第553話碓氷煉瓦のアーチ編vol①『血の通う廃墟へ』横川・アプトの道：居酒屋けいば：SSブログ

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第553話碓氷煉瓦のアーチ編vol①『血の通う廃墟へ』横川・アプトの道　[廃村さーくる] [編集]

『好きだけど・・・どちらかというと妹的な・・・』

『ああもうっ！』

　廃村サークルの部室に木霊するボクの短い葛藤の飛礫。

菅原先輩・悩む.jpg

　夕実ちゃんにバレンタインデーのチョコと同時に告白を受けた。

　好意は前々から分かってたことだ。

　なんせボクを追って大学まで来たのだから・・・。

　いずれこういう日がくるのかなあ～とはぼんやりと思っていた。

『いっそ、琴音と入れ替わってくれたらどんなに良いことか』と、思わず口をついた。

『なんだそりゃ＾＾；　私じゃ妹不足ってか！』

　部室の奥から不機嫌そうに突っ込みを入れる主がいた。

　妹の琴音である。

　実は今、妹の琴音と今後の進路相談の二者面談中だったりするのだ・・・。

　もちろん進路相談というのは夕実ちゃんとの今後についてだったりする。

『あん？お兄ちゃんの気持ちは要するに、好きではあるけど身内的存在であって恋愛の対象では無いと？』

　まるで尋問。さっきからこんな感じで攻められっぱなしである。

　まあ確かに分からないでもない。

　琴音は夕実ちゃんの一番の親友でもあるしなあ。

　というか、なんで妹にここまで自分の色恋を追及されねばならないのか＾＾；

　ボクのぐだぐだ曖昧な受け答えが彼女をいらつかせているのはこっちも百も承知。

　でも自分でもはっきりとは言えないくらいなんだ。

　例えるならここに天秤があったとしよう。

　ボクのキモチは両天秤にぶら下がってる重りと言うよりも、支えてる『支柱』

『どっちが重たいのかなあ～』と、両方を受け止めながらも、その揺れを見ている傍観者の感覚。

　基本的に人と人のバランスや間を受け持つことが好きな性格だと自己分析。

　でもその『支柱』が好きって言われちゃうと、てんびん座のボクもあたふた、あわわ・・・あうあうあー・・・です＾＾；

『おっぱいは小さいけど可愛いじゃん』

　いや・・・別におっぱいで悩んでなんかないぞ妹様＾＾；

『お兄ちゃんがニーソ好きって教えたから夕実っちはニーソばっか履いてるの知ってる？』

　えっ!?マジですか？そんな経緯知らないよ＾＾；

　そりゃ～・・・確かに好きですし、夕実ちゃんの脚とかええなあ～ってチラチラこっそり見てたりするけど、マジで？

『ホットパンツが好きみたいだよ？うちのエロ兄貴ｗって言ったら、ずーっと夕実っちがホットパンツを履いてたとか知らないだろうね』

　・・・知らないよ。

　ってか、そんな理由だったのか・・・

　彼女のファッションって、みんなボクの趣味嗜好を気にして着飾ってたのか・・・。

　ボクの天秤の重りの片方が少し、ぐぐぐ・・・っと傾いた音がした。

『まあいいや。お兄ちゃんが煮え切らないタイプだってのは知ってるし～、ここで質問をかえよっか＾＾』

　妹の思わぬ夕実ちゃんの暴露話にどうようしていたのだが、突然話を切り替えてきた。

　琴音は下唇に人差し指をあて、天井を少しばかり見つめてから再びボクに向き直ってこう言った。

『お兄ちゃんって、他に好きな人いるの？』

　第553話スタートです。

琴音・取調べ・ブログ用.jpg

　いつものメンバー、ボク・夕実ちゃん・琴音、そして首塚さんと共に上越新幹線に乗り込んだところまでは覚えている。

　大学も春休み。

　前日の夜はボクのアパートのご近所の、朝までやってる上海亭という中華料理店で夜通し飲んでいた。

　その勢いのまま、ボク達は早朝から『あるところ』へと向ったのである。

　その結果だろうか・・・

　目的地の経由地点、群馬県は『高崎駅』をすっとばして、

　気づけば雪国。

　新潟県は『越後湯沢駅』まで来てしまった＾＾；

『えっとォ・・・せっかくだしスノボーとかしてくか？お兄ちゃん＾＾；』

『ええーい！それもいいね！えへへ～』

　まだ酔いの残る首塚さんは、琴音が苦笑いで提案した雪遊びにノリノリだったげれど、

　いやいやいや・・・

　道具一式なにももってないじゃないですか＾＾；

　ちょっとはそれもいいかと思ったけれど、レンタル代とリフト代も、不意の旅路には辛い金額＾＾；

『また来シーズンにでも一緒にすべりに行きましょうよ＾＾；』とお茶を濁してボク達はUターンすることにした。

（駅員さんに、これこれこうと告げて、お咎めなしで二つ手前の駅へと戻る）

