第558話 碓氷煉瓦のアーチ編vol⑤『目と目が合ったらミラクル?』旧・熊の平駅跡&熊なのに熊じゃない! [廃村さーくる]
『時に後輩ちゃん?ーーー私が思うにだよ。なんか君って浮かない顔してるように思うのだが気のせいかな?』
第六号トンネルに入ったところで、相楽先輩がこっそり聞いてきたのです。
この言葉に対してどう返すか考えた。
答え如何によっては、色々とチャンスだと思ったから。
魔女っ子アニメの主人公が変身するわずかな時間くらいの間に色々と頭を回転させる!
その瞬間で選んだ言葉はコレでした。
『なんかですね、菅原先輩と相楽先輩が仲が良すぎて正直嫉妬ですよ~。えへへ☆』
菅原先輩や琴音っち、首塚先輩が私たちから少し離れていたのを確認してから
実に明るい感じで棘のないように。でもそのくせ本心も入ってたりな返答をした。
さあなんて言って来るのか。私はちょっぴり緊張をする。
『仲がいい?そお?私は特段なんとも思ってないのだがねえ^^;
共通の趣味・・・では無いが、割と近しい趣味の間柄でもあるので実に話しやすいのだよ彼は^^
まあ、私の性格がだいぶ偏っているのに彼は親身に付き合ってくれるから、その恩義は当然のごとくある^^
・・・というか後輩ちゃんは菅原君がお気にのようだね^^』
ここで再び返答を用意するのに躊躇した。
今度は二択
A:『あはは^^冗談ですよ~』とお茶を濁す
B:『そ、そそそそ、それでわ菅原先輩とは友達レベルの好きってことなんですね!えへへ☆』と、とても嬉しそうに返す。
・・・結局私が選んだのはAの方でした。
第558話スタートです・・・
『およ?お兄ちゃん!お兄ちゃん! なんかめっちゃ明るいんだけど!』
先行く琴音っちが指差す方向が妙に明るかったのです。
どうやら外の光が入り込んでいるみたい。
天井からも
そしてトンネルの横からも^^
『お、ここは外に出れそうだねw ちょっと冒険してこようよ^^』
菅原先輩は実に嬉しそうに、トンネル横の窓らしきところに手を掛けて這い登っていったです。
『じゃあ私もw なんだかトンネルばっかで飽きてきたしw』と琴音っちもそれに続いた。
結局みんな琴音っちと同じ考えだったようで(私もです^^;
先に上った先輩に手を引かれつつトンネルからの脱出をしたのでした。
『これがトンネルの上の部分になるんですか?わきゃー☆』
『そうだね^^ あんまり上のほうには行かないほうが良さそうだね』
『・・・でさ、さっきの窓みたいなのは何すか?』
琴音っちの疑問に、相楽先輩が、う~ん・・・と言いながら答えてくれたのです。
『恐らく・・・採光窓かなあ。天井の穴は通気坑・通気塔の類かもだね^^
元々機関車が通っていたのもあるし、排煙がどこかしらで必要だと思われるしね^^』
私たちは再びトンネル内に戻り、先を急ぐことにしたです。
出口が見えてきたところで再びその視線の向こうに別のトンネルの入り口が・・・^^;
『えっと・・・お兄ちゃん?もう発狂しそうなんだけどw なにこのトンネルのエンドレスw』
『まあ~・・・二十六って言われてるしねえ^^;』
相楽先輩以外は少々トンネルに食傷気味かなあ~という雰囲気でした^^;
そして、第十トンネルを越えたところで、ようやく変化があったのです!
