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第588話 群馬・シズカ山スキー場跡編☆vol③『廃鉱跡の上に建つ廃墟』 [廃村さーくる]

『スキー場とか子供の頃、憧れだったですぅ・・・』

 

 シーズンを過ぎたと言うよりも、スキー場そのものが役目を終えてしまったその夏の山肌を遠くに見つめながら

 夕実ちゃんがボソリと呟いた。

 ボクは同郷の夕実ちゃんのキモチにうんうんと頷く。

 そしていつのまにか熱く熱く語り出していた。

『そうだよね・・・。うちらの住む土地はほとんど雪とか降らないし積もらないしね。^^;

 天城の山が邪魔して、同じ県だと言うのに富士山すら見えないとこだしなあ^^;

 子供の頃、箱根の山に雪が積もったから行くぞ!と、お父さんに連れられて、

 子供用のソリを車の後ろに積み込んで滑りに行ったのが懐かしいよ^^

 なんでもない緩やかな丘だったと思う。

 雪が解けたら多分、道路脇の小さな小さな斜面だったんじゃないかなあ。

 でもそれでも嬉しかった。

 ガリガリ言わせて短い斜面を滑り降り、お父さんが受け止めてくれてさ、

 またソリを引き連れて上に上がっていくその繰り返しなんだけれど、

 今でも忘れられない楽しい思い出なんだ~^^』

(実話です

 

『私は青森出身だし、どちらかというとウンザリだったかしら^^; でも不思議よね^^ 雪を見慣れてる人や見慣れてない人もいるんだから、やっぱりなんだかんだで日本って広いのね^^』

 首塚さんの話に皆頷き、そこから雪の日の思い出話し合戦がはじまった。

 第588話スタートです☆

リンダ・シズカ山廃スキー場跡編☆2.jpg

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『あれ?お兄ちゃんお兄ちゃん!なんかアソコに屋根っぽいの見えるぞ!』

 小川で納涼を楽しんだボク達は、藪を抜けてようやく草が生い茂る駐車場跡へと戻ってきたのだがーーー

 琴音が駐車場跡脇の林に建物らしきものを見つけたのだった。

 せっかくなので行ってみることに。

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『トイレ跡みたいデース^^;』

『うん・・・トイレだねえ・・・^^;』

 駐車場脇に造られたのだろう、トイレの廃墟。

 特に何も無いことを確認して、さっさと次へと向うことにする。

 が、

『わきゃ・・・。でもなんか真新しい気もするですね・・・』と、ボク達の列の後ろのほうで振り向きつつ夕実ちゃんが呟いたのが聞こえた。

 中々良いところを見ているね夕実ちゃん^^

 その答えはこのあと分かってくると思うからね^^

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『さ!ここから少しばかり上を目指すよ^^ とは言っても頂上まで行くわけじゃないから安心してね^^』

『『『・・・は~い^^;』』』と、実に気の無い返事が返ってくる。

 そりゃ~女の子っち的にワクワクするようなものではないだろうケド、もうちっとサークル活動として声だけでも出してくださいよお・・・^^;

