第902話 琉球レッドと青い空・三重城~首里編☆『国内最後の煉瓦造り灯台跡』 [廃村さーくる2(煉瓦遺構編)]
『坊勢さん!坊勢さん!もうチェックアウト時間ギリギリです!』
んん~・・・
なんだかまどろみの外から菅原君の大きな声が聞こえてきた(むにゃむにゃ・・・
でもどうせ夢なんだろ?っと、私は深い深い微睡の中へと戻ろうとするのだ。
するとーーー
『プルルルルルルルーーー!』と、けたたましい電子音が私を再び揺り動かす。
無意識に取ったソレは受話器?
耳元に充ててるのか分からないがその向こうから菅原君じゃない声が聞こえてきたのだ。
『お客様、チェックアウト時刻が近づいております。身支度など手配はおすみでしょうか^^』
ん?
え?
ええええっ!?
第902話、琉球レッドと青い空編ファイナル、スタートだぞい^^;
やっちゃいましたね坊勢さんw
ううう・・・ごめん^^;
まさか深酒で爆睡こいていたとは面目ない^^;
まあボクも起床予定時刻から2時間くらい過ぎて起きたので何も言えませんw
まさかの大出遅れ。
実は今日。午後三時の帰りのフライトまでの間に菅原君がぜひ『リベンジしたい!』と言っていた、
『中城城(なかぐすくじょう)』へと行く予定だったのだが寝坊してしまったのだぞい^^;
なんでもその中城城は国の史跡であり世界遺産なのだが、
その中には中城高原ホテルと言う廃墟もあるそうなのだ。
廃墟マニアなら沖縄で行っておかなければ!ってとこなんですがまあ仕方がないですね。今回も諦めますw
(※ 前回の渡名喜島編です。記事はこちら→板前さんでも旅したい!))
さてそんな彼は
『そこがダメなら時間の許す限り別の場所に行きましょう☆』と、いくつかピックアップし始めたのだ。
二の矢三の矢がすぐさま思い浮かぶんだから凄いよね・・・^^;
沖縄ホテル?
そこは私たちが宿泊した東横インおもろまち駅前から歩いて15分くらいの場所だった。
なあ菅原君よ。パッと見、煉瓦もチラホラ見えるが~
この沖縄ホテルに立ち寄ったのはなぜだい???
この沖縄ホテルさんは昭和16年創業のホテルなんですが、この中には沖縄でも珍しい煉瓦造りの建物が残ってるそうなんです^^
まあそれは次回、沖縄に取材に来た時にここへ泊ってじっくり舐めまわしましょうw
ボクたちが今日目指すのはここから海へと歩いたところです^^
さて菅原君に連れられてやってきたのは、もうすぐ海が目の前って場所。
お世話になった旭橋バスターミナルから歩いて15分くらいのとこだぞい^^
ここは・・・神社と言うか御嶽とか?
参拝者各位って書いてありますしそうかもですね^^
鳥居もあるし御嶽っぽいね。
ん~でもこんなところに煉瓦なんてあるの?
見たところ石垣くらいしか無さそうだけど???
いや、よーく見てくださいよ坊勢さん。そこの木の根っことか^^
どれどれ・・・
ありゃ?本当に煉瓦片あったねえ^^;
じゃあ~境内っぽいとこまで登ってみましょう^^
あいあいさー^^
彼に導かれるように鳥居をくぐった私の目の前には少し異様な形で煉瓦が飛び込んできたのだ。
え? なんか周りの石垣に煉瓦の塊がたくさん混じってるぞい^^;
でしょ? じゃあ~ちょっとじっくり見させていただきますよ坊勢さん(*´д`*)
そう言って彼は、へんてこりんな石垣目がけて猫まっしぐら^^;
本当に煉瓦好きなのね^^;
私は興味ないので彼の後ろから行動を覗くことにしたんだぞい^^;
へえ~モルタルが残ってるってことは・・・ブツブツ
煉瓦の質感も・・・ブツブツ
これは何かの遺物かな・・・ブツブツ
刻印があるとすれば・・・あそこ(沖縄監獄)かな?・・・ブツブツ
さっきからブツブツごにょごにょ言っててよく聞こえないんですけど!^^;
ちょっとこの周辺にも興味があるので下にも降りていいですか?
