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第849話 北東北煉瓦奇譚・軽米町編Vol②『戦後に焼かれた煉瓦の街と復興のシンボルと』旧日山商店煉瓦酒蔵跡・旧大黒醤油工場ボイラー室跡ほか [廃村さーくる2(煉瓦遺構編)]

『ほら、そこの道路のとこまで洪水が迫ってきたんですよ』

 オジサマは軽米中心部を流れる雪谷川のほど近くの県道の段差を指さした。

 

 ここに来るまでは正直、

『こんな山奥に煉瓦ちゃん!(*´д‘*) 刻印とか見つけられたらいいなあ~☆』

 って言うくらいの軽い気持ちで訪れたんだけど、

 知れば知るほど、聞かされれば聞かされるほど、

 そんな浅はかで軽~い気持ちは大変失礼だったと後悔させられることになるーーー

 

 第849話。私っちこと菅原琴音視点で、岩手県軽米町の煉瓦を紐解きたいと思うっす^^

(※ 一週間分の記事なので凄く長いです。ご注意ください)

第849話・北東北煉瓦奇譚・軽米町2・琴音ブログ用.jpg 

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 なんだかんだでスタートから9~10キロかな?

 やっとこさ軽米中心部の手前まで到達っす^^

『もう歩くのやだわー^^;』とゼーハーする首塚先輩。

 でも我らが廃村サークル現部長の夕実っちと元部長のお兄ちゃんは『いい運動だったね^^』とケロリ☆

 フィールドワークこなしてなんぼのサークルだしねw

 

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 恐らく煉瓦物件が幾つか残存するだろうと言う中心街へ突入しかけた頃、

 県道の向こうに小さな子供たちの道路の横断を手解きするオジサマがいるのが遠くに見えた。

 保護者とか先生かなあ?なんて皆で言い合いながらもそこへと近づく私たち。

 そしてオジサマの脇を通り抜ける時にお互い『こんにちわ~^^』と軽い会釈を交わし、私たちはそのまま先へと進んだんす。

 そしてしばらく進んだ私たちの元に、

 先ほどのオジサマが自転車で追いかけてきて私らの前にやってきたのです。

『カメラをもって観光ですか^^』と。

 

 お兄ちゃんがすかさず『はい!そうなんですよ~^^ この軽米町には煉瓦の建物が存在するって聞きまして、妹が煉瓦好きなのでここまできちゃいましたw』と私をダシに受け答え^^;

 

 でもそこから色々と教えていただきましたっす^^

『煉瓦好き?へえ~^^ ならばアソコとアソコがいいかな。あっちの煉瓦は今は空き家かな^^

 煉瓦以外にも見てくれたらいいな。すぐそこの徳楽寺の木彫りの萩薬師如来坐像なんかも東北ではーーー』って感じで、

 なんかめっちゃ凄いんだ!

 思わず皆で『えっと・・・学校の先生とかでしょうか?』と聞くと、

『いいえ。私はただの地元の人ですってば^^ あ、私の家すぐそこですから。ではでは皆さん軽米の町楽しんでいってくださいね^^』と、ご自宅に帰られた。

『『『『ありがとうございました^^』』』』と見送る私たち。

 

『先生とか郷土史家でもないのにあんなにお詳しいなんて素敵よね^^』と首塚先輩がぼそり。

 それには心底だれもが頷いた。

 だって自分の住んでる町のこと、詳しく歴史から何から何まで説明できますか?

 私は幾らか調べた人間ではあるけれど、あそこまで詳しく出会った旅人に説明できる自信なんて全然ないっすよ^^;

 郷土愛だけではなく、オジサマの『せっかくきたなら知ってもらいたい』ってハートにも皆、心を打たれてしまったっす^^

 

(※ 過去にも旅をしていてそういう出会いがありました^^ 新潟県粟島編でも村上市のバスの運転手さんがそうだったなあ。

 彼は元々地元の人ではなかったけれど、必死に地元の勉強をして地元に溶け込んだ凄い人でした^^)

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 徳楽寺は残念ながら端折りますが・・・(なんでやー。記事の都合や~w)

 素敵な意匠のお寺さんでしたよ^^

(あと数日違えば萩薬師如来坐像も見れたそうです^^;)

 

