アンナのバイト繁盛記☆VOL⑤『ブームは再び訪れる料理の世界?』あん肝&オイスターシューターとか [アンナのバイト繁盛記☆]
『冬になるとさあ~、自販機にホットが登場するじゃない?』
『はあ。まあ~そうですね。それがなにか?』
私は愛想もなしに適当に返事をする。
なんせ相手はいつものエロ板さんだ。
どうせくっだらないことかエッチな話しかしないだろうと、今、目の前に落ちているホコリをちりとりにいかにキレイに押し込めるか集中していたのです。
うーん・・・どうも床と塵取りの境目で思うようにゴミやホコリが引っかかって入ってくれない^^;
塵取りの床に対する角度を変えたり、箒で押さえ込みつつ塵取りで掬ってしまったほうが早いんじゃね?とか、色々試行錯誤してたのです。
ま、それにもかまわず彼は続けます^^;
『コーンポタージュ缶とかおじさん大好きなんだけどさあ、500ml缶とか、なんで無いんだろうね・・・』
ほらきた!実にどーでもいいおっさんのたわごとがw
コーンポタージュ缶に500?
そんなの需要が無いでしょうが・・・^^;
私はめっちゃ半笑いをして彼に返したのだ。
『そんなロング缶にしちゃったら、缶の底のほうに益々コーンの粒が溜まって食べにくいじゃないですか^^;』
『ポン!』と、手を打ち『ああ~アンナちゃんマジすげーなあー』と、なぜか納得するエロ板さんがそこにいた。
いや、てきとーに言っただけなんですけど^^;
真に受けてもらっても困るんですがw
---そんなくだらないやり取りをしている横から
『ちわーっす^^ 今日も活きのいいの持ってきましたよー☆』と、
魚屋さんの配達のお兄ちゃんが大きな発泡スチロールをいくつも抱えて登場です。
その量に、エロ板さんがなぜか『お、おう・・・ご苦労様です・・・』と苦笑い。
ま、魚が多い=仕事量が多いですしね^^
ちゃらんぽらんなエロ板さんには、良い釘ですw
発泡スチロールから色々と取り出すエロ板さん。
『お、そう言えば今日からこれもメニューに入れるんだったなあ^^;』と、
なんだか肌色でプニュプニュしてそうな物体を取り出した。
『え?あれって何?何?何い???』と、
興味をもった私は、箒と塵取りを壁に立てかけて、そそくさと彼に近づいたのでしたーーー
『えっとお・・・このグロいのはナンデスカ?』
私は目の前のまな板に、ぐでーんと広がる物体に指を差して答えを求めた。
何しろお嬢様育ち。
多少、伊豆大島で漁師さんたちに鍛え上げられたとは言え、この手のものはお目に掛かる事が無かったのです。
(いつも小アジとかサバとかですし。それでも魚に触れることが無かった私にとっては大進歩だったんだからねっ!)
そんな物珍しいといいますか、ちょっとばかしいかがわしい感じで見ていた私に対して、
いつものエロ板さんが、不思議そうに答えてくれた。
『これはアンコウの肝だよ^^ これから処理して“あん肝”を作るのだ☆』
・・・あん肝?
