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第598話 福島・湯野上温泉編vol①『先輩!温泉に来たんじゃないんですかぁ?』 [廃村さーくる]

598話・湯野上温泉・夕実ちゃん・立体起動装置2.jpg

『山に行こうか海に行こうか悩んでいた』

 ・・・実は、いつものサークルメンバーのリクエストで、

 廃墟無しの純粋な夏のバカンス(死語?)を考える羽目になったのだ。

 せっかくの夏休みだ。

 サークル活動以外で『普通旅』がしたいと言う彼女たちの気持ちも分からないでもない。

 ボクも学生としての最後の夏休みであるし、皆と楽しめるなら良いかもと、

 皆が納得するような候補地を探そうと頭をグルングルン巡らす。

 ・・・巡らすのだが、彼女たちの『これは絶対外せない!』という注文の数々にとことん悩まされていた^^;

 ここは条件が揃ってる・・・いや、リンダの条件には当てはまらないか・・・

 お、ここなら首塚さんのリクエストに合ってる。・・・ん~でも夕実ちゃんの条件は満たせないかも・・・

 と、中々思うような候補地が見つからなかった。

 普段なら廃墟名目なので部外者である首塚・リンダチームの意見など考慮する必要も無いのだが、

 普通の旅と考えるとそうもいかないからなあ・・・^^;

 なるべく皆の意見は汲んであげたいしね^^

 

 ---そんなボクの悩みなどお構い無しに、

 彼女たちはキャッキャウフフと盛り上がってる。

 部室が使えなかったので、今日はファミレスで会合なのだが・・・

 

『ああー!首塚先輩。最新刊買ったんですね^^ 見せてくださいよ、わきゃー☆』

『この漫画、グロイとこあるけど面白いわよね~^^』

『アニメも劇場映画みたいにギュンギュン動いて最高デス☆ 私のような外国人もとても注目してるデース^^』

『兵長かっくいいっすよね^^ 抱かれたいっすw』

 

 どうやら首塚さんが持ち込んだコミックスに皆一喜一憂してるようだ^^;

 そのコミックスの背表紙を遠目に見る。

 ああ~なるほど。今、話題の『進撃の巨人』という漫画か。

 内容は割愛するがいま流行ってるらしい。

 というか、ボクも見ていたりする^^

 ・・・なんでも『特に女性達』に人気があるというのをどこかで聞いた^^;

 とはいえ・・・オイラに旅のプランをまかせっきりで、漫画ではしゃぐ彼女たちひどくね?w

 そんなボクの憤懣もどこ吹く風ですよ。

 彼女たちは更に更に盛り上がってるご様子だ^^;

 

『この立体起動装置って現実にあったらカッコいいわよね~^^』

『通勤も通学も楽っす☆』

『でもそこいら中の建物や木々が穴だらけになりますデース^^』

『わきゃー☆ でもでもでもおー、こんな機械で森の中をお散歩出来たら最高ですぅ^^』

『『『ああ~それいいかもね~♪』』』

 

 ・・・なんだか勝手に盛り上がってる彼女たち^^;

 

 ちなみに立体起動装置ってのは、腰周りに装着した機械から2本のアンカー付きワイヤーを任意の壁や木々に射出し、それを高速で巻き取ることによって、

 ターザンのようにアアア~と移動する空想上の機械だ(おもいっきり簡単な説明だが^^;)

 

 ---ここで首塚さんがボソリと呟く。

『海もいいけど木々が生い茂る夏山もいいかもね~』

 それに呼応する他のメンバー。

『山の中で立体起動装置ごっことかしたいっすw』

『ええ~^^; 琴音っちそれは無理すぎるよおw』

『森林浴もイイデース^^』

 

 ・・・この流れに乗ろう。

 彼女たちのとても細かいバカンスの条件をいくつか上手く交わせそうだw

 

 そう思ったボクは彼女たちに告げた。

『今回の旅は森のある渓谷の温泉へ行こうか^^』と。

 第598話ようやく始まり始まり☆

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『えっと・・・お兄ちゃん?今回は福島???』

 ボクが皆の分購入した切符を覗き込む琴音が、周りのメンバーに聞こえるようにわざと大きな声で驚いてみせる。

 なんせ今回も目的地を彼女たちに告げていない。

 当日当朝現時点までサプライズにしておいたからだ^^

 とは言え彼女たちもすっかり、ボクの当日まで目的地を教えないと言うプランを楽しんでいる。

 目的地が分からない方が、やっぱりワクワクドキドキ感は違うしね^^

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 最寄の東武伊勢崎線『草加駅』から乗り込んだ電車は、一路『栃木県』へと向う。

 途中、快速に乗りなおして着いた先は、日光や鬼怒川温泉という観光名所を目指す分岐点の『下今市駅』

 ここで一旦降り立ったホームの目先の電車に乗り換える。

 先頭車両に陣取って早朝の酒盛りしていた我等廃村さーくるメンバーは、

『新藤原駅』で後部車輌を残しつつ『野岩鉄道』へと乗り込んだ。

 

 栃木県を過ぎいよいよ福島県。

『会津高原尾瀬口』からは会津鉄道だ^^

 そこから見える景色は、これでもか!というくらい緑色の車窓。

 そして目的地まであとちょっとという駅まで辿り着いた。

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『会津田島駅』

 冷房の効いた車内からホームに降り立ったボク達。

 熱気は感じるが、なぜか都心よりも暑さをさほど気にすることはなかった。

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 ここから乗り換えの電車まで30分ほどの猶予があった。

 本来なら『ホームで次の乗り継ぎの電車を待つのが普通』だが、

 改札口の女性の駅員さんが

『次の電車までお時間がございます^^ 改札を抜けて駅の待合所でごゆるりとお待ちください^^』と声を張り上げる。

 なるほど。

 どうやら次の目的地までの切符を持ってさえいれば、次の電車まで改札の出入りは自由のようだ^^

『だったらブラブラしようじゃん?』って言う妹の言葉に皆頷いて、

 暇つぶしに駅周辺を歩くことにした^^

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 駅舎の脇に佇むSLをぼんやりと眺めたり、駅舎前広場で近々お祭でも行われるのだろうか?と、やってもいない屋台を覗きつつも時を過ごしたボク達は、目的地へと向う電車へと飛び乗った。

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『じゃじゃ~ん☆ さっき会津田島駅で買ってきたわよ~^^』

 席に着くや否や首塚さんがドン!ドン!と、お酒を簡易テーブルの上に並べ始めた。

『姉御!お酒はいつものことだから驚かないっすけど、日本酒っすかw』

『せっかくだしね^^ 福島まで来たことだし☆ ま、ままま~琴音ちゃん一杯どお?おっとっと、雫一滴こぼしちゃダメよ~ん^^』

『はいいただくっす☆』と、琴音は紙コップにチョロチョロと日本酒をいただいている。

 まあ・・・今回に限ってはアリだろう。

 なんてったって皆の純粋な夏休みなわけだから^^

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 お酒も入ってプチ宴会状態。

 ただ、座席越しにお酒やおつまみのやり取りをしていたので少し窮屈でもある。

 お座敷列車だったらもっとくつろげるんだが、これは後に夢が叶うということは今は伏せておこうか^^

 

『さあ、もうすぐで到着だよ?湯野上温泉が^^』

 

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(※ここで私事のトラブル発生。デジカメがとうとう故障しました^^;

 ここからの画像はほとんどスマフォの画像となります。ご了承を)

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『わきゃー☆ ゆのかみ温泉ですか♪ 結構有名どこですよね^^』

『ようやくマトモに温泉に連れてってくれたのねえ。なんせ草津の時は温泉すら入らせてくれなかったしね(チラチラとボクを見る)』

『OH!ここは確か我が心霊研究部員の富詩アンナさんの地元デース^^』

 富詩アンナ?はてどんな子だっただろうか。ボクは未だに面識が無い。

『お兄ちゃんお兄ちゃん。ここに来たってことは近所の大内宿も寄るってこと?』

『それは温泉次第かな』

 

『『『温泉次第ってどういうこと???』』』

 みんなが頭の上にクエスチョンマークを一杯浮かべる。

 ま、そりゃそうだねw

『温泉発見に時間が掛からずに余裕が出来たなら行ってもいいね^^

 ま、いいから行こう!行こう!w』と、わざとらしく皆の背中を押して先を急かすボク。

 発見って・・・?どういうことだってばよと悩む彼女たちを見るのもこれまた楽しいもんだw

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 駅舎の前の道に出たボク達。目的とする場所は確かこの道と平行して流れている川の向こう側だったと思う。

 目的地の方向的には右手だが、対岸までの橋があるのは左手だったようなと、地図を持ってこなかったことを少し悔やむ^^;

『とりあえず川の向こう側に行きたいんだけど、橋がコッチっぽいから左手の方に進もうか^^』と、彼女たちにはナイショの一発勝負。

 まあ~間違ったとしてもいつか橋は出てくるだろうし、少し歩くだけだろうと楽観しつつ、お散歩開始です☆

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 中々歩くこと数十分。温泉街から随分と遠ざかったもんだが、ようやく向こう岸までの橋を発見。

 さっさと渡ってここまでのロスを埋めるとしようか。

 対岸側の道を歩き始めて直ぐに、琴音が『あれっていかにもじゃね?お兄ちゃん』と、ボクに振り返りつつ向こうを指差した。

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『ホテルか旅館の廃墟っぽいなあ・・・ゴクリ』

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 辺りを注意深く探してみると壊れた看板が見つかった。

『わきゃ・・・ゆのかみかんこう・・・ホテルですかね?先輩。壊れてて読み取れないですう^^;』

『まさか行かないわよね?行かないわよね?菅原君(念押し)』

 本来なら今回は廃墟無しの純粋な(?)温泉サークルの予定だ。

 ただ・・・予定外とはいえめぐり合ってしまったのなら是非とも寄ってみたいのがボクの性だ(今回は本当に予定外です。偶然)

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『まあ~暑いしちょっと木陰で涼しんでこっか(真顔』

『『『どこが木陰だよw』』』

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 ということで次回は嫌がる彼女たちと共に巡る廃墟のお話です^^

 

 ここまで読んでいただきありがとうございました☆

 帰り次第、皆のところへと訪問したいと思います^^

(やべー、早く行かないと遅刻する~w)

 


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第590話 シズカ山スキー場跡編☆おまけ『草津なのに草津しない☆』 [廃村さーくる]

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 ん?いつの間にかお兄ちゃんは、チケット売り場、もしくは監視所の廃墟へと入っていった。

 私たちもそれに続いてみる。

 5人入ったら狭苦しいことこの上ない小さな小さなスペースに、私たちはギュウギュウ詰め^^;

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 足場を見てみると割れたガラスの破片だらけ・・・。

 ふと、お兄ちゃんがそこに唯一残されていたデスクの引き出しをガララと開けていくのだ。

 一段目はーーー

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 パッと見、平成12年のカレンダーが眠っていた。

 お兄ちゃんが先ほど説明した『この廃墟。いや半分廃墟のスキー場は、2007年の春を最後に休止してるんだ^^』という話とつじつまが合わない代物が。

 だって2007年だったら平成19年でしょ?

 おっかしいじゃん。このカレンダー平成12年っすよ。

 なんか納得いかないなあ~って顔してたら、お兄ちゃんがその表情を汲んでくれたみたいで、

『ん~、引き出し空けて一瞬、残されたカレンダーと実際の休止状態になった年数がかけ離れてるなあ~と思ったんだけど、

 よ~く見てみると、単に引き出しの底敷きとして使われてたってだけみたいだね^^

 ほら。汚れないようにとか傷つかないようにって、古いカレンダーを底に敷いたって感じじゃん^^』

 ああ・・・言われてみればそうか^^;

 私は単純に短絡的に思ってしまった自分をポリポリと頬っぺた掻いて苦笑い。

 

 続けてお兄ちゃんは二段目の引き出しを引いてみた。

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『手旗信号の旗かしらね^^』

 首塚先輩が緑色の旗をまじまじと見つつ、お兄ちゃんに質問した。

『多分そうだろうね~^^ ボクはスキー場の手旗信号とかあんまりよくわからないんだけど、

 鉄道ならこの色は“先に進め”って感じの青信号の意味があったような気がしたけど^^

 きっと在りし日のこのスキー場じゃ、スタッフさんがこの旗を振ったり笛を鳴らしたりしてさ、スキーやスノーボードのお客さんをリフト案内してたんだろうね^^』

 もうおそらく振られることも無いだろうフライ旗。

 そう考えるとちょっぴり物悲しさを覚えたっす。

 

 そのあとは廃スキー場に別れを告げ

 ---私たちは再びバス停へと戻ってきた。

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 バス停の時刻表を覗き込んだ夕実っちが、私たちの方に向き直りつつ両手をだらりと下げて

『駅まで戻るにもぉ・・・草津温泉まで行くにもぉ・・・次のバスまで2時間は来ないですぅ・・・^^;』と、嘆く。

 マジっすか^^;

 ここから一体全体どうしろと?