 ーーーさて、いよいよ軽米中心部の煉瓦建築物とご対面かな?って頃合いに、

 首塚・お兄ちゃん・夕実っちからの怒涛の質問攻めにあう。

『ねえねえ琴音ちゃん? そもそもなんでこんな岩手の内陸に煉瓦がいっぱいあるのかしら?』(首塚)

『なあ琴音。この町の煉瓦がどこで造られたのかも気になるんだが^^;』(お兄ちゃん)

『お腹へったですう(*'ω'*)』(夕実っち)

『あーもー!うっさいうっさいw 一辺に言うなあーw

 わかったよおう^^;

 ざっとだけれど説明するから、もー^^;』と、私は皆に歩きながら説明することになったっす。

 

『じゃあ~まずは首塚先輩の質問からっすね^^

 軽米になぜ煉瓦建築物が多いか?

 ーーーそれは諸説あるんすが、

 戦後間もなく岩手県にも進駐軍がやってくるんす。

 盛岡・久慈・一戸・宮古・釜石・花巻・水沢と岩手県の主要ポイントを抑えるようにやってきたんす。

 野放しでは再び脅威となるだろう日本軍各個の軍事解体、戦後の混乱を治める治安部隊(お巡りさん役)として、

 若い米兵を中心としてやってきた訳っす^^

 

 で、彼らが長期に駐屯するには家が必要っすよね?

 勿論、接収した日本の建築物を改修して住居とすることも多かった訳なんすが(そういうとこに住むのはだいたい米軍の高級将校さんとか)

 そこで、久慈にも一戸にもほど近いこの軽米町。

 ここには煉瓦に適した土壌があったんす。

 それならばと利用して煉瓦を焼き、進駐軍が住むための家を建てる煉瓦を焼いたのが・・・始まりなんじゃないか?ってのが一応有力説っす^^

 ・・・ならば、進駐軍が住むために煉瓦で造られた住居って実際どこにあるの?あったの?って問われると困っちゃうんすけどね^^;アハハ

 

 とは言え、軽米の煉瓦はこの戦後から数年が主流と言われてるんす。

 日本に数多く残る歴史的煉瓦構造物は明治・大正。頑張ってせいぜい昭和初期・戦前に造られた物がほとんどっす^^

 戦後間近の煉瓦、しかも一つの町に多くその煉瓦を使った建造物が残るってのは日本国内でもダブルで珍しいってことなんすよね~(*´д‘*)』

『へえ~、何となく軽米町と煉瓦の関わりがわかったわ^^ そんな歴史があったのね』と軽い感じで首塚先輩は頷いてくれた。

 

 だけどチラッと横目にお兄ちゃんを見ると、なんか私の説明じゃ少々納得してないご様子^^;

 確かに・・・調べがまだまだ甘い・・・穴だらけって感じだけどしょうがないじゃない!

 私はこれくらいで精いっぱいっすよ^^;

 

『じゃあ~次はお兄ちゃんの質問ね^^;

 軽米町の煉瓦はどこで焼かれたのか?

 えっと・・・正直わっかんないっすw

 さっき行った円子地区に煉瓦の窯場跡があったらしいんすけど、それが円子地区のどこにあるのか分からなかったっす^^;

 もしかしたら・・・円子地区から軽米中心部へと向かった途中で見かけた変則アメリカ積みの煉瓦構造物がソレ※1だったのかもとか思ってみたりw』

(※1 前記事の最後に出てきた大きな煉瓦壁を設けた民家の土台部位。わんわんおに吠えられて調べるのをやめたとこがありましたよね?

 あそこはよく見ると煉瓦塀を支える煉瓦造りの控え壁がありました^^

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 大き目な工場とかを囲む外塀にはコンクリであろうが煉瓦だろうが、この控え壁って言う壁の支えになる出っ張り部位があったわけで、

 憶測ですがとっても怪しい場所でもありました)

 

 私は自分の説明に自信が無く、笑って誤魔化そうとしたのだけれど、

『なんだ。琴音もしっかりチェックしてたんだな^^

 オレもあの構造物。特に控え壁(壁を支える補強壁)は気になってたんだよ^^』と、

 なんと!お兄ちゃんは肯定してくれたのです(*´д‘*)

 

