第252話『湯西川温泉』Vol① 雪がはらはら、平家VS源氏ですぅ! [廃村さーくる]
「ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・」
一定間隔に枕木を蹴っ飛ばすそのリズムに、早朝から電車に乗り込んだボクは眠気を誘われ、
ふわわわ・・・と大きなあくびをかく。
流石にこの時間には誰も掴まる人なんていないつり革を、ぼーっと見つめながら、目じりの涙を小指で掬っていた。
時刻は午前5時半。
都心へと向かう列車を車窓の向こうに見やりながら、ボク達は関東平野のヘリへと電車に揺られていたのです。
・・・そう。
「ボク達は」である。
「ちょっと一人で飲むなんてズルクナイ?」
「別に一人で飲むつもりなんて無いですよ~っだ! ・・・これは先輩と飲むんですぅ!!!」
電車内にこだまする女の子たちの喧々な騒音。
早朝の電車ってのは都心行きの列車だとしても、人がどれだけ大勢乗っていようが意外と静かなものだ。
出勤する人たちは、わざわざこんな朝っぱらから「喋る」と言うパワーを使ったりしない。
これから始まるなが~い就労の為に、なるべくおとなしく過ごすものだ。
こんなところで喋るというカロリーなんてわざわざ消費しないでしょう。
・・・でもこの子っちは違うみたいだ^^;
ボクは二人に原因はナンなのかと問い詰めるのでした・・・
「どうしたの?二人とも。他のお客さんに迷惑だよ?」
「迷惑も何も、この車両には私たちしかいないじゃないですかァ~。・・・えっとですね、私が先輩と素敵な旅路を過ごすぞ!
ってアイテムとして買ってきた缶ちゅーーーーはいを、首塚先輩が飲もうとしちゃうんですものー!」
夕実ちゃんが、ボクの対面にいる首塚さんを指指しながら訴えてくるのだ。
・・・夕実ちゃん、人に指むけちゃ~いけないよ^^;
まあ~そのくらい夕実ちゃんにはカチンとすることなんでしょうね。
横のロングシートに置かれた缶ちゅーーーーはい二つ。それを巡って争っていたわけですか・・・。
・・・あの、私たちしかこの車両にはいないってのは撤回してください。
向こうの席で寝ている人がいるじゃないですかw
・・・非常に迷惑です^^;
「夕実ちゃ~んってば、三人で『旅行』だってのに、缶ちゅーーーーはい二つしか買って無いのよ? それってヒドクね? リアルで」
この夕実ちゃんに絡んでいる女の子、心霊サークルの首塚さん。
頭に花飾りとかつけてはいるけれど、常にもっともらしく白衣を羽織っているし、言葉口調も普段は人並みなのだが・・・
実は夕実ちゃん以上にイマドキの女の子だったりする。
「そもそもなんで首塚先輩が付いてくるんですか? もー!」
ボクをマジマジと見据えながらも嘆き節の夕実ちゃん
・・・この経緯は長いので簡単に話しましょう^^;
ある時に「廃村どうのこうのは抜きで、たまには温泉でものんびり行ってみましょうか」と呟いたのが、ごらんのありさまです。
たまたま出くわしてた(押しかけていた)首塚さんが、
「へ~、で? ・・・どこいらへんにいくの?」と言ってきたので、
「う~ん、湯西川温泉なんてどうでしょう? 今時期ならそれほど観光客もいませんし、のんびりするなら打って付けです」と答えてしまったのが運のつきでした・・・
「あら、いいわね~! 日光とか奥鬼怒とか意外と心霊スポットよ?