 私を含めた女子軍団は『ええ~^^;』とか『ほんとですかあー^^;』と、この旅の立案者であるお兄ちゃんに不満そうな声を浴びせる。

 ま、浴びせるとは言ったけれどお、

 みんな本気でおにいちゃんを責めてるわけじゃないのが分かる。

 むしろこういうのも、もう慣れっこだったし、ただ単純に意地悪く言ってみせてるだけだった^^

『じゃあ~・・・こうしよう! 草津長野原駅まで下って歩くのは無理だけど、

 草津温泉までならここからそう遠くないし、バスを待つより歩いてみようか^^

 途中に道の駅もあるしさ☆』と、

 女子チームのいやらしくもやさしいイジワルに対抗して、お兄ちゃんはひとつの提案を皆にしたんだ。

 んで、結局皆、文句も言わずにハーイと賛成。

 私たちは草津温泉口へと292号線を徒歩で向うことになったっす^^

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 歩くこと十数分。意外とあっさり道の駅『草津運動茶屋公園』へと辿り着いた。

 遠巻きに見ても駐車している車は多いし~(観光バスも止まってる)

 ここを利用してるお客さんが一杯居るように見えた。

 ーーーふと、

『ちょっと離れただけで、あの廃墟とここは別世界デース^^;』と言ったリンダっちの言葉に、私はウンと心の中で頷いた。

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『28度!? ええ~でも、なんかそんなにあるとは思えないわよね~^^;』と首塚先輩が言う。

 道の駅の入り口に只今の気温は?と、温度の表示板があったんだけど、気温の高さほど暑さはまったく感じられなかった。

 むしろ日差しがあっても全然清清しい気候だったっす^^

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 ここでおトイレタイム&しばしの休憩っす^^

 お土産屋さんを何も買わずにグルリと巡っただけで冷やかしつつも、先へと進むことに^^

 そこからは草津温泉市街地はそう遠くなかったっす。

 あっという間に日本屈指の有名温泉場へと到着したっす^^

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『このマンホールって“サ”がたくさん並んでて不思議なんだけど^^;』

 ふと首塚先輩が、草津市街地に入ったところでそこかしこに地面に見やるマンホールを指差して言う。

 あ~、確かに何で“サ”がたくさん?

 あ、でも『サ』の数を数えてようやく分かったかも^^

 皆が『ああ~♪』と気づいたところで、お兄ちゃんの注釈が入った。

『“サ”がよーく見ると9個あるよね^^ つまりは“サ”が“九個”で“クサツ”って意味合いがあるんだろうね^^

 でも草津の“ツ”はどこにいったんだろうかね^^;』

 ツはどこへ?

 それが私たちの暫くの話題となったのは言うまでも無いっすw

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 そしていよいよ定番中の定番といいますか、ここのメインである『湯畑』に到着!

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 おお~

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 へえ~

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 足湯もあるね~

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 廃村サークルのメンバーの中には既にここに何度も来てる人が多かったせいか(お兄ちゃん5~6回、私2回、夕実っち2回、首塚さん一回、リンダ0回)

 景色を楽しんでるような雰囲気を臭わせつつも、ほんとは皆そこまではねえ^^;って感じだw

 どちらかというと、

『じゃあ~そろそろ温泉でも^^』とでもお兄ちゃんが、いつ言ってくれるのかをスタンバってたくらいっすw

 

『じゃあ~---』

 お!お兄ちゃんが皆に声を掛けようとする。

 ソレに対して皆、嬉しそうに身構える。

 

『ーーーそろそろバスも来るし帰ろうかみんな^^』

 

 ここで皆、漫画のようにズッコケル。

 

『ちょ!?ちょちょちょちょ!なんでやねん!w 草津まで来たのに温泉も入らずに帰るのかよお兄ちゃんよおおおおおおおおお!』

 みんな私の突っ込みに『そうよ!そうよ!』の大合唱。

『え?いやだって~もうすぐバスが来るよ?次のバスになると、東京に着くのが夜の7時か8時くらいになっちゃうし^^;』

 いやそうだけど、そうじゃないでしょうよ!^^;

『大滝乃湯も混浴なくなっちゃったし、西の河原は写真NGだしなあ・・・』

 お兄ちゃん・・・。一体温泉に何を期待してるんだよ^^;

『別にどこでもいいじゃナイデスカー^^; 見たところ温泉旅館さんに日帰り入浴いっぱいあるデスヨ^^;』

 ここでリンダっちがお兄ちゃんに食って掛かる。

 私たちは心の中で『そうだもっと言ってやれ~!いいぞいいぞ!』と応援ですよ、ほんと^^;

 

『吾妻線に戻って川原湯温泉駅の聖天様露天なら混浴だし実質タダだよ?リンダ^^(清掃用の任意の募金箱は備え付けられてます)』

『そっちでもOKデス^^』

 

 丸め込まれてどうすんだよリンダっちよおおおおおお^^;

 

 ---かくして私達は

 渋々と草津のバスターミナルまで行き、そこから帰ることとなったわけです・・・^^;

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 草津まで来て温泉に浸からないという前代未聞の出来事に、

 一時は庶民(女子チーム)の不満が爆発。

 お兄ちゃんが部長であるのはいかがなものかと言う意見まで出て、あわやリコール選挙に発展するところまで来てしまった☆

 冗談半分のお話とはいえ、お兄ちゃんも苦笑いでその動向を見守る。

『とりあえず一時休戦ね!』と、選管部長の首塚女子から振る舞われた缶チューハイを皆手に取り、暫しの中休みと相成ったっす。

 草津長野原駅に着いて、電車に乗ったところまでは覚えてるんだけどなあ・・・

 

 気づいた時には皆、高崎駅で駅員さんに体を揺り動かされていた^^;

 まあ・・・確かに皆、ほぼ寝ないで出かけたよ?

 軽井沢までおもいっきり乗り過ごしたりもしたよ?

 だからって温泉にも入れないで帰ってきちゃったのはどういうことよw

 草津温泉まで行っておいてw

『えっと・・・なんだか皆スマン^^; この埋め合わせは今度するから許してくれよみんな^^

 あ、そうそう。今度は廃墟抜きで温泉にしようね。えへへ♪』

 別にお兄ちゃんが悪いわけでもないのだけれど、なんとなく申し訳無さそうにみんなに口直し旅行を提案をする。

『まあ~菅原君がそこまで言うならしょうがないわよねw』なんて言いながらも首塚さんは嬉しそうだ。

 私は、まあ~・・・どこでもいいかな^^

 

 高崎からの電車では『どこの温泉がいいいか』な~んてな話で盛り上がりつつ帰路についたっす^^

 

 ・・・帰りも皆で再び寝過ごしたってのはナイショね☆

 

 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 まあ・・・ほぼ寝過ごし乗り過ごしばっかりの旅路でしたよほんとw

 とは言えトラブルやアクシデントだとは思ってません^^

 それも含めて楽しい旅でした^^

 記事的にもオイシイしねw

 さて、

 一応、記事の末尾で菅原君が発言したように、

 次回の廃村サークルシリーズがあるならば

『温泉回』にしようと思ってます^^

 久しぶりの温泉サークルシリーズ。期待しないで気長に待っててくださいな^^

 


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第589話 群馬・シズカ山スキー場跡編vol④『冬山レジャーの栄枯盛衰』 [廃村さーくる]

『ゴンッ!・・・・ゴンッ!・・・ゴゴッ!?』

 

 廃ゴンドラを見上げていたボク達の直ぐ傍の、開かずの大きな大きなシャッターの奥辺りから異音が鳴り響く!?

 

 ーーーまるでゴンドラの機械が再び息を吹き返したように。

 

 ボク達以外に誰も居ないと思っていた我々は思わず見構える。

 うん。皆、緊張して身構えてたとばかり思っていたのだけれども、

 後ろを振り向いた時には、ボク以外の彼女たちは一目散に

『『『キャアアアアアアアアアアアアアア!』』』と、逃げ出していた・・・・・・・・・・

 

 第589話、スタート・・・です^^;

群馬・シズカ山スキー場跡編・首塚さん2.jpg

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『こ、この廃スキー場って、廃鉱山の跡に建てられたスキー場なんですかァ???』

 先ほどの“白根鉱山跡地”という藪に隠れた石碑を指差して夕実ちゃんがボクに言ってきた。

 夕実ちゃん以外の彼女たちもボクの答えを待っているような表情をしている。

 ボクはある程度の知識しか無いのだけれど、この土地の幾ばくかの経緯を知る限り彼女たちに語ることにした。

 

『ここは昔、白根鉱山と呼ばれて硫黄を産出する鉱山だったんだ。

 かつては工業原料として掘り出され、隆盛な時もあっただろうけれど、

 石油というものが主流になってくると、その石油の副産物として硫黄が硫黄鉱山で採掘するより簡単に採取できることになってしまったんだ。

 ・・・時代の波。もしくはエネルギー変遷の波だよね^^;

 

 日本にある硫黄鉱山は次々と役割を終えることになるわけ。

 結局この白根鉱山も、1974年の春を迎えた頃に廃鉱に到った。

 そこから空白の数十年を経て跡地利用にとスキー場が建設された。

 何しろ高所であり、シーズンには雪も望める場所であったし、

 何より草津温泉というメジャーな温泉の近隣でもあったしね^^

 それが“草津シズカ山スキー場”ってわけなんだ。

 

 でもそのスキー場も2000年初頭に、たった数年活動しただけで活動を終えてしまうんだよ。

 バブル期を迎えて絶頂期だった1980~1990年代の日本の冬山レジャーも、

 バブル崩壊と共に、スキースノボー人口は減少を辿る一途。

 その最中に後追いで造られたこのスキー場の運命は、まあ・・

 言わずもがなと言うところだとしておこうね^^;』

 

『なるほど。ここは廃墟の上の廃墟なのねぇ・・・』

 ボクの説明に首塚さんが何とも言えない愁いだ顔を見せる。

 そして続けるのだ。

『私の住む東北地方もやっぱりスキー場とかバンバン潰れていってるわよ~^^;

 人気のあるスキー場も、平日だとリフト待ちとかほとんど無いこともあるし^^;』

 かつては何十分もディズニィーランドのアトラクション待ちみたいな隆盛を誇った時代もあったんだよ?と親父に聞かされたもんだ。

 でも今や冬山レジャーは衰退の一途を辿っていると言ってほぼ間違いは無いと思う。

 それほど、スキー・スノーボードをする人たちは昔に比べると減ったのだと。

(今現在は、スキー・スノボー世代だった人が親となり、少しばかり戻ってきてるらしいけれども、

 それでもブームのピークであった頃に比べると人口は三分の一。

 スキー場も当時に比べたら二割から三割弱の減少との、レジャー白書等々の報告からあるそうです)

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『ちなみに、このシズカ山スキー場の扱いは“休止中”なんだ^^;』と、ゴンドラ跡に進む道すがら、皆に振り返って補足的なことを告げた。

『っちゅーことは、完全な廃墟ってことじゃ無いってこと?お兄ちゃん』

『うん。ここは完全な廃業では無いらしい。都合がつくのなら再開をと思っている場所と言った感じかな。

 言わば“仮の廃墟状態”なわけだ。

 ・・・とは言え、

 この日本の冬山レジャーが衰退を辿ってる今のご時世、

 このスキー場が再びスキーヤーやスノーボーダーを迎えてくれるのは限りなくゼロ・・・に近いと思うよ^^;』

 

 皆、少し無口になってしまった。

 そのかわりにまわりの景色を確かめるようにじっくりと見回していたように見えた。

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『うほおー、草ぼーぼーっすねここ^^;』

『ゴンドラ無いですぅ・・・^^;』

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 ゴンドラが無い変わりにポツンと車が打ち捨てられていた。

 特段見るべきものも無い場所だったが、せっかくなので主役の居ない舞台を皆じっくりと見回していた。

 ---すると、

『ガンッ!・・・ガガンッ! ・・・ンッ・・・ゴン!』と、

 ボク達の直ぐ傍の格納庫であったであろう場所から大きな音が鳴り響く!