うん・・・かまわんぞい^^;
おお~下への階段も上から見ると煉瓦片か^^
こっちにも結構、煉瓦片落ちてるなあ~^^
そ、そうね^^;
煉瓦に夢中で全然かまってくれない彼。すると今度は『上に戻りましょう^^』と振り回す。
苦笑いでそれに応える私がいた・・・^^;
上に戻って彼の目線を追うのだが、私でもひとつ気づいたことがあった。
それはぐるりと一周、煉瓦が混じった石垣で囲まれていたってこと。
しかもそれは瓦礫を積み上げたようなもの。
もしかして『ここには昔、何かがあってそれの残骸を石垣に使った?』とかなのかな???
一通り一周したところで、いよいよ種明かししてくれるもんだと思いきや、
今度は・・・
うおー!敷地内もよく見ると煉瓦の土台のようなもんが露出してる(*´д`*)
ってな感じで地面に埋まってる煉瓦を見はじめちゃったぞい^^;
ただ、こっちは石垣と違って元々何かが建っていた?って感じにも見えたのだ。
なあ~菅原君よ。そろそろこの御嶽っぽいとこが何なのかお姉さんに教えてくれないかな^^;
割と私ってばM属性だけど、ここまでじらされると辛いのよw
あーすみませんごめんなさい^^; ちょっと夢中になりすぎちゃいましたねw
見たところ『むかしここに何かが建ってた』って感じに思えるんだけど、どうかな?
正解です^^
じゃあ~ここの説明をばいたしやしょう☆
実はここ『国内最後の煉瓦造り灯台が建っていたところ』なんですよ^^
え!? 国内で最後の煉瓦の灯台だったとこ???
こんな神聖な場所に???
灯台の名前は『三重城灯台』
三重城と書いて『みえぐすく』です^^
元々は倭寇などの外敵に対する城塞だったのですが、目の前の海(沖縄港)から船立つ人々を見送る場所でもあったんです^^
それもいつしか拝所となり神聖的な場所に移り変わったのですが、
明治33年4月に津堅島灯台と同時期に建設された先原崎灯台の対岸に、この煉瓦造りの灯台が建てられたんです^^
(※沖縄港対岸に建てられた先原崎灯台は実質沖縄最古の煉瓦燈台。現・那覇空港管制の施設内に残存します^^)
坊勢さんは『なぜこんな神聖な場所に灯台??』って疑問に思ったでしょ。
いや普通に思うでしょ^^;
沖縄と言うか琉球人は海洋信仰って言いまして、特に海をつかさどる神に対して信仰心があるんです。
島人にとっては海の安全は欠かせないもの。
だから諸説ありますがここに灯台を建てることに進んで土地を寄進したとも言われてるんです^^
言われてみれば納得かも。
燈台って海の防人って言うもんね^^ 元々船出を見送っていた場所でもあったんだろうし分かるなあ☆
これはかつての三重城灯台の写真なんですが、灯台と言うには随分とずんぐりむっくりだし、周りは今より石垣積みの場所ですよね。
あんまり煉瓦煉瓦してないね^^;
これは推測ですが、対岸の先原崎灯台のあくまでもサポート的な灯台だったんだと思いますよ^^
そして『なぜ?この三重城の拝所には煉瓦片がゴロゴロ石垣として使われているのか?』ってところでしょうか。
もしかして・・・『戦争?』
正解です。
詳しくは調べきれませんでしたが、対岸の先原崎灯台(サチバルザチ灯台)は、
1945年(昭和20年)の沖縄戦で破壊されています。
ここも同じくして破壊されてしまったと考えるのが正解だと思います。
恐らく・・・この拝所の周りを囲むガンタ積みされた石垣は、
沖縄戦で破壊された灯台の煉瓦塊や煉瓦片を使った石垣・・・なんだと思います。
むう・・・
私は言葉に出来なかった。
正直言うと、彼に連れられてここへ来た時には『ガラクタな積み方の石垣』だなあ・・・くらいに思っていたから・・・
ここにも『沖縄戦の名残』があったわけなんだね。
(※ ガンタ積みと言うのは瓦礫などを積み上げた擁壁。都内でも古い地区で見かけることがあります。ただし土台や壁としてはとても脆弱です)
土地って調べていくと歴史が地層のように積み重なってるものなんですよね。
時に辛く、時に驚かせてくれることがあります。
戦争の傷跡をここにも知ることになったけれど、ボクは煉瓦関係のついでとは言っても、
『ここに来てよかったし、知ることができて嬉しかった』ですよ^^
そうだねえ。ただの観光では気づかない沖縄の傷跡を知る場所だった・・・ってお姉さんもビックリしたぞい。
いや、むしろ君に感謝したい。
マイナーではあるけれど知ってもらえれば幸いです^^
さて、せっかくだし拝所で拝んで行こうよ菅原君よ^^
そうですね^^ 手を合わせていきましょうか☆
お礼も込めてここの中心にある祠っぽいとこへと参ったのだが・・・
えっと菅原君?
