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第807話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・中通島編①『その男、最後まで仏教徒につき』青砂ヶ浦天主堂・曽根教会・元海寺山門ほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]

『鉄川与助さんてどんな人なんデスカ?^^』

 

 リンダの質問に早速お兄ちゃんが答えようとするのだけれども、

 私が先に彼女に答える。

 お兄ちゃんの方が絶対知っているだろうけれど、

 私が先に答えた。

『この人がいなかったら長崎の教会群が世界文化遺産候補にってあるのかな?ってくらいにスゴイ人っす♪

 そして宗教を越えた職人さんっす^^』

 第807話、私っちこと菅原琴音視点で行きます!

第807話・五島列島・中通島編①琴音・マリア様2.jpg 

鉄川与助 373.jpg

『ふわわ・・・ですう。ううう・・・おはようございますです^^;』

 前の晩の大そうなご馳走に、普段はそこまで酔っ払わない夕実っちまでもがこめかみをグッと押さえつつ私とお兄ちゃんの部屋にやってきた(リンダは割りと平気そう)

 

『おはよう^^;』と実に気だるい挨拶をかわしつつも、みんなゾロゾロと食堂へ移動して朝食を取る事に。

 食堂のテレビに映るは、やっぱり日本列島を絶賛急襲中の台風の動向。

 私達は朝食の味も忘れて気がそぞろ。

 なんせ、

 次の島への船が出るのか出ないのか?と言う状況下でしたからーーー

 

 朝食を取り終えてすぐ、身支度を整えて宿屋の前で合流。

 宿泊兼レンタカーの事務所に部屋の鍵を返しにいきました。

 そこにはオジサマがいらっしゃった。

『次はどこに行くんだい? 長崎市街に帰るのかい?』

 

 代表してお兄ちゃんがオジサマに返答する。

『この後は中通島へ渡ろうかと思ってるんですが・・・、船が出るのか心配でして^^;』と。

 

 するとオジサマ

『ああ上五島に行くんか。今日はなんとか船は出そうだぞ^^ 安心しな。

 とは言えどうだった?福江は。

 いいとこだろ^^ また福江に寄ることがあったら来てくれよな^^』と、少々コワモテだけれどもニッコリと笑顔で言ってくれたっす。

『『『『勿論今度福江に来るときはお世話になります☆』』』』と、

 皆でいつかの約束を。

 私達は『ありがとうございました☆』と告げて観光レンタカーさんを後にしたーーー。

 

 

鉄川与助 374.jpg

『こんなに天気がいいのに風がスゴイデース^^;』

 リンダが目を細めて空を仰ぐのも無理は無いっす。

 だって風が強くて目がしょぼしょぼするくらいだもん^^;

 

鉄川与助 375.jpg

鉄川与助 376.jpg

 宿から5分くらいのターミナルに到着。

 船のチケットを実際に手に取ったことで誰彼ともなく『はあ・・・♪』と安堵の溜息が零れたっす^^;

 

 ---さて、

 福江島の次に私達が向おうとしてるところは『中通島』と言う離島。

五島列島・地図.jpg

 五島列島の中では二番目に大きい島っす^^

 この島をお兄ちゃんと協議して選んだ理由は、

 リンダの目的である『ルルド(聖水が汲める泉)』がここにもある事と、

 長崎の教会群と言ったら鉄川さんの故郷っすよね!と言う私の懇願によるものだったんす。

 

 行ってみたい!

 そして見てみたい。

 煉瓦から繋がる教会群とその歴史。

 そしてそれを作り上げた鉄川与助さんって人がどんな人物だったのかを確かめたくて^^

 

 ーーー出航まで余暇が多少あることに気づいた私達は、

 ターミナル内をしばし探索することにしましたっす^^

 

鉄川与助 378.jpg

鉄川与助 379.jpg

 ターミナル二階へと上がると福江の子供達の作品とかがありました。

 その中でも一番目に止まったのはやっぱこれかな^^

 

 布生地などで描かれた堂崎天主堂☆

 

 布生地が煉瓦ひとつひとつのように縫い付けてあるとても素敵なアートでしたっすよ^^

 

鉄川与助 380.jpg

 ご当地アニメである『ばらかもん』のポスターなんかもありましたぞ^^

 

鉄川与助 381.jpg

 さあ!いよいよジェット船が到着っす^^

 もうここまで来れば次の島へと絶対行ける!

