第739話 川俣~羽生・煉瓦のカルバート群編☆vol①『二つの顔のカルバート』東武スカイツリーラインの煉瓦の痕跡 [廃村さーくる(古煉瓦)]
『カタタタ・・・カタタタ・・・』
窓がひとつしかない薄暗い廃村さーくるの部室に一人閉じこもって、パソコンとにらめっこしている私。
私こと琴音は、次に行きたい煉瓦建築を検索しては悶々としていた。
別に行きたいとこ行けばいいんじゃね?マジでと思われるでしょうが、
何しろ同好会ですので資金がねーっす
つまりは交通費っすよ交通費。
だって煉瓦建築や廃墟には入場料とかあんま無いしねw
掛るのはほぼ交通費だけなんすよ^^;
行きたい場所と資金を照らし合わせると・・・行ける範囲は学生のわたしっちにはだいぶ範囲が狭まるわけっすよ^^;
お兄ちゃん(金づる)も最近忙しいし・・・
あまつさえ部長の夕実っちと行く『正月旅行』のお金も気にせにゃあかんのですよマジで^^;
だからといって~
私、煉瓦建築いっぱい見たいしね^^
欲望は止まらないのですよ。
ふと、カタタタ・・・とキーボードを打つ手が止まる。いや止めた。
パソコンから出る目に悪そうな光の中に『おや?』っと思える場所を見つけたのです。
『おばけトンネルかあ・・・』
第739話、スタートっす^^
廃村さーくるの新部長に夕実っちが就任したけれど、実はもうひとり身近に新部長になった子がいる。
それは首塚先輩と一緒にさんざん我が廃村さーくるに出入りしていた心霊研究部の副部長、
『リンダ』っす。
彼女もまた首塚先輩の就職活動によるサークルからの引退により、
比例代表制トップの存在なので自動的に部長職になったのだ^^
とはいえ首塚先輩が居ない間(廃村さーくるに入り浸ってる間)は
常に彼女が部を取り仕切っていたので、当たり前の部長昇格ですw
最近は廃村さーくるにもあまり顔を出さずに熱心に自分とこのサークル活動に専念していた彼女だったっすけどーーー
『おばけトンネル! ソレは聞き捨てならないデース!』と、
まるで盗聴器でもこの廃村さーくるの部室に仕掛けてあったのかwと言わんばかりに、ものすごーい勢いでドアを空けて私に駆け寄ってきたっすw
ボーイッシュだった昔と違って金色の髪の毛を伸ばしたアメリカンな女の子^^
風貌はどこか首塚先輩の髪型をリスペクトしていたような気がした(なんだかんだで首塚先輩ラブの女の子だったしね^^)
私は『お!リンダ、今度このおばけトンネルっちゅーのに行こうかなあ~って思ってるんだけど』と言ってみた。すると、
『日本のゴースト興味アリマース^^』と超ノリノリ☆
かくして、珍しくも不思議な組み合わせで『おばけトンネル』へと出向くことになったんす^^
『何を見てるデスカー?』
ある日曜日の正午。私とリンダは草加駅の構内で待ち合わせた。
私が駅に置いてある無料のバイト雑誌を眺めていたところ、彼女に後ろから挨拶代わりに声を掛けられたの。
『あ、リンダおはやう☆ ん~えっとね、実は正月に夕実っちとお兄ちゃんと三人で思い出旅行なんかしちゃおーかなあ~って思っててさあ、
その軍資金稼ぎに私もバイトしなきゃヤベーゼ!と、今バイト雑誌見てるとこー^^』
それに対して、HO~!と一緒に覗き込むリンダ。
『短期・高収入・日払い・週払いをミテルのはナゼですカア?』
『だって12月に入っちゃったし~、日払い週払いとかじゃないと~、
バイト代が振り込まれるの来月になっちゃうだろうし
旅行代、間に合わないじゃんw』
『オウ!そうですネエ^^ コトネせんせーさすがデース☆』とリンダは納得してくれた。
・・・あんまり素直に受け取られると心がめっちゃ痛い^^;
正直、自分でも正月旅行の軍資金稼ぎを開始するのは遅すぎだと思ってたくらいだし・・・^^;
あまりにも計画性の無い自分の痛いところをやんわりと突かれたようで、
彼女のあっけらかんとした純粋な眼差しに目がジャブジャブ泳いでしまった私です^^;
電車がホームに滑り込んできたのを良い機会にパタッと雑誌を閉じた私。
『じゃあ行こうかリンダ!』と彼女に促がしつつ
私はコソコソとリュックの一番底へと無造作にバイト雑誌を突っ込んだ・・・
---電車に揺られること1時間くらい
私達は『群馬県最南端の駅』である、
群馬県・明和町『川俣駅』へと降り立った。
駅前のちょっと物騒な『川俣事件ゆかりの町』という看板を見てリンダはなぜか小躍りする^^;
『過去の事件と心霊。ググッとキマスデース♪』と。
いや・・・そりゃ血みどろ臭い歴史・事柄ほど、心霊とかには結びつきやすいだろうとは私も思うけどお、
あんまりワクテカされても困っちゃうなオイ^^;
ここで一応言っておきますぜ?
