドッと笑いが起こる。
夕実っちはそれを見て小首をかしげていた。
夕実っち。一緒に皆さんと行動していればきっとその突っ込みと笑いの意味が分かるはずだよ^^
なんせ子供のように皆夢中で先へ中々進まない人達だからw
今回メンバーさんが用意された車二台にそれぞれ乗り込むことに。
なんせこの八ッ沢発電所遺構群は広範囲に広がりを見せている物件なんすよ。
徒歩などではほんとに一個か二個しか巡れないくらいに^^
途中のコンビニで皆それぞれ必要なものを購入して(昼食をとれる場所があまりないので、お弁当やジュース類などを購入)
最初にやってきたのは『大月市郷土資料館』っす^^
駐車場を間借りさせていただけるとのことでやんす。
資料館さんのご好意があり、無料でしばらく館内巡りっす^^
『ねえねえ琴音っちい^^; ここに煉瓦あるの?』
『うんにゃよくわからないよ私も』
『なんでよw』
なんでかというと、実は私。
今回巡る八ッ沢発電所遺構群を一切下調べしてこなかった。
理由はめんどくさいとかではなく、何も知らない方がより感動できると思ったから。ただそれだけ^^
それはのちのち大成功だと思うのは、今の私はまだ知らない☆
資料館二階の窓から向こうを覗くメンバーさん達が居た。
『何を見ているんですか?』と尋ねると
『ああ~こっちこっち、ほらあれをご覧なさい^^』と窓の近くまで私達を迎え入れ、
『あれが八ッ沢の第一開渠だよ^^』と教えてくれたっす。
『わきゃー♪煉瓦ちゃんが見えるですよお^^』
ああほんとだ。うっすら汚れた窓からかろうじて煉瓦の遺構が顔をのぞかせていた。
私は開渠(かいきょ)って何だろうと思って教授さんに聞こうと振り向いたのだけれど、いつのまにかいない!?
『あ、あそこにリーダーさんと教授さんが近づいてるですう^^』
早いねリーダーさんと教授さんはw
私達も資料館の見学そこそこに外へ出ることにした。
(※ 開渠とは水路や放水路が蓋をされてない状態のものですね^^
それとは逆に暗渠というものもあります。
これは都市部でよく見かけるんじゃないかな。ドブやら側溝にコンクリの蓋がしてあって道になってるところがあるでしょ?
あれが所謂、暗渠というものもです^^)
資料館の裏手に出たところ、そこは小さな畑になっていましたっす。
ちょっと入っていいのかためらったのだけど、もう皆さっさと第一開渠へと向っていたので私達も向うことにw
そしたら普通に第一開渠はコチラって看板出ていたw
ためらう必要もなにもなかったようで・・・^^;
金網越しに見てもスゴイ勢いの水流!
とはいえ私が用があるのはあくまでも煉瓦ちゃんですぜ♪
開渠の先のほうにある煉瓦ちゃん目指して先を急ぐ。
『ううう・・・ちょー狭いですう^^;』
そこまでは矢印でコチラですとは看板が謳っていましたが、
歩く道は別に整備された歩道でもなんでもなかったっすw
溝を左右にヨイショヨイショと跨ぎながら皆さんの後を追った。
『やあ君達遅かったねアッハッハ^^』と、既に教授さんはカメラをバッチリ構えてらっしゃいました(さすがです☆)
第一開渠の煉瓦を指差して館長さんがお話を始めた。
『この第一開渠を筆頭に八ッ沢発電所関連施設は約14㌔ほどにも及ぶ長大な水力発電所施設なんだよ^^
日本では最初期の本格的な水力発電所でもあるし、
日本で最大規模の重要文化財でもあるだなこれが^^』
うはマジッスカ!なんか日本一とか聞いちゃうとスゲーって思っちゃうよ~ん^^
しかもここだけじゃなくってその先も、これまたもっと先も重文の施設が続いて、尚且つそれらには古煉瓦ちゃんが使われているとのこと!