 みんな意気揚々と乗り込みました☆

 

鉄川与助 382.jpg

『意地でも琴音サンはアルコール風味を堪能したいのデスネ^^;』

 席に着くなりノンアルビヤーを各人にドンドン!と配る私にリンダが言う。

『旅っちゅーのは雰囲気に酔わないといけないっすよリンダw

 これはそのスパイスっすよスパイス(味付け)w

 ま、この後わたし達はレンタルバイクに乗るからね。雰囲気だけでも旅に酔おうよ^^』

『ワルクナイデスw そのハート☆』

 プシュ!っと船室に響く私達がプルタブを開く音。

 いつの間にか高速船は唸りを上げて海上をグングンと進んでいたーーー

 

 ーーー福江から約50分

鉄川与助 383.jpg

 中通島の奈良尾港に到着っす^^

 

鉄川与助 384.jpg

 ここからは私達がお世話になったジェット船の『九州商船』さんの無料シャトルバスにお世話になることに^^

 

 ここでふと夕実っちが疑問をお兄ちゃんにぶつける

『えとえと・・・私達はシャトルバスでどこに行くですか? なんでまたシャトルバスに???』

『う~ん・・・簡潔に言うとボク達はここから有川港へと行くんだよ夕実ちゃん^^

 この奈良尾港にはレンタカーはあるけれど、レンタルバイクを扱ってる店は無いんだ。

 そしてボク達が今日、行こうとしている場所は有川港を基点にしたほうが楽なんだよ~^^

 本当はこの中通島を全部巡りたいけれど、ボク達にはそれ程時間的余裕も無いんだ~^^;』

 

 お兄ちゃんが言うように今回は時間が無い。

 五島列島を3泊4日で網羅するなんてとてもじゃないけれど無理なのですぜ^^;

 しかも猶予は今日と言うたったの一日。

 いや。

 ここから有川港に行くと正午手前。

 実質、4~5時間しか猶予が無いのです^^;

中通島2.jpg

 五島列島で二番目の大きさとは言え、

 面積だけなら日本の離島ランキング19位の大きさ。

 しかも教会群はこの島のいたるところに点在してるっす。

 

 そして続けてお兄ちゃんが言い出す。

『えっとね夕実ちゃん^^ この中通島にはなんと

 29もの教会が存在してるんだ。

 いくつかピックアップして巡らないと日程的に厳しいんだよね・・・^^;』

『『29ゥッ!?』』 

 その数の多さにリンダまでもが驚いた。

 そう、この島(正確に言うと上五島町)には、福江島以上に教会が多い。

 みんなの驚きがほとぼりが冷めたのを確認し、お兄ちゃんが続けた。

『今から向う有川地区を基点に周れば、比較的メジャーどこの教会が幾つか巡れるんだ^^

 この島の中心的地区でもあるし宿も多く存在するしね^^

 見学をする教会を絞るにあたってーーー

 今回は鉄川さんと言う教会建築の父が建設や施工に携わったものを主に見学しようと思っている。

 それでもざっと8教会。

 そこに付け加えてどうしても行っておきたい+1の教会があるんだ^^

 そこは長崎本土に戻った時にきっと意味を成す場所でもあるからね^^』

 

 鉄川与助さんを知る旅。

 それが今回のリンダの目的に便乗した私の裏のコンセプトでもあった。

 でもお兄ちゃん的には、更にその裏のテーマがあるらしい。

 実は私も聞いていない。

『ねえねえ何よ~、お兄ちゃ~ん』って聞いてみたかったけれど、いつものようにお兄ちゃんの企みに乗っかることにした^^

 知らないほうがきっと楽しい。

 知らなかったほうがきっと感動する。

 なんかそんな気がして、私は聞くことをやめた。

 

鉄川与助 385.jpg

 シャトルバスに揺られる私達。

 残念ながら泣く泣くパスすることになる教会たちを車窓に見つけては、

『あれって何て名前の教会なんだろう?』と、パンフレットの地図をなぞって応え合わせなんかをした^^

 

鉄川与助 386.jpg

鉄川与助 387.jpg

 バスに揺られること50分くらいでしょうか?