ああ~。なんとなーく聞いたことはある。
居酒屋でオジサンが頼みそうなヤツですよね^^
実際、私は食べたことは無い。
ちょっとばかしフォアグラっぽい気もするなあ。
『おいら大好きなんだよね~^^ 値段が下がるのを待ってたんだけど、どうしてもツマミ食いしたくって、マネージャーに頼み込んだw』
なんだそれ。
ようはあんたが食いたいからですかw
ま、でもそのアンコウの肝がどういうふうになっていくのかは興味が沸いた。
そしてその味も気になる。
私は邪魔をしないように横からソレを眺めていたのです。
『血とか薄い皮とか筋があるから、それを包丁でカットしてあげるのね^^
残ってると臭みの原因になるから丁寧に取り除いてくんだ』
そう言って、刃先ですいーすいーっと血の滲んだ部位や太い筋をキレイに取り除いてくエロ板さん。
『キレイになったら、ここで振り塩だ。塩をして置いておくと余分な水分と共に生臭みが出てくる。
時間にしたら、人によるけれどもボクはだいたい4~50分かな^^』
そう言いながら塩をして盆ザルに並べたアンコウの肝。
よく見ると、ところどころからうっすらと汗をかいてるように水分が出ているのが見て取れたのです。
----50分くらいを過ぎたとき
私はあらかた掃除を終えて再びエロ板さんのところに戻ってきた。
見ると、さきほどのアンコウの肝が流水にさらされていたのを確認したのです。
『ボクは結構長めに流水にさらして臭みを取るんだ。この時に滲んでる血の部分とかを丁寧にこそぎ落としたりしてね^^
そしてもういいかな~って頃合で水気をきちんととってあげる。
そしてここからはこんな感じだ』
水気をきちんと取ったアンコウの肝。
エロ板さんは厚めな部分を包丁でいくらか切り分けて、長細い感じの肝をまな板の上に並べた。
そして、ラップをおもむろに広げてそこにアンコウの肝を並べて巻きだした。
くるくると包まっていくアンコウの肝。
そして片方のラップの端を結んでから、結んでないほうの口を摘み上げて『トントントン!』と、アンコウの肝をキュウーっと寄せていた。
『こうすることで、スカスカじゃなくびっしりと締まったアンコウの肝の柵が出来るんだ^^
でもこれだけだと空気が間に入ってるので、先の尖ったものでプスプスプスってラップ越しに刺してやると、もっと身の締まったのが完成^^
最後にアルミホイルで巻いて、ギュッと形良く形成してあげるとモアベター。
ま、これはボクがならってきたことの受け売りなんだけどね』
ホイルに包まれたアンコウの肝を 湯気の立つ蒸し器にひょいひょいと入れていくエロ板さん。
『後は中に火を通すだけだ^^ あとで味見させてあげるよアンナちゃん^^』
そう言いつつ、エロ板さんは別の作業に取り掛かったーーー
営業開始30分前くらい。
私はアルコールスプレーを片手にテーブルとラミネート加工されたメニューにシュッシュと吹きかけ、ごしごしと、お客さんを迎えるべく最終的お掃除を展開していた。
エロ板さんが私を見つけるとおいでおいでをしてくれたので、えへへ~wって感じで近づいてみた。
『これが一応提供する感じのあん肝ね^^』
『マネージャーに、こんな感じで出しますけどよろしいでしょうか?と1個作ったところなんだ』
そこにはワカメと・・・胡瓜?を手前に添えてポン酢と万能ネギと紅葉おろしが乗っかった“あん肝ちゃん”が出来ていました。
『この蛇みたいな胡瓜は?』と、私はツンツンとつついてみる。
『それは蛇腹胡瓜だよ^^ 胡瓜を表と裏で互い違いに包丁を入れて、薄目の立て塩(塩水)に漬けて柔らかくする飾り細工かな。
酢の物とかにはよくおまけでつけたりするんだよ~^^』
ほえー、なるほど。
『ちなみに、形の悪いあん肝の端っこのほうをアンナちゃん用にとっておいたから味見してみる?
勿論、ただではあげないけど☆』
ほらでた! 絶対『お尻触らせろ』とかそーいうんだよこのオッサン^^;
私は笑顔で拳を振り上げるそぶりをしてみせる。
『ちょ、ま!冗談冗談^^; スタッフはお客さんに提供する料理の味を知っておいた方がいいもんね^^
だからはい、どうぞ^^』
刺身用のおちょこに盛られた不細工なあん肝をそっと私の目の前に差し出し、お箸とポン酢を渡してくれた。
そこまで言うなら食べますよ。
『美味しいんですよ~こんな感じで』と、私もおすすめしやすいですしね^^
箸にとって食べたソレに、私は少しの間を置いた。
・・・
・・・・・・おいしい!
『独特の魚の臭みとかあるのかと思ってたけど、そうでもないんですね^^
しかもレバーペーストよりも食べやすいかも^^
コクもあるけどあっさりしてる気がします☆』
私の喜んだ顔を見て、彼は満足げに続ける
『自分がなんせあん肝大好きだからね~w ツマミ食いできるなら徹底してやっちゃうよ?
