2011この夏ボクは疎開しました本編⑤『癒えないハート』 [この夏ボクは疎開します]
『パリーン!』
ワタシは母親に居間のテレビの前で抱きかかえられていた。
『大丈夫よ。もうすぐパパが帰ってくるから・・・』
そう言ったママの顔を窮屈な胸元から覗いてみるのだけれど
その表情に、声にはワタシと同じような恐怖感がにじみ出ていたのを覚えています。
『次のニュースです。福島第一原子力発電所からもれ出る放射能汚染問題で・・・が・・・に・・・お・・・』
テレビから垂れ流される原発問題のニュースは怖くて頭に入らなかった。
それよりも早く帰ってきてパパ!
ワタシ怖いよお!
『パリーン!』って言ってるの。
きっとどこか窓ガラスが割れた音。
知らないダレカが割った音。
---この前は塀にいたずら書きされた。
ワタシもママも、そしてパパも何も悪く無いのにみんなどうしてどうして『いじめるの?』
パパが働いてるとこが電力会社だから?
パパが何をしたわけじゃない。普通に考えれば誰だって分かることなのに、こんなの絶対おかしいよ!
『透子。ごめんな』
ワタシは原発問題によって言われ無きいじめを受け、生まれ育った土地を去ることになった。
その時にパパに言われた。・・・ごめんなって。
なんでパパが謝るの?
どうして?
くやしい・・・。くやしいです・・・。
たぶんきっとパパもそうだったと思います。
第472話スタートです。
名前も知らない男の子と御浜崎でまた再会しちゃった。
どうやら彼は1個下みたい。
クスクスクス
ちょっとえっちなこと言うとすぐ慌てるから、からかい甲斐があって面白い^^
といっても別にワタシはパンツ見せたいわけじゃないです。
・・・変態さんじゃないですし。
---ここ戸田に越してきて数日が経ったんだけど
この御浜崎の先っちょがワタシのお気に入り。
ここで遠くを眺めれば
ここで海を見つめれば
ここでヒンヤリとした海に足をチョコンとつけてると
少し色々忘れられる。・・・気が・・・する・・・から。
でも足りなかった。
そこに彼が来てお話し聞いてくれた時は嬉しかったな。
いつのまにか色々と嫌なこと忘れてました。
・・・ああ、名前聞いておくんだった。
『ねえねえ?』とか、名前も呼ばずに会話して、時間が過ぎてっちゃったなあ。
今度は聞いてみよう^^
でもふつーに聞くのも面白くないので
『おねーさんのパンツが見たかったら名を名乗れ!』とかイジワルしてみよー^^
クスクスクス
絶対嫌がるだろうな。でも反応が楽しい^^
---名残惜しいとは思ったけれど、ワタシからバイバイを言って彼と御浜崎から離れた。
少し浮かれ気味で砂浜をキュッキュと踏みしめていたけれど、
それもやがて舗装されたアスファルトのゴツゴツとした道へと変わる。
夏の入り口だと言うのにそのアスファルトはとてもワタシに冷たく感じさせたのです。
ワタシの今住んでるところは
港から少し上がったところにあるお寺の近所のアパート。
正直何もまわりにありません・・・。
ワタシはまっすぐ帰ることが出来なかった。
ふと狭い路地を見つけ、壁に手をついた。
やっぱりこれも冷たい・・・
『本当は・・・さっきの男の子と同じように、最近まで当たり前に友達と遊んでたのに・・・なあ・・・』
なんなんだろ?
どうしてなんだろ?