 しかもその音は少しづつボクらの方へと近づいて来ている!?

『ん・・・何の音だろう』と思わず身構えた。

 シャッターの奥から聞こえてくるその異音に、ごくりと唾を飲み込んで音の在り処を注視した。

 そして『心配しないで。でも冷静にいこう^^』と、皆に声を掛けようと振り向いた先には誰も居なかった。あれ?

 

『でたあああああああああああああああ!』

『わきゃあああああああああああああああ!』

 

 彼女たちは悲鳴を上げて一目散に逃げ出していた^^;

 ・・・いやいや何も出てないし何もいないから^^;

 というか、心霊研究部の首塚・リンダもこの手の音くらいで逃げ出してどないすんねんw

 ボクはシャッター越しの異音がなんなのかをある程度考察してから彼女たちの元へと合流したのである。

(実際のボクはビビッて逃げ出してますw ひいいー!とか情けな~い悲鳴をあげながら。めんぼくねー^^;)

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『ダイジョウブデスカ!スガワラサン!』

『リンダ!何か御清めのグッズとか無いのかしら!』

 リンダと首塚さんは、まるでボクが悪霊でも見てしまったかのように慌てふためいて心配をしてくれる^^;

『いや・・・別に大丈夫だってば^^;』

『いやダメよ!リンダさっさと何か出しなさい!塩でもなんでもいいから』

『あ、ありましたデース^^』と、リンダは自分のポーチをごそごそと漁って、いかにも洋風魔術的な小さな小瓶を取り出した。

 飾り細工をあしらった、パッと見、中々それっぽい雰囲気のガラスの小瓶だ。

『それは聖水か何かかなw いやいいよもったいないよ~^^』

 心配してくれるのはありがたいのだが、そんなまやかしまがいの代物でどうこうなるわけ無いだろうにと、ボクは少し小馬鹿にしていた。

 

『この聖なるローションを塗れば効果テキメンデース☆』

 ローションかよw

 聖水じゃねーのかよ。サラッとしてねーのかよw

 

『ちなみにようやく量産体制が整ったデース☆開発には苦労させられましたデス^^;』

『ちなみに我が部の活動資金源よ^^ ホームページから通販のみで販売開始したんだけれど、これが結構好評でねえーーー』

 いったいどんな物好きなんだそれは^^;

 心霊研究部って全然活動してないと思ってたら、裏でこんなことしてたのか^^;

『それ私ほしいっす^^ おいくら万円っすか?』と琴音が興味ありありで買おうとする。コラコラー!

『4本セットで5000円よ^^ばら売りはしてないの^^でも琴音ちゃんだったらサンプル品でよければ一本あげるわよ^^』

 たけーなおい!しかもどんだけあこぎな商売やねん^^;

 とは思っていたのだけれど、

 いつの間にやらすっかり先ほどの異音のことなんて皆忘れていた。まあ・・・それはそれでありがたい^^;

(ちなみに聖なるローションの話は二回目だったりします。覚えてるかな?)

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 ようやく落ち着いたところで、先ほどの異音と首塚・リンダが感じ取ったであろう何かの答えあわせをすることにした。

『さっきの異音は、おそらく風に揺られた鉄塔の音がケーブルを伝わって聞こえてきたんだと思うんだ。

 ゴンドラは残ってなかったけれど、ケーブルは未だにあの施設に引き込まれたままだったしね^^

 ほら?ボク達がそこに居ようが居まいが耳をすませると音がたまに鳴ってるのが聞こえるだろ?』

 それでもなんか納得の行かない女子チーム^^;

 もう幽霊でいいよ!w はいはい幽霊幽霊^^;

『あと、首塚さんは“新しい感じのしない心霊的なもの”を感じ取ったようなこと言ってたよね。

 まあ~ボクはおばけとか信じていないんだけど、

 ここはかつて鉱山跡だったと説明したじゃない?

 この鉱山は硫黄鉱山だったわけだけれど、やはり昔は火山性ガスや落盤事故などで命を失っている方も結構いるんだ。

 だから、もしかして首塚さんやリンダが何かを感じ取ったと言うならば、恐らくそれを感じたんじゃないかと思うよ^^』

『ああ~なるほどね^^ このスキー場が活動していた時の霊的なものじゃなく、そのもっと前に存在していた鉱山の何かを気取ったのね私』

 

『ちなみに、この石碑の近くから少し登ったところに慰霊の社や祠があったりするんだ。この石碑共々まわりと比べると小奇麗な感じがするし、ここだけは手入れをされてるみたいだね^^』

 ボク達は祠に行きはしなかったのだけれども、その小高い丘に向って皆で手を合わせたのだった。

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『でさ、お兄ちゃんこれからどうすんのさ?ここが鉱山跡だってことは分かったけど、鉱山の跡っぽいもの探しに行くってこと?』

『ん?うんん。本当は行きたいところだけど時間的に見送ろうと思ってる^^

 ペアリフト脇から山中へと道が続いていて、その先に色々とあるらしいんだけど、また今度かな^^』

 その言葉に皆なぜかホッとしたような顔をする女子チーム^^;

 そりゃそうか。あんな山の遠くを見ていたら心が折れても仕方が無いとも思うしね。

 今度は単独で行ってみようとボクは思った。

『とはいえ、せっかくだし最後ついでにペアリフトくらいは見てこよう^^』

 そう言ってボクは彼女たちを先導してリフト跡へと向った(いや、すぐそこなんだけどねw)

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『うおお!こっちはちゃんと残ってるっす^^』

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『でも休止中とは言え、寂しい感じがするわね^^;』

『もう誰も座ってくれないし動くことも無いキガスルデース・・・』

『せっかくだしみんなで座って記念撮影しちゃいましょーですう^^』

 お、いいかもね^^

 ボク達は地面に降りているリフトの安全を確かめてから、総勢5人の箱乗り状態で記念撮影をしたんだ。

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 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 次回は蛇足も蛇足『おまけ編☆』です。

 書きたいことはもう今回で全部書いたつもりだし^^

 


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第588話 群馬・シズカ山スキー場跡編☆vol③『廃鉱跡の上に建つ廃墟』 [廃村さーくる]

『スキー場とか子供の頃、憧れだったですぅ・・・』

 

 シーズンを過ぎたと言うよりも、スキー場そのものが役目を終えてしまったその夏の山肌を遠くに見つめながら

 夕実ちゃんがボソリと呟いた。

 ボクは同郷の夕実ちゃんのキモチにうんうんと頷く。

 そしていつのまにか熱く熱く語り出していた。

『そうだよね・・・。うちらの住む土地はほとんど雪とか降らないし積もらないしね。^^;

 天城の山が邪魔して、同じ県だと言うのに富士山すら見えないとこだしなあ^^;

 子供の頃、箱根の山に雪が積もったから行くぞ!と、お父さんに連れられて、

 子供用のソリを車の後ろに積み込んで滑りに行ったのが懐かしいよ^^

 なんでもない緩やかな丘だったと思う。

 雪が解けたら多分、道路脇の小さな小さな斜面だったんじゃないかなあ。

 でもそれでも嬉しかった。

 ガリガリ言わせて短い斜面を滑り降り、お父さんが受け止めてくれてさ、

 またソリを引き連れて上に上がっていくその繰り返しなんだけれど、

 今でも忘れられない楽しい思い出なんだ~^^』

(実話です

 

『私は青森出身だし、どちらかというとウンザリだったかしら^^; でも不思議よね^^ 雪を見慣れてる人や見慣れてない人もいるんだから、やっぱりなんだかんだで日本って広いのね^^』

 首塚さんの話に皆頷き、そこから雪の日の思い出話し合戦がはじまった。

 第588話スタートです☆

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『あれ?お兄ちゃんお兄ちゃん!なんかアソコに屋根っぽいの見えるぞ!』

 小川で納涼を楽しんだボク達は、藪を抜けてようやく草が生い茂る駐車場跡へと戻ってきたのだがーーー

 琴音が駐車場跡脇の林に建物らしきものを見つけたのだった。

 せっかくなので行ってみることに。

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『トイレ跡みたいデース^^;』

『うん・・・トイレだねえ・・・^^;』

 駐車場脇に造られたのだろう、トイレの廃墟。

 特に何も無いことを確認して、さっさと次へと向うことにする。

 が、

『わきゃ・・・。でもなんか真新しい気もするですね・・・』と、ボク達の列の後ろのほうで振り向きつつ夕実ちゃんが呟いたのが聞こえた。

 中々良いところを見ているね夕実ちゃん^^

 その答えはこのあと分かってくると思うからね^^

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『さ!ここから少しばかり上を目指すよ^^ とは言っても頂上まで行くわけじゃないから安心してね^^』

『『『・・・は~い^^;』』』と、実に気の無い返事が返ってくる。

 そりゃ~女の子っち的にワクワクするようなものではないだろうケド、もうちっとサークル活動として声だけでも出してくださいよお・・・^^;

 ボク達はぺんぺん草がところどころに咲く、廃な道をゆっくりのんびりと登っていった。

 するとーーー

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 いかにもスキー場にありそうなブツに突き当たった。

『これ?リフトとかの巻き上げ機かしらね^^』

『お、なんかスキー場の廃墟にきちゃいましたって感じになってきたっすね^^』

『ここからどこまで繋がってたンデスカネ^^』

 この使用されなくなった機械と、そこから伸びていたんだろうリフトの先の山肌を交互に見つつも、少しばかりか彼女たちの興味も出てきたようだ^^

『じゃあ~、そろそろアソコに行って見ようか^^』と、ボクはある建物を指差した。

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『わきゃー・・・あそこです・・・かあ???』

『え?あれって今回の廃スキー場に関係有るのかしら』

『なんかとても真新しい感じデース^^;』

『お兄ちゃん。私ってばてっきりアノ建物は、よくある廃墟跡地を利用して造られたようなセミナー施設とか企業さんの研修施設だと思ってたっすけど・・・。

 まさかアレって廃墟???』

 皆がそう思うのも不思議じゃない。

 見た目にもとても新しそうに見えるし、パッと見、現役で使われていてもおかしくない外見だったから。

『ま、百聞は一見になんちゃらだよ^^ とりあえず見に行ってみよう^^』

 先ほどまでそれほどの興味を持たなかった彼女たちも、流石に食いついた。

 それほど廃墟とは反比例した建物だったからだと思う。

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 駐車場を過ぎ、

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 ボク達は、この巨大な建物の真下までやってきた。

 スキー場の施設案内板を指差して琴音が皆に振り返る。

『うわあ・・・。ベースロッジ(スキー場の麓にあるメインの建物)って書いてあるっすよ^^;

 っちゅーことは・・・』

 皆も琴音の言葉にもう一度この建物を見上げて、なんともいえない表情を浮かべていた。

『そう。実はこの建物も立派な廃墟なんだ^^ ・・・えっと、正確には少し違うんだけど、それは追々説明するね。

 とはいえ、せっかくここまで来たんだし、ぐるりと建物のまわりを巡ってみようか』

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 玄関口まで辿り着いたボク達。

 ところどころ寂れたところも目には付くが、経営が芳しくないシーズンオフのスキー場ならば、こんのくらいアリじゃないかと思えたくらいだった。

『アレ?玄関開いてるっす☆ んじゃま~ちょっとだけ。えへへ~^^』と、琴音がガララーと自動じゃない自動ドアを開けてさっさと中へと入ってしまった。

『こらこらこらー!^^;』と言いつつもボクは追いかける。

 仕方なく他のメンバーも追従するのだが、

『スガワラサン。仕方なく潜入するデスのに、とっても嬉しそうな顔デース^^』と、リンダに指摘されてしまった。

 ・・・ばれてるかw

 実は入れるのなら入ってみたいし見てみたいところだった。

 相楽先輩がここに居たら・・・外観見物だけで止めておいたんだろうけど^^;