なんか随分とくたびれているような気が・・・
ですね・・・
周りは結構ゴミだらけですし・・・
花火か何かをしたような煤けたとこもあるし・・・
あんまり今では祈りの場として訪れていないような・・・気がしますね^^;
切なくなっちゃうな。この現状は^^;
悲しいけれど、結構・・・今は昔ほど信仰心とか薄れてる時代なのかもしれませんね。
それもまた悲しい現実ってやつなんだと思わされた今回。
ちょっとシュン・・・としちゃった私に彼は
自分らで飲んじゃうからお神酒でもなんでもないけれど、買い置きしたお酒でも飲んで乾杯しましょうよ坊勢さん^^
ここ、結構良い眺めでしょ(*´д`*)
そうだね☆
神様には悪いけれど飲んで笑って土地をねぎらうのもアリだw
そんなこんなで最後は沖縄シークワーサーの缶チューハイで二人で乾杯したぞい(*´д`*)
さてこの後はどうしたのかと言うとーーー
中城城の代わりに首里城でも行きますか^^;
と、あんまり乗り気じゃない感じで彼が首里城でも観光しようと告げた。
なんで『しぶしぶな感じ?』って問うと、
あんまりそこまで興味ないんですよw
何回も首里城行ってるしw
あるとすれば・・・首里城の石垣刻印探しくらいかな^^
私としてはむしろ首里城の石垣にも刻印があるのかと驚いたところなんだが、
彼にとってはそこまで興味のあるものではなかったようだ。
むしろフライトまでの残り2時間を切ったところで何かをできる最後の観光スポットでありアクセスのよい場所だったってとこだろうか^^;
(※ この後は写真の羅列が続きますw)
ふう~とりあえず前回来たときは工事中だった守礼門を見れて良かったかなw
守礼門見れただけで満足って^^;
ちなみに『首里城の石垣刻印』は『よくわからねーw』だったそう^^;
あるらしいのだが私もよくわからなかったぞいW
この後はーーー
首里城前にある円鑑池で鳥さんと戯れたりしてたんだがーーー
そこで菅原君はさりげない発見をかますのだ。
まさかの首里城付近で煉瓦構造物発見(*´д`*)
見たところ首里城前に隣接する沖縄県立芸術大学のキャンパスの敷地っぽいぞい?
その煉瓦跡っぽいところから奥へと視線を移すと、
沖縄師範学校跡の碑があった。
えっと~菅原君これは???
いや~これは知らなかったので今ちょっとだけ調べてみますよ^^
ああ~なるほど!
今は沖縄芸術大学のキャンパスになってますが、
元々は明治13年創立、明治19年にこの場所に移ってきた沖縄師範学校の名残みたいです☆
戦中には軍事拠点としても使われた場所でもあったそうです。
ただし調べが浅いので(すみませんが時間ないので省略)
この煉瓦が創立当時の学校に使われた煉瓦なのか、
戦中の軍の建物として使用された煉瓦なのかは、いつの日かじっくり調べたいですね^^
おっといけない!もう帰る時間っすよ坊勢さん!