これは・・・ぐへへ。たまりませんね!w
第一開渠を満喫した私達(金網越しなのが少々不満だけど、あの水流に飲まれたら間違いなくヤバイし^^;)
資料館横の猿橋公園に戻り、そこから第一水路橋見学へと向うことになったっす。
公園の芝生を突っ切る煉瓦大好き人間御一行様☆
整備された公園を抜けるとーーー
紫陽花色めくアップダウンのある道へと突入。
歩道と平行して流れる桂川を遠目に見る。
釣りしてる人もいるし、時折渓谷を抜ける風がとても爽やか~ん♪
歩き進めると、いつのまにか桂川がかなりの谷底へと遠のいた。
正直見下ろすのも怖いっす^^;
そして森が開けてきた頃ーーー
名勝『猿橋』が見えてきたっす^^
『わきゃー♪ なんか橋の下に屋根がいっぱい付いてて不思議な橋ですねココ^^』
夕実っちが言うように確かに橋を支えてる橋梁の部分が屋根と言うか屋根瓦?みたいなヘンテコリンやんw
『アッハッハ^^ これがまたこの橋の面白いところなんだよ。木を組み合わせて造ってあるから非常に強固に出来ているんだね^^』と、教授さんが補足してくれた^^
また別のメンバーさんがカメラを構えつつも教えてくれる
『ここは日本三奇橋の1つでもあり“はね橋”という特殊な橋でね~。
日本に現存する木造のはね橋は、この猿橋ただ1つなんだよお姉さん方^^』
『マジっすか』『わきゃー♪なんかスゴイスゴイですうー^^』
私達は改めてこの猿橋をまじまじと見つめる。
昔の人ってやっぱりすごいよなー^^
(※ はね橋とは、橋の端になる岩盤などに木を差し込み、その木をベースに上へ上へと木を組み上げて、対岸とこちら側を結ぶように造った橋のことです^^ ま、簡単にだけど。
こう言う渓谷上の厳しい条件下では、つり橋という手法が多いですが、こっちのほうがやっぱすごいよなあ^^)
せっかくなので猿橋の上を歩いてみる。何度も改修されてはいるけど川底までの高さと木製ってことを考えると結構怖いかも^^;
---ここで館長さんが
『向こうを見なさいな^^』と私達に向こうを促がした。
そこから見えたのはーーー
うは、何あれ? 煉瓦だけど何!?
よくよく見ると橋のようになってるけど・・・どう考えても人が渡るような橋に見えない!^^;
『わきゃー。なんですかアレー^^;』と、夕実っちと一緒になって不思議がっていたら、
リーダーさんがやってきて色々教えてくださいましたっす^^
『あれはね“第一号水路橋”って言って、これもまた八ッ沢発電所のいち施設なんだよ^^
今じゃ鉄のパイプで川の上を水を通すこともあるしなんてことないけれど、当時(明治43~大正3年)としてはビックリな技術だよね^^』
えっと・・・今から100年くらいは前でしょ?
当時の技術力とかは正直わかんないけれど、それでもこの深い渓谷の上に発電の為の水を橋を造って通したんだから、
何回も言うけどやっぱすごいよなあ~^^
改めて猿橋から下を覗きこむ。
・・・よくもまあ、
こんなところに人どころか水を通したものっすよね^^;
猿橋の入り口に、おや?っと思える煉瓦壁の家があったんすけど、
『ねえねえお姉さんたち^^ こっちからもっと第一号水路橋が見えるよ^^』と館長さんが手招きしてくださったのでそちらへ向う。
勿論ここも重文。
ベストビュースポット。
そしてやっぱり教授さんが先に居たw
そこから見えた水路橋は、やっぱり金網越しだったけれど、
今もなお渓谷の上を勢いよく流れる水と、
そして煉瓦のアーチへと吸い込まれていくその様に、
私と夕実っちはしばし見惚れるのでした。
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
八ッ沢発電所遺構群編はもう少し続くんですが、なにぶん歴史やその背景も交えて色々と調べながら書き綴ってるので記事書く時間かかるんすよねw
ここに限った話ではありませんが基本、なるたけその煉瓦や行った先々などのバックボーンを紹介したいってとこがあるので、
廃村さーくるの記事は、更新期間も文章も増長気味になるのはご理解ください^^
ではでは次はvol③と行きたいところですが、
恐らく『鱧しゃぶオフ会+アルファ』の話を一回挟むと思いますw
ではではまた今度☆
手が空き次第、みなさんのとこに訪問しようと思います^^
煉瓦と言い、木造の橋と言いものすごく構造が複雑そうで、当時建設にはかなりの工期が掛かったのではないかと思います。^^;
by ソニックマイヅル (2014-07-15 07:46)
あれだけ複雑な構造の橋を、人力だけで建設した昔の人は凄いです。
by いそいそ (2014-07-15 12:04)
第一号水路橋、いい味ですよね
実は猿橋より好きで・・・でも名前は今初めて知りました^^;
by さる1号 (2014-07-15 12:56)
涼しげな所ですね。
あちら側へどうしても...という思いで、人は橋を架けるのでしょうけれど、これまたたいへんな作業だったでしょうね。木製の猿橋にせよ、煉瓦の架橋にせよ。
by orange (2014-07-15 13:23)
昔の方の創造力と技術ってスゴイですよね^^
猿橋、いつか見に行かなくちゃ(^O^)
by ニッキー (2014-07-15 13:48)
はね橋!初めて見ました。
貴重な写真が一杯で勉強になります♫
by ワンモア (2014-07-15 18:04)
今は普通に水管橋ですからねぇ…(・_・;)
…三弦トラスになってますが、あの三弦橋とはスケールが全然違うし…(・_・;)
by 下総弾正くま (2014-07-15 19:29)
古い水力発電所、好きです。
昔、あちこち、回ったことがありました!