(あの人は廃墟と言えども不可侵のポリシーがあるから。まあ、当たり前のことなんだけれども)

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『うわ・・・。中にはいってみると、やっぱり使われてないのが分かるわね^^;』

『あの人型のパネル・・・何に使われてたのか分からないですが・・・怖いですう^^;』

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『ストックが落ちてるデース。よく見ると、BB弾みたいなのも散らばってるデス^^』

 どうやらこの廃墟もサバイバルゲームマニアの巣窟のようだ^^;

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 琴音を追いかけてきたものの、まったくもって見つからない^^;

 昔からアイツはかくれんぼが得意だったとはいえ、こんな廃墟でかくれんぼされてもたまったもんじゃないよ^^;

 何しろ人の手を離れた廃墟というものは危険が伴うことも充分あるのだから。

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 琴音を探しているうちに、元お土産コーナーだったであろう場所へと迷い込んだ。

 ここでリンダが急に普段滅多にみせないような真顔になり、首塚さんへと小さく語りかけているのが聞こえた。

『少し、霊的なものを感じるデース。でもそれは凄く僅かだと思われるデス』

『そうね^^ “なんだかこの建物が建つもっと以前の霊的なもの”を微かに感じるわね』

『わきゃー!もーそういう怖い話しないでくださいです^^;』

 どうやら首塚さんとリンダは、この建物の何かに気づいたようだ。

 ボクは霊的なものと廃墟を結びつけるのは大嫌いである。

 でもその彼女たちが感じ取った何かのニュアンスに、少しばかり『なるほどな』と思ったのだ。

 

 ---ふと、

『おーーーーい!凄いの見っけちったっすーーーーーーーーー!!!!』と、琴音の声がこだました。

 ボク達は琴音の声がする方へと走り出した。

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『ここすごくね? スキー道具一式そのまま放置プレーだよ^^;』

 琴音の声に追いついたボク達。

 そして見まわしたそこは、スキー場内にあったであろうスキー道具やスノーボードの道具を貸し出す『レンタルルーム』だった。

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『ストックから板やブーツから何から何までそのまんまなのね・・・』

 首塚さんが言うように、ほんとうにそこにそのまま道具一式が残されていた。

 これはあまり言いたくないのだけれど、

 この手の廃墟物件には“持ち去り”が多くあるものなのだ。

 どうせ廃墟なんだろ?だったら持って行ってもいいじゃねーかと言う連中もまたいるわけである。

 勿論、どんな廃墟であろうが土地の所有者は存在し、そしてそこにあるものはどんなに荒れ果てたものでも持ち出してはいけないのだ。

 土地の所有者に断わりを入れたのならば堂々と闊歩し、

 許可を得たならば持って行ってもいいものもあるのかもしれない。

 そうでない人間は、末席でこっそり申し訳ない感じで眺めたりするのが廃墟の暗黙のルール(それでもぶっちゃけ違法です)

 だからこそ、ここまでキレイに残されていることに正直驚く。

『これってさあ、普通に使えるよねお兄ちゃん^^;』

『使えるだろうな。でもそのままにしておこうぜ^^』

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 ボク達は息苦しい廃墟から、プハーっ!と海の中から飛び出すように建物の外へと出た。

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 迎えてくれた景色は廃スキー場の山肌ではあるけれども、中にいるより断然気分の良い世界。

 みんな、スーハースーハーと新しい空気を胸に溜め込んで、

 廃墟独特の重苦しい空気をすべて出し切って心を落ち着けるのです。

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 外に出た先に、いかにもスキー場のゴンドラの発着所的場所を目の当たりにする。

 屋内よりは開放的。

『ゴンドラ跡っぽいねあそこ^^ せっかくだし見てみようか』

 ボクの言葉に気の良い言葉はあまり帰ってこないのだけれど、皆ボクの後にゾロゾロとついてくる。

 小さなブッシュを蹴散らしてそこへと進み始めた矢先、

 夕実ちゃんが、藪にこっそりと隠れていた、いかにも人工物な物を発見して声を上げる。

『石碑があるですう^^;』

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 その石碑に彫られているのはーーー

『白根鉱山跡地』

 ボクはその石碑を指差してこう皆に言った。

 

『ここは、廃鉱の跡地を利用して造られた廃スキー場なんだ』

 

 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 首塚・リンダの霊的なお話はなんだったのかも、ここの施設の過去や今も、

 次回の最終回で分かると思います^^

 ではでは☆

 


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第587話 群馬県・シズカ山スキー場跡編☆vol②『名も無き清流で昼涼み^^』 [廃村さーくる]

『うへぇ・・・高崎まで来たらめっちゃ暑い・・・』

 

 駅員さんの誤乗区間の無賃送還と言う粋な計らいで無事に高崎駅まで戻ってきたボク達だったのだが、

 新幹線を降りるなり琴音がその暑さを嘆く。

 それに追従するようにまた皆も手を団扇替わりにパタパタと扇ぐ仕草で嘆き節^^;

『うう・・・やっぱり軽井沢のほうがよかったですう^^;』

『涼しかったもんね~^^;軽井沢で廃墟探せばよかったのよ~』

『私は暑いのへーきデスガ、でもやっぱり軽井沢がいいデス☆』

 ・・・そりゃ軽井沢にも探せば廃墟や遺構はあるけどさあ・・・

 そうじゃないでしょ!わがまま女子達め^^;

『ま、まあまあ^^; 電車に乗ればとりあえずエアコン効いてるから乗り込もうよ^^;

 ああ~ほら!

 もう電車来てるよ?

 さあさあ乗って乗って^^』と、電車の手動ドアを開けてエスコート(都内の電車と違って、自分の手で開け閉めするのです^^;)

 ボク達は吾妻線へとようやく乗り込んだんだ。

 第587話スタートです^^

シズカ山・名も無き小川・琴音2.jpg

 途中、

『わきゃー!懐かしいです八ッ場ダム~^^』

『夏の吾妻渓谷もいいわよね~』と懐かしむ声が聞こえた。

 夕実ちゃん・首塚さんとそれぞれ2人きりでこの吾妻線の駅である川原湯温泉駅に行ったことがある。

 なぜかその2人には2人きりで行ったとは伝えてないのだけれど、別に他意は無い。

 いずれダムのそこに沈んでしまうであろう渓谷のヘリを進む吾妻線。

 その川原湯温泉駅を越えて、

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 ボク達は『長野原草津口』という、日本三名泉がひとつ『草津温泉』の玄関口である駅にやってきたのだ。

 

『もしかして今日は温泉のオプション付きかしら☆』

『やるね!お兄ちゃん^^ メジャー過ぎる温泉場だけど温泉入れんなら軽井沢じゃなくってもいいかなあw』

『OH!クサツ☆ ワタシでも知ってるデスヨー^^』

 ・・・なんで女の子って温泉好きが多いんだろ?

 ま、いや~ボクも好きだけどねw

 かつては、温泉めぐりするんなら、もうパンツ履かなくてもいいだろ?身体キレイだしwってくらい好きで、よく温泉場をはしごしたりもしたけれどね☆

 とは言え今回の目的はあくまでも廃墟です!

『温泉も考えてるからとりあえずアソコに待ってるバスに乗り込もうよ^^』と、

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 駅前で待ち構えてる草津温泉行きのバスへと皆を誘導したのである。

 今回は温泉という餌があるので、実にスムーズに動いてくれる彼女たち^^;

 ま、既に彼女たちの頭の中には廃墟めぐりというサークルの目的がどっか行っちゃってる感じだったのではあるけれど、ボクとしては都合がいいw

 ーーーそんな彼女たちの思惑も、

 ボクの思惑も構わずバスは突き進む。

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 本来ならこのバスのゴールである『草津温泉』

 ゆらり揺られて3~40分程度の道程。

 ーーーでもボクは、

 ゴール手前で『降車ボタン』に手を掛けたのであった。

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 ブロロロロ・・・と過ぎ去るバス。

 ボク達は『静可山口』と言うところにポツンと降り立った。

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『えっとおー・・・。何かしらココ?^^;』

『なんなん?なんでこんな中途半端なとこで降りるわけ?お兄ちゃん。温泉は?』

『ネクストのネクストでクサツだと言ってましたデスが・・・^^;』

 もうすっかり温泉モードになったいた女子チームからの大ブーイング^^;

 

『いや・・・あの・・・今回の目的はあくまでも廃墟なんだけど^^;

 プラス納涼ってことでここを選んだんだけど^^;』

『そうですよお^^;みんなヒドイですう^^;

 温泉は目的果たせたらきっと菅原先輩が連れてってくれると思いますから、ここは我慢しましょうです☆』

 夕実ちゃんのフォローに、ようやく本来の目的を思い出してくれた彼女たち。

 でも我慢しましょうは、ヒドス^^;

 とはいえ、ようやく納得?してくれたようで、ボクの後を付いて先に進むことができたわけですーーー

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 国道292号から伸びる人気のまったくない側道を進むボク達。

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『いい天気よね~^^』

『あれ?暑くないし爽やかじゃね?』

『ウグイス鳴いてるデース☆』

 先ほどまであんなに渋っていたにもかかわらず、いざ歩き出すとーーー

 その気候に景色に夏の緑に空の蒼に、彼女たちはいつのまにか周りを楽しんでいた^^

 日差しはあるのに暑くなく、

 空気が澄んでて心地よい。

 見上げた空はとても素敵な夏空だった。

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 バス停から歩くこと2~30分だっただろうか?

 道路を塞ぐ通せん坊がお出迎え。

『ボク達の目的はこの先なんだ^^ もう少しだから^^』と、ボクはそのポールを跨いでみせる。

『立ち入り禁止とは書いてないのね』

『マイクロバス発着所??? こんな狭いところで?意味わかんねー^^;』

『この先なにがあるか楽しみデース☆』

 ようやくこの道が、そしてこの先が何なのかと興味や疑問を持ってくれたようだ。

 答えはもうすぐそこにある。

 

 さあ、先へと行こう^^

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 そこからものの数分。ボク達の前に藪に囲まれた看板が出迎えてくれた。

『わきゃー☆ もしかして今日の廃墟ってーーースキー場の廃墟ってことだったんですね^^』

『夏だからスキー場の廃墟で納涼って、その安易な発想にはお兄ちゃんの思考にオヤジを感じる・・・^^;』

『スキー場の廃墟デスカ^^ でももう既にノウリョウしてるデース^^

 今居る場所ですらとても心地いいデス☆』

『雪はなくとも、今現在過ごしやすくって気持ちいいしね^^

 たまにはこんなのもいいわね^^』

 

 ごく一部の人間を除いては(妹だけ)、今回の廃墟選びを賛同してくれたようだ。

 とはいえ、素敵な夏空と気候が後押ししてくれたからこその賜物だと思ってる。

 それ程、スコーン!と抜けるような空と、眩しい緑が待っていてくれたからだと。

 

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 生い茂った草木に飲まれた、かつてのスキー場のチケット売り場を通り過ぎる。

 目の前に広がるは、元々駐車場だったのであろう、

 平坦で広大な景色が広がっていた。

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『このままスキー場跡に直行で向うのもいいんだけど、時間もあるしもう少しブラブラしてみないかい?』と言うボクの提案に、

『まあ~いいんじゃね?任せますw』という雰囲気で特段、反対も無く、元駐車場であったであろうスペースへと進むボク達。

 目の前の開けた場所から奥へと進むと、

 第二駐車場だったんじゃないかと思われるスペースへと迷い込んだ。

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『ただの草っぱらやんけ^^;』と、琴音が突き当たった向こうに広がる林を見て呟く。

 ・・・確かになんも無さそう^^;

 これ以上は何も無いと判断し、本来の目的地である廃スキー場へと戻ろうとしたのだが、

 ボクは『あの林の向こうに何かありそうなキガスル!』と、強引に藪を割って突き進んだのだった。

 置いておかれるのもどうかと思ったのだろうか?

