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第541話 廃な感じの奥多摩編vol③『五十五人の華散らし』花魁淵後編&道の駅たばやま。そしてロープウェイ跡へ [廃村さーくる]

『血が繋がってる兄妹だから、えとえと・・・ええっ?』

 

『お兄ちゃんが大好きです☆』だなんて告白されちゃったもんだから、私の頭の中はドロドロとした昼ドラ状態!

 き、禁断じゃん・・・

 ふ、不潔ですう・・・

 なぜかえっちい妄想まで膨らんで、周りは雪の残る寒々とした場所だってーのに、私の頬っぺた、耳までアツアツです^^;

 

 ふと、

『どうしたの夕実ちゃん?もうすぐそこだよ?花魁淵』と菅原先輩に声を掛けられて我に帰る。

 その背中越しにニヤリとこちらを見ている琴音っち・・・(ムカッ!

 

『先ほどは心霊スポットと言ってはみたのだが・・・、そう思うかそう思わないかは君達次第だね』と、ちょっぴり切なげに、教授があるものを指差しながら語り出した。

 そのあるものとは?

 第541話、スタートです☆

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 自分の背丈の倍以上ある柱に文字がうにょうにょ書いてあるです。

『これは?』

 神妙に見つめている教授に問いかけてみた。

『供養塔だね。かつてこの近辺で凄惨な出来事があったわけなんだが・・・』

 ・・・ゴクリ

 え、ええ・・・。凄惨とか言葉だけでももう怖いんですけどお^^;

『では教授。その柱の横に書いてある“祈 交通安全”って文字も、その凄惨な事件と何かかかわりがあるっすか?』

 怖がってる私の横から琴音っちが供養塔を指差した。

 ああ~ほんとだ。確かに交通安全って書いてあるですね。

『事件とはあんまり関係無いかな^^ でもここは先ほどから歩いてみて分かっていると思うが、大きなカーブの丁度曲がり角だと言うのは分かるかね?

 事故も多いポイント。犠牲になられた方もいるのではないかな』

『じゃあ~まとめて供養してるってことですね^^』

 その言い方は酷いよ琴音っちいいいいいいいいい^^;

 そりゃそうだけどそうじゃないでしょもう!^^;

『琴音、コラ!』と、先輩のでこぴんが琴音っちの額に一閃。

 流石におふざけが過ぎたと琴音っちもベロをチョロットだして反省をする。

『まあまあ^^; まずは皆で手を合わそうじゃないですか』

 私たちは皆揃って両手を合わせ、お祈りをしたのです。

 

『そもそもここの云われというのはどういったものなんでしょうか?教授』

 そうです、そうそう。この花魁淵とその凄惨な出来事ってのはどういったことなのか疑問に思ってましたですよ。

 先輩の促がしに、教授は『うむっ』と頷いてから語り始めたです。

『戦国武将に武田信玄という人が居たのは知っていると思う。いや絶対知ってるよね?』

『『『教授・・・私たち一応大学生なんですが^^;』』』

『ああゴメンゴメン^^;最近は小中の歴史の教科書が薄くなったからねえ^^;

 授業時間も減ったし、教えなくなったことや、大幅に変わったこととかあると聞いているから。

 知ってて当たり前だった事も知らないことになってるかもしれないと、少し思ってしまったのでついつい^^;

 ま、それは置いておいて本題に行くとしますかな。アッハッハ☆

 歴史を知ってると思って説明していくからそのように^^

 ーーー武田信玄の子“勝頼”が長篠の合戦で破れ、

 自分の持ち手である“黒川金山”という金山を徳川や織田軍に取られてはならないと危惧した勝頼は、廃坑を決めるのですな。

 金山の秘密を知る者は口封じせねばなりますまい。

 情報を持つものの中には女郎と呼ばれる遊女も居たわけです。

 なにぶん男女の仲を一時二時と演ずる職業柄。

 おのずと深い情や情報を得ることが多いと考えたわけなんですよ。

 ---今で言うキャバクラでしょうか^^』

『教授うぅ・・・真面目に聞いてるんだから真面目に進めてくださいっすw』

 たまに御茶目な教授に琴音っちがダメだしする^^;

『ああ申し訳ない。・・・それでですな?