 続けてお兄ちゃんはーーー

『アレが煉瓦外壁だとすると、結構大きな建物があったんじゃないかと思うんだ^^

 控え壁は建物の内側に存在するものだし、もしかしたら~

 ボクたちが覗き見ていた県道の場所すらも昔は建物の敷地内だった可能性アリだな^^』

 ぶっちゃけそこまでしっかりと調べたわけじゃないので煉瓦窯場なのかはわかりませんが、少なくとも大きな建物が存在していたのは間違いがないっすね^^

 

 ---さて、

 みんなにもある程度の軽米町に残る煉瓦の何ちゃらを知ってもらえたところで、

 やっとこさそれっぽいのがお出ましですw

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『わきゃ~☆ 煉瓦のおうちですう(*´д‘*)』

『なかなか素敵じゃない^^』

 

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『おい琴音。これがオジサマが言ってた、今は空き家だよって家じゃないか? って言うか、煉瓦蔵を住まい用に改造したとかじゃなく、ほんとに煉瓦の家だなあ!』

 玄関先は後付けっぽいけれど、それでも純に煉瓦の家っぽい!

 イマドキ煉瓦ちゃんでもこの手の建物はあるけれど、やっぱり味わいがダンチで違うう(*´д‘*)

 もし本当に空き家であってーーー

 私に仮に財力があったならば・・・移築してでも欲しい物件だと思っちゃった(割とマジで)

 昔の煉瓦蔵は近年色々なところで再利用されたりしているし意外と残ってるんすが、

 煉瓦の家となると中々無いんだよね^^;

 

 あーん宝くじ当たらないかな~と夢見る少女じゃ始まりません!

 さっそくですが調査開始です^^

 何しろ軽米の煉瓦は情報がすっくない。

 どこで焼かれ、どこに使われ、どのくらい焼いたのか?

 刻印なんかも当然情報無いんすよね~^^;

 っつーことでさっそく手分けして検証です!

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 積み方はイギリス積み。

 

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 色合いはとても鮮やかな赤煉瓦☆

 軽米町だけで土も窯場も賄えたと言われるくらいに、上質な煉瓦に適したところだったんでしょうね^^

 

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『おーい琴音。軒下らしい軒下もないから刻印探しは厳しいぞ^^;』と、お兄ちゃん。

 ならばと私は縁の下の通気口を探ってみることにしたんす^^

 

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 かがんで見上げると鉄骨に補強された煉瓦面。残念ながら刻印的ものは見つからないっす。

 そこに狭いっちゅーのにお兄ちゃんが私の横に顔を突っ込んでジロジロ。

 

『なあ琴音。煉瓦の面が機械成型特有のシワシワが見えるよな。軽米町の煉瓦って職人さんの手による成型じゃなくって機械で煉瓦を切り出してたのかな? だとしたら結構、中規模よりも大きな工場だったんじゃないか???』

 私としてもそこが一番知りたかった。

 割と歴史的には近代煉瓦ちゃんなはず。機械で煉瓦成型してたかもだ。

 ここは近年になって注目され始めたこともあって、伝聞による情報がほとんど。

 少しでも何かを掴みたい!とその後色々探すけれど、そこまでのものは見つからなかったっす。

 

 ---さて、名も無き煉瓦のお家を後にした私たちはーーー

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 雪谷川に架かる橋の袂までやってきましたっす^^

『わきゃ? 一見、煉瓦ですけどイマドキ煉瓦さんの花壇やインフォメーションですね、琴音っち^^』と夕実っち。

 だよねー。見るからにイマドキ煉瓦ちゃんだよね。

  

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『琴音、この昭和橋って言う橋の親柱も煉瓦だぞ。でも今風の煉瓦っぽいな^^;』

 お兄ちゃんが言う親柱ってのは、橋とかの欄干・高欄の両端にある柱っす。

 一見・・・古めかしくあるけれど確かにこれもパッと見イマドキ煉瓦ちゃんぽい。

 

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 お兄ちゃんが確認の為に親柱の煉瓦面をのぞき込む。

『古いか新しいのか判定に悩む煉瓦だな^^;』と言うけれど、恐らくこれは限りなく新しい煉瓦ちゃんかな。

 

 