 

鉄川与助 388.jpg

 私達は中通島の有川地区にやってきたっす^^

 デザインマンホールも可愛らしい(*´д`*)

 

鉄川与助 389.jpg

 さてと、今回の。つまりレンタルバイクを求めて私達は歩き出す。

『川竹マリンサイクル』さん。

 数少ないこの島のレンタルバイク屋さんっす^^

 

『こんにちは~^^』とドアを開けて中に入ると、

 自転車関連の商品もあるけれど、CDやらカセットやらの音楽系商品も陳列している不思議な店構え^^;

 隣のカラオケボックスももしかしたらばこのお店の系列なのかな?

 そこからガンガンと壁を隔てて音楽が鳴り響く店内。

 出迎えてくれたのはお母さん。

 

鉄川与助 390.jpg

 お母さんに色々と注意事項をお願いされてから(---と言うか、何かあったら自己責任だからねwと、おおまかに説明されただけだけどねw)

 いよいよこの中通島のツーリング開始です☆

 今回もお兄ちゃんを先頭にしてーーー

 レッツ!教会群☆

 

 ---さて今回、

 さっそく目指したのは

『煉瓦・鉄川与助・重文(重要文化財)』のキーワードが全て重なる教会のある場所へと向うことにしたんす^^

有川地区から新魚目地区辺りへ.jpg

鉄川与助 391.jpg

『この中通島の北端の津和崎を目指す過程に煉瓦教会がいくつか集中しているから、まずはそこを目指そうぜ^^

 その中に特に見学したい教会があるからさ^^』

 お兄ちゃんの号令に連なって発進する私達。

 有川から一路、津和崎方面へと向うことになったっす^^

 

 ーーー走り出して十数分といったとこかな?

 お兄ちゃんが減速して左手の親指を左側に指差すジェスチャー。

 どうやら気になるところがあるみたい。

 と言うことでお兄ちゃん先頭に路地へと入る事にした。

 

鉄川与助 392.jpg

 やってきたのは『丸尾教会』と言う教会。

 開口一番、お兄ちゃんが教会を見上げつつ説明に入った。

 

『この丸尾教会がある地区こそ鉄川さんの生まれた場所でもあるんだ^^

 この丸尾教会は元々は別の場所にあったんだけれども(その当時は集会場みたいな建物)

 昭和3年(1928年)にこの場所に建てられたそうだよ^^

 その頃は煉瓦建築だったとも言われているんだけれど、

 昭和47年(1972年)に改築。今は鉄筋コンクリートかな^^

 そしてここが

 鉄川さんが携った最後の教会ってことになる』

 ここが鉄川さん晩年に携った最後の教会なんすね。

 私は歩き出してじっくりと見る事にしたんだ。

 

鉄川与助 393.jpg

鉄川与助 394.jpg

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 実に素朴でシンプルな白亜の教会。

 明治期から煉瓦や木造で作り続けてきた教会が50を越えるとも言われている鉄川さんだけれども、

 戦後には10を数えるくらいになったそうっす。

 晩年の作と言っていいのか分からないけれど、私達は一通り見終わったときに手を合わせた。

 

 さてここで、とうとうポツポツと来てしまった。

『わきゃー・・・雨ですう^^;』

鉄川与助 396.jpg

鉄川与助 397.jpg

 私達は丸尾教会でレインコートを羽織ると再び走り出すのだった。

 走りながら見える海は白波を立てて大荒れ。

 雨はそこまでじゃないけれど、とにかく

 風が半端無い^^;

 おっかなびっくりレンタルバイクを走らせることになったのです。

 

 ーーーそこから15分くらいでしょうか

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 お兄ちゃんが再びペースダウンして右にウインカーを点滅させる。

 私達はそれに習って進路をとった。

 

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 海岸線沿いの道を進むと、向うの山肌にいかにも煉瓦っぽい教会ちゃんが(*´д`*)

 オラー、ワクワクしてきたっすマジで☆

 途中からお兄ちゃんを抜かして私がその教会の駐車場に一番乗りしたのは言うまでも無い。

 

 

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『オオ!とても立派な教会デース^^』

『わきゃー☆ 赤くてドーン!ですう^^』

 メットを脱ぐなりその佇まいに圧倒される私達(赤くてドーンは無いだろ夕実っちぃ・・・^^;)

