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第403話『電話越しの大泣き』第1話『あなたには未来があるから別れて下さい』 [思い出パート]

『えっとね・・・あのね』

 20代当時は仕事も恋愛関係も順調だった頃だったと思います。

 なかなか彼女と呼べるものも出来なかった学生時代。

 周りで手を繋いでるカップルの間を駆け抜けてやろうかと何度思ったことかw

 社会人になって数年。

 学生時代とは少しスタンスを変えて、いくらか積極的に女の子へアプローチなどもしましたよ^^

 こんなボクですけどね。

 当時Jリーグブームでしたので、サッカー好きな子を誘ったり(なぜかそういうときに限って土砂降り・・・

 はたまた『映画見に行かない?』なんて別の子を誘ってみたら、

『実は私、一回同じの見てるんだあ^^;』と、映画見終わってから言われたり(しかもその後食事でもどうかなあ~なんて思ってたら、ゴメン!用事あるんすー^^; とか言われる始末だよ!

 ・・・ガッツだけが空回り。

 でもそれでも人並みの恋なるものを求め続けて動いていましたよ。

 今じゃ考えられないんだけれどさ^^;

 ---ある時、

 新入社員の女の子3人組+先輩女子社員2名と、ボクを含めた同じ職場の先輩・同僚の男子5人の合計9人で、

 当時からだったかな? 神奈川は川崎競馬場と言う『地方競馬場』でお酒も飲めて競馬もやれて、しかもアフター5のナイター競馬という、

 電飾キラキラ☆

 目の前にはド迫力のお馬さん。

 ーーーな~んてな飲み会シチュエーションをセッティングしたのですよ^^

『お前、どの子がいい?』なんて、悪たれ同僚同士の会話が、川崎競馬場までの電車内でこっそり話されるわけなんです。

『オレは・・・やっぱ〇〇だな』

『お、オレとかぶってないねー』

『なんだ良かったよ~。みんな別々の子が好みで完璧じゃんw』と、

こそこそ盛り上がってたのは良き思い出です^^

 その新入社員の女の子たちの中に遠からぬ未来にボクのパートナーとなる女の子がいたわけなんですが、

 ボクの気にいっていた子は、実は別の子だったんです。

 ---川崎までの車中、最初は遠慮がちではあったけれど、なんだかんだでお互いに会話をするのです。

 自分より下の子。

 話題とか思いつきもしないので、どこ住んでるの~とか、会社の話とか実にたわいのない話作りです^^;

 でもそれじゃアレですので『実は〇〇先輩はねえ・・・』とか、裏話的なことをこっそり教えたりして、こちらに興味持ってもらおうと、地道に努力してたりもしましたね。

 ーーーそんな中、ボクの話に興味を持ってくれた子がいたんです^^

 それはやっぱり、最初に仲間内で話していた興味がある子じゃなかったのです。

 でも会話が弾むんだ^^ なぜか、その子とは。

 それがきっかけで、その後、その子とお付き合いすることになったんです。

 温泉にスノボー。彼女はアウトドアが好きな子でした。

 ボクは少ない給料を貯め頭金として小さな軽自動車を購入して、彼女と日があえば西に東に旅をするそんな数年間を過ごしていましたね。

 実に楽しい日々。充実してました^^

 ---6年をお付き合いが越えた頃のボクの誕生日の一週間前。

 ボクの誕生日には旅行に行こうね♪ と、色々計画してお互いにその日がくるのを楽しみにしていたのです。

 夜中に彼女の為にピッチ(PHS)から携帯に変えたばかりの、その携帯にプルル・・・と着信。

 なんだよー、また『ここの観光地にも寄り道したいんだけどー』とかそんな電話かあ? もお~ん、こいつぅ~なんて思いながら受信のボタンを押したと思います。

 それがいつもだったから。

 あたりまえだったから。

『もしもし? どうしたの?』

『えっとね、私、最近風邪気味だったじゃない?』

 そういえば一週間前から。いやもうちっと前からケホケホ言ってたような気がする。

 だるいなあ・・・とも言っていた。

 でも『誕生日旅行までにはしっかり治しておくからさー』なんてなこと言ってた^^

 だからまだ『良くなってないの?』と聞き返したんだ。

 そうしたら・・・そこで彼女は黙るんだ。

 暫く話さないんだ。向こうからかけてきたのに。

『どうしたの?』と聞いても、

『うん・・・うん・・・うん・・・』としか答えてくれないんだよ。

 そして暫くの後、彼女は一言言ったんだ。

『ごめんなさい・・・。旅行いけなくなっちゃった。えへへ』と。

 ---最初は、う・・・もしかして別れ話かなあ・・・なんて思っちゃった。

 そうか・・・え? いや・・・ううん・・・

 オイラ・・・なんか彼女に対して悪いこととか最近しちゃっただろうかとか色々考えちゃったんだ。

 でも・・・あんまり思い浮かばないんだ。

 こんなせいかくだからってのもあるんだけどさあ・・・。

 もしくは風邪が治らないのかな?と。

 で、彼女が少し振り絞るような声で次の言葉を言ったことで、ボクの思い違いと分かった。

 ボクが思っていたことは全部小さかった。

『白血病になっちゃった・・・』

 ・・・

 ・・・

 ・・・え!?

 ・・・どー・・・ゆー・・・こと・・・?