 ここで私は一応みんなに注釈をした。

『なんでも話によると、さっき見たインフォメーションの煉瓦ちゃんもこの親柱も、煉瓦でこの町を再び盛り立てようとした地元の方たちの運動で造られたものらしいんすよ^^

 その煉瓦が再び焼かれた煉瓦ちゃんなのか、再利用の煉瓦ちゃんなのかはわかんないけど、

 実は復興のシンボルでもあったりするんすよ^^』

『『『復興のシンボル???』』』と皆がハテナマークを浮かべる。

 煉瓦と復興。そしてそのシンボル。

 その全く繋がらないキーワードの答えは『川を渡ったその先にあるっす^^』と、私は先頭に立って皆を導いた。

 

 その橋を渡り切った真向かいにあったのはーーー

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 軽米町防災センター(ステーション)

 一見、こじゃれた建物だけど軽米町にとってはとっても深い意味のある建物だったりするっす。

『琴音ちゃん? この建物がどうかしたの?』と聞いてくる首塚先輩に、

 私はこの建物の前に設置された説明版を指でなぞっていくのでしたーーー

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『実は・・・この軽米町は平成11年に集中豪雨によって大洪水に見舞われるんす。

 多くの家屋が水没する大災害だったんすよ』

『わきゃ? さっきのオジサマが言ってた洪水ってこれのことですか琴音っち』

『そうなんすよ夕実っち。オジサマがおっしゃってた洪水ってのはこの軽米町を襲った集中豪雨のことなんす。

 家屋倒壊・半壊・床上下浸水など、この小さな小さな町を襲った集中豪雨の被害は町の年間予算を4~5年は凌駕する大災害だったんす(被害総額約260億)

 

 でも軽米町の人たちはこれを教訓としてチカラに変えたんす^^

 当然、県の助成もあったけれど、地元の人たちの頑張ろう軽米!と奮起したからこその早い復興を成し遂げたんす。

 その中でも地元の有志の人たちは『軽米らしさ』新しい町づくりに訴えたんすよね~^^

 

 それがこの煉瓦を基調とした防災センターや煉瓦調の親柱の昭和橋再生などの、

 煉瓦を主体とした町づくり!だったんすよ^^

 軽米町に新旧共々煉瓦が多くみられるのも、こういった経緯がたあったってことなんすよね^^』

 私の説明にみんな『そんなことが・・・』『そうだったのか・・・』とようやく軽米町になぜ煉瓦が多いのか理解してもらえたようだった。

 

 さて、ここからはガチで軽米町に現存する『古い方の煉瓦ちゃん』を探しに行くことになったっす^^

 ですが・・・

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『ねえねえ琴音ちゃん? 川の向こうの河川敷に煉瓦が見えるわよ?』と首塚先輩が指をさしたのだ。

 あらやだ本当に煉瓦がある。

 でも・・・ここらへんは軒並み洪水で流されてるはずだしな・・・

 あるとしてもイマドキ軽米煉瓦ちゃんな気がするんすけど^^;

 一応確認の為にみんなでそこへと行くことになったっす。

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『わきゃ? えっと・・・煉瓦は煉瓦ですが・・・なんですかね^^;』

 どちらかというと煉瓦よりそれに囲まれている水辺にみんな注目・・・

 だってカエルの卵とかありそうなんだもんw

『公園スペースか何かか?琴音^^;』とお兄ちゃんが聞いてくるもんだから、私はリュックから秘密兵器をガサゴソと持ち出した。

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『じゃじゃーん☆ 実は軽米町の役場さんのホームページには、軽米町ウォーキングマップ集っていう散歩して楽しんでくださいよ!と言うしおりがあってダウンロードできるんす(*´д‘*)

 その紹介ルートはズラリ!16ルート!

 だから・・・えっと・・・えとえと・・・

 この中に答えが載ってるかも(*´д‘*)

 ちょっと待ってね、---あ、これじゃね?』

 そう言って私はしおりのある1ページを皆に見せた。

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『わきゃ?えっと・・・です。仲町洗い場って書いてありますですね^^;』

『洗い場・・・なの?琴音ちゃん^^;』

『おい琴音!ここでいったい何を洗うんだよw

 

 ・・・確かに、皆様のおっしゃる通りでございます^^;

 

 水が流れなくなってこうなっちゃったのかな?

