第808話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・中通島編②『被爆煉瓦の小さな教会へ』旧鯛ノ浦教会堂&鷹の巣キリシタン殉教碑・大曽教会ほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『まさか世界文化遺産候補構成資産を外してくるとは・・・^^;』
妹の選択に思わず苦笑いしたボク達。とは言えここでうだうだも出来ない。
何せ吹き抜ける風が凄まじいのだ。
それとボクは今日のこの日よりも明日の出航が既に気がかりになっていた。
明日、長崎市内に帰れないと飛行機に乗れないわけで・・・^^;
第808話、ボクこと菅原雄介視点で物語りは進みます^^
津和崎方面から有川地区にUターンしてきたボク達は、
一路進路を西側の『青方港』方面へととることにした。
風向きのおかげか北進していた頃に比べると、風もいくらか和らいでいることに気づく。
『ぐおおおお!見えてきたっす!煉瓦ちゃん(*´д`*)』
有川から15分くらいかな?
港の小高い丘に立つ茶色い建物を見つけた琴音が大騒ぎした。
一旦波止場で止まってから今一度確認をするわけだが、見た感じではレンタルバイクで教会のすぐ近くまで行けそうな感じだ。
とは言えボクはあえて丘の下へと彼女達を先導した。
『スガワラサンが何故、下のルートをとったのか不思議デシタガ、そう言う事デスネ^^』
そう。上からも行けるのだけれども、どうせなら下から煉瓦の遊歩道を登って行ったほうが趣があるんじゃないかと思っただけだったりするw
『なんちゅー遠回りしてくれるんすかねえ・・・って思ったっすけど、こういうことかw まあそのお兄ちゃんの発想嫌いじゃない☆』
ボク達は煉瓦の階段を一歩一歩踏みしめて、丘の上に立つ教会へと向った。
『わきゃー☆ようこそ!って言ってくれてるみたいですう~^^』
辿り着くなり大曽教会の前には大手を広げたキリスト像が。
本当に迎えてくれたように思えてくる^^
ボクはここもいつものように説明役を買って出る。
説明したがり・・・と言われてもかまわないw
知って欲しいから。ただそれだけだ^^
でも長々と話すと彼女達にはあんまり興味をもってもらえないので簡素に説明^^;
本当に興味を抱いてくれるのなら本人に任せるのが一番いいのだ(現代っ子は特にな)
自分で調べた方がきっと身になるのだから^^
コホンと一息ついてから概略を彼女達に。
『この大曽教会は、元々は明治12年に別の場所に建てられた教会だったんだけれど、
大正4年に移築。
そして鉄川与助さんの設計施工で
大正5年に煉瓦建築教会へとなったんだ^^
ちなみに柱頭の彫刻はお父さんである与四郎さん。
鉄川親子のコラボ建築教会ってとこかな^^』
・・・正直コラボって表現もどうかだが、彼女達にはそういう表現の方が分かってくれやすいのだw
琴音以外には正直感動薄いのが実状で・・・
夕実ちゃんもリンダも『へえー!』とは言うものの、そこまで感心あるのか疑わしい(少し穿った見方だが、それが事実だ^^;)
興味ある者と興味無い者の差。
この温度差はまあしょうがないよねw
ーーーさて、
ここからは自由行動。
リンダと夕実ちゃんはいつものように拝礼へ
(こここそ礼拝したほうがいい。西独逸製のステンドグラスの採光に時を忘れると思うよ^^)
そして同じく妹の琴音は煉瓦刻印探しに^^;
ただし今回は琴音にひとつだけ言っておいた。
『オイ琴音。この大曽教会の煉瓦は早岐産だ^^ 今で言う佐世保で焼いた煉瓦だそうだ。
純然たる国産赤煉瓦だし・・・もしかしたらば煉瓦刻印見つかるかもしれないぞ?』と。
すると妹様は鼻をフンガー!と鳴らして意気揚々☆
『お兄ちゃんサンキュー!』と大曽教会の外壁周りに駆け出していった^^
まあボクは琴音ほど煉瓦の刻印にはこだわってない。
でも妹が喜ぶならばと、自分の視点で捜して見る事にした。
大曽教会は鉄川さんにとって煉瓦造りの教会の施工は5~6番目の教会だと思う。
自分の地元の教会というだけあって、それまで培った技術の粋をここに注入している。
そしてここもまた、上五島に新天地を求めてやってきた隠れキリシタンたちが建築の際に助力を惜しまなかったのは言うまでも無い
(この地域こそかつては純度100%のカトリック信者さんたちの地域でもあったと言われています^^)
庭木の煉瓦にも一応注目してみる^^;
縦窓っていいよね~^^
ボクはとても好きだ☆
床下通気口も当然見てみる。
ここは意外と煉瓦の平面が露出してる部位でもあるからだ^^
さて、ここからは『うーん・・・あんましそれっぽいのないいっすねお兄ちゃん^^;』と渋い顔をした琴音と合流。
『お兄ちゃんも探してみるから諦めんなよw』と声を掛け、
妹様と今一度、煉瓦刻印探しに勤しむ事になったのだ^^
『うーん・・・それっぽいかな?ってのはいくつかあるっすけどお・・・ザ・刻印!って断定できるのは無いっすねお兄ちゃん^^;』
『そうだなあ^^; 怪しいのはあるのだが・・・』
教会表側の軒下・通風孔口と可能性がありそうな場所を一緒に見て周ったが、それらしいものは特に見つけられず・・・。
それならばと入り口付近に行ってみた。
そこにはこの教会のシンボルがおで迎えしてくれたのだがーーー
『なんか蕪に十字架刺さってるみたいな意匠っすねマジで^^;』
こら!それは蕪じゃないから^^;
蕪に見える意匠は『ハート(心臓)』だってばよおう^^;
まあでも確かにハートマークの根っこの部分が蕪っぽいと言われれば確かにそうだけどなw
結局入り口付近には刻印らしきものも無さそうなので、
今度は裏手へと回ってみた。
恐らく経年劣化の所為で浮き出ただけであろう傷が煉瓦の刻印ぽく見えるだけで、
明確なものもやはり無い感じ・・・^^;
焼き色の違う煉瓦で外壁を施していますと記述されていたのだが、
裏手に来て納得。
しかも焼過煉瓦(黒っぽい煉瓦)の部位は『小口積み』で
それ以外の赤煉瓦部位は『イギリス積み』
積み方と色を替える変化のある外壁が粋な建築だ^^
結局刻印らしきものは見つからないまま夕実ちゃん・リンダと合流。
ボクは腕時計を皆の前に突き出して指し示す。
『もう・・・あんまり時間が無いみたいだ^^; でもあとひとつだけ周るからボクについてきてくれるかな^^
そこは宿屋への帰り道に近いからさ^^』
『『『は~い☆』』』
と言うことで、本日最後の教会へと向うことにした。
そこは長崎本土へと帰った時に『きっと意味を成すもの』でもあったから、あえてボクは選んだ教会でもある。
お賽銭ならぬ献金を幾らかしてから、ボクらはレンタルバイクの場所まで戻り、再び来た道を引き返すーーー
---有川地区が向うに見えてきた頃合に、
ゆっくりと右折をする。
方角的には南下ってことになるかな。
そこから少し軽く山を越えると遠くに『鯛ノ浦港』が見えてくる。
・・・ふと、
『鷹の巣キリシタン殉教碑はコチラ』という矢印が目に止まった。
予定には無かったけれどボクは思わず後続の皆に合図を送って寄ることにしたんだ。
そこは工事現場というか工事機材の置き場みたいな場所だった。
砂利道にスクーターの足も空回る。
その奥にポツリと石碑があった。
ボク達は近くにスクーターを止め、その石碑に近づいたのだが、
そこにあったこの殉教碑が何なのかの説明を見て誰もが声を失う・・・。
『ううう・・・ひどいです』
皆の中で一番最初に発した夕実ちゃんの言葉に皆ウンウンと頷いた。
明治初頭まで続いたキリシタン禁教政策。
その迫害は凄惨なものだったのだ・・・。
1870年(明治3年)この地区で有川郷士と名乗る4人組が、
『キリシタン征伐に来た!』とのたまい民家に侵入した。
2家族6人を惨殺したのである・・・。
その中には妊婦もお腹の中の子供もいたそうです。
キリスト教信者というだけで殺された。
『ありえないっすよ・・・なんで異教ってだけで殺しちゃうんすかね!』
『わきゃあ・・・信じるものが違うだけ。他に危害を与えるわけでもないのに。。。 こんなの絶対おかしいです!ううう・・・』
『ワタシはこの件は特殊だと思いたいところデスガ・・・、宗教の違いって戦争まで引き起こしてきたのは歴史が証明するのも事実デース・・・』
皆、堰を切ったかのようにキモチをぶち上げた。
悲しみを通り越し、憤りが熱い議論へと変わって行ったのである。
ーーー真剣に考えてくれて嬉しかった。
そしてここに寄った意味や意義はきっとあったと思う。
ボク達は殉教碑に手を合わせて礼をし、再びスクーターへ跨るのだった。
---殉教碑から数分でしょうか
ボクの今日の最終目的地へとやってきたのである。
そこは港へと続く県道22号線から逸れた小高い丘の上にあった。
『わきゃー!小さな教会さんですう^^』
メットを脱ぐなり夕実ちゃんが教会に指を差す。
『お!木造かと思ったっすけどちょっと煉瓦もあるっぽいねお兄ちゃん(*´д`*)』
さすが我が妹様は目ざといねえ^^;
そう、この教会は小さいし木造でもあるが煉瓦もちょっとばっかし存在する。
今まで見てきた煉瓦やコンクリ・木造建築の教会と見比べても、そこまで派手でもない。
表現するならば『プチ教会』って感じだ(失礼なことだが)
『可愛らしい教会デスネ^^』
リンダがそう言うのもわからないでもない。
荘厳さは外観からはとても見て取れない(正直ファンシーです☆)
木造建築の教会の入り口部位には煉瓦造りの鐘塔があった。
『くはー!お兄ちゃんがココに連れてきてさあ、最初は木造教会か・・・って思っちゃったけれどお、
この煉瓦の入り口はいいね!いいね!渋いね(*´д`*)
・・・で、本題だけれどもさあーーー』
煉瓦の鐘塔を見上げて浮かれていた琴音が急に真剣な顔つきになった。
そして聞いてくる。
『ねえお兄ちゃん。ここって鉄川与助さんがやっぱり絡んでくる物件・・・でしょ?』
その彼女の目つきは真面目だ。
中々良い目をしてるじゃんか^^
『後で説明するさ^^』
『なんだよもったいぶって。お兄ちゃんのそのいやらしさがムカつくぜw』
ボクはもう少し見て周ってから説明するからと妹に言う。
ボク達は教会外観を一通り見学し、中にも入って礼拝をした。
『わきゃ~、中は本とか結構一杯ありますですね^^』
夕実ちゃんが一杯って表現したけれど、そこまでは無い。
入り口から入ってその周囲に数個の本棚とテーブルの上に何冊かの本があったくらいだ。
子供が読むような児童書が多くあったかな^^
教会内はコウモリ天井の素敵な内観。
撮影してもかまわなそうだったけれども、
ボクはいつものように撮影は控えた。
一通り内観見学をし終えたボク達は、
駐車スペースから道を隔てた裏手にある『ルルド』へ立ち寄ったんだ^^
『ワオ!こんなとこにも聖水がありますデース(*´д`*)』
リンダ大喜び☆
なんせ当初の目的はリンダが聖水を欲しがっていたからこの旅が始まったんだしね^^
ボク達はひしゃくで掬った聖水を片手に取り唇にあてて潤し、マリア様に手を合わせて礼をする(日本式と洋式の合作みたいな儀礼だねえ^^)
そしてここにあったお約束の説明版の前でボクは彼女達にこの教会のことを説明するのだった。
『さっき見て周ったこの教会は旧鯛ノ浦教会堂って言うんだよ^^
なんで旧かと言うと、今現在は教会としては使われてないからなんだ。
この教会の向こう側に立ってる建物あるだろ?』とボクが指を差す。
すると真っ先に夕実ちゃんが確認をした。
『わきゃ!? なんか白い建物あるですね^^』
『そう。それが今現在の鯛ノ浦教会なんだ^^
今まで見てきた教会っぽいのは元々教会として使われていた建物なんだけれど、今は資料室とか図書室的に残されてるそうだよ。
元々は宣教師ブレルさんによって建築された養育院。
簡単に言うと生活困窮者を救うために建てられた建物だった^^
そしてそこにこの旧鯛ノ浦教会が建てられたわけなんだ。
明治14年(1881年)創建。
明治36年(1903年)に建て替えられたその姿が今現在の旧鯛ノ浦教会堂^^
そしてーーー
この煉瓦の鐘塔部分は昭和23年(1948年)に新たに増築された場所なんだがーーー
鐘塔外壁に使われている煉瓦は
長崎原爆で被災した爆心地近くに立つ旧・浦上天主堂の
被爆煉瓦なんだ』
・・・思わぬキーワードの出現に、彼女達は『・・・えっ!?』と小さな驚きの声をあげる。
そりゃそうかもだ。
だって普通の煉瓦ではないのだ。
普通の教会じゃないのだから。
ここはキリシタン迫害から原爆までを見続ける小さくとも最強の教会だったんだから。
ボクはその皆の顔を見て更に続けるのだった。
『この鐘塔の増築は昭和21年(1946年)~昭和24年にかけておこなわれたわけなんだけれど
鉄川与助さんもこの増改築に関与したとも言われているんだ^^
その鉄川さんは太平洋戦争前後13年間には、
教会建築に関わることが出来なかったとも言われているのだが(資材は軍に接収される時代でしたし、教会を造る世の中の雰囲気では無かったのもある)
鯛ノ浦教会堂の煉瓦造りの鐘塔だけは関わったそうなんだ。
彼は旧・浦上天主堂の建設にも関わり、その中でド・ロ神父やフレノー神父に多くを学んだ。
言わば彼にとっての勉強の場でもあり思い入れのある教会だよね。
その浦上天主堂は1945年(昭和20年)
長崎原爆で被災しほぼ全景を留めることなく破壊された。
詳しい資料が無いから推測になってしまうけれども、
恐らくこの旧鯛ノ浦教会堂の鐘塔に旧・浦上天主堂の被爆煉瓦を使ったのは彼の原爆へのメッセージでもあると思うんだよね^^』
長々とつい喋ってしまったが・・・
彼女達は分かってくれたらしい。
皆、改めて振り返り、煉瓦の鐘塔を見続けてくれたのだから。
(※ 鉄川さんという方は教会建築の際、地元住民の寄付金の負担を考え、その土地にあった旧教会の廃材や資材・石材などを多く取り入れたエコ建築士でもあったわけで、
浦上天主堂の廃煉瓦も利用できるなら利用しようって発想だったかもしれない。
でもボクはきっと旧鯛ノ浦教会堂にこの被爆煉瓦を使用したことにきっと意味があるのだと思っています^^)
ボク達は今一度煉瓦の鐘塔の前に戻り、それを見ながら手を合わせるのでした。
さて、このままレンタルバイクを返却しに帰ろうと思ったのだが、
どうしても明日の航路が気になって気になって仕方が無かった。
『えっと皆^^; 明日の船が出る港を確認しておきたいんだけどいいかなあ^^;』
『わきゃー^^; 実は私も気になっていたですう。風が強いですし^^;』
『奈良尾港から帰るんじゃ無いの?お兄ちゃん』
『長崎に帰れるのか不安デース^^;』
やっぱりみんなも不安だったらしい。
だからすんなりとOKが出た。
ボクが当初予定を立てていたのは、中通島に到着した時の奈良尾港からジェット船で長崎本土へ帰る感じだったのだが、
何でもこの鯛ノ浦港からも別の商船会社のジェット船で長崎本土へ帰れるらしいとパンフレットに書いてあったのだ^^
奈良尾港に戻るのはだいぶ時間のロスだし、宿屋から近いこの鯛ノ浦港からなら最終日に多く時間を取れそうと思ったわけである。
---旧鯛ノ浦教会堂から数分して
ジェット船乗り場の建物らしきものが見えてきた。
すると、道路わきにこんな車が駐車していた。
『わきゃー☆ 車に本が一杯ですう^^』
『移動図書館デショウカネ?スガワラサン^^』
『たぶんそうだね^^』
離島と言うのは島の中の行き来や往来も大変だったりする。
離島中心地にしか無い図書館へ移動するのも一苦労だ。
大人ですら一苦労。子供なら尚更だ。
だからこそこういう移動図書館という行政サービスは素敵なことだよね^^
『漫画とかないっすかね~^^』とツマラナイ戯言を言った妹のおでこにチョップをして、
ボク達は先を行く。
長崎行きのジェット船乗り場に辿り着いたボク達は、乗船時間を調べるついでに明日は船が出そうですか?と確認をしてみた^^
『大丈夫ですよ^^』と言う受付のお姉さんの言葉に皆でガッツポーズをした☆
すっかり安堵したボク達。
『じゃあ帰ろうぜ皆^^』と意気揚々と合図を送ると、
『もうお腹ぺこぺこですう^^;』
『そうだよお兄ちゃん・・・』
『断食かと思いマシタ^^;』と皆からブーブー。
・・・ああそうだった。
よく考えたら今日はご飯全然食べてなかったじゃんねw
『急いで帰ろうw そして旅館のご飯でもガッツリ食おうぜ!』
『私はビールでくわあああああっ!ってやりたいっす☆』
こんだけ腹へってたら何でも美味そうだ。
たぶんお酒も美味いに違いない^^
ボク達はレンタルバイクに跨りジェット船乗り場をいそいそと後にした。
(ちなみに、この港から見える船でしか行けない神社に興味をもってグルグルと渡れないかな・・・と探しまくったのだが、それは割愛します^^; すげー気になるんだけどここw)
レンタルバイクを返却し、次はこの近くに予約した宿屋へと向ったボク達だったのだがーーー
『わきゃ!? 民家の間にへんてこな山があるですう!』と夕実ちゃんが見っけたのだ。
えっと・・・なんだこれ???
---次回はこのへんてこりんな物体と夕飯!