 この女郎達を柳沢川の銚子の滝の深淵の上に宴台を設け、慰労の宴と嘯き呼び込んだ訳なんですよ。

 その数“五十と五人”

 酒に踊り、酒に舞い。

 季節は諸説あるようですが、それはきっと森を染める華やかな宴であったことでしょうな。

 ---ふと、その舞いも宙に浮くことになる。

 何故ならば宴台を吊るしていた藤のツタが切り裂かれることになるからなのです。

 元々、そういう謀略だったと。

 ・・・女郎達は深淵に花のようにはらはらと、

 そして華のように散ったわけなんです。

 このことから五十五人淵、花魁淵と呼ばれることになったわけなのですな』

 なんて悲しい。今の時代からじゃ考えられないです。。。

 その話にすっかり感化された私は、泣きそうな顔をしながらもう一度慰霊塔を見上げたーーー

 

『私なら怪しいと思って少しは警戒しちゃうねマジで!』

『おお、琴音君は強気に出たね^^ 

 まあ、55人も居れば君のような人も中には居たのかもしれないね。

 でも、恐らく・・・その場を生き延びても死から逃げることは許されなかったとも推測できるのでは』

 確かにそうなのかもですね。死人にくちなし口封じ。

 後は追い刀で切ってでもどうにかすれば良いだけですから。。。

 私たちはもう一度、この花魁淵の供養塔に手を合わせ、彼女たちの冥福を祈ったのです。

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 淵に張り出した見晴台?

 そこに恐る恐る、お尻を雪に滑らせて近づいてみた。

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『深いねえ・・・マジで』

 一緒に覗き込んだ琴音っち。

 普段は勝気な性格も、さすがにここでは顔が強張っているのが見えたのですぅ。

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『ちなみに、本当にここでそのような出来事があったのかは定かではなかったりなのですな。

 場所もここより上流の場所とも言われていますし^^

 史実・事件が時を得て事実→伝承→伝説となった・・・ととと、こういう分析は野暮というものですな。やめておきましょう。アッハッハ^^』

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『では、そろそろ戻りましょうかね^^』

 教授の言葉に皆、無言でコクリと頷き、ここを後にした。

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『うううー・・・車の中は暖っかいっすね!やっぱ車最高っす☆ ね~お兄ちゃ~ん』

 教授の車に戻ってきてすぐ、琴音っちが実にいやらし~感じで菅原先輩に言ってみせる

『それはオレに車を買えってことかいw ああ~確かに自家用車あったらサークル活動も便利だけどさあ^^;』

 まあ、学生には中々・・・過ぎた買い物ですですう^^;

 別に私は今のまんま、電車バス旅でもいいですよ先輩^^

『そう言えばそろそろこのハイラックス君を手放そうかと・・・』と、教授が言いかけたのを遮って、

『ねえねえ教授!もうおなかペコペコ!あ、ペコペコって死語ですかね?w

 っていうか、そろそろお食事しませんか^^』と、琴音っち。

『う、うむ・・・。では私もそう思っていたところだ。戻る道すがらに道の駅があるからそこに行って食事を取る事にしますかな^^』

『『『さんせー♪』』』

 全会一致でこの法案は可決いたしました☆

 私たちは、その法案にのっとって、奥多摩湖への道を戻ることにしたのですーーー

 

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 と、言うことで数十分ほど過ぎた頃、

『道の駅 たばやま』へと到着です^^

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『温泉あるよ!お兄ちゃん^^ 混浴かなあw』

 そう言ってなぜか菅原先輩に引っ付いてこちらをニヤリと見る琴音っち。

 むうーーーッ!なんですか?挑発ですか琴音っちい(プンスカ!

 男兄弟やお父さんと一緒にお風呂入っていいのは小学校低学年までですよプンプン!