昔から華厳の滝とかは写真に撮ると『顔』とか一杯写っちゃうってところだしね~。私的には大歓迎☆」
・・・とまあ~、心霊サークルらしい理由で今回の旅についてくる事になったと言う訳です^^;
途中の乗り換え時間たった2分というところで、いざこざを静めるべく、缶ちゅーーーーはいを購入して二人に配る・・・。
相変わらずツンとした二人でしたが、音を鳴らしてグビグビと飲みながらも大人しくなるのでした。
・・・お前らアル中かよw
「わきゃー! ゆ、ゆ、雪ですよ先輩!」
家を出た頃は雨模様だったのが、鬼怒川公園駅あたりを越えたところで周りはすっかり雪景色。
雪を見てはしゃぐ夕実ちゃん。
青森出身の首塚さんは「ふ~ん・・・雪ね~」と関心をなんも得ずってな表情。
「あの小学生、背がおっきー!です、わきゃー☆」
「はいはい。夕実ちゃ~んは、あの子と比べると、ここいらへんが負けてるねー」と、
首塚さんは夕実ちゃんのバストにツンツンと指を触れる。
「ちょちょちょちょ!? やめてください!せくはらですぅ!」
その二人の会話にニヤニヤしながらも、電車はずんずんと雪山へと進んでいくのでした。
川治温泉を過ぎ、なが~~~いトンネルを越えると・・・
・・・いや、
実はトンネルを『越えない』んです。
「ええ!? この湯西川温泉駅って『トンネルの中に』駅があるんですかァ?」
「うん、そうだよ。上越線の土合駅なんかも同じかな?(今は違うのかな) 全国には結構同じような駅はあるけれど、珍しいかもね」
うはー!って珍しそうにトンネル内のホームを見渡しながら、ホームの端から端まで無邪気に走ってみせる夕実ちゃん。
「こ、こんなの青函トンネルにも、あ、あるもん」と言いながらも、周りをマジマジと見渡す首塚さん。
そんな彼女らに「こっちだよ」と合図して、地上の駅舎へ向かいました。
地上の駅舎から外に出たボク達を迎えたのは、
こんなにも遅く、そしてゆっくりゆっくりと降る雪でした。
それはとても軽くてフワフワな雪。
バスターミナルに走り出し、両手を広げてはしゃぐ夕実ちゃん☆
「こ、こんなの珍しくも・・・」そう言いながらも、なぜかソワソワしている首塚さん。
・・・青森出身とはいえ、ちょっと嬉しそうな笑顔を見せる彼女でした。
「湯西川温泉まで出ているバスまで、あと20分くらいあるねえ~」
ボクはバス停の時刻表を覗いてからそう彼女たちに告げる。
「せっかくですから、ここいらへんを探索してみましょうよ~、わきゃー☆」
夕実ちゃんの一言に、ボク達は「そうだね」と、はしゃぐ彼女に任せてついていくことにしました。
「足湯があるのね~」
「せっかくだからつかりましょうよ~。わきゃー☆」
ここ湯西川温泉駅は、道の駅と併設であり、日帰り温泉施設なんかもあったりする。
玄関前にはこうして、無料の足湯なんかもあるわけだ。
「向こうの方に橋が見えますぅ! ちょっと行って見ましょうよ!」
足湯に入ろうかと提案していた本人が、道路の向こう側に見える景色を指差して、行こう行こうと催促する。
も~・・・と言いながらも向こうを見やった首塚さんとボクは、その景色に、!!!???マークをたくさん浮かべて、夕実ちゃん共々走り出した。
雪景色の陸橋を渡る電車。
周りの木々は雪の着物を身にまとい。
見るもの全てが雪・雪・雪!
でも全部、色々な白色。
・・・しばらくボク達は周りの雪景色に圧倒されていました。
「先輩~! こんなのつくっちゃいました♪ わきゃー☆」
いつのまにか地面に腰をおろして、うんしょ!うんしょ!と何かをこしらえていた夕実ちゃんが、柵の上に白い塊を乗っけたのです。
「じゃじゃ~ん。雪だるまで~す☆」
・・・ぶっさいくだねーw
そう、心の中で止めておいた言葉を首塚さんは、あっさりと夕実ちゃんに告げる。
「リアルでその雪だるまダサいんですけどw ・・・う~んでも、ここって景色いいわね☆」
その言葉に少しぶーたれた夕実ちゃんではありましたが、いつの間にかみんなで柵に手をかけ、景色にしばらく見とれていたのでした。
「あ、バスが来たよ。・・・じゃあ、行こうか! 湯西川温泉へ」
※次回VOL②へと続きます^^
※2 タイトルの 源氏VS平家って書いた理由は次回に出てきます。
記事が長すぎてそこまで入れられなかったw
へへへ~^^
確かに、なが~い導入ですが、
この説明がないと、首塚さんが何者か分かんないもんね~!