下処理をキチンとこなせば、毛嫌いされる臭みも取り除かれるっちゅーもんですよ^^
そうやって出来たあん肝は正に海のフォアグラだね^^』
それを他の料理でも是非活かしてもらいたいんですが^^;
とはいっても別にエロ板さんが作る物に美味しくないものなんて無いんですけどね。
エロだけが余計^^;
『ごちそうさまでした^^』と、小声で伝え(あくまで内密の試食なので)私は再び開店準備にとりかかろうとしたのですが・・・
なぜかあん肝の横にある『別の料理』に目が止まり、
『そ、そっちはなんですか?』と聞いちゃった☆
『ん?これ? これは“オイスターシューター”ってネーミングの、生牡蠣ととろろ・ポン酢ジュレ(ポン酢をゼラチンで固めたもの)・ネギに紅葉おろしを小口のグラスに詰め込んだ料理だよ^^
一昔前にチェーンの居酒屋とかで流行ったかなあ^^』
『昔に流行ったものを今更やったりするんですか?』
私は、なんでわざわざ今更?と疑問に思った。
それと同時に昔を知らない私には目新しい商品でもあると少し思ったのは間違いない。
『ファッションとかも昔ブームになったものがまた流行ったりすることあるでしょ?
料理の世界もまた同じだったりするのよ。
モツ鍋とか昔はやったけど復活ブームが起こったりしたじゃない^^
お酒だってワインブームや焼酎ブームを幾度となく繰り返したりするしね(焼酎とか第一次ブームや第二次・第三次ブームとかあったし)
古い流行も、目新しいと思うことがあるわけだ。
なにより君の反応がまさにそうじゃないかな^^』
なるほど。確かにそうかも。
『流行ってアレと同じですね^^』
『え?アレって何?』
不思議そうに首をかしげて聞いてくるエロ板さん。
『水ですよ。空から降ってきて川になって海へと流れ込んで、再び雲となってまた雨を降らすって感じと似てるじゃないですか^^』
『ああ~なるほどね^^ 居酒屋なんて水商売なんだし、その答えが一番しっくりくるかもね^^』
オープンと同時に店の前で待ち構えていたお客さんが雪崩れ込む。
師走も真っ只中。
私は、その昔流行ったと言われる料理をトレーに乗せて、せかせかとお客さんの周りを駆け巡っているのでした。
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
次回は廃村さーくるシリーズ再びの予定です☆
(金曜日・土曜日だから、すっぽかす可能性めちゃくちゃあるけどなw)
確かにエロくみえちゃうかも。。。(≧∇≦)
by ナビパ (2012-12-14 06:07)
アン肝おいしいですよね~
さすがに自分では作れませんので、お店であるときは
必ず頼みます。
by まめ (2012-12-14 06:32)
あん肝 大・大好物です☆
メニューにあると必ず頼みます~☆(^m^)☆
肝臓類が好きなんですよねぇ・・・
おっと内臓類全般かな~(汗)
by 獏 (2012-12-14 06:35)
おはようございます。
料理は下・前処理で・・・丁寧なお店が最高ですね。
by YUTAじい (2012-12-14 08:05)
ますます ちょい兄さんのお店に行きたくなってきました。
東京かぁ 全国大会に行けたらwって
地区予選も無理っぽいのにねw
F士宮練習試合で 河津中に負けましたww
by サンダーソニア (2012-12-14 09:01)
アン肝大好き、日本酒が進みます。
by johncomeback (2012-12-14 09:51)
う~ん、あんきもに熱燗で一杯・・・いきたいなぁ(^^)
by 駅員3 (2012-12-14 11:18)
うぉ~、素敵な酒の肴がぁ~^^
昨日・今日と年末のお付き合いでヘロヘロになりそうです^^;
by 銀狼 (2012-12-14 11:18)
食べたい!!あん肝大好きなんですよ~
あん肝の作り方知らなかったわ(*^_^*)
by miwa (2012-12-14 12:21)
酒が飲めないくせに、あん肝大好きです!