ハリーアップw
ここからは大慌てで那覇空港へと戻ることに^^;
寝坊しちゃったおかげで『本当に世話しない沖縄最終日』だったぞい^^;
まあ・・・お酒の飲みすぎのせいだが、
若い男の子と二人きりの酒宴ですもの。仕方ないよね(*´д`*)
後はもう帰るだけ。
急いで空港に着いた割には40分くらいの余裕時間☆
最後の最後まで(ギリギリまで)
私が勝手にデートだと思い込んでた沖縄取材の後半戦を彼とお酒で飲み明かしたぞい☆
おかげで二人とも羽田空港でキャビンアテンダントのお姉さんに
『お客様!無事に羽田空港へと到着いたしました^^
ぐっすりと良い夢を見られていたようですね☆
旅は一端ここで終わりかもしれませんが、また是非とも次のフライトではその続きをお世話させていただけたら幸いです^^』と、
二人共ども起こされちゃったぞい^^;
爆睡でしたねw
でも楽しくもあり勉強させられた旅だったぞい^^
そう言っていただけるとJALのお姉さまじゃないけど助かります。むしろ自分の趣味に付き合っていただいてありがとうございます^^
(客室乗務員さんてのはサービスと言うか言葉選びと言うか何かと素敵な言い回ししてくれることがある。教育なのかな。個々の感性かもだけどプロってこういうことだよね。とっても素敵!)
《あとがき》
さて楽しかった?彼との沖縄煉瓦探索編も終了。
個人的感想としては沖縄の煉瓦には『戦争』と言うキーワードが必ずついてくるものだなあと思ったぞい。
煉瓦に残る機銃掃射の跡
戦争によって破壊された灯台の煉瓦塊の石垣の再利用。
観光と呼べる場所では正直無かったのかもしれない。
でも少しでもこの記事を見て知っていただけたなら沖縄戦の代弁となったなら・・・
ちょっとだけでも記せたことに意味があったのかなあと思ってます^^
私の出番はここまでだぞい^^
次回からは彼が言うには『加賀百万石の煉瓦とは?』だって☆
金沢の煉瓦ってことかな???
気になる方は是非どうぞ見てくれたまえw
ただし季節外れの雪の舞うストーリーだそうだ☆
冒頭の坊勢さんのイラストの構図に惚れ惚れです。上手いなぁ〜。(*´ω`*)
沖縄もそうですが、パラオとか南国の自然の美しさと戦争遺跡の儚さが妙に胸を打つんですよね。人間ってなんて愚かなんだろうって。でも自然が全て包み込んでくれているような気がして。
by ワンモア (2017-04-21 02:28)
沖縄戦を思うと胸が張り裂けそうです。
県民の1/4の方が亡くなったんですよね。
現在も米軍基地etcで沖縄に負担を強いています。
内地の人間はもっと沖縄に関心を持たないと(-_-)
by johncomeback (2017-04-21 05:47)
海の青さに惹かれますよ。^^b
by ナビパ (2017-04-21 06:34)
おはようございます。
沖縄・・・地上戦闘無ければとつい思ってしまいます。
by YUTAじい (2017-04-21 06:54)
チェックアウトギリギリまで爆睡して宿題いっぱい残っちゃいましたね
それも作戦だったりして^^
by さる1号 (2017-04-21 07:00)
折角旅行に行ったのに寝坊したらもったいないな。
by gen (2017-04-21 11:40)
戦争の傷跡があちらこちらに残る沖縄、
そういえば潜ったときに海の中にも
色んな残骸があったのは爆破されて水中にだったのかな(*_*)
海が綺麗で食べ物が美味しくて沖縄最高!ってだけじゃなくちゃんと歴史も見ないと・・・ですね<(_ _)>
by ニッキー (2017-04-21 12:00)
沖縄は今も苦しんでいますね、なんでも押しつけの軍備、早く完全な返還に成ってほしいものですね。
by 馬爺 (2017-04-21 17:33)
お社がさびれてると哀しくなりますね。
中の神様がちゃんとどこかに引っ越し
できてると良いのですが・・・
by みずき (2017-04-21 23:18)
おはようございます。
旧姓aruです。
宜しくお願い致します。
by REE (2017-04-22 01:22)
三重城と書いて『みえぐすく』読めません(^^;
三重城だから三重県かと思ったw
by えーちゃん (2017-04-22 01:23)
いつかのように
飛行機の搭乗口で寝ちゃわなくて
良かったですね(^、^*)
「琉球レッドと青い空・三重城~首里編」
なるほど・・と思う事
たくさんお勉強できて
良かったです(⌒▽⌒)
by まこ (2017-04-25 16:18)
沖縄の煉瓦には悲しい出来事が沁みいついていると
駅員3さんにお聞きしました。
それは見るに絶えない光景もあるとか
戦争はもうごめんですね!!
by 美美 (2017-04-26 22:18)
「歴史が地層のように積み重なってる」
うん、いい言葉です。
by sakamono (2017-04-29 11:54)