　一時間のロスタイムを要してようやく高崎駅に到着。

　ここから信越本線に乗り換えて向うのが今回向うところだ＾＾

『わきゃー☆　小さな電車ですうー！』

　夕実ちゃんがホームに滑り込んできた車輌を指差してはしゃぐ。

　そう、この信越本線は２車輌のローカル路線なのだ＾＾

（お約束のボタンでドア開閉仕様☆）

　時間にして３０分ほど。

　終点のーーー

『横川駅』へとボク達は到着した＾＾

『峠の釜飯で有名なところね。ヒック＊＾＾＊』

『そうだね。割と知られた場所でもあるかな＾＾　今回の目的地探訪が終ったら、最後に皆で釜飯でも食べようか』

『『『さんせー♪』』』

　まるでボクが全ゴチしてくれるんじゃないかというくらいの、爛々とした目で見つめながら同意する女子３人チーム・・・＾＾；

　観光地価格だから・・・ひーふーみー・・・うーん・・・・夏目さんが数枚サヨナラじゃんか＾＾；

『して、お兄ちゃん？　今回向うところはどこですかね？』

『まあ、とりあえず着いて来てよ。話はソレからだ＾＾』

　ボク達は改札から外へと出ることにした。

『ななななんですか？このおっきな車輪みたいなのは？』

　駅舎を出て直ぐのところにポツンと置かれた展示品を指差して聞いてくる夕実ちゃん。

　ボクは彼女の目を見ずにソラに答える。

『この駅“横川”から“軽井沢”まで走っていた機関車の動輪ってことらしいね＾＾

　昔はこの先も列車が走ってたんだけれど、今は廃線になってしまったんだ。

　で、今回の目的は、その廃線区間を遊歩道として再利用した

【アプトの道】をのんびりお散歩しようじゃないかってことなんだ＾＾』

　ようやく今回の目的の趣旨が分かった彼女たち。

『へ～なるほどね＾＾お散歩いいね～＊＾＾＊』

『あえてこの時期に桜を選ばないところがお兄ちゃんらしい旅だね』

『廃線歩くとかスタンドバイ・・・えとえと・・・なんか昔の映画っぽくていいです～♪わきゃー☆』

　と、それぞれ納得のご様子。

　昔はこんな反応じゃなかったんだけどなあ＾＾；

『ヒールの高い靴なんだけど・・・』とか『ええ・・・山登るのー＾＾；』とか一緒に着いて来るくせに不平不満満載だったのにね＾＾；

　慣れというのは恐ろしいものですｗ

『じゃあ、先を急ごうか・・・ってオイ！』

　動輪を皆で眺めていたと思ったらいつのまにやら首塚さんと琴音は駅前の無料休憩所のベンチに座り込んでまったりしていた＾＾；

　しょうがないなあ・・・と近づくと、首塚さんは嬉しそうにコンビニ袋をガサゴソと漁って対面に座った琴音の前にソレを見せていた。

『じゃじゃーん☆お酒追加でーす♪』

『お、いいですね姉御！旅にはガソリン必要っす☆』

　いやいやいや・・・あなた達？　これからキツクはなくとも山のほうへと歩くんですよ？

　見て御覧なさいよ。リュック背負ったオジサマオバサマ達が次々に山のほうへ向っているのを＾＾；

『お水ばっかりじゃヤバイので～、ハイ！これ～＊＾＾＊』

『おにぎりも持ってきましたあー。ヒック＊＾＾＊』

『姉御最高っす☆』

　あんたたちさっき後で釜飯食べれるからってはしゃいでたじゃねーかよｗ

『ああ～私、オムそば飯食べてみたいですうー＾＾』

　いつのまにやらちゃっかり夕実ちゃんも参加。

　はあ～・・・前途多難だこりゃ＾＾；

　なんとかなだめすかして先に向ったボク達。

　横川駅から先、アスファルトに埋まったレールを辿っていくことになる。

　そのアプトの道の直ぐ横は『碓氷鉄道文化村』に展示してある電車たちをしばらく横目に見ながら歩けるのだ。

　・・・が、あんまり彼女たちは興味が無いご様子＾＾；

『ねえ？なにしてんの遅いよお兄ちゃん＾＾；』と、

　先導して歩くはずのボクが電車に見とれて最後方という始末・・・。

　ロマンがねーなと心の中で呟いて、彼女たちを追いかけた。

　すると、彼女たちが急にパタリと歩を止めていた。

　その視線はアプトの道の横に、未だに生きている単線の向こう側だったのです。

『ほえほえほえー！電車が来たですう！』

『ちょ！お兄ちゃん？廃線でもなんでもねーじゃんかよｗ』

『そうよねえ・・・えっとなんで？＊＾＾＊』

　見る見る近づく生きた電車。

　そしてボク達の脇を抜けて行く生きた電車。

　ここは廃線区間だと先ほど謳ってしまったからそう思うかもしれない＾＾；

　ちょっと誤解をさせてしまったようだ。

『あ～あれはね？この先にある峠の湯という温泉施設までの短い工程を走るトロッコ列車だよ＾＾

　碓氷鉄道文化村の入場チケットがあればのれたりするんだよ＾＾』