 

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 コホン!と一息入れてから御馴染みのお兄ちゃん解説がハジマタw

『えっとここは青砂ヶ浦天主堂って言います^^

 長崎の教会群文化遺産登録リストに一旦は選ばれたけれど、見直しで外された経緯もあるのだが、

 国指定の重文でもある^^

 明治43年(1910年)竣工の古い煉瓦教会。

 昭和59年に大改修が行われたけれども、日本人が手がけた煉瓦教会では最古参の部類の貴重な教会だ^^

 当然この教会も鉄川さんの作品。

 彼の携わった教会としては3番目。煉瓦教会としては2番目の作品かな^^

(煉瓦教会の1番目は五島列島野崎島の旧野首教会)』

 

 さて、お兄ちゃんの解説が終ったらここからは別行動。

 リンダと夕実っちは礼拝へ。

 私とお兄ちゃんは・・・やっぱり例のアレですw

 

鉄川与助 403.jpg

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 昭和に改修されたとは言え古式ゆかしい素敵な縦窓とステンドグラス!

 電気メーターはご愛嬌ですw

 

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 床部分かな? 通気口も見ちゃったり~

 

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 煉瓦のくぼみに小さな蜘蛛が寝ていたりもしたっす^^

 

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 煉瓦積みは『イギリス積み』

 明治中期から主体となった積み方っすね^^

 

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 外壁は新し目な感じもしましたが古い部分もありましたっす^^

 

 

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 軒下周りから上の部分も当然チェック!

 

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 花崗岩かな? 煉瓦積みの途中途中に石が組み上げられていて素敵なアクセント^^

 

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 クリスの紋章も素敵(*´д`*)

 

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 ん?あの『M』って掘り込まれてるのは何の意味合いなんだろう?

 マリア様の『M』なのかな?

 

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 恐らくリンダや夕実っちはこのステンドグラスの向こう側に居るんでしょうね。

 綺麗なんだろうなあ~^^

 

 ---さてと、

 一通りぐるっと周ってみた私は、いよいよ例のアレ探しに没頭することにしたっすw

 いざ、レッツ煉瓦の刻印探しい~(*´д`*)

 

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鉄川与助 415.jpg

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 刻印がありそうな部位をとことん探す私^^

 

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 でもどうも軒下煉瓦ちゃんにはそれらしいものは全然みつかんねー^^;

 

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 たまに焼き色の違う煉瓦を施して十字をイメージさせる煉瓦壁に出会った。

 どうやらこの部分だけ『フランス積み』っぽいなあ。

(※ 教授さんからのご指摘があり、角の煉瓦に七五分の煉瓦を使用しているので『オランダ積み』だそうです(*´д`*))

 

  

 私が『ここも刻印無いかあ・・・』と嘆いていると、

『おい琴音。教会の入り口の床も煉瓦っぽいぞ?』と、お兄ちゃんが声を掛けてきた。

 ならばとそこに走っていく私w

 

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 ワオッ☆(*´д`*)

 リンダじゃないけど思わずワオ♪って口をついてしまったっすw

 

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 青砂ヶ浦天主堂の入り口部分の床面は、これまた焼き色の違う煉瓦たちで施されたアートな床でした^^

 しかも刻印のありそうな平面剥き出しです☆

 さっそく探して見る事にした!

 

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『琴音サン^^ ブリック(煉瓦)の刻印見つかりましたデスカ?』

 再び合流したリンダに聞かれたんだけれども・・・

『ううん・・・それっぽいの全然無かったっす^^;』とガッカリした感じで答えたっすよマジで。

 

 これだけ教会があるのだから、いつかきっと煉瓦刻印が見つけられる!って思っていたけれど、

 ココまで来ると、教会に使われた煉瓦に刻印なんて無いんじゃないかと思うようになってきた。

 

 お兄ちゃんは

『五島列島の教会群は、立地的に塩害や台風被害によくあう関係で後年に改修を幾度と無くしてたりするから、

 煉瓦刻印にめぐり合うってのも結構至難の業なんじゃないかとも思うんだ^^;』とフォローするんだけど・・・(フォローになってない^^;)

 しかも輸入煉瓦や地元での野焼きの煉瓦なんかも使われていたらしいので厳しいかもとも言ってた。

 