by とし@黒猫 (2014-07-15 20:39)
煉瓦ってたいてい煉瓦色ですが
なぜ あの色なんでしょうか?
by サンダーソニア (2014-07-15 20:45)
それにしても猿橋、どうやって作ったんだろう??
by さといも野郎 (2014-07-15 23:14)
調べれば調べるほど煉瓦の魅力に取りつかれているちょいのりさんが見えますよ(笑)
by 唐津っ子 (2014-07-16 01:06)
猿橋って、すっげ~不思議だけどステキな佇まいですね。
予備知識なかったら見過ごしちゃいそうだけど^^;
by DEBDYLAN (2014-07-16 01:12)
そういえばsuzurann6さん主催の「鱧の会」は今日でしたね。
青春18きっぷの期間で土曜日だったら無理してでも行くのになぁ(*´∇`*)
by johncomeback (2014-07-16 05:59)
はね橋なる走れないですねを紹介して頂いて、ありがとうございます
初めて知りました
先人の知恵なんでしょうね(^。^)
by ken_jp (2014-07-16 07:03)
おはようございます。
素晴らしいお勉強会ですね・・・参加した気分です。
今日は宜しくお願いします。
by YUTAじい (2014-07-16 07:22)
あっはは、ますます深見にはまっていますね、琴音くん(^^)
もう次のミッションに心ワクワクじゃないかな。
いずれにしても調べることと、調べたことに基づいて推理することが、この研究会の醍醐味だね。
しっかり調べたまえ(^_-)/
by 教授3 (2014-07-16 07:45)
これは堪能できそうですね。泊まりプランですべてコンプリートしたくなりますね。、見どころも満載ですね
by みぃにゃん (2014-07-16 09:18)
おはようございます(⌒▽⌒)
今日は宜しくお願い致します♬
うわっ(☆∇☆)
猿橋って面白いのねぇ
今も水が流れる水路橋も感動ものね♬
by まこ (2014-07-16 09:26)
精力的に活動してますねぇ。
この暑い中、熱中症には気を付けて。
そうか、煉瓦といえば疎水もそうでしたっけね?
ぜひぜひ京都に♪
by まめ (2014-07-16 12:29)
すごいと頃へひょいひょいと〜(笑)
フットワーク軽いね!
皆さんすごく熱心!
それに気になる煉瓦ばかり!
良いですね〜♪^^
by hatumi30331 (2014-07-16 14:18)
群馬では雨をついての決死的撮影。そして今回はまた秘境のルポ。詳細な記事と写真には敬服いたします。そしてキャラクターたちのの応酬の楽しいこと。
by sig (2014-07-16 16:11)
猿橋すごい!
なんで屋根瓦がいっぱいあるの!
目が点になりました((´ω`*))
ねね
by 今造ROWINGTEAM (2014-07-16 16:28)
よく中央高速道の渋滞情報で、「猿橋バス停付近で○○キロの渋滞です」と言っていますが、これがその猿橋なんですね!
木の柱が濡れない様に瓦を被せてあるだなんて、まさに奇矯ですね(゜o゜)!
by ちゃめこ (2014-07-16 18:17)
水路橋をみてカリオストロを思い出しました^^;
この変な橋、サルノコシカケがもりもりある
みたいに見えます。
by みずき (2014-07-16 22:52)
猿橋も水路橋も良い雰囲気ですね(*´艸`)
ある意味昔の人の方がセンスが良いのかしら(笑)
今頃は2次会でしょうか~!
by 美美 (2014-07-16 23:16)