一番先頭を行く相楽先輩がパンパンと両手を叩き
『みんな頑張ったね^^ さあ~ここが最終目的地の“熊の平駅跡”だ☆』とトンネル出口で私たちを向い入れる。
その先輩の手で背中を押され、送り出された外の景色は今までとは別物でしたです。
『えっと・・・あの碑はなんでしょうか?』
首塚先輩がかしこまったように、トンネルから出て直ぐの場所にポツンと佇む社を指して相楽先輩に聞く。
『ここは、かつて死者50を越える大規模な崩落事故があったのだよ。
昭和25年、大雨による最初の土砂災害では人的被害は無かったのだけれども、
復旧作業に当たっていた作業員たちが、その後の土砂崩落の波に飲まれることになる。
いわば二次的被害、二次災害。
それで終れば良かったのだが・・・
その後も崩落が彼らを飲み込んだ。三次四次とね・・・』
首塚先輩に答えている相楽先輩は、中空を悲しい目で見つめていた。
それはそれはとても悲しい目。
当時、そこに居たはずも無いのに、まるでその時の風景を思い起こしてるかのように。
先輩の話す言葉から私たちもその時の状況をぼんやりとイメージしてしまった。
・・・
・・・
冷たい・・・土の・・・中・・・
うう・・・。
想像しただけでも耐え難いです・・・。
---私たちは当時の方々を思い、慰霊碑と社に手を合わせたのでした。
『さあ、みんな御霊に祈ったようだね^^
色々思ってくれたみたいで私は嬉しいよ。
今ある利便は何かの犠牲の上ってことも多々だったりする。
・・・ここは今ある利便すらなくなってしまった廃駅廃路線ではあるけれども、
知ってもらって悲しんでくれたようでアリガトウ^^』
まるで被害にあわれた犠牲者の親族であるかのようにお礼を言う相楽先輩。
---なんだろう?
もし私が菅原先輩だったら、相楽先輩を好きになってしまう自信があるなんて少し思っちゃった^^;
恋のライバルと勝手に思って遠くに見ていたんですが、
彼女のそういうところにとても共感したのでした。
『おっ!これが廃墟マニアには有名な“熊の平変電所跡”ですね、相楽さん^^』
『何を言う。これは鉄道マニアのものだよ菅原君。そこだけは譲れない☆
当然のごとく心霊マニアは論外だね^^』
それを聞いてた首塚先輩はとても小さくなっていた^^;
慰霊碑のすぐ傍に佇む大きな建物。
どうやら先輩たちが言うには、かつて変電所としてこの碓氷旧線の列車たちを助けていた建物のようです。
それも今や廃墟。
コンクリートの壁のシミや割れ窓がかなりの行く年を経たんだなあと物語っていましたです。
『あの中に入れたらなあ・・・』
立ち入り禁止であろう、遠くにソレを見つめる菅原先輩が、親指をちょこっと噛みながらウズウズしているのが見えました^^;
そこにーーー
『私はルールに則ってがモットーだからねえ^^; 菅原君の気持ちは分からないでも無いが、無断侵入は気が進まないかな』と、
相楽先輩が忠告。
『相変わらずですね^^ ボクも心がけてますよ。
かつて貴方がボクに言ったことは・・・なるべく守ってるところです^^』
『なるべくなのかw』
私たちを残して二人で盛り上がって笑い合う菅原先輩と相楽先輩^^;
彼、彼女の間にしか分からない話にちょっぴり嫉妬です^^;
(※ 簡単に説明しますと、立ち入り禁止と謳っている廃墟には絶対踏み込まない相楽さんが、侵入を試みようとする菅原君を諭すというエピソードが昔あったのです^^ → ☆)
『あれ?なんかアソコに書いてあるぜお兄ちゃん!』
琴音っちが熊の平変電所跡をぐるりと囲んだフェンスの一角を指差しながら言う。
『こ、この中に御用のある方は下記に連絡ください・・・だとォ!?』
それを見た菅原先輩は大歓喜!