 あんまり詳しくは無いけれど、

 明治期の輸入赤レンガの刻印ってのは聞いた事無いしい・・・(要するに外国の赤レンガに刻印があったのか?ってこと。但し、輸入耐火煉瓦だと刻印が多く存在する)

 はたまた現地で野焼きされた煉瓦に刻印を打つってのもあんまり無い例だったりもする(勿論、例外もあります)

 ・・・結局お目当てのものは何も無かったわけで・・・^^;

 この先少々不安になりつつも、この青砂ヶ浦天主堂を後にすることにした。

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 この後はお兄ちゃんを先頭に、中通島の北側に突き出る津和崎方面を目指すのだけれども・・・

 風が強くて車体が煽られまくり。

 前から後から突風!

 特にトンネルを抜けた後には横風にバイクごと崖下にもっていかれそうな恐怖感を味わう・・・

 さすがにお兄ちゃんもみんなのことを考えてか、減速して道路端で緊急会議を開いた。

『ちょっと・・・この風じゃこの先までみんなと先を行くのは正直不安だね^^;

 ガスってもきたし、このまま進むのは頭の良い選択じゃないと思うんだ^^;

 だからこのご近所の教会を見たら(目の前の)

 引き返そう^^』

 正直お兄ちゃんの引き返そう宣言を皆は待ち望んでいたのかもしれない。

 私と夕実っちとリンダは即答で

『もう帰りたいです☆』と返した。

 

 だってえ・・・風強くて全然前進まないんだもんよw

 ・・・ぶっちゃけとんでもない暴風だったんすよマジで^^;

 

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 なんとかちょっぴり進んだ先に見えた教会にお邪魔することになった私達。

 

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 そこは『曽根教会』と言う教会だったんす。

 パッと見、ミッション系の幼稚園ぽい可愛らしい建物(教会)にしか見えなかったけれど違った。

 

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 いつものようにお兄ちゃんが説明版を指し示しながらも私達に優しく簡潔にこの曽根教会は何なのか?を説明してくれたんす。

 

『ここは、教会建築の父とも呼ばれている鉄川与助が初めて教会建築に関わった教会(大工として)なんだよ^^

 言わば鉄川さんが教会などの西洋建築に関わった原点なのかもね^^』

 

 お兄ちゃんが続けて言うには

 創建は明治14年(1881年)

 二代目として造られた曽根教会に彼は初めて教会に携わったそうっす(明治32年)

 今、私達の目の前の建物は昭和41年(1966年)に造られたものなんだけれど、

 もう引き返そうと思っていた私達には嬉しい出会いだったとも思えます。

 鉄川与助と言う人物に関わりのある『原点』に、ギリギリ寄ることが出来たんだからーーー

 

鉄川与助 435.jpg

 

 さてここでルート選択を迫られることになる。

 

 お兄ちゃんが特に私に顔を向けて言ってきたのだ。

『正直もうあまり時間も無い。鉄川さん絡みで教会を巡るならば、

 行っておきたい教会は3つ

 1つは宿屋のある有川に近いから行けるけれど、

 残り2つは中通島の西のはずれと東のはずれなんだよ^^;』

 なるほど・・・要するに西か東のどちらかを選ばないといけないってことっすね^^;

 

『因みに東は、石造りの非常に珍しい世界文化遺産候補構成資産の頭ヶ島天主堂。

 西ならば、鉄川さん父も携わった煉瓦の大曽教会だ^^』

『じゃあ煉瓦の大曽教会!(即答☆)』

 Σ(ll゚д゚(ll゚д゚ll)゚д゚ll)えええ!?

 ですよねーw

 普通なら文化遺産候補構成資産へ行くのが当然だと思うし皆が驚くのは分かるんだけど、

 私はやっぱり煉瓦を見たかったのである^^

『ほんとにいいのか?琴音。ちなみに頭ヶ島天主堂には信者の刻印も存在するんだけどなあ(石にですが)』

 ううう・・・刻印かあ・・・

 お兄ちゃんがそれでいいのか?と揺さぶりを掛けて来た^^;

『でも私はやっぱり煉瓦がいいのです』と懇願して、結局押し切ったーーー

 

 

『わきゃ!?あそこに煉瓦があるですよおおおおおおおお!』

 来た道を引き返している最中に、

 後ろの方から大きな声で夕実っちが声を張った。

 皆、減速してその指差す方向を見上げると、

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 ぬお!? 煉瓦の山門??