 ボク達はぺんぺん草がところどころに咲く、廃な道をゆっくりのんびりと登っていった。

 するとーーー

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 いかにもスキー場にありそうなブツに突き当たった。

『これ?リフトとかの巻き上げ機かしらね^^』

『お、なんかスキー場の廃墟にきちゃいましたって感じになってきたっすね^^』

『ここからどこまで繋がってたンデスカネ^^』

 この使用されなくなった機械と、そこから伸びていたんだろうリフトの先の山肌を交互に見つつも、少しばかりか彼女たちの興味も出てきたようだ^^

『じゃあ~、そろそろアソコに行って見ようか^^』と、ボクはある建物を指差した。

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『わきゃー・・・あそこです・・・かあ???』

『え?あれって今回の廃スキー場に関係有るのかしら』

『なんかとても真新しい感じデース^^;』

『お兄ちゃん。私ってばてっきりアノ建物は、よくある廃墟跡地を利用して造られたようなセミナー施設とか企業さんの研修施設だと思ってたっすけど・・・。

 まさかアレって廃墟???』

 皆がそう思うのも不思議じゃない。

 見た目にもとても新しそうに見えるし、パッと見、現役で使われていてもおかしくない外見だったから。

『ま、百聞は一見になんちゃらだよ^^ とりあえず見に行ってみよう^^』

 先ほどまでそれほどの興味を持たなかった彼女たちも、流石に食いついた。

 それほど廃墟とは反比例した建物だったからだと思う。

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 駐車場を過ぎ、

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 ボク達は、この巨大な建物の真下までやってきた。

 スキー場の施設案内板を指差して琴音が皆に振り返る。

『うわあ・・・。ベースロッジ(スキー場の麓にあるメインの建物)って書いてあるっすよ^^;

 っちゅーことは・・・』

 皆も琴音の言葉にもう一度この建物を見上げて、なんともいえない表情を浮かべていた。

『そう。実はこの建物も立派な廃墟なんだ^^ ・・・えっと、正確には少し違うんだけど、それは追々説明するね。

 とはいえ、せっかくここまで来たんだし、ぐるりと建物のまわりを巡ってみようか』

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 玄関口まで辿り着いたボク達。

 ところどころ寂れたところも目には付くが、経営が芳しくないシーズンオフのスキー場ならば、こんのくらいアリじゃないかと思えたくらいだった。

『アレ?玄関開いてるっす☆ んじゃま~ちょっとだけ。えへへ~^^』と、琴音がガララーと自動じゃない自動ドアを開けてさっさと中へと入ってしまった。

『こらこらこらー!^^;』と言いつつもボクは追いかける。

 仕方なく他のメンバーも追従するのだが、

『スガワラサン。仕方なく潜入するデスのに、とっても嬉しそうな顔デース^^』と、リンダに指摘されてしまった。

 ・・・ばれてるかw

 実は入れるのなら入ってみたいし見てみたいところだった。

 相楽先輩がここに居たら・・・外観見物だけで止めておいたんだろうけど^^;

(あの人は廃墟と言えども不可侵のポリシーがあるから。まあ、当たり前のことなんだけれども)

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『うわ・・・。中にはいってみると、やっぱり使われてないのが分かるわね^^;』

『あの人型のパネル・・・何に使われてたのか分からないですが・・・怖いですう^^;』

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『ストックが落ちてるデース。よく見ると、BB弾みたいなのも散らばってるデス^^』

 どうやらこの廃墟もサバイバルゲームマニアの巣窟のようだ^^;

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 琴音を追いかけてきたものの、まったくもって見つからない^^;

 昔からアイツはかくれんぼが得意だったとはいえ、こんな廃墟でかくれんぼされてもたまったもんじゃないよ^^;

 何しろ人の手を離れた廃墟というものは危険が伴うことも充分あるのだから。

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 琴音を探しているうちに、元お土産コーナーだったであろう場所へと迷い込んだ。

 ここでリンダが急に普段滅多にみせないような真顔になり、首塚さんへと小さく語りかけているのが聞こえた。

『少し、霊的なものを感じるデース。でもそれは凄く僅かだと思われるデス』

『そうね^^ “なんだかこの建物が建つもっと以前の霊的なもの”を微かに感じるわね』

『わきゃー!もーそういう怖い話しないでくださいです^^;』

 どうやら首塚さんとリンダは、この建物の何かに気づいたようだ。

 ボクは霊的なものと廃墟を結びつけるのは大嫌いである。

 でもその彼女たちが感じ取った何かのニュアンスに、少しばかり『なるほどな』と思ったのだ。

 

 ---ふと、

『おーーーーい!凄いの見っけちったっすーーーーーーーーー!!!!』と、琴音の声がこだました。

 ボク達は琴音の声がする方へと走り出した。

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『ここすごくね? スキー道具一式そのまま放置プレーだよ^^;』

 琴音の声に追いついたボク達。

 そして見まわしたそこは、スキー場内にあったであろうスキー道具やスノーボードの道具を貸し出す『レンタルルーム』だった。

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『ストックから板やブーツから何から何までそのまんまなのね・・・』