そして長崎本土への旅へと続くことになりますーーー
第807話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・中通島編①『その男、最後まで仏教徒につき』青砂ヶ浦天主堂・曽根教会・元海寺山門ほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『鉄川与助さんてどんな人なんデスカ?^^』
リンダの質問に早速お兄ちゃんが答えようとするのだけれども、
私が先に彼女に答える。
お兄ちゃんの方が絶対知っているだろうけれど、
私が先に答えた。
『この人がいなかったら長崎の教会群が世界文化遺産候補にってあるのかな?ってくらいにスゴイ人っす♪
そして宗教を越えた職人さんっす^^』
第807話、私っちこと菅原琴音視点で行きます!
『ふわわ・・・ですう。ううう・・・おはようございますです^^;』
前の晩の大そうなご馳走に、普段はそこまで酔っ払わない夕実っちまでもがこめかみをグッと押さえつつ私とお兄ちゃんの部屋にやってきた(リンダは割りと平気そう)
『おはよう^^;』と実に気だるい挨拶をかわしつつも、みんなゾロゾロと食堂へ移動して朝食を取る事に。
食堂のテレビに映るは、やっぱり日本列島を絶賛急襲中の台風の動向。
私達は朝食の味も忘れて気がそぞろ。
なんせ、
次の島への船が出るのか出ないのか?と言う状況下でしたからーーー
朝食を取り終えてすぐ、身支度を整えて宿屋の前で合流。
宿泊兼レンタカーの事務所に部屋の鍵を返しにいきました。
そこにはオジサマがいらっしゃった。
『次はどこに行くんだい? 長崎市街に帰るのかい?』
代表してお兄ちゃんがオジサマに返答する。
『この後は中通島へ渡ろうかと思ってるんですが・・・、船が出るのか心配でして^^;』と。
するとオジサマ
『ああ上五島に行くんか。今日はなんとか船は出そうだぞ^^ 安心しな。
とは言えどうだった?福江は。
いいとこだろ^^ また福江に寄ることがあったら来てくれよな^^』と、少々コワモテだけれどもニッコリと笑顔で言ってくれたっす。
『『『『勿論今度福江に来るときはお世話になります☆』』』』と、
皆でいつかの約束を。
私達は『ありがとうございました☆』と告げて観光レンタカーさんを後にしたーーー。
『こんなに天気がいいのに風がスゴイデース^^;』
リンダが目を細めて空を仰ぐのも無理は無いっす。
だって風が強くて目がしょぼしょぼするくらいだもん^^;
宿から5分くらいのターミナルに到着。
船のチケットを実際に手に取ったことで誰彼ともなく『はあ・・・♪』と安堵の溜息が零れたっす^^;
---さて、
福江島の次に私達が向おうとしてるところは『中通島』と言う離島。
五島列島の中では二番目に大きい島っす^^
この島をお兄ちゃんと協議して選んだ理由は、
リンダの目的である『ルルド(聖水が汲める泉)』がここにもある事と、
長崎の教会群と言ったら鉄川さんの故郷っすよね!と言う私の懇願によるものだったんす。
行ってみたい!
そして見てみたい。
煉瓦から繋がる教会群とその歴史。
そしてそれを作り上げた鉄川与助さんって人がどんな人物だったのかを確かめたくて^^
ーーー出航まで余暇が多少あることに気づいた私達は、
ターミナル内をしばし探索することにしましたっす^^
ターミナル二階へと上がると福江の子供達の作品とかがありました。
その中でも一番目に止まったのはやっぱこれかな^^
布生地などで描かれた堂崎天主堂☆
布生地が煉瓦ひとつひとつのように縫い付けてあるとても素敵なアートでしたっすよ^^
ご当地アニメである『ばらかもん』のポスターなんかもありましたぞ^^
さあ!いよいよジェット船が到着っす^^
もうここまで来れば次の島へと絶対行ける!
みんな意気揚々と乗り込みました☆
『意地でも琴音サンはアルコール風味を堪能したいのデスネ^^;』
席に着くなりノンアルビヤーを各人にドンドン!と配る私にリンダが言う。
『旅っちゅーのは雰囲気に酔わないといけないっすよリンダw
これはそのスパイスっすよスパイス(味付け)w
ま、この後わたし達はレンタルバイクに乗るからね。雰囲気だけでも旅に酔おうよ^^』
『ワルクナイデスw そのハート☆』
プシュ!っと船室に響く私達がプルタブを開く音。
いつの間にか高速船は唸りを上げて海上をグングンと進んでいたーーー
ーーー福江から約50分
中通島の奈良尾港に到着っす^^
ここからは私達がお世話になったジェット船の『九州商船』さんの無料シャトルバスにお世話になることに^^
ここでふと夕実っちが疑問をお兄ちゃんにぶつける
『えとえと・・・私達はシャトルバスでどこに行くですか? なんでまたシャトルバスに???』
『う~ん・・・簡潔に言うとボク達はここから有川港へと行くんだよ夕実ちゃん^^
この奈良尾港にはレンタカーはあるけれど、レンタルバイクを扱ってる店は無いんだ。
そしてボク達が今日、行こうとしている場所は有川港を基点にしたほうが楽なんだよ~^^
本当はこの中通島を全部巡りたいけれど、ボク達にはそれ程時間的余裕も無いんだ~^^;』
お兄ちゃんが言うように今回は時間が無い。
五島列島を3泊4日で網羅するなんてとてもじゃないけれど無理なのですぜ^^;
しかも猶予は今日と言うたったの一日。
いや。
ここから有川港に行くと正午手前。
実質、4~5時間しか猶予が無いのです^^;
五島列島で二番目の大きさとは言え、
面積だけなら日本の離島ランキング19位の大きさ。
しかも教会群はこの島のいたるところに点在してるっす。
そして続けてお兄ちゃんが言い出す。
『えっとね夕実ちゃん^^ この中通島にはなんと
29もの教会が存在してるんだ。
いくつかピックアップして巡らないと日程的に厳しいんだよね・・・^^;』
『『29ゥッ!?』』
その数の多さにリンダまでもが驚いた。
そう、この島(正確に言うと上五島町)には、福江島以上に教会が多い。
みんなの驚きがほとぼりが冷めたのを確認し、お兄ちゃんが続けた。
『今から向う有川地区を基点に周れば、比較的メジャーどこの教会が幾つか巡れるんだ^^
この島の中心的地区でもあるし宿も多く存在するしね^^
見学をする教会を絞るにあたってーーー
今回は鉄川さんと言う教会建築の父が建設や施工に携わったものを主に見学しようと思っている。
それでもざっと8教会。
そこに付け加えてどうしても行っておきたい+1の教会があるんだ^^
そこは長崎本土に戻った時にきっと意味を成す場所でもあるからね^^』
鉄川与助さんを知る旅。
それが今回のリンダの目的に便乗した私の裏のコンセプトでもあった。
でもお兄ちゃん的には、更にその裏のテーマがあるらしい。
実は私も聞いていない。
『ねえねえ何よ~、お兄ちゃ~ん』って聞いてみたかったけれど、いつものようにお兄ちゃんの企みに乗っかることにした^^
知らないほうがきっと楽しい。
知らなかったほうがきっと感動する。
なんかそんな気がして、私は聞くことをやめた。
シャトルバスに揺られる私達。
残念ながら泣く泣くパスすることになる教会たちを車窓に見つけては、
『あれって何て名前の教会なんだろう?』と、パンフレットの地図をなぞって応え合わせなんかをした^^
バスに揺られること50分くらいでしょうか?
私達は中通島の有川地区にやってきたっす^^
デザインマンホールも可愛らしい(*´д`*)
さてと、今回の足。つまりレンタルバイクを求めて私達は歩き出す。
『川竹マリンサイクル』さん。
数少ないこの島のレンタルバイク屋さんっす^^
『こんにちは~^^』とドアを開けて中に入ると、
自転車関連の商品もあるけれど、CDやらカセットやらの音楽系商品も陳列している不思議な店構え^^;
隣のカラオケボックスももしかしたらばこのお店の系列なのかな?
そこからガンガンと壁を隔てて音楽が鳴り響く店内。
出迎えてくれたのはお母さん。
お母さんに色々と注意事項をお願いされてから(---と言うか、何かあったら自己責任だからねwと、おおまかに説明されただけだけどねw)
いよいよこの中通島のツーリング開始です☆
今回もお兄ちゃんを先頭にしてーーー
レッツ!教会群☆
---さて今回、
さっそく目指したのは
『煉瓦・鉄川与助・重文(重要文化財)』のキーワードが全て重なる教会のある場所へと向うことにしたんす^^
『この中通島の北端の津和崎を目指す過程に煉瓦教会がいくつか集中しているから、まずはそこを目指そうぜ^^
その中に特に見学したい教会があるからさ^^』
お兄ちゃんの号令に連なって発進する私達。
有川から一路、津和崎方面へと向うことになったっす^^
ーーー走り出して十数分といったとこかな?
お兄ちゃんが減速して左手の親指を左側に指差すジェスチャー。
どうやら気になるところがあるみたい。
と言うことでお兄ちゃん先頭に路地へと入る事にした。
やってきたのは『丸尾教会』と言う教会。
開口一番、お兄ちゃんが教会を見上げつつ説明に入った。
『この丸尾教会がある地区こそ鉄川さんの生まれた場所でもあるんだ^^
この丸尾教会は元々は別の場所にあったんだけれども(その当時は集会場みたいな建物)
昭和3年(1928年)にこの場所に建てられたそうだよ^^
その頃は煉瓦建築だったとも言われているんだけれど、
昭和47年(1972年)に改築。今は鉄筋コンクリートかな^^
そしてここが
鉄川さんが携った最後の教会ってことになる』
ここが鉄川さん晩年に携った最後の教会なんすね。
私は歩き出してじっくりと見る事にしたんだ。
実に素朴でシンプルな白亜の教会。
明治期から煉瓦や木造で作り続けてきた教会が50を越えるとも言われている鉄川さんだけれども、
戦後には10を数えるくらいになったそうっす。
晩年の作と言っていいのか分からないけれど、私達は一通り見終わったときに手を合わせた。
さてここで、とうとうポツポツと来てしまった。
『わきゃー・・・雨ですう^^;』
私達は丸尾教会でレインコートを羽織ると再び走り出すのだった。
走りながら見える海は白波を立てて大荒れ。
雨はそこまでじゃないけれど、とにかく
風が半端無い^^;
おっかなびっくりレンタルバイクを走らせることになったのです。
ーーーそこから15分くらいでしょうか
お兄ちゃんが再びペースダウンして右にウインカーを点滅させる。
私達はそれに習って進路をとった。
海岸線沿いの道を進むと、向うの山肌にいかにも煉瓦っぽい教会ちゃんが(*´д`*)
オラー、ワクワクしてきたっすマジで☆
途中からお兄ちゃんを抜かして私がその教会の駐車場に一番乗りしたのは言うまでも無い。
『オオ!とても立派な教会デース^^』
『わきゃー☆ 赤くてドーン!ですう^^』
メットを脱ぐなりその佇まいに圧倒される私達(赤くてドーンは無いだろ夕実っちぃ・・・^^;)
コホン!と一息入れてから御馴染みのお兄ちゃん解説がハジマタw
『えっとここは青砂ヶ浦天主堂って言います^^
長崎の教会群文化遺産登録リストに一旦は選ばれたけれど、見直しで外された経緯もあるのだが、
国指定の重文でもある^^
明治43年(1910年)竣工の古い煉瓦教会。
昭和59年に大改修が行われたけれども、日本人が手がけた煉瓦教会では最古参の部類の貴重な教会だ^^
当然この教会も鉄川さんの作品。
彼の携わった教会としては3番目。煉瓦教会としては2番目の作品かな^^
(煉瓦教会の1番目は五島列島野崎島の旧野首教会)』
さて、お兄ちゃんの解説が終ったらここからは別行動。
リンダと夕実っちは礼拝へ。
私とお兄ちゃんは・・・やっぱり例のアレですw
昭和に改修されたとは言え古式ゆかしい素敵な縦窓とステンドグラス!
電気メーターはご愛嬌ですw
床部分かな? 通気口も見ちゃったり~
煉瓦のくぼみに小さな蜘蛛が寝ていたりもしたっす^^
煉瓦積みは『イギリス積み』
明治中期から主体となった積み方っすね^^
外壁は新し目な感じもしましたが古い部分もありましたっす^^
軒下周りから上の部分も当然チェック!
花崗岩かな? 煉瓦積みの途中途中に石が組み上げられていて素敵なアクセント^^
クリスの紋章も素敵(*´д`*)
ん?あの『M』って掘り込まれてるのは何の意味合いなんだろう?
マリア様の『M』なのかな?
恐らくリンダや夕実っちはこのステンドグラスの向こう側に居るんでしょうね。
綺麗なんだろうなあ~^^
---さてと、
一通りぐるっと周ってみた私は、いよいよ例のアレ探しに没頭することにしたっすw
いざ、レッツ煉瓦の刻印探しい~(*´д`*)
刻印がありそうな部位をとことん探す私^^
でもどうも軒下煉瓦ちゃんにはそれらしいものは全然みつかんねー^^;
たまに焼き色の違う煉瓦を施して十字をイメージさせる煉瓦壁に出会った。
どうやらこの部分だけ『フランス積み』っぽいなあ。
(※ 教授さんからのご指摘があり、角の煉瓦に七五分の煉瓦を使用しているので『オランダ積み』だそうです(*´д`*))
私が『ここも刻印無いかあ・・・』と嘆いていると、
『おい琴音。教会の入り口の床も煉瓦っぽいぞ?』と、お兄ちゃんが声を掛けてきた。
ならばとそこに走っていく私w
ワオッ☆(*´д`*)
リンダじゃないけど思わずワオ♪って口をついてしまったっすw
青砂ヶ浦天主堂の入り口部分の床面は、これまた焼き色の違う煉瓦たちで施されたアートな床でした^^
しかも刻印のありそうな平面剥き出しです☆
さっそく探して見る事にした!
『琴音サン^^ ブリック(煉瓦)の刻印見つかりましたデスカ?』
再び合流したリンダに聞かれたんだけれども・・・
『ううん・・・それっぽいの全然無かったっす^^;』とガッカリした感じで答えたっすよマジで。
これだけ教会があるのだから、いつかきっと煉瓦刻印が見つけられる!って思っていたけれど、
ココまで来ると、教会に使われた煉瓦に刻印なんて無いんじゃないかと思うようになってきた。
お兄ちゃんは
『五島列島の教会群は、立地的に塩害や台風被害によくあう関係で後年に改修を幾度と無くしてたりするから、
煉瓦刻印にめぐり合うってのも結構至難の業なんじゃないかとも思うんだ^^;』とフォローするんだけど・・・(フォローになってない^^;)
しかも輸入煉瓦や地元での野焼きの煉瓦なんかも使われていたらしいので厳しいかもとも言ってた。
あんまり詳しくは無いけれど、
明治期の輸入赤レンガの刻印ってのは聞いた事無いしい・・・(要するに外国の赤レンガに刻印があったのか?ってこと。但し、輸入耐火煉瓦だと刻印が多く存在する)
はたまた現地で野焼きされた煉瓦に刻印を打つってのもあんまり無い例だったりもする(勿論、例外もあります)
・・・結局お目当てのものは何も無かったわけで・・・^^;
この先少々不安になりつつも、この青砂ヶ浦天主堂を後にすることにした。
この後はお兄ちゃんを先頭に、中通島の北側に突き出る津和崎方面を目指すのだけれども・・・
風が強くて車体が煽られまくり。
前から後から突風!
特にトンネルを抜けた後には横風にバイクごと崖下にもっていかれそうな恐怖感を味わう・・・
さすがにお兄ちゃんもみんなのことを考えてか、減速して道路端で緊急会議を開いた。
『ちょっと・・・この風じゃこの先までみんなと先を行くのは正直不安だね^^;
ガスってもきたし、このまま進むのは頭の良い選択じゃないと思うんだ^^;
だからこのご近所の教会を見たら(目の前の)
引き返そう^^』
正直お兄ちゃんの引き返そう宣言を皆は待ち望んでいたのかもしれない。
私と夕実っちとリンダは即答で
『もう帰りたいです☆』と返した。
だってえ・・・風強くて全然前進まないんだもんよw
・・・ぶっちゃけとんでもない暴風だったんすよマジで^^;
なんとかちょっぴり進んだ先に見えた教会にお邪魔することになった私達。
そこは『曽根教会』と言う教会だったんす。
パッと見、ミッション系の幼稚園ぽい可愛らしい建物(教会)にしか見えなかったけれど違った。
いつものようにお兄ちゃんが説明版を指し示しながらも私達に優しく簡潔にこの曽根教会は何なのか?を説明してくれたんす。
『ここは、教会建築の父とも呼ばれている鉄川与助が初めて教会建築に関わった教会(大工として)なんだよ^^
言わば鉄川さんが教会などの西洋建築に関わった原点なのかもね^^』
お兄ちゃんが続けて言うには
創建は明治14年(1881年)
二代目として造られた曽根教会に彼は初めて教会に携わったそうっす(明治32年)
今、私達の目の前の建物は昭和41年(1966年)に造られたものなんだけれど、
もう引き返そうと思っていた私達には嬉しい出会いだったとも思えます。
鉄川与助と言う人物に関わりのある『原点』に、ギリギリ寄ることが出来たんだからーーー
さてここでルート選択を迫られることになる。
お兄ちゃんが特に私に顔を向けて言ってきたのだ。
『正直もうあまり時間も無い。鉄川さん絡みで教会を巡るならば、
行っておきたい教会は3つ
1つは宿屋のある有川に近いから行けるけれど、
残り2つは中通島の西のはずれと東のはずれなんだよ^^;』
なるほど・・・要するに西か東のどちらかを選ばないといけないってことっすね^^;
『因みに東は、石造りの非常に珍しい世界文化遺産候補構成資産の頭ヶ島天主堂。
西ならば、鉄川さん父も携わった煉瓦の大曽教会だ^^』
『じゃあ煉瓦の大曽教会!(即答☆)』
Σ(ll゚д゚(ll゚д゚ll)゚д゚ll)えええ!?