 渋々とボクの突発的な行動に彼女たちも付いてきた。

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 おそらく駐車場であっただろうスペースを抜け、さらに藪を抜けたところには、

 小さな小さな小川が流れていた。

 ーーーふと、

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 いかにも人工的人為的にかつて使われていたと思わせる痕跡を発見したのだ。

 ボクはこの発見に、

『この先に、きっと何かあるんじゃなかろうか!』と、藪から小川へとダイブ!

『ちょっとこの小川の上流を見てくるからゴメンネ^^』と、彼女たちにはついてこなくてもいいから、少しばかり待っててねと言わんばかりに探索へと励もうとした。

 

 ---でも彼女たちは、

 

『わきゃー☆なんかキモチよさそうですう^^』

『NHKの自然ドキュメンタリーっぽっくね?ちょっと小川突入してみてーっすw』

『マイナスイオンが溢れてそうね^^ ここまで来たならせっかくだし行ってみたいわ^^』

『中々、清流を闊歩するだなんて経験は無いものデス^^ 是非ともご一緒したいデス☆』と、

 恐る恐るではあるけれど、次々に藪から小川へと降りてきたのだ。

『じゃ、しょーがないなあ^^;

 何も無いかもだけど、名も無き小川の冒険ツアーってことで散策してみようか^^』

『『『はーい♪』』』

 

 ボク達はその先に宝箱があるでも無いのに、子供のような冒険心で先へと進んでみるのでした。

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 途中に錆びた鉄製の管を見つける。

 ここは明らかに人のチカラが加わった場所であったんだろうと確信する。

 でも、そんな事は途中でどうでもよくなる。

 というか素敵だった。

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 最初は苔むした岩に手を触れるのも躊躇していた女子チームも

 次第と手に触れ、先へとすすむ。

 そして小川に足を入れることもためらっていたのに、いつのまにやらジャブジャブと脚を踏み入れていた。

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『わきゃー☆ 冷たくてキモチいいですう^^』

『子供の頃の泥んこ遊びと一緒ね^^ 最初は抵抗あっても、いざやり出すと楽しいわ^^』

『ノウリョウデスネ^^ ヒンヤリとっても最高デース☆』

『やべーよお兄ちゃん!足湯なんかより全然癒し系だよw』

 思わず入り込んでしまった小川に、何時の間にやら虜になっていたボク達。

 

 結局はこの先に何も無さそうで引き返して来たのだけれど、それでも

 

 緑の木々の天井を見上げ、

 時折、苔むすベンチに腰掛けて、

 ひんやりとした水を蹴飛ばして、

 吸い込んだ空気に肺がキレイに掃除されたように思えるようなくらい、心地の良い時間を過ごせた^^

 

 名も無き清流での小さな小さなお話^^

 

 再び小川から藪へと戻って見上げた空もまた

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 気持ちの良い夏空だったーーー

 

 

 ここまで読んでくださり、ありがとうございました^^

 なんとなく寄り道で、そして冒険心でついつい小川へと突入してみたんだけれど、

 きもちよかったよ~^^

 

 さて次回こそ廃墟のお目見えです^^

 ヒンヤリするかもしれないし、

 切なくなるかもしれません。

 興味のある方は覗いてみてくださいね^^

 ではではまた今度^^

 

 


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第586話 群馬県・シズカ山〇〇ー場跡編☆vol①『もう軽井沢でいいじゃないですか~!』誤乗車&誤乗区間の無賃送還 [廃村さーくる]

『もぉ・・・暑いと言ったら罰金ですぅーっ!!』

『じゃーホットっす!w』

『ほんとホットよね~』

『ベリーホットデース☆』

『もぉー!ホットも罰金にしますですぅ^^;』

 

 早々に梅雨が明けると共に、気温が一気に急上昇した最近。

 窓から見上げたそれは、もう暑い夏の空だった。

 エアコンなんて常備してないサークルの部室に、

 暑い暑いと怨念のように呟く魑魅魍魎か、はたまたバイオハザードのゾンビのように蠢く彼女たち・・・^^;

 パタパタと駅前で貰った団扇を煽ぎつつ、のんべんだらりと世間話をしていたのでした(ええっと・・・サークル活動の話をしてくれませんかねぇ・・・)

 ーーーふと、

『ぱたぱたぱた・・・』と、ボクの首筋に優しい風が。

『先輩、どこか涼しそうなとこ行きたいですぅ・・・^^;』と、PCを見つめているボクに夕実ちゃんが団扇の風をボクに送りつつおねだりしてきたのだ。

 その声を聞いていたサークルメンバーも(2人くらい別のサークルなんだが・・・)

『海!海いきたいっす!』(琴音)

『エアコンの効いてる廃墟とかだったら行くわよ^^』(首塚さん)

『山もいいデース^^』(リンダ)と、自分勝手に大合唱^^;

 

 うーん・・・涼しい廃墟ねぇ・・・

 

『じゃあ~分かったよ^^;今度は涼を求めた廃墟めぐりとしようじゃないか^^』

『『『やったあーっ!』』』

 

 ーーーっと言うことで、今回ボク達は涼しげな廃墟へと向うことになったのです。

 第586話スタートです^^

第586話・夕実ちゃん・シズカ山2.jpg 

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 今回、意外と遠出と言う事もあって、夕実ちゃんの家に前の晩から集合したメンバー。

 実を言いますと、ボクってば夕実ちゃんちにお邪魔するのは初めてだったりする。

 同じ町に1人暮らしをする同郷の仲間であって、こんなにも普段から付き合いがあるというのにである。

 ・・・女の子の1人暮らしの家だからと、遠慮していたところもあったかと思うのだ。

 他のメンバーが一緒とはいえ、幾ばくか緊張しつつもお邪魔したわけである。

 最初の印象はーーー

 意外とシンプル。いや、簡素な感じだった。

 彼女の普段からの甘ったるい感じの口調や仕草から、ボクはてっきりファンシーな人形だらけな部屋なんじゃないかと勝手に想像していたわけだ。

 ところがである。

 ぬいぐるみはあったにはあったのだが置き時計の横にポツンと一匹目つきの悪いウサギの人形があるくらい。

 ポスターも無く、飾り気も特に無い必要最小限の家財を揃えた小奇麗な部屋だった。

 

 あんまりジロジロと見回すのも失礼なので細かいところは見てはいないのだけれど、とにかくシンプルイズベストといった部屋だったとだけ言っておこう。

 後からやってきた妹の琴音に、

『ねえ今どんな気分?ねえねえどんな気分w 夕実ちゃんの部屋に初めて来てドキドキ?』と、いやらしくからかわれたもんだから、

 拳にハアーと息を吹きかけて軽くゴツンとお見舞いしてやりましたけどね^^;

 

 ---で、結局皆で始発までの楽しい酒宴です。

『そろそろ家を出ないとヤバイですぅ^^;』と夕実ちゃんに告げられたのが早朝の5時。

 ボク達はいつものように酔いの残るまま旅路のスタートを迎えたわけだった。

 

 

 今回は彼女たちに“どんな廃墟に行く”とは告げてなかった。

 どんなにしつこく聞かれようがーーーナイショwと言って誤魔化してみた。

 ただ、彼女たちのリクエストである『納涼』ということだけはヒントとして伝えてあった^^

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『あら?今回は高崎に行くの?』と、ボクがみんなの分のチケットを購入したのを首塚さんが覗き込んで言う。

『新幹線デスカ!? ちょっとワクワクデース^^』

『高崎くらいじゃ涼しくなくね?お兄ちゃん』

『わきゃー^^ でもでもでもー、高崎からなら色々な路線がありますですよね^^ 今回はどこにいくですかね^^』

 おお。夕実ちゃん。君は大分理解してくれてるようだね^^

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 大勢のサラリマーンに前後挟まれつつも新幹線へと乗り込んだボク達。

 首塚さんが買いこんだお酒片手に盛り上がりつつ新幹線はグングンと進んでいくのであった。

 

 

 

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『えっと・・・ここってどこかしら?』

『軽井沢だねえ・・・。長野県だねえ・・・^^;』

 どうやらボク達は寝過ごして軽井沢まで来てしまったようだ。

 本当なら『やっちゃった^^;』と嘆く場面なはずなんだがーーー

 

『軽井沢!? なんかお洒落っぽくね?』と、はしゃぐ琴音。

『避暑地の代名詞的場所よね^^』と、ワクワクしながらホームの向こうの景色を見つめる首塚さんが居た^^;

 夕実ちゃんだけが少し不安そうにボクを覗き込んでくれたのが何故か不思議と安心してしまった。

 ふとリンダが手を大きく広げてクルクル回りながら皆に告げるのだ。

『とても過ごしやすいデース^^東京はあんなにも暑いのに、ここはとても涼しいデス^^』

 確かにまだ朝方ではあったけれど、それでも空気が違った。

 とても清清しい。

 暑さもまったく感じない爽やかな感じが自分を包んでいるのがはっきりと分かる。

 軽井沢は伊達じゃない!と思わず唸る。

 ・・・とはいえ、

 さっさと今回の旅路のターミナルである高崎駅に戻らねばと腕を組んで悩んでいた。

 いたのだが・・・

『なんかこのまま軽井沢で遊ぶのも良くね?』と我が妹がのたまった。

『『それもいいよねえ!』』と、それに呼応する女子チーム一部。

 自分もちょっといいかなあ~とは思ったが

『いやいやいや・・・』と、さすがにボクは反撃ののろしをあげた。

『ここまでの乗り越し料金プラス帰りの電車賃は、予定してた額よりかなり割高になっちゃうけどいいの?皆^^;』と、少しでも軽井沢幻想から現実へと引き戻そうとした。

 あくまで学生の身分だ。それぞれバイトをしてようとも手に余るようなお金など持ち合わせてるわけでもない。

 しかもそういうとこには結構シビアな女の子達。

『高崎までなんとかうまく戻れるように相談しに行こうね^^;』と言うボクの言葉に、渋々と彼女たちはついてくる事となった。

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『あのぉ・・・スミマセン^^; 実は寝過ごしてしまいまして・・・』と、

 ボクは申し訳なさそうに高崎駅までの切符を

 改札窓口の奥で働く駅員さんたちに提示したのであった。

 それに出迎えて対応してくれたのは、PCをカタカタと打ち込んでいた可愛らしい女性の駅員さんでした。

『あらァ、乗り過ごされたのですね^^;

 分かりました^^

 でしたら、ええと・・・このあと上りの新幹線がございますのでそちらの自由席にてお戻りください^^

 切符をお預かりいたしますね^^』と、

 ボク達人数分の切符を預かって1枚1枚にポンポンと、

 改札挟みたいな(昔のハサミみたいな切符を切る道具)

『ステッパー』もしくは『改札スタンプ』と呼ばれるもので印を押してくれたのです。

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『誤乗』と押されたそのスタンプに、ボクは思わず聞いてしまった。

『これで・・・高崎まで戻れるのですか?』と。

『タダで戻れるっすか?』とボクの後ろで嬉しそうに続けた琴音の頭をコツンと軽く拳骨しながらも

 女性駅員さんの返事を聞くのでした。

『“誤乗区間の無賃送還”と言うのが旅客営業規則にあるんです^^

 簡単にいいますと、故意で乗り過ごした訳でなく不可抗力で目的地を乗り過ごしてしまった場合に、

 切符に印を押して無償で送還するというのがあるのですよ^^

 本来なら急行や特急には・・・とか制約もつくのですが、

 誠意を持ってお話いただければ、こちらも快く受ける次第なんです^^

 なんにせよ楽しい電車の旅をしてもらいたいですからね☆』

 

 ・・・この言葉にボク達皆ジーーーーーン・・・

『『『ありがとうございます!!!』』』の大合唱。

 その上、

『戻られる時間までまだまだ時間もございます。改札でたところにショップがありますし、

 私にお声を掛けていただければ、改札など気にせずにご利用ください^^

 コンコース内にはテレビもある待合室もございますので電車の時間までいかがでしょうか^^』と、懇切丁寧に何から何まで教えてくれたのです。

 みんな、めっちゃその対応に感動!