 首塚さんが言うように、ほんとうにそこにそのまま道具一式が残されていた。

 これはあまり言いたくないのだけれど、

 この手の廃墟物件には“持ち去り”が多くあるものなのだ。

 どうせ廃墟なんだろ?だったら持って行ってもいいじゃねーかと言う連中もまたいるわけである。

 勿論、どんな廃墟であろうが土地の所有者は存在し、そしてそこにあるものはどんなに荒れ果てたものでも持ち出してはいけないのだ。

 土地の所有者に断わりを入れたのならば堂々と闊歩し、

 許可を得たならば持って行ってもいいものもあるのかもしれない。

 そうでない人間は、末席でこっそり申し訳ない感じで眺めたりするのが廃墟の暗黙のルール(それでもぶっちゃけ違法です)

 だからこそ、ここまでキレイに残されていることに正直驚く。

『これってさあ、普通に使えるよねお兄ちゃん^^;』

『使えるだろうな。でもそのままにしておこうぜ^^』

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 ボク達は息苦しい廃墟から、プハーっ!と海の中から飛び出すように建物の外へと出た。

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 迎えてくれた景色は廃スキー場の山肌ではあるけれども、中にいるより断然気分の良い世界。

 みんな、スーハースーハーと新しい空気を胸に溜め込んで、

 廃墟独特の重苦しい空気をすべて出し切って心を落ち着けるのです。

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 外に出た先に、いかにもスキー場のゴンドラの発着所的場所を目の当たりにする。

 屋内よりは開放的。

『ゴンドラ跡っぽいねあそこ^^ せっかくだし見てみようか』

 ボクの言葉に気の良い言葉はあまり帰ってこないのだけれど、皆ボクの後にゾロゾロとついてくる。

 小さなブッシュを蹴散らしてそこへと進み始めた矢先、

 夕実ちゃんが、藪にこっそりと隠れていた、いかにも人工物な物を発見して声を上げる。

『石碑があるですう^^;』

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 その石碑に彫られているのはーーー

『白根鉱山跡地』

 ボクはその石碑を指差してこう皆に言った。

 

『ここは、廃鉱の跡地を利用して造られた廃スキー場なんだ』

 

 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 首塚・リンダの霊的なお話はなんだったのかも、ここの施設の過去や今も、

 次回の最終回で分かると思います^^

 ではでは☆

 


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コメント 26

サンダーソニア

二重の廃墟なんですね。
by サンダーソニア (2013-07-16 12:01) 

まめ

なるほど、そっちの方が目当てでしたか。
新しかろうが廃墟には入りたくないですねぇ。
洞窟になると尚更遠慮したいです。
鍾乳洞も観光で整理されてても怖いです~
by まめ (2013-07-16 12:11) 

獏

自分もこういうところ怖いなぁ(^w^)☆
女の子と一緒でもビビる・・・・(@@;)))
霊的な・・・・その正体はっ!!??

by 獏 (2013-07-16 14:19) 

YUTAじい

こんにちは。
私には絶対無理ですね・・・続きは気になりますが!
by YUTAじい (2013-07-16 15:08) 

JR浜松

オカルト映画のワンシーンのようです。私だったら開いてても多分入らないでしょう(^^;

by JR浜松 (2013-07-16 17:31) 

ニッキー

廃墟はかなり勇気を振り絞らないと・・・^^;
昔、富士急ハイランドの戦慄迷宮病院(廃病院の設定)でかみさんの手を振り払って1人だけダッシュで逃亡した過去があるのでw
by ニッキー (2013-07-16 17:32) 

orange

看板の塗装が"沸いてます"ねぇ。
プツプツ、ボコボコ。
暑さと蒸し暑さと、気だるさと...
そんな感じが伝わって来ますよ。
ブームが去ってこんな場所がたくさんあるのでしょうね.
by orange (2013-07-16 17:32) 

馬爺

私は幽霊や亡霊は信じません、怖いのは生きている人の方が怖いです、善光寺の本堂の.お戒壇巡りの暗闇でも平気でしたね。
家内は相当怖かったらしく私のベルトに掴まったままでした。
by 馬爺 (2013-07-16 20:15) 

yoshinori

スキー場はコチラ雪国でも不況で閉鎖するトコが
多いんですよ。。。^^;
今年の冬はあれっす!