私こと琴音は
『心霊とかお化けは信じない派閥』ってことを
お兄ちゃんはどちらかというと『肯定派』だけど、
私は否定派っす^^;
確かな情報を頼りに渡り歩くサイバーネット女子っすからね☆
(※ ちなみに、作者のちょいのりは“心霊とかオカルト”は肯定派です^^
それを科学的に否定して塗りつぶしてくのも結構好きだけれども、
人の考えが及ばない世界が絶対あってもおかしくねーよなあーとも思ってます^^)
デザインマンホールげっと☆
そこから歩き出した私達は少々、妖怪ウォッチについて熱く語ったりしたw
(※ リンダは日本のジャパニメーション大好きです^^)
今回、急(せ)く旅でも無いのでいつものお約束でプシュッと缶チューハイで乾杯☆
リンダも見かけによらずお酒大好きなので、喜んで付き合ってくれた^^
ただ・・・すごく寒いので、いつもよりは飲むペースが遅かったのはご愛嬌。
チビチビ日本酒を飲むように先へ先へと歩いた。
さて、会話の切れ目に空を思わず見上げた私。
雲ひとつ無い超天気☆
その青さにしばらく惚けていたらしい。
『・・・センセー・・・琴音センセー!』
『ん!? あ、ご、ゴメンゴメンリンダ^^;ええっと何?』
『今回ゴーストトンネルに行くって言ってましたデスガー、周りを見ても関東平野のドマンナカデース。
・・・トンネルなんてあるデスカ???』
『うん。あるよ^^ 今回行くのは鉄道のカルバートなんすよ。ほらこのさっきまで私達が乗ってきた東武伊勢崎線(スカイツリーライン)の下ね^^』
そう言って線路の土手を指差すのだが、
私の言葉にリンダは少々首を捻る。
『琴音サーン。カルバートってホワッツ???』
『鉄道を横切る道路とかあるでしょ? そうなると踏み切りや線路の下を通らないと横切れないよね^^
例えばこういう土手になってるところを横切るにはトンネルを作ればいいんだけれど、
道路が先に出来ていて後からその上を路線が走る時は“カルバート工法”って言って、
コンクリなどの箱型をあらかじめ造って、その上に盛り土して線を引くんだって^^
だからパッと見、線路の下を通るトンネルに見えても、正確にはびみょーに違うらしいよ^^』
『ということは、今回赴くのは、ゴーストトンネルではなくゴーストカルバートってことデスカ^^』
『ぶっちゃけかっこよく言ってみただけっすよリンダw ふつーに生活してる人から見れば、どっちもただのトンネルっす☆
そしてこのカルバートが利根川を挟んで幾つかあるのがここいらへんなんすよ^^
その中のひとつが“おばけトンネル”って言われてるらしいんだけど・・・
それは利根川の向こう側。羽生側なんだw』
『ホワッツ? なんでまた利根川挟んで一駅も遠くから目指すデスカ???』
『それはこの後分かるからw っつーことでごめんねリンダ。遠回りになっちゃうけど付き合ってね☆』
『ラジャー(了解)でありますデース^^』
線路と平行する道が途絶えたところで、土手下を歩いてショートカットすることにした。
そして最初の目的地に到着した。
『パッと見こちら側からだとコンクリの鉄道橋でしょ?リンダ^^』
『イエス!コンクリートデース^^』
『でも潜って向こう側へ行くと・・・
こっち側(下り線)は煉瓦の橋台なんすよー^^』
『OH~!ブリック(煉瓦)デスね☆ ・・・でもナゼデスカー???』
『それは次と次を見てからお答えするっすw』
『アア~ンイケズー☆』
イケズ~だなんて、リンダはそんな美しい日本語をどこで覚えたんだろうか^^;
さて再び土手下の道を通ってショートカット☆
ぶっちゃけ東武鉄道の敷地内だろうけれど、トラクターの通った後やら完全に地元の生活の道となってました^^
『OH~!こっちはさっきよりも背が高くなったデース^^』
次に出会ったカルバート。利根川が近づいていることもあって、土手の高さもトンネルの高さも一段と高くなった。
さてやっぱり向こう側はーーー
煉瓦ちゃんのボリュームああああっぷううう♪
ハアハア・・・してしまいますなw
ここで私の様子を見てリンダがおかしく思ったようだ。
『ひょっとして琴音サーン、ブリックフェチ?』
ーーーそう、
実はリンダは私が煉瓦マニアに変貌していたことを知らなかったのだ^^;
リンダの髪が伸びたように、私もこの一年で随分と変わった。
正直自分でもビックリですぜw
とはいえリンダは『西洋のゴーストと煉瓦建築は付き物デース。ワタシモけっこうブリック好きデス☆』と、
ある一定の理解は得られたようです。
まあ彼女の基準はあくまでも心霊が対象なんだけどね^^;
さていよいよ利根川の堤防が目の前のところまで来ちゃったみたい。
土手の高さもだいぶ高くなった。
ではトンネルはーーー?