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 せっかくのオススメ。

『ではちょっと^^;』と申し訳ない感じで改札を抜け、売店で皆思い思いのものを購入して、

 再び駅員さんに会釈して駅のホームへと戻るのだった。

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『暇つぶしにはお酒よね~^^』と、待合室でみなに配る首塚さん。

『『『わ~い☆』』』と、その手から嬉しそうに受け取る皆(ボクもだけど)

 駅員さんの優しい対応があったからこそこんなに楽しく出来てるのに^^;

 ま、多分みんな感謝した上でのはしゃぎ様なんだろうけど。

 

 予定より大分過ぎてはしまいましたが、約一時間後。

 ボク達は無事に高崎へと戻る新幹線へと乗り込むことができた。

 

 廃墟と納涼のコラボレーションの旅は、紆余曲折を経て次から本当のスタートとなるのだったーーー

 

ちょいのり・フィーバー・サザエさん.jpgここまで読んでくださりありがとうございました^^

 今回の旅路のほんの触りの物語ではありますが、

 どうしても長々と語りたくなってしまったのは許してください。

 それ程、実際に体験した鉄道での乗り過ごしでの駅員さんの対応にボクは感動してしまったからです^^

 ではいよいよ本編は次回から☆

 

※1 記事が諸事情により先行してしまいました(ぶっちゃけると、せっかく書いた記事が何回か吹っ飛んで、ここ数日ブログやる気も訪問意欲もなくなってた^^;

 というか、ふてくされてたw

 今日の夜か明日の明け方には皆のブログ見れるかなあ^^

 


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第582話 稲取・どんつく祭り編☆ファイナル『華火』日本の粋・花火職人は星を作ろうとしている [廃村さーくる]

『祭りといったらお神輿ですが、いやいやいや。もうひとつありますよね^^』

 今日は“もうひとつの主役”のお話にして、どんつく祭りのフィナーレです☆

 第582話スタート!

夕実ちゃん・菅原・琴音・首塚.gif

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『私、型抜きとかやったことないのよ~^^;』と、子供でごった返した出店を覗きつつ、首塚さんが興味ありそうに皆に言う。

『ああ~!私もですうー^^』

『ナンデスカ?型抜きって!?』

 夕実ちゃんとリンダがそれにピクっと反応。

 その顔はとってもウズウズしてる顔だった。

『じゃあ~ちょっとうちらはお兄さんお姉さんだけれども、子供達に混じってやってみようか^^』

『『『さんせ~♪』』』と、賛成4・無投票1で可決ということで参加することに(琴音。い~ま~さ~ら~?^^;と、渋い顔してました^^;)

 

 薄い粘土みたいな板から絵柄を壊さずに、必死で爪楊枝でくりぬいてる子供達に混じった我がメンバー。

 最初は要領もルールも分からないからってんで、遠慮していたんだがーーー(ボクと琴音は分かってるので指導員です)

 周りの子供達の見よう見まねでやっているうちに、段々と上達していく皆。

 その分自分の財布から小銭がバンバン飛んでいくのだが・・・

 まあそれはご愛嬌だ。・・・良しとしよう(自分を納得させてる^^;

 

『デキタデース^^ 見てくださいスガワラサン!』

『ほ~どれどれ?』

 一番乗りはリンダだった。

 キレイにどこも欠ける事なく『ウサギ(みたいな)』カタチを抜き出していたんだ^^

『それを、屋台のおじちゃんに見せれば景品もらえるんだよ~リンダ^^

 その型によってもらえるものも違ってくるけど』

『ワオ!これで景品が貰えるんデスカ^^ でもいいデース。

 景品は子供達の為にとっておきましょうデス^^

 そのかわり、私はこのくりぬいた型が欲しいのデス』

 せっかくキレイに抜き取ったというのに、リンダは景品は別にいいよと言う。

 ボクはおじちゃんに『この型抜きをもらっていいですか?』と了承を得て、リンダに再び手渡した。

『アリガトウゴザイマス♪』

 リンダが嬉しそうならそれもいいかな^^

 リンダは、それを大事に大事にティッシュにそっとくるんでポシェットにしまいこんだんだ^^

 

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『さ!ステージの方が群がってるからボクラもいこうじゃないか!』

 と、海沿いのステージ前へとボク達も向った。

 先ほどまではすんなり歩けた道だったのだけれど、いつのまにやら大勢のギャラリー。

 出店の食べ物を頬張りながら闊歩する地元の女子中学生や高校生の群れや、浴衣を着て練り歩く観光客の団体さん。

 小さな町の小さなストリートに溢れかえっていたのです^^

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『えっと・・・あのステージの上にいる赤い服と青い服の人は・・・何かしら^^;』

 苦笑いで聞いてくる首塚さんに、ボクは

『多分このあと分かると思うから、今は内緒☆』と曖昧な感じで返した。

『ええ~・・・?なによそれ~^^;』

 ソレを見ていた琴音はにやりと笑い。

 夕実ちゃんは微妙な引きつり笑いをしていた。

 地元っ子の2人は理解している。

 まあ~そのうちきっと分かるから。ね?首塚さんw

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 その後は神事さんの謳い上げの後に、司会者のおねーさんの開会宣言と共にぶっ放された空砲と共に、本格的なお神輿の練り歩きがスタートしたのです。

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 そしてーーー

 いよいよ、首塚さんが先ほどの疑問に体を張って分からされる時がやってまいりました。

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 先ほどのステージ上にいた、男性のシンボルを形どったものを持っていた赤と青の人物(正式名称わからんのですよ・・・ごめんなさい^^;今度親父にでも聞いてみる)も、

 どんつくのお神輿の行き交いの間にストリートを練り歩き始めた。

 遠くで笑っていた首塚さんは、後に恐怖することにw

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 なんかギャラリーにその赤い人と青い人がギャラリーに突っ込んで行っては、キャー!とかワー!?とか盛り上がってる?様は遠巻きには面白い絵ズラで、

『何、盛り上がってるのかしらね~^^』とその様を楽しんでいた首塚さんだった。

 琴音は相変わらずニヤリ笑いで『なんすかね~w』

 夕実ちゃんに到ってはボクの後ろ手に隠れつつ『アハハ^^;楽しそうですよね。わきゃ・・・^^;』と首塚さんに返していた。

 本当のことは、この2人は知っている。

 意外と夕実ちゃんもイジワルだなあw

 

 そして、

 数十メートルくらい近くまで寄ってきていたシンボル抱えた赤と青の人のうち、

 赤い人が何かを見つけたように一瞬立ち止まりーーー

 突然『ふぉおオオオオオオオオオオ!!!!』と奇声を上げつつ、ボク達の女子チーム目掛けてロケットダッシュで襲い掛かってきたのですw

 さささーっとボクの後ろに逃げ込む夕実ちゃん。

 さっさと路地裏に逃げ込んだ琴音。

 え?え?え!?と、びっくりして立ちすくんでしまった首塚さん&リンダは、

 その標的(餌食)となったのでしたーーー

 

『もうっ!何でおしえてくれないのよぉぉうっ!^^; 正直めっちゃ穢されたんだけど^^;』

 首塚さんの言葉に琴音は大爆笑。

 夕実ちゃんは『すみませんwすみませんw』と言いながらも顔は半分笑っている。

 その笑いを見て首塚さんは半分怒って、半分苦笑いで続ける。

『なに笑ってるのよみんなあ~^^;でもまさか・・・あのピーーー!みたいなのを体に押し付けられて襲われるとは思わなかったわよおおお^^;(ぶっちゃけ下半身でっす☆)

 もおーーーーーお嫁にいけないっ!^^;』

『いやいやいや首塚さん^^ むしろ嫁にいってくださいよとあえて言っておきますよ~^^

 実はアレね?

 このお祭の名物なんですよ^^

 あのシンボルを擦り付けられた女性には無病息災・夫婦和合のご利益があるってヤツなんですよ。

 要するに、秋田のナマハゲみたいなもんですよ☆』

『そうは言ってもやっぱり怖かったんですけどw

 突然あんなエッチぽいもの持って、ぐわあああああって向ってこられたらビビッチャウわよおお^^;』

 まあ~彼女がそう言うのも仕方が無いとは思う。

 

 でもこれが『どんつく祭り』なのですよ^^

(リンダは一瞬躊躇はしたけれど、なぜかめっちゃ喜んでノリノリだったので、逆に赤い人は拍子抜けした感じだったんですけどね^^)

 神輿の練り歩きも終り、時刻は8時を過ぎた頃、

『それではいよいよ花火大会のはじまりで~す!』とステージ上の司会進行役のお姉さんの声。

 ボク達はどうせならと、花火の打ち上げ会場のドまん前へと移動したーーー

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『花火大好きデース^^ 特にジャパンの打ち上げ花火がとても好き♪

 外国にもアリマスデスガ、

 こんなにも種類があって色とりどりで華やかなのは、やはり日本特有デース!

 国際花火フェスティバルとかアメリカに居た頃にアッタノデスガ

 一番、フレンド達と盛り上がったのはやはり日本の打ち上げ花火の時デシタ^^』

 ボクは外国の花火ってやつをそれ程見たことはないから良く分からなかった。そうなんだろうかと思ったくらい。

 でも、喜んでくれるなら嬉しいかな^^

 なんせ自分も花火の設置に携わった地元っ子ですからね☆

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『ぐはあーっ!夜空に広がる花火もいいけど、打ちあがりの瞬間を間近で見るのもいいっすよね!』と、琴音が呟くと

 皆、花火から目線は逸らさずにウンウンと頷く。

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 上へ下へと行ったり来たりの彼女たちの視線を横で見ていると実に可愛らしいし、微笑ましい^^

 無邪気で純粋で、目の前のプレゼントに喜ぶ姿はまるで子供のようだった。

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 そして最後にスターマイン(連発花火)から、

 この花火大会の最後を告げる『しだれ柳』の華の光が夜空に溶け込んでもなお、

 ボク達は夜空を暫く余韻に耽るように眺め続けていたのです^^

 

 中々誰も声を上げずに、祭りが終ったというのに動かなかったボク達。

 もうだいぶ時間が過ぎた頃だろうか。

 もしくはそうでもない時間だったのだろうか。

 ーーーふと、リンダが暗闇の海を背に両腕を大きく広げてボク達に言い放った。

『ジャパンはやっぱり面白いデス!小さな小さなカーニバルでしたが、そこにいっぱい何かが詰まってるデスネ^^

 ワタシ・・・来て良かったと思ってるデス^^』

 そう言ってくれると日本人の端くれとは言えとても嬉しかった。

 また、ここに来て見てくれたリンダという外国の人に感謝した。

(※実際に、外国の方も幾分散見されましたよ^^ こんなに小さな小さな壱地方のお祭だってのに。

 でもすごく楽しんでたと思うなあ~^^

 射的・スマートボールの店を覗き込む青い目をした彼、彼女。

 そして隣でパンパン射的してはしゃぐ姿。

 お神輿を担ぎ上げてる男衆や女衆をカメラ越しに覗きこんでる姿を見かけたんだが、とっても笑顔だったよ^^

 遠目に見ただけだけれども、夜空を描く花火にうっとりしてる外国人さんたちに、ボクは祭りの主催者でもなんでも無いのだけれど、

 ここに来てくれて良かった。アリガトウと思っちゃったよ^^)

 

 リンダの言葉に皆、真面目に言われちゃうとなんか誇らしげ~といいますか、照れ笑いみたいな感じで返していたんだがーーー

 ここで琴音がその素敵な空間をぶち壊す。

『あれ?そろそろ急がないと今日中に東京に帰れないよ?みんなあ~^^;』と。

 

 ---そう。

 実は『どんつく祭り』をファイナルまで見ていると・・・

 都内へと戻れる可能性がギリギリとなるわけなのです^^;

 現在時刻9時もだいぶ過ぎた刻。

 9時40分までに稲取駅に辿り着かないと、熱海経由の東京への道は閉ざされてしまうのですから☆

 