ちょいサンマスクでてっぺんから直滑降っすね。。。!

by yoshinori (2013-07-16 21:29) 

美美

スキー道具まで残っているとは!
夜逃げみたいですね^^;
by 美美 (2013-07-16 22:40) 

下総弾正くま

スキー道具、これだけの状態ならどっかに売り払えばよかったのに…って思うのは自分だけ(・・?)
by 下総弾正くま (2013-07-16 22:44) 

唐津っ子

廃墟らしからぬ建物ですね.
次回,楽しみに待ってますよ!!!
by 唐津っ子 (2013-07-17 00:12) 

(。・_・。)2k

行ってみた~い!
すげ~良いとこですね~

by (。・_・。)2k (2013-07-17 01:18) 

銀狼

霊的なモノ・・・
学生の頃はそういうのを求めて、
わざわざ夜中に色んなところへ出没しておりました^^;
さすがに今となっては興味本位でそういう事は
しないように心がけております・・・;^_^A
by 銀狼 (2013-07-17 01:20) 

ちゃめこ

ベ-スロッヂは、とても廃墟とは思えない立派な建物ですね。
普通にそのまま泊まれそうです。
いや、でも霊的お話をされるとビビッちゃいますね(笑)
by ちゃめこ (2013-07-17 04:48) 

johncomeback

秩父市民だった頃、北関東から新潟のスキー場に良く行きましたが、シズカ山スキー場って知らないなあと思い調べたら、開業は1990年代、僕が宮城県民になってからなんですね。僕は廃坑となった硫黄鉱山で生まれたので、最終回がますます楽しみです。
by johncomeback (2013-07-17 05:56) 

みぃにゃん

他の方もおっしゃってるとおり夜逃げみたいにそのまま放置されていますね、スキー道具もそのままとは!!
ちょっと驚きです。
by みぃにゃん (2013-07-17 09:40) 

なかせ

すごい量のスキー道具が残ってますね。
自分なら売ってしまいます。
by なかせ (2013-07-17 09:59) 

サンダーソニア

雪がふっただけでニュースになる地元なので
スキー場って特殊な存在なのは一緒です。
by サンダーソニア (2013-07-17 10:46) 

猫きち

このスキー場の廃墟。探検し甲斐がありますねえ・・
こんなところ、一度でいいから探索してみたいです。
なんか、出てきそうで、ちょっと怖いかもだけど、
ワクワク心の方が強いかな。
石碑を見ても、さっぱり先が読めませんが・・
とりあえず、先を楽しみにしておきますっ(笑)
by 猫きち (2013-07-17 22:05) 

みずき

何でかスキーって憧れたことがなかったです。
寒いから、でしょうかね。
海の家よりもスキーみたいに装備が多いものの
ブームが去った後って、寂しいですね・・・
by みずき (2013-07-17 23:13) 

DEBDYLAN

明るい時間でも廃墟は怖かったりする^^;

スキーってやらなかったなぁ・・・
僕らの学生時代は大人気な冬の遊びだったけど。
飲んでギター弾いて歌ってた方が楽しかったw

by DEBDYLAN (2013-07-18 00:20) 

Ryokies

おはようございます。
予想的中!リフトありましたかぁ。って巻き上げ機だけなんですね。って巻き上げ機だけ!?(笑)
by Ryokies (2013-07-18 06:46) 

駅員3

こんな真新しい建物を・・・・
せっかく建てたのに、無駄になってしまったわけですね。
いいなぁ、ここ(^^)
by 駅員3 (2013-07-18 07:50) 

ねこじたん

まだまだ 使えそうなのにね(施設的に…
滑るの好きだから なんか淋しいな〜
キレイにして廃業するのも 難しいのかな
by ねこじたん (2013-07-18 09:50) 

sakamono

なんか、このくらいの寂れ具合が、一番コワイような
気がします^^;。
by sakamono (2013-07-20 15:25) 

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