こんなに手が掛かる料理なんですね~
by 風太郎 (2012-12-14 12:44)
あん肝は美味しいのはすっごく美味しいのに、たまに生臭いのがあって寂しい思いをしたりします(^^;)
そっかぁ、生臭いのは下処理をちゃんとしてくれてなかったからなんですね(*_*)
今度ちょいのりさんの作るあん肝を食べに行きたいです(^-^)
by ニッキー (2012-12-14 14:34)
暗記も美味しいですよね、生牡蠣のポン酢掛けなんて堪りませんね,岩手に行った時に岩牡蠣を食べましたがあの時のミルクたっぷりの味が忘れられません、あ~~又食べたいです~~
by 馬爺 (2012-12-14 18:36)
オレのサイズぐれ~だべが。。。?^^;
by yoshinori (2012-12-14 19:25)
あん肝って美味しいですよね♪
って言っても2回しか食べたことないですが(^。^;)
by DON (2012-12-14 23:34)
あん肝は,そうやって出来た形だったんですね.
なるほど,流石ほんまもんの板さんですね(嬉)
「流行って,水の流れと同じ・・・」
「居酒屋は水商売がしっくりくる・・・」良いですね.
おぉ~い,山田君,座布団一枚持ってきて!!!(笑)
by 唐津っ子 (2012-12-14 23:41)
師走はみんな忘年会で飲みまくってるんすか?
僕は毎日楽しく家飲みっすw
by DEBDYLAN (2012-12-15 00:01)
缶のコーンスープのコーンを全部食べる方法ってのがネットで紹介されていましたね。試してみたい(笑)。
by てんぽく (2012-12-15 02:40)
クルクル巻けるアンキモとか
トントンするアンキモとか 想像がつかないです
けど 美味しいから好きだな〜
生牡蠣のなんとかは 初めて見たぞ〜
一昔前って まだ産まれてなかったからな〜
by ねこじたん (2012-12-15 04:18)
こうやって丁寧に巻いて整形しているんだ!!
すごい!!
この居酒屋の裏物語、いつも食いついてみています!
生ガキは食べられないけど、おしゃれでおいしそ!!
by リン (2012-12-15 06:41)
とりあえず、うちの職場の自販機に250ml缶のコーンポタージュはあります^^;
…でも中身は240gって書いてあった…^^;
by 下総弾正くま (2012-12-15 11:13)
アン肝、美味しそう~!! ^0^w
これはやっぱり、ぽん酒ですよねぇ♪
熱燗のヒレ酒、めちゃめちゃ飲みたくなりました~♪
by haku (2012-12-15 13:25)
私もアン肝大好き♡。
ポン酢て食べるんだ〜。。。
いつも鍋系で食べていました。
食べたいです。。。
by chalice (2012-12-16 13:26)
あん肝は、くるくる巻いて、形を整えているのでしたか。
知りませんでした。ただ切って出すだけじゃなくて、
手間がかかってるんですね。昨日、あん肝食べました^^。
by sakamono (2012-12-16 13:31)
あん肝。ちょっと食べる機会がないです。
下処理前の肝が・・・今年の私の××写真とダブってしまいます。
by 麻小桃 (2012-12-16 23:44)
なるほど! あん肝って
そんな感じで作っているのですね(^^
ボラのカラスミとかも同じなのかな??
by たかれろ (2012-12-16 23:55)
あん肝大好きです!
何でもですが^^;
これ作ったことがあるんですが蒸し時間を15分か
20分かで悩みました。
ベストな蒸し時間て何分ぐらいなのでしょう?
大きさにもよると思いますが^^;
by 美美 (2012-12-17 19:16)
あん肝ってそうやって形を整えていたのですか!?
勉強になりました m(_ _)m
by はーく (2012-12-17 23:59)
キケンな距離感で、あん肝でよう引っ張って、イヤよく楽しませて頂きましたです(^^;)
by momiji (2012-12-18 22:16)
久しぶりにお勉強させていただきましたぁ。
by さきしなのてるりん (2013-01-02 14:50)