 ここでもうひとつ注釈。

 実は『どんつく祭り』というのは、世間一般のお祭のように土曜日曜日祝祭日にあわせるようなお祭じゃなく、

 平日の二日間開催(三日間の時も有ります☆)なのです^^; 

  大学生のボク達。ぶっちゃけ平日のお祭をなんとかギリギリの時間で楽しんでたというわけで・・・

 帰らなきゃヤバス!と言う感じだったw

 

『ま、サイアク帰れなかったら私んちに皆お泊りでもいいんだけどね^^』と琴音は言うが、

 彼女たちもそれぞれ(必修とか)時間や講義の都合があるわけで、出来るならば当日中に帰りたいと言う感じにそわそわしていた。

『じゃ、今からロケットダッシュで駅を目指しますか^^;』と、あんなに素敵に祭りや花火の余韻に浸ってたというのに、ま・さ・か、みんなで駅まで汗だくで駆ける事になろうとはw

 

 ---走ること数十分。

 何とか間に合ったみたい。 

 ホームに滑り込んだボク達と、ホームに時間通りに辿り着く列車。

 なんとか彼女たちを東京までの最終経由になる電車に押し込めたようだった。

 ボクは明日もお祭のお手伝いってことで、彼女等を乗せた列車を見送ってから一日目の打ち上げパーティーに参加した。

 正直、先輩方から朝まで呑まされてばかりの宴だった。

 吐くほど呑まされた^^;

 ソレもまた祭りの裏舞台☆

 

 でもそれも全部ひっくるめて“お祭り”なんだよね☆

 

 ここまで読んでくださりアリガトウございました^^

 天下の奇祭?どんつく祭り編。いかがだったでしょうか^^

 

 

 


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第581話 稲取・どんつく祭り編☆vol⑥『子供は宝、そしてチカラ』スマートボール&射的&女性が多いと思うデス♪ [廃村さーくる]

『ただひたすらに懐かしかった』

 

 幼少の頃、おばあちゃんの勤める旅館に何度か出向いた。

 そこはかつて伊豆の中でも一際賑わう温泉街だった。

 丁度テレビでその温泉場を舞台とする物語が放映されたようで、その効果もあったのだろう。

 放映後暫くは観光客も多く訪れるとても華やかな温泉場だったと思う。

 おばあちゃんの休憩時間や仕事終わりに一緒に連れ立って、浴衣姿の観光客が下駄をカランカランと賑わしてる温泉場の歓楽街を歩いたのを覚えている。

 町に明かりが煌いて、店と言う店が輝いてた。キラキラしてた。

 ・・・だが、今ではその栄華もどこにも見ることはない。

 30年を経て久しぶりに赴いたそこは、かつての活気や賑わいなどはほとんど無かった。

 自分のおばあちゃんがかつて勤めていた旅館も形態を変えつつもなんとか生きながらえていた。

 そんな感じだった(ここはまだ良いほうです。潰れたホテルや旅館は数知れずですし)

 地方の温泉場は悲しいが現状どこもこんな感じだと思う。

 

 当時、おばあちゃんと行ったところと言えば、ボクも子供ですから~

 居酒屋とかには行きませんよねw

 そう。温泉場の歓楽街で子供も大人も楽しめるところと言ったらーーー

 あそこしかありません^^

 今回はそんなところを懐かしむようなお話なのかも。

 ではでは、どんつく祭りを楽しむ廃村さーくる御一行様の物語、続き続きでござ~い^^

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 どんつく祭りもスタートし、人もじわじわと増えてきた。

 ボク達も屋台で小腹を埋めてご満悦。

 暫くは簡易のベンチに腰掛けて談笑に耽ってたのです。

 もうすぐパレード(練り歩き)の時間が迫ってきたということで、重い腰を起こし(いや、ボクはすんなりと立ったのだけれども、彼女たちはお話に夢中で中々動いてくんない^^;)

 会場からメインストリートへと出たボク達だった。

 するとーーー

 琴音がスタスタスター・・・っと、会場の目の前の出店に駆け寄った。

 そしてボク達をおいでおいでの手招きをするのだ。

 一体全体なんなんすか!って感じで女子チームがそこへと近づいていく。

 ・・・ん!?

 あ!ああ~・・・。

 琴音の思惑が読めたよオイラ^^;

 なんせ出店の配置は手伝いの関係でなんとなく分かっていたからね。

 琴音が『ようこそいらっしゃいましたっす☆』と、実にイヤラシイ笑顔でボク達をご招待した出店はーーー

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『どんつく飴』の出店だったのです・・・^^;

 

『オオーッ!素敵なカタチの飴デスネ!』

『ちょ!えーと私はノーコメント!ノーコメントかしら^^;』

『わきゃ・・・琴音っち、イジワルですう^^;』

 

 あからさまに男性のアレを模した飴を目の前にして、歓喜の声を上げるリンダと恥ずかしがる首塚さんと夕実ちゃん。

 そこに琴音はまるでここの売り子なんじゃないかと思うくらいに積極的にオススメしてくるのである。

『ど~ですか、このにょきにょきとキノコのように立派な飴!

 どんつく祭り名物どんつく飴☆

 子孫繁栄、子宝祈願。

 これをひとつ買ってペロペロと舐めれば~~

 あなたも、そしてそちらのお嬢さんも、

 こんにちは赤ちゃん、かわいいベイビーに恵まれるっつーもんでさー^^

 おひとついかが?

 ええ、一本500円だけれど、金額を惜しんじゃ~いけないよ?

 500円で叶うなら、こんなの安い安いの子孫繁栄っすよお~♪』

 まるでバナナの叩き売りの口上のようにスラスラさらさらと謳い文句に買い文句を並べ連ねる琴音につられてか、

『う~ん・・・じゃあ、一本』

『私も・・・^^;』

『ワタシは3本くださいデース☆』と、

 結局乗せられて、どんつく飴を手にした皆だった^^;

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『さあ~夕実っちい~。ちょっとペロペロしてみようか^^』

と、琴音が袋から剥がして夕実ちゃんの口元へと運ぶのだ。

『なんとなく・・・ハズカシイからいやあ^^;』

 嫌がる夕実ちゃん。

『でもただの飴だよ?美味しいよ?ヒヒヒ・・・^^』と、

 それでもしつこく迫る琴音にさすがのボクもストップをかけた。

『コラコラ!いじわるすんな^^;』

『うう・・・ありがとうです先輩・・(半泣き)』

 チェッ!お兄ちゃんの喜ぶ顔が見たかったのによーとか、琴音はわけわからん不敵な笑みをボクに向けつつ、どんつく飴でのイジメはおさまるのでした^^;

(機会がありましたら皆さんも是非、お土産などにどうでしょうかw)

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 さあ~、そんなやりとりしてる間に、さっさとお祭は進行します。

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『しょうふく面踊り』がメインストリートを行き交います。

『アレ?なんでお面してるンデスカ?しかもレディーばかりのパレードデース^^』

『これは色々説があるらしいけど、お神輿がアレだからねえ・・・^^;

 女性が恥ずかしがってお面で顔を隠して練り歩く~なんて意味合いもあるんじゃないかな^^』

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 目の前を行き交う踊りにつられて踊り出すリンダや、ソレを見て笑い出すボク達。

 踊る人も見ている人も皆楽しむ楽しませる不思議空間。

 それがお祭だ^^

 ふと、

『お兄ちゃん。久しぶりにアレやんね?』と、琴音が指を差す。

 それは

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『射的・スマートボール』と屋号に謳った遊技場だった。

 せっかくお祭の雰囲気に皆ワイワイと盛り上がってたのになぜ変化球を投げてくるかな・・・おいらの妹は^^;

 とはいえその琴音の言葉に皆、

『あらあ~、わたし、ちょっと興味あるんだけど^^』

『レトロゲームにも非常に興味ありますデース☆』

『お店、まだやってるんですね。わきゃー☆』と、完全に興味を持っていかれたご様子です^^;

『じゃ~しょうふく面踊りも一段落だし、次のお神輿練り歩きまで時間あるし、

 みんなでスマートボールでもしてみよっか^^』

『『『さんせ~♪』』』

 賛成5・反対0。よって本案は全会一致で可決されました☆

 ということで、みんなでいそいそとお店の中に突入したのです^^

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 皆思い思いに空いてる席に座ろうとするのだがーーー

『あら!おじょうちゃんたち^^ そこの席とそこの席は今故障中だから、ここかここに座りなさいな^^』と、店のおばちゃんに座席指定されるのであった^^

 パッと見、どの台もだいぶくたびれている。

『おばちゃ~ん。玉がでてこないよ~^^;』と、ボク達よりも前に遊んでいた子供達からの催促をうけて、

 おばちゃんが『はいはい』と、台の裏手から手を突っ込んで球出ししていた。

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『じゃあ~みんな^^ さっそくやってみようか^^』

『『『は~い☆』』』

 各々、コインを入れて思い思いにスタートしたのである。

(夕実ちゃんの台だけ、コイン入れてもうんともすんとも玉が出てこなかったがw)

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 じゃらららら~と盤面下まで大き目のビー球が落ちてきた。

 後はレバーを引っ張って玉を弾き飛ばして入賞口狙って打ち続けると言う訳です^^

 みんな『ぐおお・・・』とか『うがあ!』とか、女の子っぽくねーうめきを上げつつ夢中になっていた。

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『スガワラサン?18禁って書いてあるデスガ^^』

 リンダが、周りで打ってる、どー考えてもそれ以下の年齢の子供達を見ながらボクに聞いてきた。

『それはそれ。気にスンナw 保護者がいればいいんだよ^^ いなきゃあのお店のおばちゃんが保護者ってことでいいじゃないか~^^』

 その言葉にリンダもニッコリと納得してくれたようだ。

 そして隣でようやく玉が落ちてきた夕実ちゃんに向って『負けませんデース☆夕実サンにはw』と挑戦状を叩きつけて二人でパッツンパッツン弾きまくりではしゃいでた。

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 その後は勿論射的^^

 みんな四苦八苦して中々当たらない(ボクもね^^;)

 でも、ここでリンダだけが実力?を発揮したのだ。

 意外と射的の銃って重かったりするので定めがブレちゃうものなんだが、

 片手に構えたリンダの姿はとても様になっていた。

 しかもなんだろう。どっしりと安定感のある感じなのだ。

 ボク達の仲間内では一番小柄なんだけどなあ(でもトランジスタグラマーだったりする^^)

『さすが銃社会の人間よね~リンダは^^』と首塚さんが声を掛けるとーーー

『ワタシ、銃など触ったことありませんデース^^ だって怖いじゃないデスカw』とリンダが笑いながらみんなに言うんだ。

 ま、銃なんて無いほうがいいよね。

 アメさんの皆が皆、銃社会を肯定してるわけでもやっぱりないんだな~と、ちょっと知ったボクだった。

 その後は『お酒が足りないわね^^;』という首塚さんの一言で再びビールの調達へ。

 そのままのんびりとお神輿を見物に行くのかと思いきや、

 もう一軒のスマートボール場になぜか、はしごですw

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『こっちは子供ばかりデース^^ みんな楽しそうデス☆』

 リンダが言うように、こちらは子供達ばかりだ。

 その様は実に楽しそう!