あれ?
さっきまでのトンネルより低くくね???
『なんか土手の高さと反比例デース^^; 頭ぶつけそうデース^^;』
ほんとに低い・・・
さっきまでは車もすんなり通れたけれど、ここは正直厳しそう^^;
でも一体なんで?
この分だと向こう側の煉瓦ちゃんも期待できないかなあ・・・と、不安がよぎった私です^^;
ちょっとガッカリ気分でとりあえず潜ることにした。
すると、それは杞憂に過ぎなかったと後悔することになったのだ!
全面煉瓦ちゃんじゃんか☆
しかもめっちゃ高けーw
更に何よりも驚いたのは、ねじりまんぽとまでは言わないけれど、煉瓦カルバートの奥行きとその美しさに思わずニヤついてしまったっす^^
『ほんとに驚いた時は声もでないか笑ってしまうってグランマ(おばあちゃん)が言ってたデース^^
ここはギャップもあってビックリデシタネ☆』
正直言えば同じ煉瓦建築巡りでも、洋館や水路橋に比べれば鉄道橋の煉瓦なんてすこぶる地味かもしれない。
でも派手さは無いけれど愛らしい縁の下の力持ちだなあ~と思います^^
とかくここは別物だったかもしれませんがw
すっかり夢中になっていて忘れていた。
『そろそろ答え合わせをシテクダサーイ^^ なんでこのカルバート群は上り線側と下り線側では煉瓦とコンクリという別物なのデスカ?』
『それはこの路線が昔は単線だったからっすよ^^ もともとこの煉瓦がある方が最初の路線だったんす^^
後年、複線化する際に盛り土を拡張したり嵩上げした時、コンクリート造りでカルバート補強したんだろうっすね^^』
明治32年開業の東武伊勢崎線は当時、利根川を越えることは出来なかった。
利根川を越えて延伸できたのは開業から8年後の明治40年だったそうです^^
その利根川を渡る橋が出来るまでに暫定的に造られた終着駅(かっこ仮)が、利根川の向こう側(南側)にあったんですが、
その名前こそ『川俣駅』 埼玉県側から群馬県に引越したのが現在の川俣駅なんです。
どうやらその『元・川俣駅』の近辺に『お化けトンネル』があるらしいのですが・・・
さて、煉瓦のカルバートを満喫した私達(いや私だけかw)
利根川の土手へと登ります。
私達が目指す『お化けトンネル』は対岸なんだけど・・
対岸に渡るにははるか向こうの橋を目指さないと渡れないw
これには流石のポジティブシンキングなリンダも『ワオ・・・マジデスカ^^;』と項垂れた(ほんとゴメンネリンダ^^;)
かつてここには渡船があったそうです。
今では鉄道でひょひょいのひょいではありますが、
昔の人は川ひとつ越えるのも苦労したんだろうなと、改めて思い知らされたような気がします。
ま、こんな時こそお酒です☆
『飲んでれば距離なんて忘れますデース☆』
『だ・よ・ね・♪』
私達はグビグビしながらも陽気な散歩を楽しんだっす^^
次回に続く!
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
次回はいよいよ『お化けトンネル』
あと、旅先での地元グルメといったところでしょうか^^
ここでもアルコール登場ですね(-_-)ニヤリ
昨日某所で、あんなにお酒飲んで途中トイレは大丈夫なのかという話題が…(-_-)ニヤリ
…レディーの手前、秩父の山の中で野〇ソしたことは黙っておきましたよ(-_-)ニヤリ
…ケーキ3個? なんのことやら…(-_-)ニヤリ
by 下総弾正くま (2014-12-14 23:05)
おはようございます。
電車・・・飲めるから良いですね、煉瓦続いてますね。
by YUTAじい (2014-12-15 06:52)
ほー、トンネルのアーチ部分は横黒と矩黒を上手く使って装飾されてますね。
使われている漆喰が、写真から拝見するとそんなに古く見えないのですが、もうこのころから漆喰の質が変わってきてたのかなぁ・・・
by 駅員3 (2014-12-15 07:06)
お化けトンネルたのしみ~!