ですよねーw
普通なら文化遺産候補構成資産へ行くのが当然だと思うし皆が驚くのは分かるんだけど、
私はやっぱり煉瓦を見たかったのである^^
『ほんとにいいのか?琴音。ちなみに頭ヶ島天主堂には信者の刻印も存在するんだけどなあ(石にですが)』
ううう・・・刻印かあ・・・
お兄ちゃんがそれでいいのか?と揺さぶりを掛けて来た^^;
『でも私はやっぱり煉瓦がいいのです』と懇願して、結局押し切ったーーー
『わきゃ!?あそこに煉瓦があるですよおおおおおおおお!』
来た道を引き返している最中に、
後ろの方から大きな声で夕実っちが声を張った。
皆、減速してその指差す方向を見上げると、
ぬお!? 煉瓦の山門??
これにはびっくりして思わず駐車場にレンタルバイクを止めて見に行くことにしたんす。
(行きで気づかなかったなんて・・・私としては不覚^^;)
近づくとそれは正に煉瓦造りの山門でしたっす。
名前はえっと・・・『元海寺』
せっかくだしじっくりと見て周ることにした。
壁面はイギリス積み。
ところどころ少し煉瓦の成型がいびつかな。
山門の中から見上げると、屋根と上段の煉瓦部位は比較的新しいものでした。
とは言えお寺さんに煉瓦の山門って非常に珍しい気がするっす^^
片隅にリンダが説明版を見つけた。
『ここにこのお寺の説明がアリマース^^』
『え?やっぱりここも鉄川さん絡み!? お、お兄ちゃん知ってた?』
『いや、知らなんだw ツアーガイド失格だなオレw 手元のパンフレットにも載ってないしなあ~』
とは言え嬉しい誤算でもありました^^
『元海寺・山門』
ここの信徒であり与助さんの父親でもある与四郎さんが建築した山門を
大正13年に息子の鉄川与助さんが修復したのがこの煉瓦造りの山門だそう^^
説明版には鉄川興助と書いてありますが間違いなく鉄川与助さんのことだろうと思います^^
屋根には立派な意匠の鬼瓦。
なんでも与助さんのお墓もここにあるらしい。
ここで夕実っちが少し申しわけ無さそうにお兄ちゃんに質問をする。
『あのです・・・先輩。鉄川与助さんのお墓がここにあるってことは・・・仏教徒ってことですよね。
仏教徒の方が長崎の教会群の建築にずっと携わってたんですね』
『いい質問だね夕実ちゃん^^
そう、彼は最後まで仏教徒を貫いているんだよ^^
当然、キリシタンの方達には当初はやっかみを受けることもあったと思う。異教だしね。
でもそれが何時しか、教会建築は鉄川さんでなければ!となるわけなんだけれど、
それは彼の信条、信じることは一緒と言うことと、
涙ぐましい努力によって得られた建築技術の粋、
そして彼の人柄によるものと言われているんだ^^』
西洋建築に惚れこみ、色々な神父さんや棟梁の元で修行し、
独学で建築学も一生懸命勉強した。
他にもたくさんのエピソードがあるんだけれどここでは私もお兄ちゃんも明かさない。
でもそんな人だったからこそ宗教を越えて皆に信頼された建築家になったんだと思います^^
さて、ココ以外も少し巡ってみる。
鐘つき堂の周りの植え込みにも古煉瓦らしきものがありましたっす。
もしかしたら・・・刻印あったのかもしれないけれど、
罰当たりなのでやめておきましたヨンw
だって神様仏様鉄川様がきっと見ているだろうしね☆
---ここまで読んで下さりありがとうございました^^
次回は、ある意味一番寄りたかった教会の物語です。
第806話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・福江島編ファイナル『わきゃ?せ、先輩!五島牛はどこですか!?』 [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『お!この後、君達はご飯に行くのかい^^ なんなら良い居酒屋さん紹介するよ^^』
レンタルバイクを返却した私達は宿屋のオジサマに声を掛られたのですう。
地元の美味しいご飯は地元の人に聞け!って鉄則ですよね^^
だから私とリンダは『アリガトウございます!是非♪』と、声が出かけたのですがーーー
それを菅原先輩がスウーっと制した。
『いや~とてもありがたいです!でも実はですね?今日はお肉をみんなで食べに行こう!な~んて計画しちゃっててですね、
先ほど泣く泣くお金をガッツリおろしてきちゃったとこなんですよw』
先輩は恐縮しながらも笑顔でオジサマに返すのです。
するとオジサマ
『ああ!なるほどそうかそうか五島牛か^^ なら是非行ってきてよ☆ 絶対うんまいぞー!』
結局、宿屋のオジサマにも勧められることになり、
いざ五島牛です☆
皆、誰彼ともなく『やっき肉!躍起肉!』と口から欲望の言葉をだだ漏れさせながら福江の繁華街へと歩き出す。
第806話☆ 私こと石廊崎夕実視点で五島牛ですう~(*´д`*)
街ネコちゃんに気を取られていると先輩が皆に『傾注!傾注!』と、手をパンパン叩いた。
『ええ~っとだな。これから五島牛を食べに行くわけだけれど、実はお店のオープンまではまだ40分ある。
っつーことで、それまで福江市街を散策しようと思うのだがどうだろうか^^』
これには誰も反対が無かったのです(一部、琴音っちが宿屋でテレビ見て時間潰せばよかったんじゃね?とかぼそりとはいいましたが^^;)
と言うことで牛の前にお散歩になったのです^^
『でもどこに行くのデスカ~? 昨日は福江城跡も行ってしまったデスヨ^^』とリンダ。
そうですよ。繁華街に近いターミナルもお城跡も見ちゃったわけですし、これ以上どこか見るところでも?
すると先輩は
『まあ~お散歩だから^^ でもちょっとパンフレットで気になるところを見つけたからそこに行って見ようぜ!』とのこと。
私達は先輩を先頭にツラツラと歩くのでした。
やってきたのはお城跡のすぐご近所『武家屋敷通り』
その入り口ですう^^
見れば石垣みたいなものがーーー
右に左に向こう側へと続いていたのですう^^
『これも昔の名残りっすかね?お兄ちゃん』
『・・・じゃないかなあ^^;』
琴音っちの質問に随分と頼り無い先輩^^;
『まあ~いいじゃないかw とりあえず歩いてみようぜ!』と言う先輩の音頭に、私達はあわせることにした。
『ココ、売地になってるデース^^ 石垣と門以外は更地ってことは、
このストリートには景観保全の密約でもあるんでショウカネ?』
『リンダの指摘は間違ってないと思うよ?密約ってのはおかしいがw
でも皆見てご覧?
この通りにある家々は昔からある家々もあるっぽいけれど、
アパートとかもあるよね^^
その前にも石垣が必ずあるしな』
言われてみるとどんな建物が建っていようが石垣だけは必ず残っていましたです。
そしてこの石垣が普通の石垣だったのなら
さしてお城や石垣に興味も無い私は『へえ~そうなんですね』と軽い相槌を打ってたのかもですが、
どうもこの石垣っておかしい。
『せ、先輩!なんかしっかりした石垣の上に、丸っこい石がどこもかしこも積んであって変ですう^^;』
私の指摘に琴音っちも
『あれ?確かにしっかり切り出された石積みの上にゴロゴロと丸い石が積んであるっすね^^ ・・・何コレ???』と改めて注目するのでした。
『たぶん福江の石垣って・・・こういう仕様なんじゃないかな☆』
・・・すんごくアバウトに質問から逃げた菅原先輩。
どうやら先輩もそこまで万能ではない御様子ですう^^;
『マジ頼りねーなお兄ちゃん^^;』
『バカいうな^^; お兄ちゃんだって何でもは知らないんだよ。興味のある範疇だけなんだからさあ^^;』
そんなこんなで皆でこの不思議な造りの石垣を眺めつつ闊歩することになったのです^^
ーーーするとその途中に
『福江武家屋敷通りふるさと館』と言う、
初めて石垣の向こう側へと入れそうな場所を発見ですう^^
『お兄ちゃん!ここ無料らしいぜ!』
『なら行くしかないよな♪』
・・・実に現金な菅原兄妹^^;
首里城もグラバー邸も入場料あると知った途端に遠慮した先輩たちらしいっちゃらしいのですが・・・^^;
どうやら五島家家臣の一人『藤原さん』の屋敷跡みたいですう(※再建されてます)
井戸もあります(だから何だよw)
井戸の上にはきっちり蓋がされていました(貞子さん対策ですね!)
『ワオ!ワタシこの顔をパネルにあてて写真撮影するのシタイデース☆』
『私、絶対嫌っすよwマジで^^;』
琴音っちは嫌がるけれど、
リンダが興味を持ったのでとりあえず記念撮影した^^;
でもハズカシイですねコレw
建物の隅には焼き網とコンロがズラリ。
民芸教室や体験もありますって書いてあったのですが、
ばーべきゅーとかもやるんですかね^^
その後は皆で福江に関する資料館へと入りましたです。
そこには、何でもこの武家屋敷通りの石垣が一度、大火で焼け途絶えたと書いてありましたです。
今ある石垣はある意味町おこし的に復活したってことみたいですね^^
蹴出門辺りの城壁も、今とは違かったのですね^^
(※↑ これが今現在の城壁ですう)
さて、私やリンダはかつての福江の写真を見ていたわけなんですが、
先輩と琴音っちは古地図を見て『なるほどー』と唸っていたのです。
『どうかしましたか^^』と覗き込むとーーー
『いや~コレ見てよ夕実ちゃん。福江城って昔は海の上に建つお城だったみたいだぜ^^
海城ってやつなんだけど、
その姿って壮観だったんじゃないかなあ^^』
へえー!今ではすっかり海から遠い感じなのに、昔は海の上にあったのですかあ☆
知ってみると面白いですね^^
そしてこの資料館に先ほどの不思議な石垣の答えがありましたです。
あの堅牢な石垣の上に危うい丸い石積み。
『こぼれ石』って言うのですか。
仮に外敵が石垣を乗り越えた時、
石がボロボロこぼれて音で知らせたり侵入を防いだりとそういう役目だったのですね。
これには『なるほど~!』と皆同時に納得の声を出したのですう。
実に分かりやすい絵図と解説に皆、納得でしたw
さて、一通りふるさと館を巡ったのはいいのですが・・・
お店の開店時間までまだまだ時間があったのですう^^;
なんせ宿屋に近いからココはw
そこで菅原先輩が思案した結果、
『まだ20分くらい時間あるし、福江城がかつて海城だったんだって痕跡を探してから五島牛しよう^^』と言う結論になったのです。
元・福江城(石田城)は今現在ほとんどが長崎県立五島高等学校ですう。
その外周をぐるっとお散歩してたら
学校の一部の敷地ですが、
そこは直ぐ傍が海だったのです^^
先輩曰く『ここすら埋め立てられた場所かもだが、当時の名残りかもしれない場所だね^^』だそう(超アバウトw)
造船のドッグの名残りのような気もしましたが、特に私達は突っ込まなかったです(やさしさ)
(※ 現在の福江城に一番近い海岸線はこの高校の裏手。あながち間違ってはいないと思います^^)
---さて、いよいよ開店時間もせまってきましたです。
私達は再び繁華街へ。
その途中に『いかにもココは史跡名跡ですよ~』って看板を街中に発見です。
『寄ってくしかないだろこれは^^』と言う先輩の発言に、
『いやいいっしょ。もう五島牛モードなんですけどマジでさ^^;』と琴音っちが嫌がったのですが、
『我慢を貯めた方が美味しいものはより一層美味しくなるぞ^^』と強引な理屈で先輩が押し切りました^^;
『六角井』
簡単に説明すると、かつて中国と交易していた頃の名残り。
駐留する中国人さんが造った井戸ってことでしょうか^^
ここも貞子さん対策が厳重にしてありましたです^^
さあいよいよですう!
いくつか路地を抜けたところに、なんでも五島牛を食べさせる老舗と言えばココしかない!と言うお店の近くまでやってきたのですう(*´д`*)
『とうとう五島牛が食べれるノデスネ~(*´д`*)』
『うは!もうワクワクが止まらないっす!(*´д`*)』
『ATMでお金を下ろした甲斐があるってもんだぜ(*´д`*)』
と、みんなの期待値MAXですう☆
その名も『望月さん』
私達はその屋号を見つけるなり、
入り口へと駆け出したのですう(*´д`*)
Σ(ll゚д゚(ll゚д゚ll)゚д゚ll)エエエェッ?
確か・・・定休日でもなかった・・・はず・・・(血反吐)
ここはみんなでリンダにならって頭を抱えて
OMG(オーマイガー!)と
絶望の海に飲み込まれたのは言うまでも無いですう・・・^^;
(※ 実は前日はやっていたとのこと。先に五島牛食べておけばよかった・・・・・・・OTL)
途方に暮れた私達。
とは言えもうお腹ペコペコって言うか背中が腹を突き破りそうなくらいガリガリですう(イメージです)
『もうどこでもいいよお兄ちゃん・・・。もう五島牛とは言わないから早くご飯食べたいっす・・・^^;』と、ウルウルな瞳で先輩に懇願する琴音っちがそこに居た。
私達も同様。
もう、五島牛しばりじゃなくてもいいですう^^;
早くお腹を満たしたい!
『じゃあ、ちょっとここまでの道程でキニナッタお店があったからそこに行こう^^;
背に腹はかえられないよね^^;』
結局、ここから近いと言う先輩の気になるお店へと向うことになったのですーーー
途中ーーー
もう極限状態だと言うのに(おおげさ)
『お!なんか古めかしい丸ポストだね~^^』と、先輩が郵便ポストにうつつを抜かす^^;
『ポストなんてどうでもいいじゃんお兄ちゃん^^; ・・・ってあれ?
なんかポストの横にあるっすよ???』
琴音っちがポスト横にある、これまた郵便受け?みたいなものに興味を持つ。
えっと・・・何コレ???
そのボックスから先輩がヒョイとつまみ出した紙は何と
『競艇の番組表』
見れば同じようなゲラが何部もあるのですう^^;
『ご自由に持って行ってくれってことなんかな?
多分このポストのあるお店のご主人の趣味なんだろうね^^;
競艇はやらないけど、このお店のご主人のハートにボクは萌えるな(*´д`*)』
ギャンブラーの思考なんてさっぱり意味不な私達女子軍は先輩に猛抗議。
『そんなのいいからご飯をお願いします(怒)』
『うう・・・ゴメンゴメン^^; じゃあ急ごう^^;』
昨日、夕食頂いた『心誠さん』が途中に。
もう二日連続ここでいいじゃないですかと思ったんですが、
『どうせならお店替えてみたい^^;』と突っぱねる先輩に渋々ここを諦めるのでした^^;
---そんな折
『ここが気になってたんだよ~^^』と、繁華街のメインストリートの真ん中くらいにあった、随分と新しい感じの門構えの居酒屋さんに躊躇無く入ろうとする先輩。
私達ってば空腹だったけれど、少しくらいはお店選びに意見するくらいの気力はあったのに、
先輩がほいほい入店しちゃうもんだから、なし崩しにこのお店に今日は決定してしまいましたですう^^;
鬼がでるか蛇がでるか。
いざ推して参りますですう^^;
不安もありますが目の前にキンキンに冷えたビアーが出てきたら皆押し黙りましたですw
『『『『かんぱ~い☆』』』』
『くああ~・・・もう直腸まで駆け抜けるくらいマジ美味いっすねえ~^^』
・・・なんともお下劣な物言いですが・・・
琴音っちが言うのも分かるくらい美味しかったのですう。
なんせカラッカラの砂漠の胃袋への一滴ですう^^
美味しくないわけがありませんw
お通しはアンキモでした^^
私大好きなのでこれだけで嬉しいです(*´д`*)
ふと席の横を見上げるとーーー
生簀のフグさんと目がばっちりあっちゃいましたです^^;
この子も食べられちゃうのかな?
---さてここからは
『五島牛でお金を下ろしたのに残念な結果になったとはいえ、
五島列島の食い物は何でも美味い!
だからガッツリ食って行こうぜ!^^』と言う菅原先輩の大号令によって、
各人『ならば!』と躊躇無くオーダーをするのでしたですうw
『カニミソ食べたこと無いデース^^』と言うリンダのリクエストに応えてかにみそ☆
今年は台風や雨続きで野菜が高騰してるから野菜食っとけ!と、言わんばかりにサラダも勿論注文^^
そして、先輩がなぜこのお店にフラフラ~っと来た理由がここで判明するのですう。
『お待ちどう様でした^^』と、みんなの目の前に運ばれて来たのは、
お魚のお刺身でした。
『街中歩いててコレが気になってたんだよ~^^
これはアラの刺身だ☆』
『ホワッツ?アラ?^^』
『ずばり高級魚だ☆ まあ~御託はいいから食うのだリンダ^^
刺身OK?』
『イイェース♪ 刺身・テンプーラ大好きデース^^』
『皆もつまんでつまんで^^ ホラ♪』
先輩に薦められて皆でパクリと頬張る私達。
・・・
・・・
・・・ ンッ!?
Σ(☆゚д゚(☆゚д゚☆)゚д゚☆)
ぐはああああああああああ!
めっちゃおいちいいい(*´д`*)
『だろ?鍋にしても最高だし、刺身も至高なんだぜアラって^^
フグにも勝るとも劣らないって言われるくらいだ^^
五島牛は残念だったけど、これで勘弁してもらえないかな^^』
クセなどまるで無く、口に含むとほんのり優しい甘味が広がるのですう。
お口が幸せってこういうことなんでしょうね(*´д`*)
当然、文句も無い私達は何故か天井に向って『おお神よ!』と祈り、
先輩に向って『アリガトウございます♪』と感謝した^^
『喜んでいただけて良かったよ^^ これ以外にも美味しいものたくさんあるから次々行こうぜ^^』
先輩はイケイケー!と私達を囃し立てるのです。
五島牛ぶん、きっちり海のもの堪能するぞー!ってことになり、
私達はメニューで気になったものをガンガン頼むのでした(お酒もね☆)
これは琴音っちが頼んだ『水イカのそうめん』ですう^^
チュルチュルチュポン☆と喉を通る食感最高でした(*´д`*)
そして、どうしても五島牛が食べれなかったことを悔やんでるリンダがメニューにあるものを発見して大喜び!