 それとも昔はここが洗濯場だったことを示すモニュメント的なものなのかな。

 さっきのオジサマに出会う順序が逆なら聞けたかもしれないけど、まあしょうがないっすよね^^;

 

 さて、ここからは軽米町ウォーキングマップ集と言う素敵なアイテムをなぞって煉瓦ちゃんに会いに行くことになったよ(*´д‘*)

 最初に見えて来たのはーーー

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『旧日山商店煉瓦酒蔵跡』っす^^

 

『あら~大きい煉瓦の建物ね琴音ちゃん^^』

『立派な煉瓦の酒蔵だな琴音^^』

『なんでもジャズライブなどの会場としても再利用してたらしいっすよ^^』

『わきゃ? えっと琴音っち。らしいってどーゆーこと?』

『うーん・・・現地の人に聞いたわけじゃないんで的確なことは言えないんすが、今もジャズライブをやってるのか分からないんすよ^^;

 煉瓦で町おこしの一環だったと思うんすが、ネット上でも数年前くらいから使われている形跡を見かけないような気がするし^^;』

 

 これがほんとに見かけない。

 先ほど洪水からの復興をみんなに語ったばかりだと言うのにチクチクと違和感が胸を刺すーーー

 

『じゃあ~いつものいっときますかw』

『刻印が存在するのかも分からねーのによくやるぜw』

 お兄ちゃんにさんざん突っ込まれたけれど、儀礼的に当然やります探しますw

 ではレディーごう!

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 見上げたそれはとても高かった。

 旧って付くからには過去の物。

 どんだけ大きい酒蔵さんだったのよ^^;

 それとともに今は酒蔵として使われていないんだねと寂しくも思った。

 

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 とは言え今の私には望遠と言う武器がある。

 さっそく軒下煉瓦ちゃんを覗き見ることに^^

 

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 鋸状に斜めに突き出した雁木(がんぎ・dog-Toothing)の装飾がとってもすてく(素敵)(*´д‘*)

 

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『やっぱ無いよな~^^; おい琴音。お前の方はどうだ?』

『うーん、さっぱりそれっぽいのも無かったっす^^;』

 まるっきし煉瓦に興味ない首塚先輩はおいておき、お兄ちゃんと二人で探してみたものの刻印らしきものすら見つからなかったっす(おーい夕実部長!お前も探せよーw)

 一通り見学した私たちはその建物のすぐ近くの異様な存在感を放つ物件へと赴く。

 

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『わきゃー!サザエさんのEDに出てきそうな家があるです(*´д‘*)』

『そ・・そうっすかねえ^^; えっとここはーーー

 旧大黒醤油工場ボイラー室跡ってとこっす。

 

 元々はこの雪谷川の傍に工場があったんすが・・・

 洪水被害で移転されたんす。

 移転先でも火災に遭い・・・かなりご苦労をされた大黒醤油さんっす(※詳しくは『軽米 大黒物語』で検索してね)

 今は地元の商工会の方たちがそれを改装して、

 まちかど煉瓦館と言う軽米の情報発信基地として使用しているらしいっす^^』

『『『らしい?』』』

 やっぱり突っ込まれたかー^^;

 これまた最近はこの煉瓦建物を活用している情報を入手できなかったと私はみんなに伝えた。

 だから煉瓦見学と共にそれを探ってみようと、ここで提案したのです^^。

 

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 ボイラー室跡には小屋が二棟。

 煙突付きの小屋は何となくどういった感じで使われていたのかは分かるんだけどお、

 もう片方の木造のせり出した屋根が付いてる建物はなんなの???

 

『ねえねえお兄ちゃん。あの木造の出っ張った屋根が付いてる小屋は何すかね?』

『アレはたぶん~越屋根(こしやね)って言う換気用の屋根造りなんじゃないかなあ^^ 醤油や味噌の麹菌は呼吸してるからな。

 味噌醤油は温度も大事だけれど新鮮な空気も重要なんだよ^^

 ま、違ってたらごめんなさいだけどなw』

 

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『あら~小屋の大きさに比べて随分大きくて立派な煉瓦の煙突ねえ~(*´д‘*)わ~お』と首塚先輩。

  

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 試しに灰出し口をお兄ちゃんと共にのぞき込む。

 もしかしたら赤煉瓦の刻印面が見れたりとか、耐火煉瓦が使われている可能性もあったから。

 残念ながら煤けててさっぱり分からなかった^^;

 

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 煙突のある方の小屋の入り口にやってきた私たち。

 

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『わきゃ!? まちかど煉瓦館・・・ってうっすら書いてあるですが・・・』

