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第536話 長瀞・天神山城編vol⑤『サバゲーの激戦地?』レストハウス跡など [廃村さーくる]

『明後日・・・実家の稲取で成人式なのになあ・・・』

 

 残雪の乗っかった藪を掻き分け先陣を行く菅原先輩とそれに続く私たち。

 ーーーふと、

 見上げた林の向こうの太陽の傾きに『今って、そーいえば何時くらいなんだろう~』と、思わず携帯を引っ張り出して見つめた。

『11:28』

 ・・・あらら。なんだかんだ神社横を登りはじめた時から丸々一時間半は過ぎていたみたいです。

 そしてそのデジタル時間の上にちょこんと表示されてる日付に目が行った私は、ちょこっとばかし我に返ったのですう。

『1月11日かあ・・・。もうすぐ成人式ですぅ。・・・えっとあのお・・・ううう・・・成人式の前の前の日に私ってばなんでこんなとこにいるんだろうね^^;』

 声には出さないけれど、ちょっぴり苦笑いでそのデジタルな日付を見つめていた。

『先輩とか祝ってくれるのかな^^; スルーかなあ・・・わきゃ・・・^^;』

 ひょっとして・・・サプライズで何かあるかもフフフ~♪と考えたり、

 意外と鈍感だしなあ・・・と先輩の背中を見て嘆いてた。

 それはそれはほんと僅かで小さな一時の中で。

 

 ふと、先輩の背中を見つめていた視線の端から、こちらにトコトコと私に近づいてくる人が居たんです。

 

 それは『朝子ちゃん』でした。

 

 私に近づき、私の袖を掴んで、くいっくい!と引っ張ってから、

 ニッコリ私の顔を見上げながら微笑んでくれたのです^^

『・・・・・・め・・で・・・・・・・う』

 何かを言っているのですが聞き取れない。

 とてもか細い声で何かを言っている。

 でもとても嬉しそうに微笑んでくれているので、私は朝子ちゃんの頭をナデナデしながら

『なんだか分からないけどアリガトウです^^』と返したんです。

 電車で出会ったときから比べると、言葉数が減った朝子ちゃんに少し不思議を覚えたけれど、

『さあさあ!先輩が小屋の前で待ってるですよ~^^

 ちょっと怖い気もしますけど、これも廃墟めぐりの醍醐味ですゥ^^

 お茶を飲むよりアチアチアドベンチャーですゥ☆』

 そう言って朝子ちゃんの背中をぐいぐいと押しながら、藪の中に覆われた小屋へと向ったのでしたーーー

 第536話スタートです☆

天神山城跡・夕実ちゃん.jpg

RIMG0111.jpg

『うはあ・・・^^;どこがドアなのかもわからないね^^;』

 小屋の前までやってきた私たち(写真だと大した事無いように見えますが、写ってない部分が藪だらけだったりです)

 それでも中を覗き込めそうな窓を先輩が発見したのです。

『じゃあ・・・いくよ。・・・と思ったけどボクが確認してからのほうがいいかな?』

 ここまで来て先輩に露払いしてもらうことはないです。

 むしろ何があっても頑張って覚悟しますから^^;

 

 ごくり・・・

 唾を飲む音ってこんなに響くんだ。

 でもなぜかその喉がヒリヒリした。

 

 先輩に先の件で忠告されたことが頭をよぎったです。

『見てはいけないものも見てしまう覚悟も必要』と。

 

 いつの日か、トランプゲームで言う『ババを引く』日も、廃墟めぐりではあるだろうと諭されたことを思うと、緊張感からか喉を唾がうまく通ってくれない・・・

 

 それでも皆覚悟した顔を先輩に見せると、

『じゃあ・・・1、2~の3!で開けてみるよ?』

 

 ・・・先輩が窓枠に手を掛ける。

 そして・・・

 

『い~ち!』でガバッとあけたーーーー

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『2と3はどこにいったのよw』

『いやごめん^^; ボクが緊張し過ぎて思わず1であけちゃったよ^^;』

 なんだあ・・・^^; なんだかんだで先輩もドキドキしてたんですね^^;

『で!? ど・・・・どどど・・・どんな・・・って、うわあ・・・・あ? ああ? んん!? んん・・・・・』

 顔をギュウギュウと寄せつつもみんなで覗き込んだその小屋にはーーーー

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 別段、特に何もなかったです。

 あるのは波を打ち時を経た畳だけ。

 ・・・ホッとしましたけど^^;

『えっとー・・・ここってなんなのかしら?』

 なぜか不満げな首塚先輩が菅原先輩を問い詰める。

『なんだろうね^^; 倉庫とも考えられるけれど、畳があるってところにヒントはありそうかなあ。

 考え付くのは、昔、ここが可動してた頃のスタッフさん達の休憩所か寄宿舎みたいなものとかね^^』

 結果として拍子抜け。いえいえ、拍子抜けでよかったんですが、みんななぜか少しがっかり状態^^;