それを見た私達も大歓喜☆
さっそくオーダーしたのは当然これですう^^
『五島牛のさがり串』
『ぐおおおお!ちんまりだけどうまいっすよマジで!(*´д`*)』
『ホントはもっとガッツリ食えるはずだったけど、これはこれで美味いな^^』
『OMG!OMG!赤味肉好きなので最高デース(*´д`*)』
肉汁じゅわ・・・
甘味もじゅわ・・・
まるで夢心地でしたよ(*´д`*)
美味しいものがありすぎて、すっかりほろ酔いな私達。
最後はカニ雑炊で〆ましたですう(*´д`*)
(〆の雑炊最高ですう~♪)
『そう言えば店の名前知らずに入店しちゃったなオイラ達w』
お勘定を済ませて(もちろん先輩が)
暖簾を見上げると『島んもん』さんって書いてあったです。
・・・ふとここで、
琴音っちが『ねえねえ見てよみんな!』とお店の看板の隅を指差した。
あれ?どうやら昨日お邪魔した『心誠さん』の系列のお店だったようですねココはw
まあでも美味しかったので『へえ~そうだったんだね☆』くらいの驚きでしたですよ^^
さてこのまま宿屋に帰っても良かったのですが、
『お酒買って帰ろうっす!お酒!』
『つまみも欲しいな^^』
『宿屋の前にスーパーがありましたデース^^ そこに寄りましょうデス☆』
と、みんな俄然二次会モードに突入してるのです(ですよねー)
ということでお買い物してから帰る事にしましたです^^
宿屋に帰ってきたら、宿屋のオジサマがちょうどお外でタバコをプカプカさせていました。
私達を見つけるなり声を掛けてきたオジサマ。
『望月さんやってなかったでしょ?残念だったね^^;
実は私達もね(スタッフさんか家族さんと一緒って意味かな?)
君達が肉食うって言ってたからつられて望月さんに行っちゃったんだよw
そしたらやってなくってビックリだよーw』
オジサマもお肉食べに行って失敗してたのですかw
思わず皆でクスクス笑いでした^^
『また福江に来たらうちに来てよな^^ 美味しいお店紹介するから^^』
嬉しいお言葉を受けてみんなで『アリガトウございます。その時は是非♪』とペコリとしました^^
正直言うと、宿屋さんに到着した際にお姿見かけた時はちょっと怖そうなオジサマかな?と思っていたのですがあ・・・
世話好き話好きの素敵なオジサマでしたですう☆
またここに来ることをみんなで誓い合いつつも、自分達のお部屋に戻ることにしましたです^^
テレビをつけて早速お酒の封印を解き放つ私達。
そしてガサゴソと買い物袋から琴音っちがおつまみを取り出した。
豚なんこつ(ボイル)に
クジラの湯引き(五島列島はクジラ系の食材も多い)
そして塩茹で落花生(私、めっちゃ好き(*´д`*))
部屋での二次会もワイワイ賑やか^^
酔いも手伝ってウキウキ気分の一時でしたヨー♪
---そんな折、
テレビの画面が天気予報を映し出す。
先ほどまでちょっとハーレムでデレデレしていた先輩が急に真顔になったのですう。
『台風18号』
思わず私達も画面を注視。
なにせ今回の道中、この台風のせいで幾度と無くスクーターを煽られたのですから。。。
『お兄ちゃん・・・明日・・・、船出るかな』
『直接の影響は・・・無いと思うけど、台風に向って強い風が流れ込むのは間違いないなあ^^;
最悪、欠航。もしくは渡船できても・・・次の島から出られない可能性もあるかもだ^^;
まあ祈るしかないよね。
さあ明日は予定通りなら朝早い出発だ^^
無事を祈ってグッスリ寝ておこうぜ皆^^』
台風の影響に気が気じゃないところだったのに、
『ふわわわわ・・・』
私の不意の欠伸に釣られてかみんなもアクビを連鎖する。
時計を見やるともう11時。
ここで二次会もお開きにして就寝することにしましたです^^
翌日、テレビの音声で目を覚ます私。
どうやらリンダがテレビをつけたみたい(私とリンダで一室)
画面は『暴風や土砂災害などに警戒』とアナウンサーさんが絶えず連呼していました。
私は『おはようですリンダ^^』と声を掛けてから、窓の外を眺めにいくのでしたーーーー
ここまで読んでくださりありがとうございました^^
随分チンマリした五島牛だったわねw・・・って言いたいところだけれど、
やっぱり台風が気になるわよね^^;
別に笑いの神様なんて必要ねーよ!と思ったけど、五島牛のさがり串もアラの刺身もマイウーだったぞ^^
さて、問題はやっぱり台風だった。
この台風18号、
台風としての影響ももちろんあったけれど、
日本に上陸して衰弱して温帯低気圧に変化した後が
最強に極悪だったよな・・・
この後、台風18号の成れの果てがまさかあんな豪雨災害もたらすだなんて思いも寄りませんでしたね。
『平成27年9月関東・東北豪雨』と言う気象庁の命名がついてしまった大災害でした。
(被害が甚大な時には気象庁命名の冠がついてしまう・・)
亡くなられた方達に改めてご冥福を
そして被災された方達に改めてお見舞い申し上げます。
さて、いよいよ次回は五島列島の次への島へと旅立ちます(ネタバレですけどしょーがないw)
そこには何が待っているのか?
多分また煉瓦の教会とかでしょ?とかイジワルなこと言わずに見てやってくださいなw
ここには長崎原爆の重要なものが眠っています。
そしてそこから長崎本土への旅。
お話を見守っていただけると、この旅路が何を意味しているのかが分かっていただけると思っています。
ではではまた次回記事でお会いいたしましょうず^^
第805話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・福江島編④『白くてドーン!赤くてドーン!の教会たち?』水之浦教会・楠原天主堂・常灯鼻ほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『スクーター乗ってるだけなのに結構疲れましたですう^^;』
夕実ちゃんがランチを食べ終えた後にボソリと呟くと、それに呼応するように妹の琴音も嘆き節。
『お兄ちゃんん・・・つーかーれーたー。もう帰るのメンドイくらいw』
・・・確かにスクーターだと疲れるかもだ。
なんせストップ&ゴーを繰り返す旅路(だからこそ素敵な風景に出会える可能性大きいのでもあるが)
恐らく今日の行程は約80㌔は走ることになるだろうしね^^;
とは言えここで宿泊するわけにもいかない。
ボクは彼女等が奮い立つように、あーでもないこーでもないと言葉を探した。
『もう少し頑張ろうよ^^ 今日の夕御飯は念願の五島牛だぞ☆牛だぞ牛!』
突然ガタタッ!とテーブルに少しぶつかりながらも琴音が立ち上がって叫ぶ
『やっき肉ゥ!やっき肉う!うおおおおおおお!☆』
それにリンダと夕実ちゃんまでもが右手を天井に突き上げて
『やっき肉☆ やっき肉うううう~♪』と合唱しはじめるのだった・・・
肉ってすげーなオイw
どうやら何とか福江島の後半戦もいけそうな気がしてきたぞ^^
第805話。ボクこと菅原雄介視点でお話は進むからな!^^
『あと二つ教会を巡ったら終わりだからみんな頑張って^^ その二つとは鉄川与助さんがかかわってる教会だぞ琴音』
『なぬ!? 鉄川さん? なら行く行く!頑張るっすマジで^^』
ここで二つ目の餌を投入。ただしコレは琴音にしか効かない薬でもある。
---道の駅を出てから暫く走った所、
『あそこに真っ白い教会があるですう!』とボクの後ろの方で喚く夕実ちゃんが居た(なんせ走行中は会話もよく聞こえない^^;)
思わずその方向をチラ見してからボクはゆっくりと路肩に減速して止まった。
彼女達も立ち止まり、丘の上に聳える白亜の教会へと向うことにした。
そこはボクと琴音の目的の場所でもあったのだ^^
坂道に仲良くスクーターを止めて教会の真下までやってきた。
見上げたソレは
ボキャブラリーの足りないボクには表しがたい素晴らしい佇まいだったのだ。
『わきゃー☆ 白くてドーン!で素敵ですう~^^』
・・・ああ、そういう表現の仕方もあるね・・・夕実ちゃん^^;
まあ要するに白くてドン!だったのである。
さっそく階段を登ってみる。
ここは『水之浦教会』
日本に現存する最大規模の木造教会だ。
『ワオ・・・これは美しい教会デス』
教会も見慣れたものであるはずのリンダも思わず唸るほどの佇まい。
ボク達は感動からか余り会話もすることなくただただ外観を見て周ってしまうのでしたよ^^
口から零れ出るのはウットリ♪って感じの溜息ばかりなり。
一通り水之浦教会の外観を嘗め回したボク達は、こちらにもきっちりと用意されているこの教会の説明案内の前にやってきた。
せっかくなので自分の知る知識と説明版を加味しつつもこの教会の説明を簡単にではあるけれど皆にしてみた(簡単にじゃないとダメな子もいるのでねw)
『この水之浦教会ってのはね? 元々ここに住んでいた方達が築いたと言うよりも、
島外から移住してきた隠れ(潜伏)キリシタンたちが禁教を解かれた明治13年に建てた聖堂なんだ^^
そして今現在の姿は実は当時とは違う。
ここもまた潮風や塩害などの木造の腐朽の影響で建て替えられることになるんだ。
昭和13年、長崎の教会建築のパイオニアである鉄川与助さんが設計、新築したのがこの今現在の水之浦教会なんだ^^
鉄川さんはいくつも教会を設計しているんだけれど、
戦前最後に建てたのはこの教会。
明治・大正期の彼の技術がたくさん詰まっている教会とも言われてるんだよ^^
そしてその後はブランクがあるんだがーーーその話はまた今度かな^^』
真剣に聞き入る琴音。ほお~と感心するリンダ。
うーサッパリです☆と馬耳東風っぽい夕実ちゃんと三者三様だったけれど、
ボクは最後に彼女達に1つだけ付け加えておいた。
『最終日に本土(長崎市街)に寄る予定なんだけれど、皆に見てもらいたいところにボクは連れて行くつもりだ。
そこもまた鉄川さんが絡んでくる。
だから覚えていて欲しい。鉄川与助さんって人をね^^』と。
そこは今回の旅路で『どうしてもボクが伝えたいこと』なのだ。
聖母の像を最後に見て周ってこの水之浦教会を後にすることにしたボク達。
帰り際に来た道の階段の裏側の文字にふと気づく。
『私は門である。ってその通りじゃんw』って誰もがツッコミを入れたのだけれど、
その対となる門柱に書かれていた言葉にツッコミの笑いはすぐさま掻き消えた。むしろみんなゴメンナサイをして通り抜けた^^;
(リンダはツッコミもしないし笑いもしませんでしたよ^^)
さて再びスクーターに跨って走り出したボク達。
いつの間にか頭上はドンヨリと雲に覆われ始めてきた。
だいぶ遠いと思っていた台風の影響がいよいよこの島にも忍び寄ってきたようだ。
福江島をほぼ一周する形の国道384号線から少し山間への道へとボク達は逸れた。
なぜならそこには今日最後に寄っておきたい教会があったからなんだ^^
その教会が見え始めた頃から琴音は
『うわあ・・・うわああ・・・うわあ・・・』としか言わない(言えない。言葉が見つからないのだろうきっと)
最寄の駐車場にみんなでスクーターを止めてそこへと歩むボク達。
その目の前にはーーー
赤煉瓦造りのとても立派な教会が『赤くてドーン!』してたのだ。
『楠原天主堂』
福江島初日に見た赤レンガの堂崎教会とはまた違った風合のある煉瓦建築でした。
ここにも例によってしっかりとこの教会の説明がなされています。
ボクは先ほどと同じように、少し噛み砕いてこの楠原教会(天主堂)を彼女達に説明するのだった。
『この楠原天主堂は下五島(福江含む五島列島の下半分地域)に現存する教会としては二番目の歴史を誇るんだ^^
堂崎教会の次ってことになるかな。
明治45年、鉄川与助さんの手によって建設された教会でもある』
『わきゃ?また鉄川さんですう~^^』
『そうだよ夕実ちゃん^^ 鉄川さんは長崎県下に留まらず数多くの煉瓦建築に携わった教会建築の名工とも言えるね^^
さてこの楠原もまた、隠れ(潜伏)キリシタンの信徒たちの思いがたくさん詰まった教会なんだ。
明治初期に禁教を解かれてからも暫くは迫害を受けていたこともあった。
貧しい生活ではあるけれども村人たちは明治初期からコツコツと資金を積み立て(その期間はゆうに30年は越えるんじゃないかな?)
明治45年に鉄川さんの手がけで3年がかりで完成したんだ^^
信者さんたちの念願の教会!
教会建築には信者さんたちも自ら協力を惜しまなかったそうだ。
男たちは資材の運び出しに肩を貸し手を貸し、
女性たちは漆喰の材料を手作りし、
子供達もまた学校帰りに買い付けた赤レンガを浜辺の荷降ろし場から持てるだけ持っておてつだいしたそうだ。
・・・みんなで造った教会なんだよねここ^^』
ボクの簡単な説明ではあるけれど、でも伝えたい部分は彼女達にしっかりと伝わってくれたみたいだった。
『わきゃあ・・・歴史を知ると尚更この目の前の教会が重みのあるものに見えるですう』
『普通の建築と違うっす。お金を出して造ってくれじゃなくって、自分達も一緒にってのが素敵っすよマジで^^』
『リレジャス(信心)の賜物デスネ^^ とても素敵デース☆』
勿論、今まで見てきた教会たちも同様だったんだよ?とも付け加えておいた。
どうか教会ばかりと嘆かないで。
知っておいて欲しいことだからと。
---さて、
もう充分彼女達には伝わったようだ。
・・・というか、妹の琴音はもう目をギラギラさせている^^;
まあそうだよな。目の前に煉瓦の建物があるんだもんw
『ここから福江市街地まで30分くらいで帰れるし、レンタルバイクの返却時間まで余裕もありそうだ。 だからじっくり見てまわろうか^^』
『『『はーい☆』』』
近所の広場でゲートボールを楽しんでるおじいちゃんおばあちゃんがビックリするぐらいの良い返事が返ってきた。
では見よう。レッツ楠原天主堂!
何か変わったステンドグラスの模様。いや、ステンドグラスと言うものに見慣れていないだけなのかもしれないねボク達が。
見上げれば屋根に突き出た部分にクルスの意匠。
煉瓦積みは明治後期の建築だけあってイギリス積みだね^^
当然修復部位もあるけれど、昔のままの煉瓦が残されている。
---ボク達は入り口部分にも行ってみた。
『うは!なんかアタック25の最終問題の様なステンドグラスっすね^^』
その例え分かりづらいよ琴音^^;
(※ 海外旅行チャレンジVTRクイズのことですW)
見上げた天井部位はコウモリ天井ではなく格子状の板で覆われた天井だった。
面白いことに表側の煉瓦はぐるりと鋸の歯のようなギザギザに煉瓦の角を表に向ける装飾^^
電灯があるのはご愛嬌。でもその周囲の煉瓦は特に古めかしいものでしたね。
少し裏手にまわってみると、軒下の鋸歯状の煉瓦を除いて真新しい感じの壁になっていました。
一通り外壁まわりを見たボク達は拝礼しに中へ。
当然写真は自粛しましたが、白亜のリブ・ヴォールト天井(コウモリ天井)が奥の祭壇まで連をなすとても素敵で荘厳な教会内でしたよ^^
教会の正面口からではなく横の出口から外へ。
するとここでモジモジウズウズ・・・おしっこでも我慢してるんじゃないかと思うくらいに琴音がトロンとした赤い顔でボクに言ってきたのだ。
『お、お兄ちゃん・・・。煉瓦刻印探したいよおぉ~^^;』
いつもそんな感じで頼ってくれるなら嬉しいのだがなあ^^;
普段は何かと兄であるオイラに突っかかってくるわけで・・・。
『ああ、分かった分かった^^; じゃあ~探して来いポチ!』と言うと
『ワンワンワン!ガルルルル・・・・!』と、野犬のように琴音はカメラを持って飛び出していった・・・^^;
ちなみに今回の旅路には、琴音の誕生日前祝として
『光学50倍の望遠ズーム付きコンデジ』を餌としてプレゼントした^^;
前々から妹にはコンデジじゃなくデジタル一眼の望遠レンズを薦めていたんだが・・・
『お高いしい~、着脱がめんどくせーっす^^;』とかカメラ好きに怒られそうなこと言いやがるものだから、
不精な彼女にピッタリなコンデジを夏ボーで泣く泣く買ってあげたってところです^^;
とは言え今までと違って教会のような『高い軒先のある煉瓦建築』もこれなら充分撮影可能なはず^^
行ってこい。そして思う存分撮ってこいよ妹様w
ーーー20分後
ヨダレを拭いつつ満足したような妹様が帰って来た。
『じゃあじゃあ!今から私の撮った煉瓦写真公開すんね^^』とボク達にプレイビューを見せてくれる彼女。
そこにはーーー
『えっと・・・何も刻印らしきものは無いなあ~琴音^^』
『やっぱそうっすか^^;』
笑顔で帰って来た割には、あっさりと負けを認めた琴音。
・・・多分、ほんとは分かってたんだろうな。自分でも。
そんな彼女にボクらしくない声を掛ける。
『この後、三日目も最終日も煉瓦の教会とか行くから頑張れよ^^』と。
『うん。分かったよお兄ちゃん^^』
実にしおらしい感じで言葉が返ってくる。
普段からそういう素直な妹でお願いしたいところですなあ^^;
じっくりと時間の許す限り楠原天主堂を堪能したボク達は、
このまま真っ直ぐ市街地に帰っても良かったのだがーーー
この楠原天主堂すぐ近くにある
『楠原牢屋』に寄る事にしたんだ。
『ここは楠原天主堂とセットで見ておいた方がいいと思うんだ皆^^
この島のキリシタン達は禁教政策が解かれた後も暫くは迫害の憂き目にあってた歴史も有るんだよ』
みんな言葉数少なかったけれど、
銅像や復元された牢屋を思い思いに見つめていた。
ーーーさて、
ようやく福江島を一周して帰って来たボク達だったのだが、
レンタルバイクを返却する前に最後の寄り道を。
それはどこかと言えばターミナルです。
何故かと言うと?