『ねえねえ琴音ちゃん? ほんとに今でも使われてるのかしら?^^;』

 ・・・みんなが言うように少し怪しい感じになってきた。

 

『とりあえず・・・ガラス越しに中をみんなで覗いて見ようっす^^;』

 私たちはガラスにびったりくっついて、中を覗き込んだーーー

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『わきゃー、物置小屋みたいになってるですね^^』

『あら???あそこに赤煉瓦ジャズライブ08って看板があるわね琴音ちゃん^^;』

『08ってことは・・・2008年ってことっすよね^^;』

『なあ~琴音よ。他に見えるものの中には新しそうなのも見えるぞ^^; もしかしたらジャズライブはいつのまにかやらなくなって、ほかの活動はされてるんじゃないか?』

 うーん・・・そうだといいけどどうなんだろ^^;

 

 その後も色々探ってみる私たち。

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『おかしいなあ。私がネットで見かけた写真だと、この小屋と小屋の間のスペースに花壇とテーブルや椅子があったんすけどね^^;』

『うーむ・・・。もしかしたら今は特に使ってないみたいだな琴音^^; 煉瓦での新しい町づくりって聞いていたが、その出発点であった洪水からも、もう既に17年も前になるからな。

 いつの間に風化してしまったか、もしくは・・・お金が無いかとかだろうなあ^^:

 それと軽米町に来てから幾つか違和感があったんだが、

 琴音の用意した軽米町ウォーキングマップ集に載ってても存在しない煉瓦建築もあるみたいだけど?』

『う・・・実は・・・そうっす。旧円子小学校校舎跡もそうっすけど、他にも無いのあったっすね^^;』

『今は煉瓦建築を保存するにもお金がかかるしな。耐震補強を施さないと危ないものもあるだろう。やむなく解体された方たちも居たんだろうな。

 まあでもこれは外部の人間がとやかく言う問題じゃない。

 とやかく言うなら金を出すしか無い話だし^^;』

 煉瓦をシンボルとした新しい町づくりと、古い煉瓦建築の保存の難しさを垣間見ることになった私たち。

 明治大正昭和の建築物は減りこそすれ、もう増えることは決して無い。

 残したくても残せないもどかしさに一同、シュン・・・となってしまった。

『さてっと、それならば残ってくれている煉瓦ちゃんをめいっぱい目に焼き付けておくことにしやしょう!^^』

『そうよね^^ 残っててありがとうって思うのも素敵だと思うわよ琴音ちゃん^^』

 ここまで来て気落ちしてたら勿体ない。目に心に記憶に残していきたいと思うっす^^

 

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 ここには小屋と小屋をつなぐ煉瓦壁が胸元辺りの高さで残ってた。

 

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 よーく見ると、煉瓦の中に小石が混じってる。雪谷川の川砂利なのかな?

 

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 残念ながら刻印は見つからなかったけれど、煉瓦表面のシワシワとか小石とか煉瓦製造工程に興味がわく変態の私です(*´д‘*)

 

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『あら?何か足元に文字が刻まれた煉瓦片が落ちてるわよ琴音ちゃん^^』

 あらやだマジだ^^;

 34って数字が見えるから耐火煉瓦だろうけれど、それでも一日一煉瓦刻印と決めていた私には嬉しい発見でしたっす(*´д‘*)

 煙突の灰出し部に使ってたのかな?

 

 さて次に向かったのはコチラ(まだまだあるよ!)

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『軽米町立図書館』っす^^

 昭和25年に建てられた旧軽米町役場を現在は町の図書館として再利用してるんす。

『わきゃー♪ 映画に出てきそうなくらい素敵な建物ですう(*´д‘*)』

『ほんとよねえ^^ 焼杉板がとってもいい味わいじゃない(*´д‘*)』

 

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 そしてこの図書館の敷地内には移築した物件が二棟あるんすが、その中でもやっぱりレンガ書庫に興味がわくw

 昭和35年から41年まで使われていた旧役場の耐火金庫。今は書庫として使ってるようっす^^

 と言うことで、それは裏手の方にあるらしいので、レッツ裏側へ!