 これにはびっくりして思わず駐車場にレンタルバイクを止めて見に行くことにしたんす。

(行きで気づかなかったなんて・・・私としては不覚^^;)

 

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 近づくとそれは正に煉瓦造りの山門でしたっす。

 名前はえっと・・・『元海寺』

 せっかくだしじっくりと見て周ることにした。

 

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 壁面はイギリス積み。

 ところどころ少し煉瓦の成型がいびつかな。

 

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 山門の中から見上げると、屋根と上段の煉瓦部位は比較的新しいものでした。

 とは言えお寺さんに煉瓦の山門って非常に珍しい気がするっす^^

 

 片隅にリンダが説明版を見つけた。

『ここにこのお寺の説明がアリマース^^』

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『え?やっぱりここも鉄川さん絡み!? お、お兄ちゃん知ってた?』

『いや、知らなんだw ツアーガイド失格だなオレw 手元のパンフレットにも載ってないしなあ~』

 とは言え嬉しい誤算でもありました^^

 

鉄川与助 442.jpg

『元海寺・山門』

 ここの信徒であり与助さんの父親でもある与四郎さんが建築した山門を

 大正13年に息子の鉄川与助さんが修復したのがこの煉瓦造りの山門だそう^^

 説明版には鉄川興助と書いてありますが間違いなく鉄川与助さんのことだろうと思います^^

 

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 屋根には立派な意匠の鬼瓦。

 なんでも与助さんのお墓もここにあるらしい。

 ここで夕実っちが少し申しわけ無さそうにお兄ちゃんに質問をする。

『あのです・・・先輩。鉄川与助さんのお墓がここにあるってことは・・・仏教徒ってことですよね。

 仏教徒の方が長崎の教会群の建築にずっと携わってたんですね』

『いい質問だね夕実ちゃん^^

 そう、彼は最後まで仏教徒を貫いているんだよ^^

 当然、キリシタンの方達には当初はやっかみを受けることもあったと思う。異教だしね。

 でもそれが何時しか、教会建築は鉄川さんでなければ!となるわけなんだけれど、

 それは彼の信条、信じることは一緒と言うことと、

 涙ぐましい努力によって得られた建築技術の粋、

 そして彼の人柄によるものと言われているんだ^^』

 

 西洋建築に惚れこみ、色々な神父さんや棟梁の元で修行し、

 独学で建築学も一生懸命勉強した。

 他にもたくさんのエピソードがあるんだけれどここでは私もお兄ちゃんも明かさない。

 でもそんな人だったからこそ宗教を越えて皆に信頼された建築家になったんだと思います^^

 

 さて、ココ以外も少し巡ってみる。

鉄川与助 445.jpg

鉄川与助 446.jpg

 鐘つき堂の周りの植え込みにも古煉瓦らしきものがありましたっす。

 もしかしたら・・・刻印あったのかもしれないけれど、

 罰当たりなのでやめておきましたヨンw

 だって神様仏様鉄川様がきっと見ているだろうしね☆

 

 ---ここまで読んで下さりありがとうございました^^

 次回は、ある意味一番寄りたかった教会の物語です。

 

 


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コメント 23

ニッキー

煉瓦の山門ってスゴイ(@_@)
じっくり見て廻るにはこの島だけでも3日くらい欲しいですねぇ^^;
by ニッキー (2015-10-13 15:24) 

orange

船が出てよかったですね〜
レンガ研究家としてはもっと滞在したいところでしょうけれど...
一週間でも足りないかも。
ちょいさん地元の方向で救急車がイノシシの攻撃に遭遇ってニュースになってました。
秋ですね〜
by orange (2015-10-13 15:31) 

38kicks

なんかここまで来ると学術的ですね(笑)
by 38kicks (2015-10-13 18:43) 

獏

スバラシイ探究心(@w@;)))
嗚呼 島へ一人旅したい(涙)
獏の場合は話題がこんなに充実しないけど(汗)

by 獏 (2015-10-13 18:57) 

sakamono

確かにレンガの山門というのは見たコトないですねー。
短い滞在時間を有効に使うべく、下調べをして行程を
考え、暴風の酷さに臨機応変にも対応...素晴らしい^^!
by sakamono (2015-10-13 23:38) 