明日、ここから五島列島の次の島へと向うことになっていたのだが、
日本列島に迫る台風の影響もあって日中かなりの強風だったこともあり、明日の船の航行はどうだろうかと不安になって調べに寄ったのである。
船は多少の雨には強いけれど、
風と風による高波には弱いですしね^^;
晴れていても波が高ければ離島船の欠航なんて当たり前の世界だ。
船が出ない可能性があるのなら旅行計画も途中で変更しなければいけないし。
ということでインフォメーションへと向うことに^^;
『わきゃー☆ なにか可愛いゆるきゃらっぽいのいるですよ^^』
『でも゛つばきねこ”の目つき悪くね?w』
ご当地キャラの三人衆がターミナルに掲げられていたのだが、
どうもつばきねこだけは納得が言ってない彼女達w
いいじゃん。ただ可愛らしいよりコッチのほうが覚えてしまうよ^^
(鬼っぽいのは五島の民芸であるバラモン凧に由来したバラモンちゃん。
シスターみたいな女の子キャラはごとりん。
五島の花『ヤブツバキ』と教会群をモチーフにしたキャラです^^)
さて、ターミナル内に入った所、
強風の影響で欠航した福江発の本日便もチラホラ・・・
今のところ自分達が乗る予定の九州商船のジェット船は終日航行予定。
ただ・・・明日は分からないとのこと^^;
『雨降ったりとか直接の影響は無いけど、明日もまた福江島で過ごすこともあるかもしれないから覚悟はしておいてね^^;』と彼女達には伝えた。
『これはショウガナイデス。皆さんで明日を信じましょうデース^^』とリンダが先に言ってくれたおかげでか
『わきゃ!そうですよおー^^ 今日巡れなかった場所をじっくり回りましょうですう^^』と夕実ちゃん
『教会の煉瓦刻印リベンジでも私は全然かまわないっすよw』と琴音。
どうやら少し吹っ切れてくれたようで安心した^^
ーーーさあ、
この後はレンタルバイクを返していよいよ
五島牛を食べるわけなんだがーーー
福江島ターミナルに降り立った初日に、この付近でどうしても気になっていたとこがあった。
宿屋のお兄さんに迎えられた車窓から見えたそこは、ボクも夕実ちゃんもリンダも琴音も指差して『あそこはなんだろ?』ってとこだったんだ。
それを真っ先に夕実ちゃんが思い出した。
『ねえねえ先輩。そう言えばこの港の中に突き出ている変な建物が気になるです^^』
夕実ちゃんの疑問に『そういえばそうだよね!』って感じでリンダも琴音も相槌を打つのだった。
ならばと言うことでボク達はスクーターを駐車場にそのまま置き、
そこへと確かめに行くことにした^^
ターミナルから見えるソレは防波堤のようだけれど、先っちょに建物が建っていた。
昔の灯台???
とにかく気になるんだよアレはw
港をグルっと歩いてその根元を目指すボク達。
歩く事6~7分。・・・意外と遠い^^;
ようやく対岸までやってきた。
港に流れ込む川橋を越えるとーーー
『常灯鼻』はコッチって矢印が。
方角的にも距離的にも先ほどから見えてるアレに違いない☆
ここから真っ直ぐあそこに向えば・・・って時、
JFマリンバンクと言う、漁協さんの金融機関を発見したボクは、
『ちょっとお金おろしてきていいかな?』と彼女達に告げる。
『なんだよお兄ちゃん^^; そんなん後でいいじゃんか』と渋る琴音がいたけれども、
『今日は気兼ねなく五島牛を堪能したいんだよ妹様^^
高いからって皆が注文する時に遠慮して欲しくないし、目一杯堪能してもらいたくってさあ、
ボーナスの残りを引き出して皆に食べてもらおうと思ってるんだけどダメでしょうかね?』
と、実に嫌味ったらしく妹様に向けて言い放ったオイラ☆
『すんませんでした兄上様』と途端に『ハハア~』とその場にひれ伏すジェスチャーをする琴音。
釣られてリンダと夕実ちゃんも
『ど、どうかなにとぞいってらっしゃいませ!』とオイラを見る目も言葉遣いも様変わりした。
うむ。実に良い気分じゃ。よきに計らえ~w
っつーことでATMでお金ゲットしてきた。
お金って偉大だなw
(※ ATMでがっつりお金引き出したのは本当のお話です^^
だってせっかくここまで来たんだよ?
財布と相談して美味しいもの諦めることは嫌だったのでね^^
福江島二日目の夕食は、それほどまでに五島牛に命かけてたっすw)
寄り道したけれど防波堤の根元まで到着。
空を見上げればつかの間の青空も覗く素敵な景観の一本道。
でも、海側から吹き付ける風は猛烈でした・・・。
『みんなゆっくり歩いていこう^^; 落っこちたらたまらないし^^;』
正直行かないほうが良かったんじゃないかと思ったけども
何とか這うようにして防波堤のその先の一画へ。
『わきゃ?何かお城の石垣みたいになってるですよ?』
夕実ちゃんがボクにしがみつきながらも指を差す。
う~ん本当だ。ここまで歩いてきたところはコンクリ堤防だけれども、その目の前の一画は完全に石積み。
ここもご多分に漏れず、きっちりと説明版が。
ありがたいですね~^^
『どうやら元々は福江城(石田城)を大波から守る防波堤でもあり、灯台の役目だったみたいだね^^
歴史にして約150年物だよ!
今は埋め立てでこの常灯鼻の周囲だけが残っているだけだけれどーーー
ん?と言う事は・・・
福江城って昔はすぐ近くに海があったってことか?』
説明版を見ながら皆に説明してたのだが、途中でふとした疑問に自問自答。
それにのってくるリンダ。
『スガワラサン? 私達が昨日見た福江城跡はターミナルからも結構遠かったような気がシマース。
もしかしたらばデスヨ、私達のホテルのある場所も昔は海だったとかナンデショウカ?^^』
リンダが言うように確かに今現在は海岸線から遠い気がする。
ちょっと調べてみたくなった。
その答えがあっさり見つかるのはすぐこの後なのだが、今はまだ誰も知らないーーー。
(※ 次回で分かります^^)
常灯鼻の石積み。
外面はそこまで立派なものでは無い気がした。
祀られているのは『こんぴらさん』
なるほど。これは今、ボク達の境遇にピッタリだ^^
そう思ったボクは彼女達に告げる。
『こんぴらさんは海上交通の神様って言われてるんだよ皆^^
ならばここでお参りして行こう!
どうか明日、無事に次の島へいけますように☆ってね^^』
『『『さんせー!』』』
みんなの同意も取り付けた。
いざ行かん!常灯鼻のこんぴら様へ!
これが常灯鼻かな?
中をこっそり覗くと
今では電線通う電灯にとってかわっていたけれど、今でも漁師さんの夜間の迎え火となってるのかな^^
ここで夕実ちゃんが騒ぎ出す。
『ここですかね??? でも中に誰もいませんですう^^;』
これがこんぴらさんを祀ったものかは分からないけれど、
常灯鼻の脇に2体の祠?が。
どうやら先ほど潜った『鳥居』と、この常灯鼻の石垣全体をひっくるめて、こんぴら様を祀ってるってことらしい。
てっきり仏様が鎮座してるものだと思ったボク達は少しポカーンとしたw
---とは言え海上交通の神様です。
『みんな祈ろう^^ 明日、船が出ますようにと^^
おいしい五島牛たべれますようにとか祈るなよ?琴音』
『両方祈っちゃダメっすかお兄ちゃんw』
『欲張るなよ^^; っつーか、神様仏様は邪念があるお願いは聞いてくれないし逆にバチを与えるぞ^^;
お前のせいで連帯責任とか嫌だからな^^;』
私のせいで船が欠航したらたまらねーって事で、琴音が一番熱心にお祈りをしたかもしれない^^;
案外かわいいとこもある。
みんなで手を合わせ、しばし目を瞑った。
お祈りも済んで鳥居を抜けようとした時に、
リンダが常灯鼻に積み上げられた石垣を撫で撫でして感心の溜息をした。
『見てくださいよスガワラサン^^ この石と石のつなぎ目。
陸地に築き上げるのも容易ではない石垣だと思いマース。
大きな石を加工して、運び、積み上げる。
それがこんな海上の上にポツンと立派に存在しているって素敵デスヨネ^^
教会もそう。この常灯鼻の石垣もそうデス。
ワタシは昔の人の技術と思いに心から尊敬デース^^』
確かにそうだ。リンダの言う通りだ。
ボク達は常灯鼻をもう一度振り返り、
みんなで頭を下げるのだったーーー
ここまで読んで下さりありがーー(いつもの同文)
同文とかやめてーw
さて今回は白亜と王道の赤レンガの教会。そして神社でしたね^^
ものすごく立派な教会でしたな。
そうだよな。しかもオイラってば教会というものに慣れてないこともあって(今回の旅で初めて中まで見た)
正直、その内観外観に圧倒されてしまったのだ。
歴史を踏まえることによって、更にオイラは感動しちまったよ^^
---さてだ、
ここまで教会を見て周ったことで気づく。
教会の管理ってボク達となんら変わらぬ普通の人たちが管理しているわけですよ。
隣に居を構えるご家族が管理してたりするわけです。
今まで見てきた中では、こじんまりと細々と管理されてる方々もいらっしゃった。
これはよくよく言われていることなんだが・・・
果たしてこの長崎の教会群とキリスト教関連遺産が、ユネスコの『世界文化遺産登録』とかされた場合、
それに対応できるのかな?って思っちゃったわけだよ。
どゆこと? 文化遺産登録されたら万々歳じゃねマジで^^
いやな?登録されたら当然注目浴びるわけだよ。
それに付随する教会たちにも人がワンサカ訪れるだろう。
でも、訪れる人が増えることによってマナーの悪い人の比率も少なからず上がるんじゃね?ってこと。
そして祈りの場であって、本来は観光の場所でもない教会も存在するわけだ。
ワイワイガヤガヤ。信心もそれほど感心のない人が溢れる小さな教会ってどうなの?
・・・ちょっと色々と考えてしまうよなあ。
世界遺産登録によっての弊害問題ってやつですな
さて、次回はいよいよ福江島編最後の宴です^^
正直、今回の記事に含めるはずだったんだけれども・・・
記事としてはとても長くなりすぎたし、生活の諸事情が色々と重なってしまって泣く泣く分割してしまった^^;
グルメ+福江城が昔はこんなだったんだよ?ってのが分かる次回記事です^^
気になる方は是非どうぞ☆
ではではまた今度お会いいたしやしょうず^^
(※ みんなのとこは後で見に行くね~w)
第804話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・福江島編③『露徳(ルルド)って素敵な当て字デース☆』井持浦教会&腹痛の闘志ほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『リンダは実家が教会だけど日本の寺社仏閣とかお参りしても平気なのか?』
スガワラサンがふと聞いてきたデース。
『全然ダイジョビデース^^ やってはいけない教義は色々とアリマスガ、私はカトリックなので他宗教には割りとフランクデス☆
むしろ他宗教も尊重しますデス^^』
ああそうなんだと皆さんホッとしてくれたよう。
---今回、ミナサンの協力で五島列島に聖水を汲みに来た私。
ジャパンの教会もその歴史も非常に興味あるしワクワクが止まらないデスネ^^
一日目のナイトはすっかり夜更かしシテシマイマシターw
『ブレックファーストのお時間ですよ~』と宿屋のお姉さんに皆で起されたのはナイショデースw
---さあスタートデス。
第804話。ミイことリンダ・ルンバ視点で今日と言う日を綴ってみたいと思いマース☆
朝食を取った私達はスガワラサンに急かされて、お化粧もほとんど出来ずにレンタルバイクにライドオンデース^^
なんでもスガワラサン曰く
『福江島は日本の島の中でも11番目の面積を持つ大きな島。海岸線となると更にランキングをあげて上位5傑に入るか入らないかだ。
ゆっくりグルっと一周するなんてあまちゃんなんだ^^;
急がないと明るいうちに帰ってこれないぞw』だそうデース。
ワオ!これは流石にイソガネバ☆
(※ちなみに県別だと北海道に続いて長崎県が海岸線の長さで日本2位だったりする。数多くのとても入り組んだ海岸線の島々を有するからこそなんですよね^^)
福江の市街地を抜けると海が見えて来ましたデース。
今日も天気は上々のヨウデス^^
とは言えジャパンに近づいている台風の影響でしょうか?
風がとても強かったデース。
海を見ながら皆とドライビング^^
ここで先行くスガワラサンと琴音サンと夕実サンが減速をして路肩に立ち止まり、
向うに見える山を指差すのでした。
『あのマウンテンがどうかしましたか?』
私の質問に彼らはーーー
『わきゃー☆ 伊豆の伊東市の大室山にそっくりですー^^』
『あの山見てると懐かしく感じるんすよリンダ~^^』
『ああリンダごめんな^^; 琴音や夕実ちゃんやボクの実家のある伊豆地方には、この山そっくりの大室山ってのがあるんだよ^^
あそこは福江島のシンボル的存在の鬼岳って言うんだけど、
何か親近感沸いてしまうねえ^^』
ナルホド。故郷の山にそっくりだったのデスネ^^
その足を止めたくなるハートわかりマース^^
---そこからゆっくり進んで20分ほどでしょうかネ?
海岸線から幾らか遠ざかっていた私達の目の前に、
再び海が見えてきたノデス^^
思わずその景色に誰とも無く減速をして立ち止まりましたデース。
『わ・・・わきゃー!すっごく綺麗な浜辺ですう(*´д`*)』
『うはー!すーげーなおいw 笑っちゃうくらい綺麗じゃんかあ(*´д`*)』
『これは・・・福江島をなめていたかもしれないね^^; みんなでゴメンなさいしなきゃいけないくらいとんでもなく綺麗な浜辺だよココ』
私も思わず唸ってしまった。
『オウ!マーベラスビーチ☆』
ココはスガワラサンが言うには『大浜海水浴場』
遠浅の砂浜広がる素敵なとこデスネ~^^
せっかくなので本格的に浜辺に降り立つことになりましたデス^^
行かなきゃ勿体無いデスヨネ?
海水浴シーズンも過ぎてたこともあり、浜辺には誰の足跡も無いのデス。
綺麗な風紋が延々と続くアートな世界☆
『うは・・・西表島でも日本で最高の浜辺みっけた!って思ってたけど、ここも負けてないっす!』と琴音サンが言うと、
『いや・・・日本って探せばいくらでもすごいとこあるんだなあと実感するよ^^』とスガワラサンが呟いた。
私もそれに頷く。
ジャパンに来てかれこれ5年は経つ私デスガ
日本の景色、自然、四季も溢れていて素敵な国だと思いますデスヨ☆
---ただひとつ残念だったのは、
独り占めの景色だと思っていたのに砂浜に落書きがあったことデスネ^^;
これには皆も
『わきゃあ・・・情緒ぶち壊しですコレ・・・^^;』
『なんすかねコレは・・・綺麗な浜辺が穢れるっすよマジで!』
『モラルが無い人が居るのは残念だよなあ^^;』と嘆いていましたデース。
トンネルを潜ると富江町へと来ましたデス。
福江島は福江だけの区分じゃないのデスネ^^
(※正確に言いますと福江島は『五島市』。 福江・富江・玉之浦・岐宿・三井楽の一市4町の合併で成り立つ島です^^)
そこから見えた海辺もまたマーベラス☆
再び足を止めて見入った私達デシタ^^
---さて、ここからは
スガワラサン曰く『道幅狭くて急カーブだらけの道』なんだそうデース。
グングンと海岸線から遠ざかり、気づいた時には山の上を走っていましたデス。
民家も何も無い。
ただひたすらマウンテンのへりをウネウネ走る道へと突入デース。
ーーーいくらか走り続けた頃、
琴音サンのスクーターが急激に減速。
バックミラーで彼女を追うと、とうとう路肩に立ち止まってしまいマシタデス!
慌てて私達も減速して彼女の元へと引き返した。
『おい!琴音!? どうした?』と声を掛けるスガワラサン。
見ると琴音さんはその場に『ううう・・・』とうずくまるノデス!
すると琴音サンはか細い声でお兄さんであるスガワラサンに呟いた。
『なんだお前w ウンコしたいんかw』
『大きい声でいうなー^^; ハズイしお腹にひびくー^^;』
まさかのおトイレデスカw
『わきゃあ・・・笑いたいけど笑えないですね・・・それ^^;』と心配そうな夕実サンがソレを見つめる。
確かに笑えない。
ましてや琴音さん一応レディーですし^^;
9月上旬だと言うのに今日は20度前後。
しかも折からの接近中の台風20号へと誘われる強風にお腹を冷やしてしまったみたいデース^^;
(体感的には10度台の気温だった。スクーターの所為もあるし)
これは早くWCに行かなくては!と、スガワラサンはなんだかんだでアワアワと焦りながら地図上のWCを探すのでした。
スガワラサンが開いた地図を私と夕実サンも覗き込む。
スガワラサンが現在地から最寄のおトイレまでの道筋を辿る指を私達は見つめた。
・・・ゴクリ。
誰もが唾を飲み込んだのかもしれませんデス。
スガワラサンはめいっぱいの笑顔を琴音サンに向けてこう語った。
その笑顔はある意味、手向けの花束。
でも・・・彼女にとって断罪と言えるものだったのかもしれませんデース・・・
『えっと・・・聞いてくれるか琴音^^』
『もう今の状況なら何でも言うこと聞くよお兄ちゃんん・・・。一生、奴隷でもメイドでも何でも言うこと聞いちゃう!』
『そうか。お兄ちゃんは人の不幸(便意)につけこんでそういうことはしないぞお^^
ただ言っておきたい事がひとつあってだなあ・・・』
『ええ!トイレ近い!?近いの?ああー助かった♪』
『いや!言いにくいのだが・・・
公衆トイレまで約15キロなんだよ妹よ☆』
私は生まれてこの方、身近にこんなにも絶望の顔を寄せる人を見たことが無かったデース。
彼女の顔と言ったら・・・放送できない感じデス^^;
『わきゃ・・・一旦戻って集落の家に借りた方がいいかと思うですう^^;』
ここで機転を利かせた夕実さんのアイデア。
ソウデスヨ!戻るのなら15キロも走らないはずデハ?