 ここを幾分か見回し、後にしたのですゥ。

 

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 竪堀跡?らしき広い道沿いの縁に柵を見つけた菅原先輩は

『多分・・・これであってる。おそらくもう少し下れば・・・あるはず』と、

 いいかげん引き返すかと思いきや、ズンズンと枯れ葉道を進んでいった。

 じゃあ~ここで先輩だけいってらっしゃ~いって訳にもいかず、

 結局はついて行く事に・・・(夢中になると、とことん周りの人たちを置いてけ堀する性格にはもう慣れました^^; だって分かってても好きだし☆)

 数分歩いたところで、急に目の前に背丈の高い藪が立ちはだかりましたです。

 それを先輩がグッと手に抱えて広げた向こうの世界に、私たちは思わず声にならない声を出した。

 文章で書くなら『・・・!?』

 三点リーダー+感嘆符疑問符マークでしょうかw

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『えっと・・・えとえとおー・・・先輩アレは???』

『ある意味、こっちがこの天神山城跡のメインかもしれない場所かな^^

 ま、行けば分かると思うよ^^』

 実にもったいぶって先へと促がす菅原先輩。

 めっちゃイジワルです^^;

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 残雪と背丈の高い藪に足元を取られつつも、うんしょうんしょとその建物の入り口らしきところに到着したです^^;

 

『うは・・・、結構中身は広~い物件ね。しかも雰囲気バリバリじゃない^^;』

 苦笑いを浮かべる首塚先輩。

 先ほどの城跡とは比べ物にならないほどの広さ。

 ただし、やっぱり廃墟ちゃんですう^^;

 

『そろそろいいかな^^ じゃ、行こうか^^』

 先輩を先頭にして恐る恐る入って見ることにしたーーー

 

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 絨毯の成れの果てのようなところを歩いていくと

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『先輩!先輩ですう! なんかここってロビーって言いますか受付みたいな感じがするですよ。わきゃ^^;』

『そうだね。それであってると思うよ^^』

『と言うことは・・・察するにレストハウス的物件なのかしらね?』

『詳しいことは調べてないけれど、多分、お客さんを迎え入れて食事や休憩をしてもらう建物なんじゃないかって思うよ^^』

 ここでご飯食べたり、はしゃぎまくる子供達とかきっと居たんだろうなあ~^^

 それも今は・・・ですう。

 

 もう、誰も来ることはない受付に手続きを済ませた私たちは、いよいよ建物の奥に進もうとした。

 ・・・すると、

『ねえーねえー菅原君。さっきから気になって気になって仕方がないことがあるんだけど、いいかな?』

『ん?なに?首塚さん^^』

 首塚先輩は、ちょこんとその場で腰を折り、床にある『何かを』一つまみして私たちに見せるのでした。

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『この建物に無数に散らばってる、このちっちゃい丸い玉は何かなあ~って思ってね^^;』

 んん!? そーいえば・・・よーく見ると、スゴイ数の玉が屋内に転がってるですね。

『これはBB弾じゃないかな^^』

『『BB弾???』』

 私と首塚先輩がハモる。

『いわゆる“サバゲー”サバイバルゲームで使用したんじゃないかな。

 エアガンを持って、敵味方に分かれて打ち合う遊びだよ^^

 人気のない山とかで実戦気取りで行われることが多いんだけど、

 この手の廃墟・廃屋も、その手の人たちには好まれる場所らしいしね~^^;』

 そう言った先輩は何個か摘み上げて『古そうなBB弾だなあ・・・』とボソリ。あんまり浮かない表情をしていたです。

 かつての合戦場だったかもしれない。

 その後、数百年を越えて無理矢理再現された模造の城。

 それもまた廃墟と化したです。

 そしてそれをまた利用する人。

 ・・・とは言っても土に帰ることがない無数のBB弾で穢されて野放し。

 ここは人によってどんなに作り壊され汚されを繰り返したか、と。

 私は先輩の曇った顔から色々と考えてしまいましたです・・・。

 

 

『あれ?朝子ちゃんが・・・いないけど?』

 突然の菅原先輩の声に、先ほどまで私の後ろに居たはずの朝子ちゃんを私は振り返った。

 ---あれ!?

 ほんとに居ない!