YUTAじい

おはようございます。
私も・・・教授の色に染まり始めたとか云われてます。
教会群・・・見事です。
by YUTAじい (2015-10-14 06:36) 

さる1号

見応えたっぷりで時間が足りませんね
それにしても煉瓦の山門のお寺とは珍しいですね
いっそ煉瓦造りの本堂にしてほしかったな^^
でも・・・何故山門だけ煉瓦なんだろう
教会建築で余った煉瓦の流用なのかなぁ
by さる1号 (2015-10-14 06:41) 

ソニックマイヅル

おはようございます。レンタルバイクと言うのも小回りが利いていいですね!五島列島は聞いたことはありますが、改めて知る事ができました。有難うございます。^^;
by ソニックマイヅル (2015-10-14 07:18) 

みぃにゃん

いろんな教会がひとつの島に沢山あるのですね。
全部みてみたい気持ちにかられますねぇ
by みぃにゃん (2015-10-14 07:32) 

johncomeback

拙ブログへのコメントありがとうございます。
流石は料理人、コンニャクの天麩羅には下味がついていました。
多分、薄口の醤油で煮たと思われる味でした。

鉄川与助さんが仏教徒だったとは意表を突かれました。
日本以外では異教徒が教会建てるなんて事は無いでしょうね。



by johncomeback (2015-10-14 08:51) 

馬爺

仏教徒が教会建設を手掛けるなんて事は日本位でしょうね。
可なり煉瓦楽しめたようですね。
by 馬爺 (2015-10-14 10:55) 

まめ

煉瓦尽くしでしたねぇ。
あまり教会には興味がなかったのですが(汗)
日本だからこそこれだけ多様な宗教施設が大切に
保存されてるんでしょうね。
by まめ (2015-10-14 12:31) 

美美

見事な教会ですね。
煉瓦も素晴らしいですが
ステンドグラスにも目が行ってしまいました。
ワン子連れだとなかなかこういう旅は出来ないので
見応えがあります(∩.∩)
by 美美 (2015-10-14 13:24) 

駅員3

角に七五分の煉瓦使ってるのはオランダ積みo(^_-)O
バスが無料とは、嬉しいじゃないですか(*^^*)
それにしても煉瓦の教会建築は美しいヾ(@⌒ー⌒@)ノ
by 駅員3 (2015-10-14 14:00) 

koh925

レンガ造りの山門、珍しいですね
人も歩けば棒に当たる・・どころか大発見ですよ
by koh925 (2015-10-14 20:04) 

Aちゃん

煉瓦の教会 見たのは今日かい?(^^;違う
by Aちゃん (2015-10-15 11:00) 

みずき

煉瓦のお寺さんに驚きました。
こんな建物があったんだと・・・
どっちも宗教施設なのに、不思議です^^;
by みずき (2015-10-15 23:03) 

ワンモア

お寺の煉瓦建築って斬新!
それにしてもマリア像の彩色がステキ^^

by ワンモア (2015-10-16 09:27) 

isoshijimi

すごいたくさんの教会、素敵だな~
と思っていたら、煉瓦のお寺まで!
これは見てみたいですね。

暴風の中お疲れ様でした。
by isoshijimi (2015-10-16 12:12) 

島酔潜人

中通島、若松島、大きい島でてアップダウンがあって、けっこう移動に時間がかったでしょ。

『旧桐教会の司祭館』教えてあげたかった。
http://simayoibito.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
by 島酔潜人 (2015-10-16 19:24) 

DEBDYLAN

やっぱ煉瓦が気になっちゃうんだね。
てか、ソッチがホントの目的か^^w

by DEBDYLAN (2015-10-16 23:04) 

唐津っ子

鉄川さんなんて名前、初めて聞きました!
仏教徒なのに教会…って不思議な感じですが、
神や仏を信じる心は一緒ですからね(嬉)
しかしMの紋章が気になります…
by 唐津っ子 (2015-10-17 19:20) 

YUTAじい

おはようございます。
間もなく出発します・・・。
by YUTAじい (2015-10-18 03:48) 

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