でも彼女は言ったのです。
『前に進んでみるっす・・・』
スガワラサン曰く『おいおいおい・・・頑張っても30分くらいかかるぞ?^^; それでも・・・いいのか?』と。
すると琴音サンは言った。
『日程的にも厳しいしい・・・限界に挑戦したい・・・。サイアク・・・自然に帰したいです!』
かくして、彼女の意思を汲んで私達はワイディングロードを駆け抜けることになったのデース!
ーーー結局色々ありましたが・・・(意味深)
ルルドのある教会の近くまでやってこれたワタシ達デース☆
なぜかほっこりとした琴音サンを先頭に走っていると、
『立谷教会跡地はコチラ』と言う看板。と言いますか、
小さな小さな教会の模型が道端に。
『この立谷教会ってのは、1987年に台風風害や老朽化で取り壊されなければ・・・
五島最古の天主堂だったとこなんだよ^^
1878年創建のキリシタンの禁制を解かれて初めて建てられた教会だったんだけどねえ^^;
(今は野外広場として整備され残ってます)』
スガワラサンの説明に皆一同『もったいない・・・』と嘆く。
同じように『現存してたならどんなに素敵な遺構か』と思えることや物はたくさんありますデース。
でもしょうがないこともあるのでしょうね。
---ふと、
元気になった琴音サンがこのミニチュア教会の看板の向うを指差すのデス。
『お墓の前に煉瓦の茶色が見えるっす!』と。
ホワッツ?煉瓦???
皆さん懐疑的でしたが確かめに行くことになりましたデース。
ワタシは見慣れているけれども、夕実サンが『十字架の立つお墓って初めてみるです!』と、お墓に彼女が興味を抱いたこともあっての寄り道デース。
墓地に寄ると本当に煉瓦の遺構が。
周りのお墓と違って墓も無いデス。
でもかつてお墓があったかのような佇まい。
有力者さんのお墓だった?
私にはワカラナカッタ。
ですが琴音サンはこの煉瓦の遺構に嬉しそうに駆け寄ったのデース^^;
『うっは!煉瓦の面がちりめんじわだ^^ 用途はわっかんないけど、コレが古い煉瓦ちゃんだってことは分かるかもっす^^』
なんでも琴音サン曰く
『明治大正期の機械式煉瓦成型に特有の皺』なんだそうデス。
そんなこと初めて知ったデスヨ^^;
残念ながら彼女の御眼鏡に叶うものは無かったようですが、充分満足したようデース。
私達はスクーターに跨り、いよいよ目的の場所へとやってきたのデース☆
先頭を行くスガワラサンが親指突き出して『ここに止めるよ』とサインをだす。
私達は駐車場にバイクを止めヘルメットを脱いで『ふう・・・^^』と安堵の溜息をつく。
それほどにここまでの距離と道は厳しくもあったわけデス。
そして私は満足げにこの地を見上げる。
私にとっての今回の目的地だからーーー
『せっかくここに説明版があるから簡単に説明しておこうか^^』とスガワラサン。
勿論誰も異を唱えることもなくお話を聞くのデス^^
『ここは井持浦教会という教会なんだけど、ここには日本最古のルルドがあるんだ^^
え?そもそもルルドって何かって?
まあ~そりゃそうだねえw
じゃあ~ルルドから説明しようか^^
簡単に説明するとフランスにルルドと言う地域があるんだけれど、そこに聖母マリアが出現したそうだ。
その地には難病を癒す泉が湧き出たんだけれども、それがルルドの泉と言われる聖なる泉。
今では世界中の敬虔な信者さんたちが訪れる聖地と言ってもいいね^^
これにあやかってかルルドの泉を模したものが世界各国で造られる様になったわけなんだがーーー
1899年。明治32年にこの井持浦教会にもルルドの泉が造られたのさ^^』
その説明を聞くなり夕実サンと琴音サンは
『わきゃあ!じゃ、じゃあ!ニキビにも効きますか!』
『冷え性にも効くんかねお兄ちゃん』
・・・と、とんでもない質問^^;
聖水は特効薬じゃないって言ってあげてくださいよスガワラサン!
するとスガワラサンは困った顔をしつつも2人に声を掛けた。
そうです!言っちゃってくださいデス。ガツンと!
『マリア様への信心があれば・・・どうにかかなあ^^;』
信心にも限界がありますよスガワラサン^^;
・・・まあこんな認識の彼彼女たちでしたけれどもまあいいデース。
私達はさっそく聖水を汲みに行くことにしたのデース^^
坂の途中には教会の売店が。
私はとてもキニナッタのですが後にしましょうデス^^
司祭館などを横目に見ていよいよやってきたデース☆
『井持浦教会』
その佇まいは青空聳える立派なものでしたデス☆
さて、私が礼拝をするかルルドの泉に行くか迷っていたところ、
『よーうし!お兄ちゃん!ここも煉瓦刻印探しっすね!』
『おう!お前には負けないぞ~^^』と
スガワラサンと琴音サンはいつものやつにさっさと向ってしまいました^^;
私と夕実さんはまず礼拝に^^ そのあとにやってきたスガワラサンと琴音サンが開口一番
『『煉瓦が新し過ぎて刻印なんてありゃしない^^;』』だそうデース^^;
スガワラサンによれば『1897年創立のとても歴史の古い教会だけれども、1987年の台風によって甚大な被害を受けたこともあり、翌年に新しく立て直された』ようデス。
さてとうとうやってきたデース。
泉の前(洞窟)には神聖な祭壇が。
教会の中も厳かデシタガ、ここはまた空気がまるで違う場所デシタ。
残念ながら泉のある洞窟には入れませんが、その横にはルルドの水を割り水した
聖なる水道がありましたデース^^
『わきゃあ!こ、これがエリクサーですか!』
『ベホマかケアルガっすよ!』
『ドラクエやファイナルファンタジーに例えてどーするよ琴音^^;』
・・・全然、信心足りない人たちがここに居ましたデース^^;
蛇口を捻るとこが何とも言えませんデスガ、立派な聖水デス^^
私は聖水で口を軽く拭うだけに留めておきましたデス^^
マリア様に感謝をしつつも一旦教会の間口へと戻りますデス。
そこには
1個100円の聖水用の容器が売られていましたデース^^
『リンダはどうするんだ?これを全部買い占めるか?』
『ポリタンク持ってきたほうがよくね?リンダっち^^』
ポリタンクは・・・吸水所じゃないんですから・・・^^;
私は『場所が分かっただけでOKデース^^ 今度交渉に来ますのでまたその時に☆』と2人に返したノデシタ。
---さてそろそろここを引き揚げるのかと思いきや
『わきゃ?教会の裏手に何か塔が見えるですう~^^』と夕実サンが見つけちゃったのでそこに行くことになったのデス。
教会の裏手の小高い丘には道があり、登ることができました。
道の脇には煉瓦片や古めかしい教会の装飾品などもチラホラ。
スガワラサン曰く
『建て替え前の教会の残留物なんじゃないかな?』だそうデース。
琴音さんはやっきになって煉瓦片を裏返しては刻印探ししてましたデスケドネw
丘を登りきると真っ直ぐな建物が。
入り口の蜘蛛の巣をかわして
上を見上げると『教会の鐘』
どうやらここは鐘楼のようですネ^^
全部見て周った私達は教会の坂をゆっくりと下ってスクーターへとむかうことに。
ところがその坂の脇にある花壇もまたクセモノのようです^^;
『うはー!この花壇の煉瓦ちゃんもマジ古そうなんすけど!(*´д`*)』と琴音サンが飛びつく飛びつく^^;
新しい煉瓦も混在していますが、もしかしたらば旧・井持浦教会に使われていた煉瓦の再利用なんじゃないかとスガワラサンが言ってましたデース^^
『さあ急ぐぞ皆^^』
そう言ってスガワラサンは腕時計を指差した。
見ればもう正午に近かったのデス。
ここまでの行程は・・・目標の三分の一・・・だそうで^^;
私達は法定速度で福江島西海岸を北上するのでしたーーー
途中にあった温泉も我慢(女性陣、大ブーイング)
ガソリンも半分。
市内と違ってガソリンスタンドは全くアリマセンデース。
このままでは福江市に戻れないのでは?とスガワラサンに聞くと、
『ココから先に行ったところに比較的栄えている三井楽と言う地域があるんだけど、
そこには道の駅もガソリンスタンドもあるから、給油がてらそこらで遅めの昼食をとることにしよう^^』
そう言えばお腹すいたデース^^;
ランチと聞いて俄然やる気を出す夕実サン琴音サン。
『うおおおおおおお!』と言う掛け声とは裏腹に法定速度で突っ走るのでしたーーー
日本屈指の渚と謳われる『高浜ビーチ』は、残念ながら道路の上から覗き込むだけで通過をすることに。
ちょっとモッタイナカッタですね^^;
もうすぐ三井楽の道の駅と言う所でひとつ寄り道をしましたデース^^
ここは『貝津教会』
白壁、木造瓦葺の素朴な教会デス^^
琴音さんは花壇の煉瓦ばっか見てましたケドネw
『うおー!刻印無いけど、かき目(ひっかき傷)があるっす^^』とか一人で盛り上がってましたデス^^;
ここは外観はシンプルで素朴でもありますが、
内観は一際幻想的と言うか厳かデシタヨ^^
教会内の撮影はNGなので説明パネルの写真をどうか。
いかがですか?
ステンドグラスの採光がとても素敵な教会さんデース♪
ようやく給油を達成して向った先は
『遣唐使ふるさと館(道の駅)』デース^^
遣唐使の船が日本での最後の寄港地として賑わったこの三井楽と言う土地。
遣唐使ゆかりの土地にあやかった道の駅デース^^
お土産もいっぱいありますが、なんせ旅の途中です^^;
といいますか『飯食わせろお兄ちゃん!』『お腹ぺこぺこですう^^;』と言う女子軍団の猛烈な要求に、
早々にレストランへと飛び込んだのデス^^
中庭見渡せる綺麗な個室に案内された私達。
まずはーーー
ノンアルコールビアーで乾杯デース☆
『くー!煉瓦(教会)の後のビールはたまらないっすね!』と、意味不だしOSSAN(オッサン)くさい台詞でビールを飲み干す琴音さん^^;
アルコールは入ってないデスガ、キンキンに冷えたグラスで飲むノンアルビアーは最高デシタヨ^^
(ランチにノンアルコールビアーは出してないのに持ってきていただいたお店の方ありがとうございます!)
食事を待つ間
『襟元にトンボの死骸がああああああ!』と、少し騒然としたけれど(バイクでトンボの群れに遭遇したんだけれど、多分その時にぶつかってきたのでしょうね^^; ゴメンネ)
ようやく登場デース!
五島名物『五島うどん☆』
『わきゃ!? 見た目は可愛らしくも感じちゃううどんさんですけど、澄んだダシとおうどんが絶妙ですう^^』
『うは!これはおかわりできるかもしんない^^』
『あごだしスープって癖があるかと思ったけどそうでもないな^^ なんでも遣唐使が中国から伝えた麺だそうだよ^^』
バイクで風を切ってきた私達。
少し肌寒さもあったこともあり、この五島うどんは体に染み入りましたデス^^
ごちそうさまをした後は、少しだけ道の駅を見学に。
なんでも展望台があるとのことで、そこに向うことにしたのデース♪
ステンドグラスがとても素敵な螺旋階段を登りきり、皆ワクワクした感じで展望室の扉を開いて外へと飛び出した。
どんな素敵な展望が!?
えっと・・・めちゃくちゃ寒いんですケドw
景色どうのこうのじゃなく風がすごすぎて振り落とされそうデシタ^^;
怖くて寒くて退散デース^^;
この後、台風に悩まされることになるとはマダダレモシラナイーーー
ここまで長々と読んでくださりありがとうございました(テンプレ)
テンプレ言うなw
お腹がギュルギュルして地図で公衆トイレ探した時は絶望したなあ・・・今回は^^;
結局間に合ったのけ?
ナイショだよ☆
(気になるじゃんかよ・・・)
次回も煉瓦教会とグルメだ!むしろそれしかない(断言)
牛が出てくるかも知れんが今はナイショだ(じらす)
ではではまた今度会いましょうず☆
第803話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・福江島編②『え!?ハコフグの味噌焼きめっちゃうまいんすけどどういうこと?』ハコフグの味噌焼き&半泊・隠れキリシタンほか [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
今回の旅のプランをお兄ちゃんに持ちかけた時、お兄ちゃんは『嬉しそうだった』
なんでも、お正月にみんなと一緒に出向いた広島だけでは語れないことをみんなに知ってもらえる良い契機と教えてくれたんす。
お節介好きで少しえっちで鬱陶しいこともあるけれどお、
なんだかんだで頼れるし私より見識高いお兄ちゃんでもある。
・・・べ、別にブラコンじゃないぞ?わ、私は^^;
勘違いしないでくれるかな!
---さて、堂崎天主堂を後にした私達は、
リンダが『小さな岬の先も見たいデース^^』と言ったもんだからお付き合いすることにしたっす。
そこは教会を根元にしてそこから伸びる、小さな小さな岬だった。
遊歩道らしきものを伝っていくと・・・
『堂崎民族資料館』の立て看板。
何があるのかは大体察しが付くけれど飛び込んでみたっすよ^^
ではでは第803話、私こと菅原琴音視点でスタートです☆
『すごく・・・普通ですう^^;』
『いや・・・むしろちょっと哀愁漂ってるっす^^;』
遊歩道を抜けた先にポツンと一軒家が現れた。
資料館と大そうなネーミングとは裏腹に、ごくフツーの平屋がドン!
とは言えここまで来ちゃったからには少しくらい覗いていかないとね!
っつーことで、お兄ちゃんを先頭に押し出して扉を開くのだった。
『誰もイナイデース^^』
『うーん・・・薄暗くて少し不気味だなあ^^;』
扉を開けるとショーケースやらがズララララ・・・
暗さもあり古い木造家屋独特の香りもあり妙な静けさに一同少しばかり躊躇した。
でも一応見て周りましょうず^^;
私達はスリッパに履き替えて昔の学校のような板張りの廊下に足を踏み入れたのでした。
『わきゃああああ^^; 剥製こわいです^^;』
『OH!暖炉の上に飾りたいデスネ!^^』
リンダと夕実っちは全くの逆反応。
とは言え一人でコレを見て周るんだったら私は行かないかな^^;
ショーケースや棚には、地元の人のご好意で持ち寄られた懐かしいものなどが陳列されてましたっす。
それぞれに『どこどこの誰々さん提供』ってプレートがついてました。
『お~これは雰囲気ある障子だなあw』
『わきゃあ^^; やめてくださいこういうの^^;』
夜にこの資料館に来たならば最高の演出ですねコレ^^;
あえて直さないのかそこまで行き渡らないのか・・・
離島や僻地、地方の財政。色々考えてしまいます。
『これまた渋いアイロンだな。全部鉄製なのかな^^』
『持ち手はウッドですネー^^』
一体全体どうやって昔のアイロンはスチームしてたんだろ?
パイプみたいなの付いてるけれど、そこから蒸気を送り込んでたの?
色々なものが展示されていたけれど、一際これが気になった私達だったかも^^
---さて、
もしかしたらば煉瓦絡みのブツもあるのでは?と期待したけれど、壷に農機具・昔の生活必需品等などがほとんど。
教会に関するものも無かった。
一通り見て周った私達はここを後にすることに。
(※ お皿や壷は陶磁器で立派なものが多かったですね。結構お値段するんじゃなかろうか? 結構フランクに展示してたしセキュリティー的に大丈夫なのかな^^;
まあでも変な考え起こす人は来ないでしょうけど^^)
『わきゃ?何か数字が書いてあるです』
玄関口を出たところで夕実っちが下を指差した。
何?って感じで皆でその指先を覗き込むとーーー
『あ!ほんとっすね。552・・・?2・・・3か8かな???』
『5521020とも見えるデース^^』
『わきゃあ・・・これは一体全体なんの数字なんでしょうかね?』
そう言って私とリンダと夕実っちはお兄ちゃんを見るのだが・・・
『そんなのわかんないよw うーん・・・でも気になるなコレ^^;』
結局、皆意見を出し合ったけれどさっぱり意味不^^;
誰か地元の方で分かる人居たら聞いてみたいですねえ。
真っ直ぐ駐車場に戻らず目の前の海辺にも出てみましたっす^^
資料館挟んで幅的に30~40㍍くらいしかない小さな岬だと実感。
ふと、岬の帰り道の草木の下に煉瓦片がゴロゴロしていることにお兄ちゃんと同時に気づく!
お兄ちゃん曰く
『堂崎天主堂の修復の際の捨て煉瓦にも見えるし、もしかしたらこの辺りにも煉瓦の建物や壁なんかが存在してたのかもしれないな^^』だそう。
後でちょこっと調べたら、煉瓦とは関係なかったけれど岬のもうちょっと先の方は古代の遺跡の跡のようでした。
今度は『お気をつけてお帰り下さい。』の車止め。
みんなそれに向って『どういたしまして^^』と声を掛けていたよ^^
ーーーさて、
ここからが問題でしたっす。
お兄ちゃん的にも今日はここからはノープラン。
時間的にもあとちょっと一箇所巡る程度。
それほど堂崎天主堂に長居してしまったわけでありんすw
ここで地図を見て皆で作戦会議っす。
二日目の福江島探索をなるべく余裕もって巡るには、今日と言う日を有効に活用したいのだけれども、
なにせ、朝から何も食べてないのだw
『ううう・・・もうお腹がぺこぺこですう・・・』
『兄ちゃん飯くわせろー!』
『早くビアーが飲みたいデース☆』
『ああーうるさいうるさい雌犬どもめ^^; 分かったからw
じゃあ・・・宿屋のお兄さんがここもお薦めですよ?ボク行った時は感動しましたもんって言ってたスポットに寄って帰る事にしようぜ^^』
とりあえずその意見を飲むことにした私達雌犬(雌犬はひでーぞお兄ちゃん^^;せめて雌猫くらいで!)