 頭は、頭の中はぐるんぐるんだ。

『この一週間微熱が続いてたっていってたでしょ? でも・・・本当は夏からおかしかったの。

 でね、掛かり付けの病院の先生に、大きいとこで見てもらったほうがいいかもと紹介されて行ったんだけど・・・』

 ここからはもう彼女の声は泣いていた。

 それでボクは理解した。

 したと思ってた。

『だからね・・・ごめんね・・・。医大に入院することになっちゃった。だから・・・旅行はいけない・・・かな』

 ・・・白血病。

 彼女が言うには急性骨髄白血病と。

 その時にボクは彼女になんて言ってあげたのが思い出せない。

 本来なら彼女の方がパニクっててもおかしくない病状なのに、ボクがその言葉を聞いてパニックになってたと思う。

 ---そして再びの沈黙の後、彼女はこう告げた。

『あなたには未来があるから・・・私と・・・別れて下さい』と。

 ・・・それからボクは1年間ちょっとの彼女のお見舞い生活が始まったんです。

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 今でもこの言葉は決して忘れられない。


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コメント 23

リン

以前、素敵な夕日をバックに写真を撮っていた彼女ですね。
その時は何も知らなかったから、私が、軽い気持ちでコメント欄に記入したこともあり、いろんな意味で気がかりなことでした。
この後の記事も心して読ませていただきます。
by リン (2012-02-29 06:00) 

うたぞー

この話を書こうと思ったちょいのりさんの決意も含めて受け止めていきたいと思っています。
by うたぞー (2012-02-29 08:44) 

駅員3

そうだったんですね!
事実は小説より奇なりとは言いますが…
なんと申し上げて良いやら、言葉も浮かびません。
by 駅員3 (2012-02-29 09:28) 

kiyo

ちょいのり さん、
うーん、いきなり、深刻な告知が、正直、驚きました。
言葉になりません。

by kiyo (2012-02-29 09:42) 

大林 森

言葉になりませんです。(>_<)!
by 大林 森 (2012-02-29 10:05) 

miwa

そうだったんですね!
言葉が浮かびませんが、一歩何かを乗り越えられたのかな・・・

私も昔、大井競馬場のティンクルレースで似たような事を
やってました(^^ゞ
by miwa (2012-02-29 10:31) 

サンダーソニア

あかんて 泣くって。゚(PД`q。)゚。 もう。
by サンダーソニア (2012-02-29 11:30) 

レイリー

言葉がありません。。。
自分も弟を突然亡くし、幼馴染の親友もすい臓癌で・・・初恋の女の子も病気で・・・
辛いですね。。。
昨日は弟の誕生日だったので記事を書こうかと迷いましたが・・・
何故、自分のような必要の無い輩が生かされているのか自問自答の毎日です。
by レイリー (2012-02-29 13:04) 

いそいそ

ああ、辛いことも人生の一部・・・
by いそいそ (2012-02-29 13:08) 

さきしなのてるりん

泣き虫てるりんはもう涙ぐんでしまいました。
つらい別れがあったのですね。おいくつでくなったのでしょうか。と聞くのもはばかられるけど。今時分ですがご冥福をお祈りします。
by さきしなのてるりん (2012-02-29 13:29) 

haku

そんなことが...あったんですね...
by haku (2012-02-29 15:59) 

ニッキー

あの夕日をバックに一緒に写ってた彼女さんですよね。
何か悲しい出来事があったとは思ってましたが、ここまで悲しいお話だとは・・・
彼女さんのご冥福をお祈りいたします_(_^_)_
by ニッキー (2012-02-29 17:59) 

くま・てーとく

ちょっと前にツイッタで「コメントしづらい記事ってあるよね」的なことをつぶやいておられましたが、今回まさにソレですね。
部外者がもっともらしくコメントしたって、当事者には薄っぺらくしか聞こえないでしょうから…
(niceを押すのもちょっとはばかられるのですが、確かに読んだよと言う意味で押させていただきました。)
by くま・てーとく (2012-02-29 18:52) 

taiyou

そんなことが。。。。
そうなんだ・・・。
でも、ちゃんと読むから。。。

by taiyou (2012-02-29 19:21) 

唐津っ子

なんてコメントしていいか判らないけど,
この話の続きを読ませてくださいね.
by 唐津っ子 (2012-03-01 00:42) 

DEBDYLAN

足跡だけ残してきます。

by DEBDYLAN (2012-03-01 01:19) 

めぐ

こんにちはm(_ _)m
ん~っと とりあえず お久しぶりでしたので ご挨拶をしたいと思っていましたが、
内容が衝撃的で 現状言葉がでてこないので
失礼させていただきます。

無礼をお許しください m(_ _)m

by めぐ (2012-03-01 15:28) 

銀狼

ちょいのりさん。。。
言葉が出ないです…
いや、言葉が見つからない…
どんなコメント書いても、軽くなっちゃいそうで。。。
でも、ちょいのりさんが勇気出して書いてくれた事を
私もしっかり受け止めます。
ダメだ…泣ける…
by 銀狼 (2012-03-01 20:31) 

吟遊詩人41

お仕事お疲れ様です~

連休中ですみませんm(__)m
by 吟遊詩人41 (2012-03-02 00:50) 

サンダーソニア

今週は お仕事 どうですか?
by サンダーソニア (2012-03-02 07:55) 

下総弾正くま

なんとく、ケンカとかの「よくある別れ方」ではなかったな…と薄々感づいていましたが…。

最近、自殺他殺問わず命を粗末にする輩が多いですが、なぜそんな連中ではなく、彼女さんみたいな人から命を取り上げるのか…無常としか言い様がありません。
by 下総弾正くま (2012-03-02 10:12) 

shin.sion

このお話を直接聞いた時はワタシと似てる
経験されてるな~と思いました・・・

My Favorite Photo 2011にちょいのり
さんも参加ないさいませんか?楽しみにお
待ちしてますよ~~

Shin.Sion.

by shin.sion (2012-03-03 04:15) 

tomomame

そうだったんですか・・・。
ちょっとショックで、涙が出てきました。

…自分が、恥ずかしくなりました。
by tomomame (2012-03-04 00:45) 

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