『中々、仲睦まじい兄妹ですなあ君達。アッハッハ^^』

『いや・・・あの・・・えと・・・普段はこんなんじゃないんですけど^^;なんでよ?』

 菅原先輩は汚れでも付いたんじゃないかというくらいに琴音っちを引き剥がそうとするけど、彼女は頑固汚れのようにシツコイ感じですう(私にはそう見える)

 教授さんが売店の人に食事処はどこでしょうかと聞いて、ようやくランチタイムにありつけることになった私たち。

 券売機で皆思い思いに料理を選んだのです^^

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『お兄ちゃんは丹波鹿丼? ん?教授は丹波鹿そば? で、夕実っちは?』

『うーん・・・色々悩んだあげく、鹿肉カレーにしちゃったよ^^ わさびカレーも気になったんだけどね^^』

 ここ道の駅たばやま。私たちが訪れた軽食レストランの方には鹿肉を全面に押し出した蕎麦やカレー、丼物などがあったのです^^

 せっかくですし、みな物珍しさとご当地チックなメニューを楽しみたくてこんな感じになったって感じ^^

(温泉施設の方にもお食事処がありますよ~^^)

 ---ふと、食事を待っている間

 パノラマビューになってるガラスの向こうの山の天辺に、

 小さな小さなお城っぽいものが見えたです。

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『先輩、あれって?』

『うーん・・・何かのお城なのかなあ^^ なんか、ちょっと前に行った長瀞の天神山城跡を思い出してしまう造りだね^^;』

 先輩は、先月に一緒に出向いた廃墟『天神山城跡』に似てると呟いた。

 そこはかつて実際にあった城跡に近代になってからコンクリートの模造の城を建て、それもまた廃墟に至ってしまった悲しい場所。

 私もちょっとばかり同じことを思ってしまったです。

『ああ、あれ?あれは丹波山村水源公園のローラー滑り台のスタート地点の展望台だよ^^』

『『『展望台!? ローラー滑り台!?』』』

 私たちは絶妙にシンクロして驚いたですw

 そして更に教授は付け加える

『全長247メートル、高低差42メートルの元・日本一のローラー滑り台だったそうだが・・・後発の滑り台に追い越されて今や第4位か5位だそうだ^^;

 なんでもかつての竹下首相の政策事業“ふるさと創生一億円配布”(1988年~1989年)の時に造られたものらしい。

 ま、さっき食堂のおばさんに聞いたんだがね。アッハッハ☆』

 地方自治体に町おこしになら勝手になんにでも使ってちょうだいな!と、配られた一億円をローラー滑り台に!?

 ちょっとばかし、ええーっ!?とは思ったけれど、それはそれで面白いなあ~と感じた^^

 だって子供が有意義に遊べるなら良い使い道なんじゃないかと。

 その後は子供じゃない私たちなのに『滑ってみたいっす!』『えへへ^^; 実はボクも滑りたいかも』『わきゃー☆滑り台大好きですう!』なんて盛り上がりながら食事を待ったと言う訳です♪

(今回は行かなかったけれど、いつか行ってみたいねえ^^ アスレチックとか遊具とか大好きだしさあ~^^)

 そしてようやく登場。

 あ、これは先輩の鹿肉丼です(私のは写真撮るの忘れちゃった☆ 琴音っちの?そんなん知りませんです)

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 臭みとかそーいうのまったく無いですう!

 皆、思い思いに平らげて小腹を埋めつつもーーー

 いよいよ本日のメインとなる場所へと赴く為、教授のハイラックス君へと再び乗り込んだのですぅ☆

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 ---数分後

 右手に湖を望む景色に突入。

 ふと、信号待ちで車が止まったところで教授さんがフロントガラス越しに向こうを指差した

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『見えるかな?あれが今回、君達を待ってる“奥多摩ロープウェイ跡”だよ^^』

 その先を見やると、雪山の肌にうっすらと建物があるのを確認できたです。

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 ・・・これまた廃墟に訪れる方へのご親切なのでしょうか?

 その廃墟のまん前に奥多摩湖の駐車場スペースが鎮座してるのです^^;

 せっかくですのでドライブイン!

 教授さんが止めた車から私たちは降り立ち、すぐ目の前に聳え立つロープウェイ跡へと歩を進めたのですぅ☆

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『さあ、いざいかん。奥多摩ロープウェイ跡へ!』

 教授さんの言葉に一同、雪の残る道路わきの階段へと踏み出した。

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 そして、私たちを迎えてくれた建物は、

 遠目からは小さく見えたものの、聳え立つその様はとても大きなものだったのですーーー

 

 次回に続くです。わきゃ☆

(ここまで読んでくださりありがとうございました^^ 

 今日明日は記事を書くことで精一杯^^;

 なにしろ居酒屋的に稼ぎ時の金曜土曜だかんねw

 そのうち皆のとこに訪問しようと思います。

 ちょいのりさん@がんばらない☆

 


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唐津っ子

花魁淵には悲しい記憶があったんですね.