なんでもそのスポットはこの堂崎天主堂からそう遠くない?北東にある『半泊』というとこらしい。
近いならいいかな?ってことでそこへ行くことになったっす。
戸岐大橋と言う橋を渡り、
道なりに進んだ所で『半泊はコッチ』と言う矢印が。
地図を見ても距離はなさそう。
では!ってことでそっちへとレンタルバイク軍団はそちらへと向ったのですーーー
途中で皆気づく。
距離は地図上では近く見える
でもとんでもなく急勾配の連続なんですけどっw
みんなおっかなびっくりでノロノロ進むことに^^;
峠を越えて
毬栗爆弾転がる急勾配を下っていくとーーー
小さな分校に出くわした。
そこには犬がじゃれあい、なぜかヤギサンがそれを見つめていました(写真撮れてなかった。なんでだ・・・^^;)
半泊。
ここは浦というか本当に断崖と断崖に囲まれた小さな区域。
数件の家が集まる小さな小さな集落でした。
分校のすぐ目の前はーーー
荒々しくもあり、小さくもある。でも素敵な素敵な海辺が目の前に広がっていた。
みな足を止め、メットを脱いで『わああ・・・』と声を漏らしてただただ景色を見つめるのでした。
勿論わたしも。
そしてこの風景を見た私は、五島列島と隠れキリシタンの謂れをこの地に納得をするのでした。
残念ながら今回は半泊にある教会は門扉が閉まっていましたけど、
お兄ちゃんが真面目な顔でぼそりと言った。
『ここはもしかすると隠れキリシタンの歴史そのものがギュッと詰め込まれた小さな小さな集落なんじゃないかと思うんだ。
禁教で追いやられた人たちが移り住んだ場所そのものだと思う。
峠を何度も越えなきゃ行けない辺境だよ?ここって。
生活なんて決して楽じゃなかっただろうと思うよ。
宿屋のお兄さんがここは見ておいて下さいよ!って言ってた意味、ボクは分かりたい』
その言葉に私も含めて皆頷いた。
ここは、福江島に来たのなら、
歴史をひっくるめて訪れて見るべき場所なのかもしれないと思いましたーーー
(※ ここ半泊は明治の禁教令廃止の後しばらくも隠れキリシタン信仰を続けていた土地柄だそうです)
さて、お時間も迫ってきたので福江島三分の一旅行も終了(短かっw)
宿屋に戻ることになったっす^^
ーーー途中、どう見ても廃道・廃陸橋だよね?ってとこを見つけたお兄ちゃんは
『ちょっと寄り道・・・』とスクーターを減速して近づく道を探そうとしてたけれど、
お腹ペコペコの女子三人に凄まれて諦めてくれやしたよw
4時過ぎに福江の市街地に到着。
宿にチェックインして、暫くまったり。
みんなシャワー浴びてさっぱりしてから市街地へ繰り出しました。
勿論、夕ご飯食べにね☆
ここで何を食べようかと闘争が始まった。
私は『五島列島と言えば牛でしょ!』と言うとリンダも私に賛同。
でもお兄ちゃんと夕実っちは『魚介系でしょやっぱ♪』と譲らない!
結局、一日目の今日は『五島列島地場産の魚介系料理』
明日の二日目は『五島牛のステーキか焼っきにくー!』ってことに相成りました。
(※お兄ちゃん曰く、二日目はヘビーローテーションだしパワーがつく肉系は明日に回したほうがいいんじゃね?ってのが決め手となったっす)
さあ!後は喰らうのみでやんす!
パンフレットのグルメ欄で目ぼしいお店をチェック。
いざレッツゴーっす^^
『わきゃ? 何かお城っぽいのがありますですよ?』
宿屋を出たところで夕実っちが目の前のお城っぽいとこを指差した。
と言うかレンタルバイクで島巡りに飛び出した時点でみんな薄々あれは城じゃね?って思ってたっすw
でもいかにも『模造の城』
私が『ホンモノの城っぽくないなあ~^^;』と言ったらお兄ちゃんが、
『この中を突っ切ったほうが今日の食事処に近いし、せっかくだから答え合わせに見ていこうね^^』と言う。
・・・多分お兄ちゃんはここがなんなのか既に知ってるんだろうね。・・・実にもったいぶったいやらしい誘導ですぜw
ーーー私達はこの目の前のお城っぽい敷地内を通って繁華街へと向うことにしたっす。
ん?近づくと立派な感じの石垣やん!
もしかして本当にお城とか城跡???
思わず私は下腹部のアンテナがキュン!と疼いた。
石垣刻印探したろ!ってねw
『ちょっと何やってるですか・・・置いていくですよ^^;』と言う夕実っち。
『何かあるのデスカ?』と私の変な行動が気になってるリンダ。
そして何故かニンマリと何も言わないお兄ちゃん。
『ああ、ウン!今行くから~』と告げて少し遅れてみんなの元へと駆け寄った(パッと見、石垣刻印なさげだったし)
随分と立派な石垣の向うには
どう考えても新しい感じのお城風の建物がドーン!
傍に立ててあった案内板を指差しつつお兄ちゃんが軽く説明してくれた。
『簡単に言うとここはいわゆる石田城ってとこなんだ^^
まあ~福江城でいいかな?
説明は端折るけど、本当にお城があったとこだよ^^
今では公園や
図書館や歴史資料館として跡地利用してるってわけさ^^
お城風になってたり、ところどころ修復されてはいるけれど、
よーーーく探せば当時の痕跡も多く残ってたりする^^
勿論石垣もね^^』
なるほど。じゃあ石垣刻印が見つかる可能性はゼロではないっぽいってことですな(※ 石垣に刻印が必ずあるわけではありません)
ここでチラッと私を見るお兄ちゃん。
そしてーーー
『まあせっかくだしこの城跡を辿って繁華街へと出ようか^^』と。
どうやら私に気を利かせてくれたようだ。
私は小さくグッジョブ!と親指をお兄ちゃんに突き出して、
お兄ちゃんもニヤリと返すのだったw
お壕跡?には蓮だらけ!底が見えないほどワンサカ。
っでも、目の前の石垣は先ほど見たものよりもっとホンモノっぽい!
その後、迷路の脱出方法みたいに石垣に手を合わせて壁伝いに進むと普通の道路に出ちゃった^^;
お店や民家の向こうに石垣を見つつも更に先へと辿っていくとーーーー
如何にもなとこに出たw
こここそ昔のまんまだろってところに^^
県道側から敷地内に架かる橋は石橋!?
門らしきとこまで来ると、その石橋の石はかなりの長さに切り出された石を幾つか向うへ渡した重厚なものでしたっす。
本当ならばこの橋を渡らずに正反対に向かった所が今のメインストリート(繁華街。つまりはご飯食べるとこイパイ!)みたいだし、
行かなくても良かったんだけどーーー
『ちょっと橋を渡って中を見てみようか^^』と言うお兄ちゃんの言葉に特に誰も反対しなかった。
じゃあ行くしかないですよねw
っつーことでレッツ再び福江城へ!
歴史の痕跡探しにフライアウエー!
そこまで特にはお城に興味の無い私達女子3人だったけれども、観光として石橋渡っていざ登城です。
そしたらーーー
高校生らしき軍団の帰省ラッシュに揉まれることに!
門の中から出てくるわ出てくるわ男子女子男子女子男子!
おまけに『声掛け運動』でしょうか?
『こんにちは!』『こんにちは!』『こんにちわ~♪』『こんにちは☆』『こんにちは!』『こんにちは☆』・・・以下略
っと、高校生軍団にこんにちはラッシュを浴びたのです。
その都度コチラも『こんにちは^^』と、こんにちは返し!
最後にはみんな『こ、・・・こんにちは^^;』とグッタリw
門を潜ったところから数十メートルで高校生と共に出る(引き返す)ことにしましたw
『お、お兄ちゃん・・・?ここってもしかして・・・』
『ああ・・・この福江城の本丸跡は今は長崎県立・五島高等学校なんだよ(明治33年開校)
丁度・・・下校ラッシュだったみたいだな^^;
いやあ~でもまさか挨拶疲れに会うとは思いもよらなかったなw』
どうりで高校生ばかりなわけだw
とは言えみんな真面目に挨拶声掛け。良い子達っすなあ^^
結局カメラを構えるのにも余裕も無く、
門に使われている木のヤニしか撮影できなかったっすw
(※この門は蹴出門と言います^^ そしてこのお城や福江と言う土地の話は次々回にも出てきます。そこでじっくり説明しますので今回はこれくらいで割愛します)
思わぬ挨拶ラッシュ(良いことですよ?)に度肝を抜かれてすっかりくたばった私達は、HP回復の為に足早に今日の食事処へと向った。
・・・が、
どうもパンフレットの地図だとそこまで詳細でもない。
『わきゃ・・・コッチ・・・じゃないですかね?』
『いや、コッチのような気がシマース^^』と、少し迷う。
だいたい地図にある場所に来てるっぽいんだけどなあ・・・と皆でアワアワしてたところ・・・
『どうしたのお嬢ちゃんたち?店でも探してる?何て店?
ああ~それうちの店だからw
そこ曲がったとこが玄関だから来てよ^^』と、
お外でタバコプカプカふかしていた割烹着のオジサマが教えてくれたw
恐る恐る玄関を潜ると先ほどのオジサマがお勝手口から入ってきて
『はい!いらっしゃああい☆』とお出迎え。
ようやく私達はご飯にありつけたのでしたw
(※ 本当のお話ですw)
『『『『かんぱ~い♪』』』』
チン!チン!とグラスを鳴らす音と共に皆、勢い良くジョッキを飲み干した。
なんせ丸一日我慢してたっすからねっ!
ふいい~~!めっちゃうんまいw
さあ!喉を震わしたところで次です。お腹もペコペコっす!
刺し盛りを早速!
みんなプリップリ☆ 歯ごたえと甘味が感じられる新鮮なお刺身に皆舌鼓を打った(リンダは刺身OK。いやむしろ好物)
中でもキビナは舌の上でとろけて美味しかったっすよ^^(長崎だときびなごをキビナって言うそうっす)
馬刺しも最高!おかわり欲しいよー♪
そしてそしてメインディッシュの登場!
五島名物・ハコフグの味噌焼き!
『わきゃー!なんかすんごいのきましたですうw』
『ホワッツ?味噌グラタン???』
驚く夕実っちとリンダ。
するとお兄ちゃんがお節介を焼く(いつもの^^)
『これは五島列島の漁師料理だそうだよ^^ ハコフグの内蔵処理した後、身を取り出して味噌・葱・酒・みりんなどで味付けしてお腹に再び戻して焼き上げたものなんだ^^
皮の裏側にも身がついてるから、スプーンで身と味噌をこそぐように綺麗に食べてやってなみんな^^
さああ~これにはビールやサワーやカクテルは無粋だ。
おねえさん日本酒お願いします☆』
お兄ちゃんが頼んだ日本酒登場(銘柄忘れたw)
『わきゃっ!?フグの毒、へ、平気なのですかね・・・^^;』と怖がる夕実っち。
『食べられないもの出すわけないっしょ夕実っちw まあ食べようよ^^』
2人して同時にパクつく。
ん?
『『うまいぞおおおおおおお~!』』
『日本酒との相性マーベラスデース!』
もうリンダも大喜び☆
もう五島にこれだけ食べに来てもいいんじゃないかと思うくらいに美味かったっすよマジで^^
このおかげで皆、お酒が進む進む!
今日の出来事を語り合ったり明日はどんな旅になるんだろうと話も尽きなかった。
『もう結構長居をしてるみたいだ^^ 最後に〆てお暇しようねみんな^^』
『『『はーい♪』』』
最後の〆は、アツアツの野菜雑炊で。
お腹も心も満足した私達はお会計して外に出た。
心誠さん。後で調べたら結構有名なとこだったみたいっすね^^
うまいはずっすw
(私達はオープンから居ましたが、あっという間に満席になってました)
宿屋さんに到着。階段横には電子レンジとスプーン・お箸・紙皿が備え付けてありやす。
私達以外に宿泊していた学生さん達はここでコンビニグラタンやピザを温めてました(おかげでピザの匂いがすごかったけどw)
『もうお腹いっぱいですう・・・』と言う夕実っちの話は一切聞かず、
私達もちょこっとスーパーで買ったお惣菜を肴に二次会したっす^^
今日は時間にして2~3時間しか福江島を巡れなかったけれど、
煉瓦も教会も歴史も、そして味も、色濃い旅だったような気がした。
明日はリンダの念願の目的地を巡る旅。
今から既にワクワクっす♪
ここまで長々と読んでくださりありがとうございました(テンプレ)
教会と比べてお城跡の扱いぞんざいな気が・・・
石垣刻印以外そこまで興味ないからなあw
っつても二日目の後半に、この福江のお城周りの歴史に触れるので心配し成さんな。
ハコフグの味噌焼きは飲兵衛にはたまらなそうね。
いやあ~美味かったぞいw 頑張ればハコフグ以外の魚で同じようなものは作れる自信はあるが、
やはり地元ならではだよねこういうのは^^
夕食なしの宿泊だったのですな。
うん。レンタルバイクを扱ってる宿屋さんあればいいなあ~と思ってたところ、この観光レンタカーさんがバイクも宿もやってたからね^^
でも立地いいぞーここは。港にも近いし、
目の前にスーパーとドラッグストアーがあるんだ(ドラッグストアーだけど食料品とお酒あり)
福江島の旅の基点としては申し分ない場所ですよ^^
---さて、次回はいよいよリンダの目的『ルルドで水汲み』です。
途中、ハプニングもあったが今はナイショ。
ではでは興味がある方は是非ドウゾ^^
第802話 十字を切って駆け抜けろ!五島列島・福江島編vol①『わきゃっ!?アメリカ積みの教会さん?』堂崎教会&アメリカ積み他 [廃村さーくる2(島旅煉瓦遺構編)]
『材料の聖水が無くなっちゃって困ってマース^^;』
私と同い年で同じく繰り上がりで心霊研究部と言うサークルの部長になったリンダが、私に相談を持ちかけてきたのですう。
どうやら要約すると・・・
『副業で生産している売れ筋商品゛聖なるローション”の原材料の聖水が生産に間に合わなくなった』とか^^;
『聖水なんて私にどうすれば・・・^^; ・・・普通のお水じゃダメ?』
『ノンノンノン!そういう悪徳なことはしない主義なのデース。
アメリカから空輸してる聖水じゃ間に合わないので現地(日本)で是非とも調達したいのですがこれが中々ネエ・・・なのですトホホ^^;』
どうやら神が宿らなければ聖水ではないらしい。
とはいえねえ・・・。
まるで知識も無い私。うーん・・・うーん・・・と考えるフリをしていたら助け舟が!
『なぬなぬ聖水ですか?聖水お求めですか?お嬢様聖水とかイカガワシイのじゃないのなら私知ってるっすよマジで^^』と私の背中越しにひょっこり現れた琴音っちが言う。
『オオ!さすが琴音サーン☆ ・・・デ?どこに聖水アルですカー???』
『あ、ちょっとまってね今電話すっから^^ えっとあーお兄ちゃん?え?仕事中? まあまあそんなのはいいから聞いてよ?
---これこれこんな感じ~っすけどどうなん?
え?あ~そう~。いいじゃんいいじゃんそれいいじゃん♪』
そう電話越しに菅原先輩との会話を続けてからスマフォの通話をプチっとして、ニンマリとした顔でコチラを向いた琴音っち。
『長崎県・五島列島のルルドで聖水を汲んでこようっす!』
え?ルルド???
なにそれお菓子の名前?
長崎の五島列島???
第802話、もーワケワカメなうちに長崎シリーズはじまりますですうー^^;
大学の夏休みも終わりの終り。9月某日早朝。
雨濡れの最中に
私こと夕実と菅原先輩・琴音っちと、そしてリンダの4人で草加市のアパートを飛び出した。
リンダの聖水探しを菅原先輩にお願いしたところ、
先輩曰く『長崎県の五島列島には教会が数多く存在し、そこには聖水を汲めるところがある』と言うのですう。
当初はリンダ単独で行くのかと思いきやーーー
『ほほーお兄ちゃん長崎ですか(ニヤリ)』
『煉瓦の教会もあるし、日本で最初の煉瓦建築もあるなあ~妹よ(ニッコリ)』
『っつーとお兄ちゃん? 鉄川さんっすよねマジで!』
『だな^^』と、
菅原兄妹は俄然ノリノリ!
結局・・・三人で行く!とか言い出しましたので、私もついて行くことにしたです^^;
え?旅費?
当然突発的な旅行代なんて持ち合わせてない貧乏学生の私ですがーーー
今回はリンダ様のポケットマニーですう☆
と言うことで非常に珍しい~組み合わせでの長崎五島列島の旅になったとですう^^
(※今回、ルカちゃんは都合が付かず、お休みですう)
お正月の広島シリーズや、西表島シリーズと同じく、
草加駅前から出る羽田空港直行バスでレッツゴー!
旅に出るには便利な街ですね^^
---さて今回は
なんと4連休での旅程。
旅行のプランナーは菅原先輩ですが、リンダの希望と琴音っちの希望が入り乱れてるですう^^;
私は・・・カステラと長崎チャンポン食べれればいいですとだけ伝えましたw
さてさて皆の願いは叶うのでしょうか?
私の予想じゃ・・・多分煉瓦成分多めなんだろうなあと思うんだけどね^^;
約50分で無事に羽田空港到着ですう。
私達が乗り込むのは7:40発・長崎行き
少し余裕を持って来たので空港ロビーをプラプラしましたです^^
フライト時間が迫ったところでいざ!搭乗☆
リンダ様様のおかげでちょっとリッチなJクラスシートでしたが・・・
窓に雨粒叩きつける何とも言えない天候でした(現地が晴れてれば関係ないけどねw)
私は離陸のギュウウウウウウウーーーンンが苦手だけれども、
他の三人は
『このGがたまりませんな!』
『この背もたれに張り付かされる感じがたまんねーっす!』
『おー!イエスッ!』
・・・と、浮かれてましたし浮上しました^^;
『ジャパニーズ漫画最高デース!両さん愛ラブユーデス^^』と、ジャンプを読み始めるリンダ。
『ここの煉瓦も見たいしこのスポットも行きてーマジで!』と、地図と会話してる琴音っち。
菅原先輩は、窓から見える景色を『わあー!あそこどこだろう!あれかな?あそこかな?』と、子供のように覗き込んでましたです(先輩、可愛い♪)
・・・私はと言うと
特段、フライトの余暇を楽しむ術を何も用意してこなかったので・・・
備え付けの航空雑誌などをパラパラとチラ見^^;
なんか幻と化した東京2020のオリンピックロゴを見つけて一人ニヤニヤしていましたですう・・・w
『ポーン』と言う音と共に、全ての電子機器の電源をお切りくださいのアナウンス。
『当機はあと10分後に長崎空港へとーーー』
私達はテーブルをパタリと元に戻して着陸を待った。
二時間弱のフライトで無事にIN長崎
うぇるかむとぅー長崎県ですう☆
さてここからは長崎市内へと向いますう。
『このバスで大波止に行くよ皆^^』と言う先輩に急かされていそいそと乗車です。
何でも超過密スケジュールらしい・・・^^;
空港から35分くらいでしょうか?