『じゃあ～乗ろうよお兄ちゃん！』

『あっちのほうが楽だし楽しそうだし楽よね～＊＾＾＊』

『かわいらしくって乗ってみたいですう！』

　いやあのね～・・・廃線区間を歩いて愛でながら目的地までってのが今回のコンセプトだから！

　楽したいとかそーいうんじゃないから＾＾；

『パンパン！』と手を叩き、

『はいはい。また今度ね＾＾　さっさといくよー』と、指を咥えて乗りたそうにしている彼女たちの間を割って追い抜いて、先を促がすことにした。

　渋々ついてくる女子３人チーム。

　甘いことばっかりしてると彼女たちの為にもなりません。

　ここはビシッと行かないとね＾＾

　後の方からトボトボとついて来る彼女たちが何か言ってるのが聞こえてきた。

『『『鬼畜ぅー！』』』

　こんのくらいで鬼畜呼ばわりかｗ

　女の子はやっぱり分からないなあ～と思った、アプトの道の序盤戦。

　この先どうなることやら＾＾；

　ーーー次回に続くっ！

ちょいのり・フィーバー・サザエさん.jpg ここまで読んでいただきありがとうございました＾＾

　次回、今回の冒頭でのやり取り（琴音の尋問）の答えが明らかになると思います＾＾

　ではではそのうち☆

（お返事や訪問は明日にさせていただきます。だって最後の花見で金曜日の居酒屋ですものｗ）

タグ：春のお散歩アプト横川信越本線越後湯沢高崎碓氷鉄道文化村トロッコ列車動輪峠の湯峠の釜飯菅原君の苦悩琴音の尋問廃村さーくる廃線軽井沢

2013-03-29 03:33 nice!(93) コメント(25)

nice! 93

アプトの道は去年行ってるから分かりますよ。
この先皆の反応が楽しみだ。
by コンブ (2013-03-29 07:25)

おっ、新シリーズですね。
続きが楽しみです。

昨日は本当に残念でした。
また、また一緒に旅に出ましょう(^_-)
by 駅員3 (2013-03-29 07:33)

うわぁ～結論が延ばされてる( ´艸｀)
アプトの道って廃線区間を歩けるんだぁ～
電車がいっぱい止まってて面白そう！！

by miwa (2013-03-29 08:52)

楽しみ、楽しみ～！！
by macinu (2013-03-29 09:57)

悩むトコじゃないなぁ~
2kｻﾝなら速攻で押し倒してます　（爆

ココ、一度行きたいんですよね~
煉瓦アーチには夜空と共に撮りたいと思案中・・・
ボッチで行くのは怖い。。。
by 風太郎 (2013-03-29 10:34)

こんにちは。
鉄道文化むら・・・孫と訪れ盛り上がりました。
また盛り上がりましょう！
by YUTAじい (2013-03-29 11:30)

今日は鉄系ですね。
by サンダーソニア (2013-03-29 12:17)

ちょいのりさん、
以前の夕実ちゃんの告白の続きですね。
果たして、結果は？
あー、次回のお楽しみですね。
いじらしいまでに可愛い夕実ちゃんの思いが通じることを期待しています。

そして、ちょいのりさん、桜の時期もあと少しです。
もうちょっとだけ、頑張ってください。

by kiyo (2013-03-29 13:14)

横川も今ではこんな風になっているんですね、昔はスイッチバックで登って言ったんです、横川駅の釜飯弁当が懐かしいですね。
by 馬爺 (2013-03-29 20:04)

横川というと、釜飯しか連想できません。アプトの道
というのは初めて聞きました＾＾；。
なるほどなぁ．．．そういえば、自分もてんびん座だった＾＾。
by sakamono (2013-03-29 22:10)

鉄道文化村は鉄道博物館と違って野ざらしなんですね．そこが良いって方もおられるかもしれませんが，「あさま」なんて，少しサビが浮いちゃっているし･･･

新幹線内で寝過ごしてしまうって当たってましたね(嬉)　競馬もこれくらい的中すると嬉しいんですが(笑)
by 唐津っ子 (2013-03-29 22:43)

あらら・・・寝過ごして越後湯沢とは＾＾；
花見シーズン最後の激務頑張って下さいね～＾＾
by 銀狼 (2013-03-29 23:53)

雪景色は越後湯沢だったんですね(^_^;)
あそこの駅構内には美味しい地酒が売ってるお店がありましたよぉ(^.^)
続きが楽しみですが、きっと今日と明日は忙しすぎて
悲鳴をあげられてると思いますので、ちょいのりさんの仕事が落ち着くのを大人しく待ってますｗ
by ニッキー (2013-03-30 00:26)

おはようございます。
次回は５月の予定らしいです。
by YUTAじい (2013-03-30 08:05)