『かくれんぼでもしようとしてるのかなあ^^; でも結構年数を得て危険な建物だし、とりあえず探そう!』

 先輩の号令に、私たちはこの建物で朝子ちゃんを探すことになったのです。

 なぜかこんな状況でも落ち着いている首塚先輩が少し気になったのですがーーー

 かまわず先輩の背中を頼りに、この建物内を歩き出したのです。

 

 次回、最終回ですゥ☆

 


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コメント 23

リン

えっ?!朝子さんが?!
あ~~結末が気になる。。。
by リン (2013-02-08 05:32) 

ちゃめこ

廃墟の床が抜けてズボッってなった事ないんですか?
私には怖くて無理ですね~
ちょいのりさんの勇気と冒険心に乾杯(笑)
by ちゃめこ (2013-02-08 05:37) 

獏

ううう単独ではムリ!絶対ムリ!(@@;)
朝子ちゃんって・・・・(怖)
でも続きが楽しみ~(汗)

by 獏 (2013-02-08 05:57) 

YUTAじい

おはようございます。
大昔と現在の合戦跡ですか。
続きが楽しみですが?・・・朝子さんの方が気になります。
by YUTAじい (2013-02-08 06:39) 

まめ

困ったことですねぇ、汚すだけ汚すというその根性・・・
個人的には路上喫煙も同じと思ってますが、、、
さて、誰の化身(?)なんでしょう?
by まめ (2013-02-08 07:13) 

johncomeback

早く最終回読みたいです。
by johncomeback (2013-02-08 08:10) 

ねこじたん

成人の日 きれいなオベベを着てるヒトみながら
ジャージで ドーナツ屋さんにいました
部活だったからな〜
きれいなオベベ もう着れないな…
by ねこじたん (2013-02-08 09:06) 

サンダーソニア

イッチャッタ?のかな。
(-人-)
by サンダーソニア (2013-02-08 09:57) 

みぃにゃん

今にも歩くと床が落ちそうな感じですね~
足埋もれた事ないですか?BB弾!懐かしい。
by みぃにゃん (2013-02-08 10:00) 

しきみ

畳みって波打つんですね・・・
by しきみ (2013-02-08 10:20) 

kiyo

ちょいのりさん、
「朝子」ちゃんは、やっぱり、夕実ちゃんとも関係のある存在なんでしょうね。
菅原君か、夕実ちゃんのおばあさんの霊なのかな?
夕実ちゃん成人式かぁ。
おめでとうございます。

by kiyo (2013-02-08 12:02) 

下総弾正くま

松尾鉱山もサバゲーで荒らされてるようですね…(・_・;)
ちょっと許しがたい…(-_-#)
by 下総弾正くま (2013-02-08 12:52) 

風太郎

ここ、クワガタに凝ってる頃の友人がサバゲーやってました。
どっかで聞いたと思ってたんですよ~
だいぶ前にやめたそうですが、ココの近所に住んでます。
ちなみに元AV監督・・・
by 風太郎 (2013-02-08 15:24) 

馬爺

朝子さん気になります。
いきなり居なくなるなんてどこへ言ったのでしょう、
最終回が気成りますね。
by 馬爺 (2013-02-08 18:07) 

miwa

うわぁ~いい所で次回に続く・・・だなんて
いけずぅ~(^^ゞ
最終回が気になるな!!
by miwa (2013-02-08 19:54) 

銀狼

もしかして朝子ちゃんって・・・(>_<)
だって、首塚さん落ち着いているのが・・・ねぇ^^;

by 銀狼 (2013-02-08 21:43) 

ニッキー

えぇ、ここでコンティニューなんですか(@_@;)
うわぁ、気になる~(>_<)
ちょいのりさん、明日続きをお待ちしております(^^♪
by ニッキー (2013-02-08 22:05) 

みずき

BB弾ですか、サバゲー者の置き土産ですよね、きっと。
小学校の時、BB弾持ち込み禁止というクラスルールが
あったことを思い出しました^^;
by みずき (2013-02-08 22:58) 

Ryokies

お久しぶりの3年ぶりです。
ユーザー名変更中なのでアレですが、覚えていますか?
ブログ再開するのでどうぞよろしくお願いします!
by Ryokies (2013-02-09 09:24) 

駅員3

ええ、朝子ちゃん、どうしちゃったんだろう・・・
廃墟よりもそっちのほうが心配です(^^)
by 駅員3 (2013-02-09 11:18) 

DEBDYLAN

静岡市の成人式は3日です。
それは早過ぎないかぁって思うけど^^;


by DEBDYLAN (2013-02-09 22:27) 

唐津っ子

ちょっとだけ覗いて,怖いネタだったら,
ナイスの押し逃げしようと思ったのですが・・・(笑)

サバイバルゲームですか・・・
一時期タモリ倶楽部とかでやってましたね.
by 唐津っ子 (2013-02-09 23:23) 

sakamono

静岡って、稲取だったんですね。
稲取というと...キンメダイ^^;?
by sakamono (2013-02-11 18:07) 

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