ツンデレ女子?!
さて、雪の日の足湯。。。本当に気持ちよさそう!
次回も楽しみにしています(#^.^#)
・・・って心霊写真が続出?!
by リン (2011-03-09 06:37)
リンさん、流石に心霊系は無いですよ~w
写ってたらしかたがないけどw
今回は番外編ですね^^
by ちょいのり (2011-03-09 06:54)
雪の露天風呂はよさげですが、寒そうですw
by まめ (2011-03-09 07:39)
トンネルの中にある駅って、地下鉄の駅みたいですネ!!
by townsrus (2011-03-09 09:41)
静岡空港の下にもあるとかないとか?
雪は絶対テンションが上がるアイテムです。
今年はちゃんと見てないし。
by デルフィニウム (2011-03-09 11:49)
とても素敵な場所ですね!
温泉って感じがしますよ。。。^^v
それにしても、電車でのお酒って何であんなに
旨いんでしょうかね??
ってか。
奥で寝てるおばちゃんもなんか素朴で良い。(笑)
にしても、背が高い小学生。
モデルちゃんとかになるんでしょうかね??
将来が楽しみです!
んで。
最後の雪だるま・・・。
本当にブサイクでした。^^;おもろい~~~。(爆)
by yoshinorhythm (2011-03-09 14:23)
ちょいのり参止じゃないのかい???
って つっこみ入れてますが。。。
寒そうなとこへ行ってきたんだね~^^;
by chie (2011-03-09 23:33)
えっと、源氏VS平家の理由はね…えっ、しゃべっちゃダメ^^;
この辺では河童が出るらしいですねΣ(゜Д゜;
今回は心霊より妖怪ですかぁ(・・?)
by 下総弾正くま (2011-03-10 00:08)
まめさん、入るまではいいんですよ。
・・・でも寒くて出られないですよねw
冬ってさー^^
by ちょいのり (2011-03-10 01:02)
townsrusさん、またこれが地下鉄と違って、暗いんですよ。
本当にトンネルなんだ~って感じですよ^^
by ちょいのり (2011-03-10 01:04)
デルフィニウムさん、いいじゃないのよ。目の前が雪かぶった富士山なんだからあ~w
他県の人からすると贅沢よ?w
by ちょいのり (2011-03-10 01:05)
yoshinorhythmさん、今でこそ電車のロングシートだろうがなんだろうが、平気で缶ちゅーーーーはいを飲んでますけど、昔はボックス席でしか恥ずかしくって飲めませんでしたよボク^^;
歳とるって怖いです☆
これがまた早朝アルコールとか美味いんだーw
あの小学生には思わず「!?」となってカメラを向けてしまいました。
少しボクに背を分けていただきたい^^;
by ちょいのり (2011-03-10 01:10)
chieさん、それと似たよ~なのが次回に出てきますw
でも期待しないでね~^^
by ちょいのり (2011-03-10 01:11)
下総弾正くま師匠は去年あたりにここに行ってるものね^^
しーーーー! 次回まで内緒でw
心霊とか河童さんは、今回は・・・抜きかな?
番外編な感じです^^
by ちょいのり (2011-03-10 01:13)
こんなに雪が降ってると ユッキーの登場かしらと期待してしまいました^^
by aeon (2011-03-10 21:41)
朝から缶ちゅーーーーはいですか!
歳アレしましたが、、、やらないです。。
缶びーーーーなら^^←一緒だろ^^;
by 吟遊詩人41 (2011-03-10 23:09)