さっそく携帯を取り出して電話しようと試みた。
ーーーですが、相楽先輩がニヤリとしつつも優しく菅原先輩のガラケーをパタリとそっと閉じた。
そして
『また今度ね♪』と笑ってみせる^^
菅原先輩が苦笑いで『あはは・・・まあ・・・ね^^;』と、何とも言えない感じで返してたのが印象的でした。
そんなこんなで結局外観から嘗め回すように覗き込んだり、カメラを構えたりする菅原先輩。
私たちもそれに付き合って遠目に見てましたですぅ^^
ーーーここで、
いつのまにか熊の平変電所跡に夢中に“なりすぎていた”と、実感させられる事が起きた。
菅原先輩と一緒になって『なかなかスゲー建物だなあ』と、熊の平変電所跡を眺めていたはずの琴音っちが、
なぜかソレとは逆方向を見据えて、声にならない声で口をパクパクさせていたのですぅ。
それに気づいた私たちは、何を見て驚いてるのか?と、いっせーのーせいっ!ってな感じで皆で振り返った。
---正直めちゃくちゃビックリだったです。
今居る歩道から廃線のレールを挟んでの向こう側の山間に
『鹿さん!?』
しかも距離にして3~4メートルの超至近距離なんですけどっ!
全員が全員!
あまりにも近い野生動物との遭遇にビックリ金縛り状態!
『・・・みんな、あんまり刺激しないように』と、相楽先輩がみんなに小声で忠告。
しばらく鹿さんとのにらめっこが続くことになったのです。
そして記事も続くw
ここまで読んでいただきありがとうございました^^
鹿だったのかあ。でもほんとに3~4メートルの距離?
ああ、ガチでな^^; たまたま振り向いたら目の前にデカイ鹿だったから心臓ばっくばくだったよw
この熊の平変電所跡に来た時に、周りの風景も写真におさめていて、そんなところに居ないことをすでに確認済みだったしね^^;
っちゅーことは、向こうから近づいてきたって事なんすかね。
結構臆病な動物だと思ってたんだがな^^; まあ~驚いた驚いた^^;
さて、次回はロケハン的には蛇足も蛇足なんだけれども、物語の都合上、最終話を書きたいと思ってます^^
(本日は休日で、再びロケハンに群馬の方に行く予定です^^ そのお話はまた後日にやりますので気になる方はきにしていただいてかまわないんだからっ!)
素敵?な出会いでしたね^^
熊じゃなくて本当に良かった\(;゚∇゚)/
by reorio (2013-04-10 01:28)
読んでなかった過去ログも併せて読んだら,ちょっと疲れた・・・(笑)
島旅などの旅行系も面白いですが,廃村系もなかなか.碓氷峠って聞いたことはありましたが,いろいろと歴史があるんですね.う~ん,面白いです!!!
ところで,動物ですが,もしかして天然記念物の日本カモシカでは?
by 唐津っ子 (2013-04-10 01:46)
相変わらず、ボリュームがありますね。本にしたら、何巻くらいかな~と、考えてみたりしてます。時間の都合で、なかなか読めませんが、前回の熊出没注意の看板、伏線だったのかと思い、一瞬、驚きました。^^;
by 「直chan」 (2013-04-10 02:23)
群馬 侮れませんね
入りたいな~
廃村サークル
by (。・_・。)2k (2013-04-10 03:30)
なるほど、素敵な出会いはカモシカさんかぁ。
自然の中、至近距離で見られることは滅多にない
でしょうね。それにしても内容充実、寝ずにロケハン
に行った甲斐がありましたねd(⌒ー⌒) グッ!!
by johncomeback (2013-04-10 06:01)
う〜ん、こんなところ煉瓦研究の仲間と出かけたら、それこそ数十メートル歩くのに数十分かかってしまうかも(^^)
by 駅員3 (2013-04-10 06:56)
ニホンカモシカ 天然記念物ですよ
獲って食べたりしてませんよねww
by 獏 (2013-04-10 07:00)
おはようございます。
本日も充分堪能させて戴けました。
続きも楽しみです・・・無理しないで行って来て下さい。
by YUTAじい (2013-04-10 07:19)
鹿をシカとご覧あれ(^_^)
天然記念物に会えるとはすごい!
by いそいそ (2013-04-10 08:02)
大きい鹿さんですね!穏やかといえどやはり対面するとね・・・。
by みぃにゃん (2013-04-10 09:38)
トンネルすべてが煉瓦作りなんですね、しかし煉瓦って強いものですね。
この鹿まだ子どなのかな?