『ここで降りるよ!』と言われて降りたのは、路面電車とバスと乗用車が引っ切り無しに駆け抜ける、大波止と言うバス停でしたです。
降りるなり先輩は
『ここから長崎港まで歩くぞー。いや早歩きで^^』だって。
『なんかビッグな玉がありマース^^』とリンダが道の途中で指を差したのですが、
『時間無いからリンダ。それは大波止の鉄球だよホラ駆け足!』と菅原先輩が急かす急かす^^;
一体・・・どんだけ駆け足の旅なのかと不安になった^^;
ターミナルっぽい建物が見えたところで先輩が
『ハリーアップ!ハリーアップ!』と更に急かす^^;
窓口で先輩がみんなの分のチケットを買ってきてくれましたです。
えっと・・・5610円もするの!?
『10月からはあと数百円値上がりするらしいよ^^ それまでに乗れてよかったよね^^』と、
全然フォローにもなってないことを言う先輩^^;
フェリーと違ってジェットフォイルなどの高速船は、早く目的地に着くこともありお値段が高いことを知った私。
時は金なりなんですね^^;
さんざん急かした割りに、幾らかの待ち時間(なんで急かしたの?)
私達は九州商船さんの高速船『ぺがさす』に乗り込んだ^^
中はとっても綺麗な座席☆
飛行機と同じような安全な為の航行アナウンスを一通り聞いてベルトをカチャカチャと締める。
それと同時くらいに琴音っちがシートテーブルの上に
ノンアルビアーを並べ出した。
『今日はこれで納得するしかないっすよね・・・』と渋い表情。
そう。
実は今日、レンタルバイクに乗ることになっているのですう。
飲酒運転は出来ませんしねw
と言うか私は久しぶりの原付に少しドキドキしていた。
当初は『レンタカーで行きましょうデース^^ ワタシ車乗りなれてマース♪』と言うリンダのありがたーーーい申し出があったのですが、
『レンタカーだとかなり厳しい細い崖道を通るよ?』と言う先輩の話により、まさかのレンタルバイク巡りになってしまいました(あうう・・・^^;)
先輩曰く『これから向う福江島にあるリンダの目的地までは、車がすれ違うのがギリ』と言う道幅なのだそうですう^^;
むしろそんなとこレンタルバイクで行くのも嫌なんですけど!
私達の乗ったぺがさすは、室内にもジェットの轟音を響かせながらも離岸しました。
それと同時に船内のテレビの音量も大きくなる
色々と考えてるのですねーw
『ねえねえお兄ちゃん!あれ軍艦島じゃね!?』
『ああ~高島に隠れてちょっと見えるかもな^^』
菅原兄妹が窓の向こうを指差して、あーだこうだと色めき立つ。
この船の航路的に、丁度、軍艦島が遠めに見えるとのこと。
今回は残念ながら文化遺産であり菅原兄妹の大好きな聖地はお預けのようです(今年は予約で軍艦島クルーズは埋まっているとのこと。元旦は開いてたらしい^^;)
---琴音っちからのおすそ分けのノンアルビアーを飲み切ったころでしょうか(2本)
1時間と2~30分過ぎたころに島影が!
いよいよ来ました『五島列島・福江島』
私達は下船準備を整えて、接岸と共にタラップから両腕をYの字広げて到着ですう☆
桟橋を渡ると今回二泊お世話になる『観光レンタカー』のお兄さんがボードを掲げて待ち構えてましたですう^^
さっそく声を掛けると『どうぞどうぞ。あちらに迎えの車がありますので^^』
私達は『お世話になります☆』とお辞儀してお迎えの車に乗り込んだのですう^^
(※ 観光レンタカーさんは、レンタカー業と兼用で宿泊施設も備えているのですう^^ レンタカー業務がメインかな?)
ーーーさて、
車に乗ること2分くらいで宿に到着☆
お出迎えいらないじゃん!
徒歩でもいいじゃん!
・・・と思うくらいにターミナルから程近い場所にレンタカー兼、宿泊施設ですうw
これには流石に今回の旅路のプランナーの菅原先輩も皆も驚いた^^;
むしろ『お出迎えに感謝!感謝!』でしたですよおう^^;
さあ!ここからいよいよ旅の始まりですう!
免許書出してみんなで手続き。
レンタルバイクの興行です☆
明日の夕方まで目一杯のレンタル。
どこに行くのか知らされてない私はちょっとワクワクドキドキです!
聖水を手に・・・と、逸るキモチでリンダがすかさず声をあげる
『スガワラさん!ルルドにいきましょう!ルルド!』
煉瓦造りの教会もあるからと心の声を爆発させる琴音っち
『ねえねえお兄ちゃん!煉瓦教会!煉瓦教会!』
だけど先輩は自分の腕時計を見つつもちょっと待ったをした。
『リンダ。ルルドまで行くには今日はあまりにも時間が足りないんだよ^^;
行けるには行けるけど、帰り道は外灯も無い崖道を延々と帰ってこないと行けないから危険なんだよね^^;
だから明日にしよう^^
今日はこの宿屋の近所の教会巡りとする!』
ちょっとばかし『ええー^^;』と嘆くリンダと琴音っち
琴音っちの腕時計を覗かせてもらうともう既に午後2時。
ここまで移動だけで7時間は過ぎてたんですね・・・^^;
初日に残された時間は2時間か3時間しか無いみたい。
でもそんだけ時間があれば結構いろいろと周れるのでは?と、私は先輩をつついてみたのですう。
『ねえ先輩。2時間3時間あれば結構島巡り出来るんじゃないでしょうかです^^』
するととんでもない!と言う顔で私の肩をワシッと掴んできた(あーん、もっと掴んでください(*´д`*))
『夕実ちゃんいいかい? この福江島ってぐるっと軽く周ってこれるような島じゃないんだよ?
新潟沖に佐渡島があるだろ?大きな島なのは知ってるよね^^
アレが周囲262㌔くらいなんだ。面積にしたら854㌔㎡の大きな島なんだけどさ
(佐渡は日本の島・序列第4位の大きさ※北方領土含め)
福江島は面積としたらその半分の325㌔㎡だ。
でも周囲は322㌔と言う
日本の島の中でも屈指の海岸線の持ち主なんだよ^^;
正直・・・スクーターで一周するのも結構ハードな島なんだよねえ^^』
えええっ!? そ、そんなに距離があるとですか!?
続けて先輩が言う。
『一周するだけなら一日でも周れるよスクーターでもさ^^
でも欲張ってはいけないんだ^^
ボクは二日掛けてポイントをピックアップして巡ろうと思ってるから^^
リンダと琴音の希望をなるべく叶えつつもグルリ一周はしたいとも思っているんだ^^』
この会話を聞いていた宿屋のお兄さんが私達に提案してきた。
『それならばどうでしょう^^ 今日は福江島を三分の一だけ巡るってことで、堂崎教会周辺まで出向いて帰ってくるのは^^
あの辺りまで行って帰ってくるならば、そう時間も掛らないと思いますよ^^』
そうお兄さんは言いつつ私達に『これ持っていってください』とパンフレットを差し出して、
そのパンフレットの地図をなぞって説明してくれたのですう。
『その案に乗りますよ~^^ ありがとうございます♪』と先輩。
どうやら今日は時間も無いようなので、福江島の北東周辺の観光となったようですう^^
『4人分のスクーター用意するのは初めてですw』というお兄さん。
手続き済ませていよいよレンタルバイクに跨った私達です^^
『車はよく乗りますが、スクーターは久しぶりデース^^;』とおっかなびっくりのリンダ。
私だってしょっちゅう乗ってないしー、怖いんだから^^;
初日の目的はこの堂崎教会と言う教会らしい。
なぜ観光が教会なのか?
そもそもなぜ教会が福江に多いのかすら聞かされてない私。
その答えは旅路を続けることによって分かることになる。
この時の私はまだ
『教会にとても意味がある旅』
だと言う事を知らずに、
スクーターのセルをキュカカカカと鳴らしてウキウキドキドキしてたのだからーーー
福江市の繁華街を少し抜けたところで、先頭を行く先輩が減速して止まった。
私達もソレに習って道路の縁石に足をかけて停車した。
そこにはーーー
『ナタオレノキ』と言う木が道路わきに佇んでましたです。
実はとても植生が少ない超希少種なんだそうですう^^
鉈で切っても切れないめちゃくちゃ硬い木。
国の天然記念物なんですって^^
皆、思い思いに持参のカメラなどで撮影したり実際に触れてみたりして暫しの寄り道。
そして先輩の合図と共に再び先へと走り出す。
途中にもいくつか教会が。
でも先輩曰く『この島の全部の教会をじっくり巡っていたら3日でも足りないから^^;』ということで、あえて寄らない教会さんもありました。
---十数分走ったころでしょうか
山々に閉じ込められた素敵な海辺に辿り着きました☆
天候も最高!
緑と蒼のこれでもか!ってくらいの風景に、
みんないつのまにか減速して立ち止まり、
ヘルメットを脱いで空気を吸い、その景色に呆然とした。
『あそこに煉瓦色の建物見えるでしょ皆^^ あれが堂崎教会だよ☆』
先輩が指し示す海と山の狭間にみんな注目。
本当に海にも山にも飲まれてしまいそうな境界線に佇む建物がそこに見えた。
この景観に酔ってしまった私は勿論
実家が教会のリンダも、煉瓦マニアな琴音っちも当然、
『ああ・・・早く行きたい見てみたい!』と先輩を急かす☆
『だよね^^ じゃあ行こうぜ!堂崎教会へ♪』
先輩の言葉を旗でに、皆いそいそと、
でも安全運転で向ったのですうー^^
ーーー堂崎教会の少し手前に駐車場があった。
私達はそこにレンタルバイクを止めるのです。
別にそこに止めなくてももっと教会付近で止めても良かったかもしれない。
でもーーー
『この先は歩こう。』と言う車止め。
この車止めに従って正解だったと皆思うことになる。
そこから歩いた私達は周りの景色に圧倒された。
『うわあ・・・うわああ・・・!』としか声出ないんだもんw
それほど素敵な景観だったんです☆
そしてーーー
辿り着きましたです。
堂崎教会さん^^
コレは先輩にも琴音っちにも誰にも言えないことだけれど、
この景色には異質なくらいに浮立った存在に私は見えましたですう。
でも!
こんなに景色に映える赤レンガの建物初めて見たかもですう!
隣の琴音っちなんか私以上の感動で
『おしっこ・・・チビっていいっすか・・・いいっすよね?』と、ただただ呆然と立ちすくんでいた。
門柱を抜けるとこの堂崎教会の説明案内版が。
ここまで何も知らずについてきて、普通の観光地にある説明版のように私は気軽にその説明版をなぞる。
・・・そして指を止めた。
『キリシタン弾圧260年からの開放・・・』
『そうなんだよ夕実ちゃん。この五島列島というのは江戸幕府などからの禁教弾圧に長年苦しめられたキリシタン信教の島々でもあるんだ。
隠れキリシタンって授業でも習ったでしょ?
もともとこの五島の領主様がキリシタン信教を奨励していたこともあって、キリシタンの人々は多かった。
それが幕府によって禁教となり、弾圧から逃れる為に隠れキリシタンとなって日々を過ごすことになる。
その歴史、ざっと260年だよ?
その苦渋を考えたらもう途方も無いよ・・・
そして他の地域からもキリシタンが新天地求めてこの五島列島へとやってくる。3千人とも言われてるかな。
そういう人たちは五島の中でも特に辺鄙な土地へと移り住み細々と生きていくわけ。
この非常に海岸線が入り組んだ五島に住むことで弾圧からも逃れやすかったのかもしれないけれど、生活にはどんなに苦労したことだろうね^^;
それでも信じたし信じ続けたんだ。
---明治になると禁教令も廃止に(明治6年)。
信者さん達は集会場など改築したり、1から造ったりと次々に教会を建てたんだ^^
だからこの五島列島には教会が数多くあるんだよ夕実ちゃん^^』
ううう・・・教科書でざっとしか触れなかった私は、とても失礼なことだったのだと恥じ胸元をギュッと締め付けられた。
そしてこの教会群には色々な思いが詰まっているのだと知ることに。
『うひょー!縦窓も土台石も煉瓦ちゃんもちょー素敵っす^^』
『私の実家も負けませんデース!』
私が重々しく歴史を受け止めたのに対して、琴音っちやリンダはおおはしゃぎ^^;
『じゃあみんな、ここまで来たなら礼拝しに行こうぜ^^ ホラ琴音!あんまり騒がない!リンダもな^^;』
そう先輩は言いつつ堂崎天主堂キリシタン資料館のチケットをみんなに配るのですう。
(※ 建物内部は資料館にもなっていますが、儀式も当然行われる神聖な場所です^^ 騒がない・写真に撮らない・物を食べない飲まないように^^)
建物の横手を抜けて正面へ。
『わきゃ・・・ただただ凄いですう・・・』
『壮観だよね^^ 特にこの堂崎天主堂は下五島(福江島など)の教会群の中でシンボル的存在なんだ。
ここで宣教事業を受け継いだペルー神父が五島に初めての洋風建築を建てたのがこの教会(天主堂)
明治41年完成の赤レンガゴシック洋式で、その施工には鉄川与助さんも関わっている^^』
鉄川・・・与助さん???
その言葉に琴音っちが食いついてきた!
『ねえねえお兄ちゃん!今回の旅は鉄川さんの建築物を巡る旅でもあるんだよね♪』
『ああそうだな^^ まあ~教会巡りしてればおのずとそうなるのだがw』
『うはー!鉄川さんの建物楽しみっす!マジで☆』
なんでも先輩たち曰く
『五島列島ならびに長崎にある多くの建築物に携わった人』のよう。
私達は旅行最終日に鉄川さんから素敵なプレゼントをもらえることを今はまだ誰も知らないーーー
献金箱にも幾らかチャリンとして、まずは外観巡りを開始ですう!
私は気が進まなかったのですが、やっぱり先輩と琴音っちです。
例のアレ探しも始まりましたw
入り口部分の天井を見上げると吸い込まれそうな変わった造り。
『夕実サン。アレはリブ・ヴォールト天井って言いマース^^ ジャパンではコウモリ天井とか柳梁天井でショウカネ^^
ゴシック様式の教会には結構多いデス。
天井が高く見えて素敵デスヨネ^^』
・・・さすが実家が教会だけあってリンダは詳しい・・・^^;
ああんでもでもコウモリさんと言うかモモンガっぽい気もするですねw
先輩たちはと言うと・・・
煉瓦の刻印が見つけられそうな煉瓦の平面探しに躍起になってました^^;
煉瓦の軒下などをじっくりじっくり観察している先輩たち。
事情を知らないリンダはハテナマーク。
私は彼女に煉瓦の刻印のお話をしてあげるのでした(ちょっと自慢げに☆)
---数分立った頃、
『刻印なあーい・・・^^;』と首を横にフリながらも私とリンダの元へ。
先輩曰く『煉瓦表面に何か塗られている気がするんだよね^^』とのこと。
確かに良く見ると煉瓦面に薄い膜のような綻びがあったのです。
こうなってくると刻印があったとしても塗りつぶされて発見しずらいそう。
残念がる琴音っちだけれど、まあいいじゃないですか。充分赤レンガを堪能できたことですし^^
---ふと、
私は煉瓦壁面を見ていて少し違和感を感じた。
何となく琴音っちの煉瓦の旅に連れまわされているうちに、少しだけでも煉瓦の知識が身についたと思っていた。
ん?
あれ?
あれれ?
うーん・・・何かがおかしい。
もう一度煉瓦壁面を上から順番になぞっていく私。
すると
『この煉瓦の積み方初めて見たですう^^;』
『え?何々?どったのよ夕実っち???』と琴音っちが駆け寄る。
それを見てか後から来た先輩が指を差して説明してくれるのでした。
『おお~!夕実ちゃん良いところに気づいたね^^
そう、この煉瓦の積み方は少し変わっているだろ?
イギリス積みでもフランス積みでもないよね。
小口面一列に続いて長手面が5段。その繰り返しだ。
これは日本の旧煉瓦建築でも結構希少なアメリカ積みってやつなんだ^^』
そ、そんな名前の積み方もあったんですね^^; 始めて知りましたですよW
これには琴音っちも発狂(今頃気づいたのか煉瓦娘^^;)
教会はお静かにってことで先輩が琴音っちの御口にチャック。
『モガモガモガ・・・モガ!モガアー♪』
口を塞いでもうるさいうるさいw
落ち着きを取り戻した所でみんなで礼拝に向いましたよ^^
中は御見せできませんが、再びこの教会の意味や歴史を知ることになった。
---さて、
時間も押しているのですがーーー
『堂崎天主堂の奥に続く小さな岬の先も気になるデース^^』と言うリンダの言葉に皆『寄っていこうか』となったのですう。
一日目。短いけれどまだまだとても終らないのです☆
皆さんお久しぶりです^^
一週間ブログ放置してたしね♪
まあ夏休みで完全オフするって言ってたんだしええじゃないかw
さて今回の五島列島の旅路のスタート。
今回はいつもと違って旅のコンセプトがあったりします。
鉄川与助さんと言う建築家の建物を通して、キリシタン信仰・明治・大正・昭和、そして原爆の歴史を十字を切って駆け抜けようと思っています。
今回も長い記事になりそうね^^;
たぶん8話くらいかもなw っつーことでお付き合いできる方だけでも見ていただけたら幸いです^^
煉瓦や堅苦しい話ばかりじゃなくグルメもあるからね!
ぜひぜひどうぞ☆