お酒に視線が釘付けのちょいのりさんが眼に浮かびそうですよ(笑)
もしかして,ハイラックスの嫁ぎ先はちょいのりさんのところ?
(五月雨で失礼します)
by 唐津っ子 (2013-02-23 11:02) 

ちょいのり

実は今回、一滴もお酒飲んでないのですよ~(道中は^^

by ちょいのり (2013-02-23 11:10) 

獏

鹿 喰いたい~(@@:)
読んでいるうちに
どっちがどっちか分からなくなりそう~(汗)

by 獏 (2013-02-23 12:18) 

駅員3

道中の禁酒、禁煙は大変でしたね、アッハッハ(^^)/
鹿肉は、おそらく近くの山で取れたものをすぐに捌いたのでしょう。
癖がなくて、美味でしたね。
今度、いい鹿肉が手に入ったら、燻製にして部活の打ち上げのときにでも差し入れてあげましょう。
by 駅員3 (2013-02-23 13:03) 

sakamono

免許取立ての頃は、奥多摩湖や花魁淵あたりまで良く行きました。最近では(2~3年前だけど)丹波山村でキャンプもしました(1人^^;)。わさびカレー、美味しかったですよ^^。そんなふうに奥多摩には親しんでいますが、ロープウェイ跡があったなんて知りませんでした。
by sakamono (2013-02-23 14:05) 

風太郎

ローラーすべり台は時々行きますよ~
息子らも年齢来たからボチボチ行く事もなくなるんだろうなぁ。
奥多摩周遊道路は未だに首無しライダー出るのかなぁ・・・
自分が高校生の頃は度々夜間に侵入して走ったっけ。
by 風太郎 (2013-02-23 17:14) 

下総弾正くま

おや、あの写真が教授ですか(-_-)ニヤリ
どこかでみたことあるような…(-_-)ニヤリ
鹿肉ゲットしたら教授が鹿カレーを…(-_-)ニヤリ

…ちなみにそこの温泉、混浴は無かった気が…(・_・;)
でっかいタバスキーはいたけど^^;
by 下総弾正くま (2013-02-23 17:42) 

johncomeback

2年前北海道に帰省した時に、札幌大通り公園で
エゾ鹿カレーを食べましたが、奥多摩の鹿肉は、
ニホンカモシカ?
by johncomeback (2013-02-23 20:45) 

DEBDYLAN

鹿肉の刺身って美味いよね^^。
おふくろの実家で昔食べたコトあるだけだけど。

by DEBDYLAN (2013-02-23 21:01) 

銀狼

半分くらい・・・に笑ってしまいました^^;
シカ肉久々に食べたいなぁ~^^
by 銀狼 (2013-02-23 23:45) 

YUTAじい

こんにちは。
楽しい道中・・・伝わります!
拝見してても笑っちゃいます・・・。
by YUTAじい (2013-02-24 10:36) 

まめ

何故丹波?<丹波=兵庫 でインプット済み
歴史の話も事実はどうなのかはわかりませんからねぇ。
勝てば官軍、判官びいきなど尾ひれどころか内容が
すっかり変わってることも多々ありますしねぇ。
by まめ (2013-02-24 10:49) 

ねこじたん

車移動ってめずらしな〜
って思ってたら!
んま♪ 楽しい道中だったのですね
by ねこじたん (2013-02-24 12:45) 

macinu

1億円ありましたよね~!!懐かしいです~!!金塊かった街もありましたよね~!
by macinu (2013-02-24 13:15) 

テンポイント

キャバクラてわかりやすですw
by テンポイント (2013-02-24 13:32) 

ニッキー

ご無沙汰しております<m(__)m>
今回なぜ教授が初登場かと思いましたが・・・
教授とはあの方の事だったんですねぇ^m^
奥多摩は微妙な距離なのでなかなか足が向きません^^;
by ニッキー (2013-02-24 16:11) 

chalice

鹿肉は未だ食べた事がありません。。。
by chalice (2013-02-24 18:02) 

haku

花魁淵
そんな史実があったんですねぇ...
鹿肉、旨いんですよねぇ♪
随分食べてないです ^^;
うちの元ベースの人は猟友会だったので ^m^
by haku (2013-02-24 18:10) 

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