産毛のようですね、それとも冬毛?
by 馬爺 (2013-04-10 09:45)
れんが造りの探検はワクワクしてきますね!^^;
by ソニックマイヅル (2013-04-10 10:15)
ちょいのりさん、
ステキな出逢いは、鹿さんでしたか。
昔は、日本のそこら中にいた鹿も、人里は慣れた山に篭っているようなものですからね。
保護される身でありながら、やたら食い尽くす害獣でもある、人間にとっては、可愛らしくも迷惑な存在ですね。
夕実ちゃんの立場が、一段と微妙になってきました。
いっそ、相良先輩に仲を取り持ってもらうように頼んじゃう展開とかは、無理ですかね。
by kiyo (2013-04-10 10:24)
野生のニホンカモシカは、流石にお目にかかった事ないです~。
エゾシカなら何度もありますが^^;
by 銀狼 (2013-04-10 11:28)
ニホンカモシカは
鹿じゃなくてヤギに近い?と うろ覚え^^;です。
by サンダーソニア (2013-04-10 11:41)
最近は真夜中に山ん中でコヤツに遭遇する事が多くて。。。
MTBで獣道ダウンヒルやっててあわや衝突とか (^^;
星を撮ってていきなり至近距離に来られるのはホント困ります。
by 風太郎 (2013-04-10 13:02)
振り向いてこんなに間近に野生のニホンカモシカがいると思わずのけぞっちゃいます(*_*)
ちょいのりさん、もしかして野生動物に好かれるタイプですか(^O^)
by ニッキー (2013-04-10 14:03)
可愛いですねぇ
まぁ、急に目があったらビックリもしますが
基本動物好きですからそっと観察して
そうですわ^_^
精力的ロケハン、乙です
by まめ (2013-04-10 14:34)
日本カモシカでよかったね~
イノシシや熊だったら大変だあ^^;
by 美美 (2013-04-10 15:11)
わ、カモシカさん?ビックリ~。
美美さんじゃないけど、イノシシや熊じゃなくて良かった^^;
あ、件のナノブロック好きなくまさんじゃなくて^^
by tomomame (2013-04-10 19:33)
かもしか。牛の仲間ですね。もー。
はっきり言って。鈍です。(^^;;
by 水丸 岳 (2013-04-10 20:12)
ニホンカモシカ、良いですね~^^
でも、向かってくることがあるそうなので実はアブナイとか。
けっこう血の気が多いんですかね。
その短いツノで突き上げるらしい。。。何事も無くてよかったですね。
by ジル (2013-04-10 21:43)
鹿を刺激しないように配慮したシカトですか(^^;)
by momiji (2013-04-10 22:25)
カモシカΣ(゜Д゜;
…野生の仲間じゃなくてよかったですねヽ(・Å・)ノ ガオッ
by 下総弾正くま (2013-04-10 22:40)
シしっカり こっちを観察していますねw
by サンダーソニア (2013-04-12 09:09)
『目と目が合ったらミラクル?』って、
僕のソウル・ブラザーのblogの旧タイトルだぁ!!
ソコでビックリしたんだな今日は^^;
by DEBDYLAN (2013-04-12 23:47)
トンネル すごい数〜
でも 越えるたびに
ぱぁ〜って開ける感じがいいですね
シカ! シカサン! 大サービスですね
by ねこじたん (2013-04-13 01:23)
「廃墟マニアには有名な」なんていう建物があるんですね。
どの世界も、ハマってみると面白そうですね。
私も昔、奥多摩の山でカモシカに遭遇しました。
なぜヤツらは、じーっとこちらを見るんでしょうね。
by sakamono (2013-04-13 12:54)
カモシカですか(^^
確かに、いきなり出会ったらびっくりしますよねw
by たかれろ (2013-04-13 16:37)
トンネルの中では大声で叫びたくなる(笑
そんな大人です(^^ゞ
by DON (2013-04-14 11:51)
はじめまして。
楽しく読んでいたら
あんまり長かったので疲れました。
よかったら、遊びにきてね。
by tamatora★ (2013-04-24 18:02)