なかなか移動も楽ではありませんね~。
by みぃにゃん (2014-12-15 07:42)
トンネル、片一方からだけ見てちゃダメなんですねぇ(^.^)
今度から両方向から見るようにします(^^♪
お化けトンネル~、楽しみ\(^o^)/
by ニッキー (2014-12-15 08:49)
これからは不定期更新となりますが、
更新したらご訪問いただけると嬉しいです(笑)
by johncomeback (2014-12-15 08:57)
おはようございます。やはり出先ではチューハイですよね。関東に初めて上京した頃、フロムAの切れ端を十数枚もって新宿に行った頃を思い出しました。^^;
by ソニックマイヅル (2014-12-15 08:58)
ここと駅員3さんの所を見るようになって
煉瓦にちょっと興味が・・・でもよく判んないんですけどね
by くまら (2014-12-15 09:20)
前菜記事ですね⒲
by サンダーソニア (2014-12-15 09:32)
なかなか立派な煉瓦ですね。
何にしてもこの寒空の下、さすがにハイボールは寒いですよ。
熱燗か何かをw
by まめ (2014-12-15 12:26)
観察力が鋭いですね
一体どれぐらい歩くのでしょうか?
by koh925 (2014-12-15 15:17)
煉瓦を求めて...3000里(笑)
いえいえ、見る程に観察眼が鍛えられて..
それにしても寒そうな空ですねぇ。
by orange (2014-12-15 15:40)
いよいよ煉瓦の趣味が板についてきましたね、さすが板長さんですぅー~
昨日東京の万世橋という昔駅があったとかのところがレンガでしたね、BSで見たんですがね。
by 馬爺 (2014-12-15 19:27)
お酒好きなリンダ、紹介してくだされ~
アレッ? ^^;
by DEBDYLAN (2014-12-15 21:52)
お化けトンネルっていうと夏の定番かと
おもっちゃいましたが、お化け煙突的な
お化けだったんですね^^
by みずき (2014-12-15 22:12)
私はオカルト系はあまり得意ではありません(汗) 特に苦手なのが、心霊写真…(怖)
by 唐津っ子 (2014-12-15 22:46)
東武伊勢崎線には去年まで毎月乗車して
いたのですが、こんなスポットが
あったとは・・・途中下車すれば
よかったです。
by NO14Ruggerman (2014-12-16 00:32)
全部レンガのトンネルってすごいですね。
青空にチューハイが似合います!
熱燗でもよさそうですね(笑)
by isoshijimi (2014-12-16 04:02)
歴史のある煉瓦は特に味わい深いですね。d(^_^o
by ナビパ (2014-12-16 06:08)
レンガの建造物の風合いが好きでーす。
by tarou (2014-12-16 07:58)
とある事情があって・・・
近所になるかも☆
獏も今度連れてってね(^m^)♬
by 獏 (2014-12-16 08:33)
こういう所にこういうものがあるって言いうのは
ガイドブックとかがあるんでしょうか?
これも良い出会いですね(^^
by 美美 (2014-12-16 15:55)
お化けトンネル 怖ぇ~~~(;^ω^)
by 黒 (2014-12-16 17:59)
レンガの建物も最近ここで見ているせいか、最近は気になって足を止めてます、でも掘り出し物はまだ出てきまっせん、お化けトンネル子供たちが大喜びです~期待
by ゆうくん (2014-12-16 18:08)
クソ(失礼)忙しい時期に入った様子ですが活動は盛んな様で・・・
今のところ西武新宿線ではまだレンガには遭遇しておりません・・・(新し過ぎるによねぇ)
年が開けて落ち着いたら、飲みましょう!
by suzuran6 (2014-12-16 19:17)
カルバート、初めて知りました
今度使ってみようっと^^
単線時代が煉瓦造りで増設部分はコンクリなんですね
どうせなら増設部も煉瓦にしてほしかったですね
by さる1号 (2014-12-16 20:53)
最近、煉瓦を見ると微妙に反応してしまうviviちゃんです
このトンネルも見事ですね~☆
仙台にも・・ニヤリ^^と笑ってしまう煉瓦の鉄橋・・有るんですよ~
by viviane (2014-12-17 22:02)
いい天気だけど、川べりの散策は寒そうですねー。
酎ハイなんか飲みながらでダイジョブでした^^;?
「カルバート」、1つ勉強になりました。
by sakamono (2014-12-21 09:16)
明けましておめでとうございます。
昨年同様、今年もよろしくお願いいたします。(#^^#)
by RodorigesEX (2015-01-01 13:09)