 

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 近所のお家にも煉瓦ちゃん居たけれど、人んちなので遠目に見て終了^^;

 そしてぐるっとやってきたそこにはーーー

 

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 立派なレンガ書庫(旧耐火金庫)がありました(*´д‘*)

 もう少し時期が早ければ桜と煉瓦でバッチシ!だったんだろうなあ☆

 とは言え葉桜でも映えるっす(*´д‘*)

 

 では~さっそくいつものっすw

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 残念ながらここも刻印らしきものは無かったっす(怪しいのはいくつかあったけど傷だなありゃ)

 

 そして次に向かったのが(もういいよw)

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 君成田酒店さんの赤煉瓦倉庫っす(*´д‘*)

 

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『これは中々立派だな~琴音^^ コーニス(軒下の張り出した部位)も素敵じゃないか☆』

『だよね~(*´д‘*) 建てられた方の熱意がそこに見えるっすよマジで!』

 私たちの会話についていけず、後ろから眺めてる首塚・夕実っちペア。それでも感心してましたぞ(*'ω'*)

 

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 人んちですので遠方から眺めるだけだけど、コンパクト&シンプル&ビューティーな赤煉瓦ちゃんでしたっす^^

 

 さて、この後は軽米町でランチをしてその後もうちょっとだけ煉瓦散策をしてから、夕方発のバスで今日の宿泊地である八戸へ向かう予定だった私たち。

 予定だったんですがーーー

『おい琴音!二戸行きのバスがいんぞw てっきり夕方まで無いと思ってたのにw』と、お兄ちゃんが私たちの目の前を過ぎていくバスを指さした。

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 思わず飛び乗っちゃった(*'ω'*)えへへ♪

 だって次のバスは夕刻。待つにも散策で時間を費やすにも長すぎだったからw

 突飛な行動だったけど、みんな同意してくれました。

『もう座りたかったから嬉しいわw』(首塚)

『もうへとへとですう・・・^^;』(夕実)

 と、みんな歩き疲れ宣言してましたしね^^;

 

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 青い森鉄道に乗り換え、目指すは八戸駅!

 朝から晩までグルメな旅は次回っす^^

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ちょいのり・フィーバー・サザエさん.jpgここまで読んでくださりありがとうございました^^

 長くてごめんねw 一応一週間分まとめたって感じかな。

 分割も出来たけれど洪水と復興と煉瓦の話のくだりは一辺に書きたかったもんでご理解ください^^

ちょいのり・サザエさんver1.jpgあと今回は憶測も少し入っているので(取材不足)そこもご理解ください(今現在の軽米町の煉瓦活動とかね) 

 さて次回は八戸編です^^

 結構色々食べてきたぞ!

 興味がある方は覗いてやってください、ではでは!


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ちょいのり

今、自分の記事を読み返してるんだけど・・・

なげえ・・・^^;
by ちょいのり (2016-05-18 12:37) 

isoshijimi

ちょいのりさん・・・自らつっこんでいる(笑)
長かったけど面白かったです。
どんどんと廃れていってしまうのはもったいない感じがいたしますが・・・維持活動も大変ですものね。

煉瓦の家とかすごい。日本にこんなのあったんだって、思います。

次の食べ物記事も楽しみにしています。
by isoshijimi (2016-05-18 15:01) 

orange

炎の料理人の余暇は、今回も充実した煉瓦の旅でしたね。
それにしても、そこここに煉瓦造の建物が残っているのは凄いですね。
時を経た建物も3.11でも崩れなかったのですね!
by orange (2016-05-18 15:40) 

ニッキー

確かに旧建築物は増えないから大事にしたいけど、やっぱり保存とかにかなりのお金が必要だから、
小さな町だと減っていっちゃうのは仕方ない事なのかもしれませんねぇ(*_*)
でも今でもかなり見ごたえのある町だ\(^o^)/
by ニッキー (2016-05-18 21:26) 

美美

好きな物、気になるものを見ていると時間の経つのも忘れますよね^^
でもどこへ行っても煉瓦って見かけるんですよね。
日本のルーツは煉瓦にはじまった気がしますね。
by 美美 (2016-05-18 22:02) 

獏

盛岡から北の東北は未踏の地なんだよなぁ・・・
青森~秋田~探検したい~☆(^m^)☆

by 獏 (2016-05-18 22:28) 