さびしいよお・・・
寂しくて悔しいよお・・・
ワタシはいつの間にか泣いていました。
男の子との楽しいひと時が紛らわしていたのは間違いなかったのですが、
楽しかった時をより思い出してしまった。
そして家族・会社ごと受ける『いじめ』に対してのキモチが胸の奥底から湧き出てきてしまった。
あんなに当時泣いたのに、いくらでも出てきます涙。
---ふと、涙でぼやけた視界の向こうに人影が見えたのでワタシは我に帰る。
パパから貰った麦藁帽子をギュッと深めに被り、何事も無かったようにその人影とすれ違う。
『こんにちは』
なんかすれ違い様に言われたような気がするのだけれど、もしかしたら泣いていたのを見られてしまったのじゃないかという気恥ずかしさで、
コクリとお辞儀をしてみせた程度で通り過ぎてしまいました。
顔を見ないですれ違ってしまったことに少し後悔。
知ってる人だったらもっと悪い気がして、いくぶん歩みを進めてからワタシは振り返った。
角を曲がる人影が一瞬だけれども見えた。
たぶん、ワタシと同じような女の子だった気がしますーーー
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
まさかすれ違った女の子って・・・
それは次回に続くw
今回は長くなりそうだったから、キリの良いとこで一旦切り上げます^^
そういえばロケハンした割に画像一枚じゃない?
ロケハン意味ねーw
別に今回の話だけの為にロケハンしたわけじゃ無いんだからね!勘違いしないでよw
撮り溜めですよ撮り溜め☆
理不尽なことって多いんですよ。
でもこの年齢だと耐えるのは辛いでしょう。
by サンダーソニア (2012-08-21 07:56)
小さな子供まで一瞬にして人生が変わってしまって...
何とも言いようがありません...
by haku (2012-08-21 08:06)
おはようございます。
誰に罪が・・・。
今朝の新聞・・・電力余ってる、東電は火力発電所止めた・・・関西も余ってる。
by YUTAじい (2012-08-21 08:28)
おいらのトモダチ 引っ越しましたよ…
シタッパ達は 必死で働いてます
上層部の何人かが… ほんとヒドイ
by ねこじたん (2012-08-21 10:36)
自分と係りないところの動きで、人生が激変する
瞬間って確かにあります。
私も小学生の頃にありました。
それにしても電力会社上層部の言動ときたら・・・
by 哲 (2012-08-21 10:45)
ちょいのりさん、
そうそう、そろそろ続きが見たくなっていました。
透子ちゃんと賢治くんて、まだ、お互い知らないけれど、
まったく同じ状況なんですよね。
その事をお互いに知ったときに、身を寄せ合うのか、
反発するのか、そこが興味深いです。
そして、すれ違った女の子は?
by kiyo (2012-08-21 11:02)
これからの展開が気になります。
こういう話を耳にすると
実際私たちはどうするべきなのか考えさせられます。
by 美美 (2012-08-21 11:20)
チョウも、暑いときは大きい葉の陰に
止まってたりしますね。
by ryuyokaonhachioj (2012-08-21 11:25)
なるほど、この趣向は新しい小説の形を提案されているわけですね!
僕は三人称で書きますが、二人称で書いて、二つ以上の側面から物語を同時進行していくって、エラリークイーンだったかな…推理小説であったような
素晴らしいです!
by 駅員3 (2012-08-21 12:27)
うううむ。せつない。(((((>_<;)))))
by 大林 森 (2012-08-21 14:01)
何となく惨いような切ないような話ですね。
by 馬爺 (2012-08-21 20:03)
最近、原発デモも話題は出ますが、こういった「原発で生活が狂わされた人」の話は出てきませんね…。
by 下総弾正くま (2012-08-21 21:37)
何の罪もない人たちを苛めたり、八つ当たりしたり・・・
酷くて辛い話ですよね。
by ニッキー (2012-08-21 22:02)
様々な形での犠牲者の方がたくさんいるんですよね・・・
色んな苦しみから、早く解放出来るような環境に
なって欲しいものです。。。
by 銀狼 (2012-08-21 22:02)
ふと振り返って感情がこみあげてくる・・・
そんな時が昔はあったなぁって思いますね.
今もそんな心を持ち続けたいですが・・・
by 唐津っ子 (2012-08-21 22:41)
実際は、まだまだこれからですよね。
ちょっと、次回が気になっちゃいます。
by DON (2012-08-21 22:48)
わぉ。。。
世界に入った瞬間に次回へ続く・・・
くぅ~~~!
次回が楽しみです。
それより、電力会社の家に石を投げ込むって本当?
ちょっと気になって・・・
by リン (2012-08-22 06:53)
電力会社って 人気がある就職先だったのに。
by サンダーソニア (2012-08-23 09:32)
面白いです~
by macinu (2012-08-23 12:15)