えーちゃん

私は煉瓦にはまだ興味があまりないけど、マンホールの蓋にはチョッと興味ありです(^^;
蓋も絵が描いてあるから面白いしね。
マンホールもマニアの人たちが結構居るみたいだけど、私はそこまでにはなりません。
冷静沈着な大人ですから(^^;
by えーちゃん (2016-05-18 23:33) 

テンポイント

深いねぇw
八戸編も楽しみですw
by テンポイント (2016-05-18 23:54) 

唐津っ子

煉瓦も素敵ですが、杉板の建物もいいですね(嬉)
八戸の料理って想像できないけど、楽しみにしています。
by 唐津っ子 (2016-05-19 00:16) 

こんちゃん

確かに長い!
焼杉板は何か懐かしいです。小さい頃にウチの周りの何処かにあったのですが思い出せません。
by こんちゃん (2016-05-19 04:26) 

YUTAじい

おはようございます。
毎回・・・超大作ですね、見応え有ります。
by YUTAじい (2016-05-19 06:45) 

駅員3

先日はお疲れ様でした。
色々とご相談が・・・(^_-)/☆!!
by 駅員3 (2016-05-19 07:54) 

さる1号

朝から読み入ってしまった
気付いたら仕事にに間に合うかギリな時間
アポの時間がぁ(滝汗
途中で止められないんだよね^^;
by さる1号 (2016-05-19 08:46) 

サンダーソニア

なげw
朝から堪能しました。
というか寝ぼけていて
読み直す始末です^^;
by サンダーソニア (2016-05-19 09:33) 

ワンモア

長い(笑)けど、電車に乗っている時に読むには、ちょうどよい分量なので、重宝しております(^o^)
足りない場合は、過去記事にもお邪魔させてもらってまーす。
島旅、子カテゴリがあるといいな(笑)(^o^)
by ワンモア (2016-05-19 11:30) 

まめ

これだけ煉瓦建物があったら睡髄ですねぇ。
将来はここに移住?もちろん煉瓦の一軒家、ですね。
うん、決まりw
by まめ (2016-05-19 12:43) 

johncomeback

東北中廻ったつもりでしたが、軽米町って知りませんでした。
大洪水も記憶に無いなぁm(_ _;)m
う~ん、戦後の煉瓦で町興しは難しいかな。
八戸は美味しいものが目白押し、レポート楽しみです。
by johncomeback (2016-05-19 15:00) 

まこ

長くても面白かったですよ~♬
一生懸命読んじゃいました!!
煉瓦のおうち
三匹の子豚に出てくるような
とっても可愛いおうちね♬
お金が有ったら欲しい・・という気持ち
良く解るわぁ~♬
by まこ (2016-05-19 15:18) 

太陽の玉子

自分の住んでいるところのことあんまし知らない(~_~;)
by 太陽の玉子 (2016-05-19 16:08) 

馬爺

しかしよく探し当てますね、岩手県まで出向いても煉瓦がどこに有るのか検討が付かないと思いますが驚きますね、
by 馬爺 (2016-05-19 20:48) 

sakamono

レンガでできた、フツーの家というのを初めて見たように
思います。かわいくて、いいなー。
私も昔、青森を旅した時、路線バスの中で、1時間くらい
地元のおじいちゃんに、いろいろと説明してもらったコトが
あります^^;。
by sakamono (2016-05-19 22:12) 

Hide

おはようございます!
いつもありがとうございます、また寄らせて頂きますので宜しくね〜!
by Hide (2016-05-20 03:07) 

ソニックマイヅル

おはようございます。木造の建物、小学校の1年制の頃はこのような校舎でした。煉瓦を見ていますと自宅の庭に煉瓦BBQブースを作りたくなります。^^;
by ソニックマイヅル (2016-05-20 06:57) 

みぃにゃん

今回もディープですね。大きな水害があったのですね。これが教訓となって二度と被害あわないようにするのって大切ですね。
by みぃにゃん (2016-05-20 07:39) 

足立sunny

26キロも歩かれて1000kカロリーしか消費しないのかと、全然別のところで驚いています。
この軽米町、よく探し出されましたですね。
by 足立sunny (2016-05-21 03:02) 

hatumi30331

いつもながらスゴいですね!
私もこの前友が島に行ってきて
煉瓦いっぱい見てきたよ。
おまけに、多分刻印も・・・
昨日の記事です。
良かったら見てね。^^
by hatumi30331 (2016-05-22 06:14) 

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