 普段は閑散としてるんだけれども、この時ばかりは射的場もスマートボールも子供や大人で大賑わいだ^^

『子供が多ければ多いほど賑やかだし、いずれその町や市や県、そして国も活力のある活気のある世界になるんだけどな~。今のご時世、中々そうはいかないよね^^;』

 思わず祭りの活気とは反対のネガティブな言葉を呟いてしまった。

 その言葉にみんな『う~ん・・・』とため息をつく。

 子供をつくらない世の中になってきていると、みんな実感してるからなのか、そういう反応なんだと思った。

 とはいえ、せっかく盛り上がっていたのに余計なこと言っちゃったかなと、

 フォローを入れようとした矢先にリンダが口をついた。

『そのためのお祭じゃないデスカ^^ このどんつく祭りは♪

 難しいことは置いておきましょうデース^^

 子供が多い世界を望んでいるのはミナサン同じだと思うデス^^

 見てくださいデス。はしゃぐ子供達って可愛いデス^^

 キュートです♪

 ああ~イイよね!って思ってくれるだけでもこのお祭りに来た意味があると思いますデス^^』

 そのリンダの言葉に首塚さんも続く

『そう言えばさ~、皆見てみてよ? このどんつく祭りってあんなエッチぽいお神輿があーーーって感じなのに、

“女性や子供達”がすごく多い気がするんだけど^^』

『あれ?そーいえば・・・男より女ッ気多いっすね^^ 地元っ子なのに今まで気にして無かったから気づかなかったっすw』

 琴音が言ったように、確かに女性の比率が多かったように思う。

 地元の学生さんもゾロゾロと出向いてき始めた今丁度8時頃。

 見かける学生さんは女子学生ばかりだ。

 観光客もおばちゃんおばさんお母さんの団体と、女性が多いように思う^^

 

 いや、別に祭りの本意を理解して参加してるのかなんて人は少数だろう。

 でも男ばっかりの子孫繁栄を祭り上げるお祭よりはいいんじゃないかと^^

 

 といいますか、男子学生諸君?

 お前らもっと参加してはしゃいで騒げよな!

 男が情けない時点でこのどんつく祭りの意味が成り立たないよお~とか思った、

 どんつく祭り中盤のお話^^

 

 次回、稲取・どんつく祭りファイナルです^^

 ここまで読んでくださりありがとうございました☆

 

 

 


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第580話 稲取・どんつく祭編☆vol⑤『さすって・・・いいですか?』さんが焼き&西伊豆しおかつおうどん [廃村さーくる]

 彼女たちの後ろをついていくボク。

 どうやら未だに例の男性のアレをシンボルにしたお御輿の話題で盛り上がってるようだ。

 ここから見ていると夕実ちゃんだけが赤面して、首塚さんやリンダ、琴音のまわりを右往左往、アワアワしているのが見て取れる。

 その様はなんだかとても初々しくて可愛らしい。

 

 ・・・ん?

 いや、元々可愛らしいとは勿論思ってる。彼女のことはね^^

 なにかとベッタリしてくるのが少し苦手と思ってただけなのだから。

 でも、彼女の純なところを改めて見ていると愛くるしいとは思っちゃう・・・かも^^

 

 ふと、ボクに助けを請うように、

 夕実ちゃんがトタトタトタと、ボクに近づいてきてこう言った。

『先輩!首塚さん達酷いんですよお・・・^^;

 中学校時代に、私と琴音っちと菅原先輩ではさみ石の周りで泳いだことありますよね?

 その時に先輩のお着替えをたまたま見ちゃったことがあるんですぅって昔話したらあ、

“ど、どうだったのかしら?(ハアハア・・・)”とか、

“ワイルドでしたか!?可愛らしい感じデシタカ!?”とか、

“風呂場でよく見たけど、アレは天狗っす!”とか、

 うううう・・・めっちゃハズカシイ質問攻めなんですう^^;』

 

 そ れ は ボクの方がハズカシイんだけど!

 

 ・・・というか、兄貴の風呂をのぞいてたのかい!琴音^^;

 

『コラコラコラコラーーーーッ!お前たち何の話をしとるのだー!』と、半分怒りながら、

 半分冗談気味に先行く女子チームを追い掛け回すボクがそこにいた。

 笑いながら逃げまくる彼女たち。

 そんな小遊びをしていたわけなんだけど

『あら?ここって、どんつく祭りの会場よね^^;』と、ふと首塚さんが気づく。

 遊びながらもボクが牧羊犬のように会場まで彼女たちを追いやってたのは言うまでも無いw

 

 さあ、始まります。

 第580話。稲取、どんつく祭りスタートです☆

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『子供のオチ〇チンみたいなお御輿がありますデース☆』

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 神輿の待機所を見かけたリンダが小さな小さなお神輿に気づいて大きな声を上げる(コラコラ^^;)

『これでも充分デカイよね?夕実っち☆』と、琴音がソレを指差しつつ、夕実ちゃんの肩をポンポンと意地悪そうに叩く。

『うう・・・知らないですぅ^^;もおっ!』

 恥ずかしがる夕実ちゃんになんかとってもドキドキしたが(あれ?おいらはSなのか?^^;)

 彼女への助け舟のつもりでボクはそのお神輿について、間を割って説明をすることにしたんだ。

『どんつくのお神輿には、さっきボク達が見たお神輿以外にも、小神輿として3体のお神輿があるんだよ^^

 ぶっちゃけると、メインのお神輿は主に地元の男性の担ぎ手専用。

 小神輿は女性の担ぎ手だったり、観光客さん達の飛び入り参加大歓迎っていう観光客用だったりするんだあ(例外あり。といいますか、そこまで厳格でもないしね^^ みんなでワッショイが、このお神輿の本意です☆)』

 ボクの説明に皆『へ~』とか『ほお~』とか関心するかと思いきやーーー

 ごく一部(夕実ちゃん)を除いた女衆は、その横の物体に釘付けだった。

 誰も聞いてないし

(夕実ちゃんは恥ずかしながらもコクコクと頷いて聞いてた^^;)

 

 ーーーふと、リンダが恐る恐ると言いますか、ソレを指差しつつ聞いてきたのだ。

 その喉元からは、

『ゴクリ』と唾を飲み込むような音さえ聞こえてきそうな真剣な眼差しでーーー

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『コレ・・・さすってもいいデスカ☆』

 え・・・あ・・・うん。

『大丈夫だよリンダ^^; むしろ触って御祈願するのは今がチャンスかもしれないよ。

 この後は担がれて中々触れることも出来ないしね^^

 とは言え子宝成就とか子孫繁栄とかの神様(祀りあげ)なんだけど^^;』

『OKデス♪ コダカラ授かるのは素敵なことじゃナイデスカ☆』

 と、リンダは自分のお腹の辺りを手で妊婦さんのお腹のようにゼスチャーしながら、そのビックなヤツに向き直った。

 そして照れもせずに堂々と先っちょを摩り上げていた・・・(なにかこっちが恥ずかしくなるんだが^^;)

『ブチョー!ブチョーもイカガデスカ^^』と、リンダは首塚さんに勧めるのだが・・・

『し、仕方ないわね^^;ここまで来てお祈りしないなんて罰が当たるしね^^;

 じゃあ・・・ちょこっとだけ^^』と、恐る恐るそれに手を触れる首塚さん。

 とはいえ、その後は一生懸命目を瞑ってはお祈りしていたんだけどね^^

 それに続くように琴音が触り始める。

『ほほ~、色といい艶といい大きさといい、たまりませんなあ~w』と、夕実ちゃんに見せ付けるように摩りまくり^^;

 少しは恥らってくれよ。我が妹よ^^;

 というかまったく祈る気ねーだろお前^^;

 

 そして最後に夕実ちゃんが、お神輿を見ずに手を突き出して摩り始めた・・・^^;

 そんなんじゃご利益無いぞおー夕実ちゃんw

『じゃあ~あらかた祈願したところで祭りに繰り出してみようかみんな』とボクは声を掛けた。

 

『アレ?スガワラサンは触らないンデスカ?^^』

 リンダの言葉に『ええ?ああ・・・じゃあ触っておこうか^^;』と、ボクもさすってからお祈りしておいた。

 なんだかとっても複雑な感じなんだけど・・・^^;

(将来の自分のパートナーさんが子宝に恵まれるようにと祈っておくことにした)

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 祭り開始前、担ぎ手達やコンパニオンさん達が集まってミーティングを始めていた。

 ボク達はその横をお邪魔しないように抜け、先ほどの祭り会場へと行ってみた。

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『みんな、そういえばご飯食べたのかな?』

『全然食べてないよお兄ちゃ~ん。是非ともぉ~。

 奢ってください♪キャピ☆』

 なぜ食い物の時だけ妹面するんだお前は!

 ふと振り向くと指を咥えるような仕草でボクを無言で見つめている子猫ちゃんたちがそこにいた・・・。

『はいはい。奢ったるからみんなで並ぼうね^^;』

『『『わーい♪お兄ちゃん大好き☆』』』

 

 ・・・お前らいつからおいらの妹になった

 

 ということで・・・屋台タイムのハジマリです^^

夕実ちゃん・どんつく・シーン移行・画像.jpg

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『さんが焼きってどこの港町でもあるわよね^^;』

『サンガヤキとは?ナンデスカ???』

『ああ~あれっすよ。鯵とか“なめろう”って料理あるじゃないっすか。刺身を細引いたり叩いたりした中に生姜や大葉や味噌やら薬味を混ぜて食べるやつ。

 あれをおやきにしたのがさんが焼きっす^^』

 琴音の解説で大体あってるからボクの出番は無いようだな~と思っていたところ、お店の人が補足してくれた。

『今日はね~鯵じゃなくって鰤なんすよ~^^ 時期によって取れた魚で毎回変えてるんす^^』

 みな、へ~とかほ~とか言っている。

 そこに再び琴音が割って入ってきた。

『せっかく地元じゃ金目鯛が有名なんだから金目にすればいいじゃん☆ そろそろ金目の時期っしょ?おっちゃん^^』

 その言葉におっちゃんも苦笑い^^;

 いや・・・金目でもやれるけど、もったいないよ琴音^^;

 だいたいなめろうとかさんが焼きってのは、下魚とか臭みの強い青身魚を如何にして美味く食べてやろうってことで漁師さんが考えたやつだぜ?^^;

 なんだか屋台の人が不憫でならなかったボクは、みんなの人数分購入することにした・・・

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『あ、あっちの食べ物も気になるわね~^^』と、チラッチラとボクに色目使いをする首塚さん^^;

 はいはい。お財布部隊ですよどーせオイラは^^;

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『西伊豆しおかつおう・・ど・・ん? ここ東伊豆っすよ?』と、店の前で琴音が呟いたら、お店の人が寄ってきたw

『ようこそいらっしゃ~い^^ ここ稲取が東伊豆。でもなぜか西伊豆の名物が~なんて言わないでおくんなましオジョウチャンw

 この手の屋台じゃご愛嬌ですよ~^^

 ま、まずは百聞は一見にしかず、百聞は一食にしかずってもんです。

 さあさあ、一杯二杯といかがかな^^』

 周りの皆を見渡した。

 そしたら皆がボクの方に食べたそうに見つめ返すもんだからってことで・・・ひ~ふ~み~の、よのご~って感じで

『おじさんソレ・・・五個ください^^;』と注文です(ボクの夏目漱石があ・・・・)

『毎度あり♪お兄さん太っ腹でモテモテでしょw』と返してくるおじさんにボクは『ええ・・・まあ^^;』と苦笑いで返しておいた。

 ---待つ事二~三分、

 ボク達の前に『あいよっ!』っと、ソレがやってきたのだ。

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『パッと見、釜玉うどんみたいじゃね?』と琴音。

 皆それにウンウンと頷く。

 うん。確かに釜玉うどん系だよなあ~。

 そこに先ほどのおじさんがまた登場。色々と解説してくれた(実際にあったことです^^)

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『しおかつおってのはですね?西伊豆に古くから伝わる料理なんですよ^^

 古くは今日の都に税として献上品としていた伝統あるものなんです^^

 カツオを丸ごと塩漬けにした後に干したもの(保存食)が原型でして、

 アツアツの茹で上げうどんに、その塩カツオのほぐし身・ゴマ・海苔・ワカメを入れ混ぜ合わせ、

 そこにおかかと刻みネギとほんのり醤油を隠し程度にたらしたものが、

 この西伊豆しおかつおうどんなんですよ^^

 ま、そんなことよりアツアツのうちにフーフーしながら食べてみてくださいよ^^』

 実は、おじさんの説明が終る前に皆さっさと食べ始めていた^^;

 皆、実に現金である^^;

『あら!?さっぱりしてるけど美味しいわね~♪』

『オカカの風味が食欲をそそりますデース☆』

『鼻腔(ビコウ)をくすぐる馥郁たる香り!美味い!女将を呼べ!』

『わきゃー☆ これなら何杯も食べれそうですう^^』

 女性陣には大うけ。

 しっかりとおじさんの説明を聞いていて食べ損なっていた自分もさっそく箸にかけ、ズルズルと頂いてみた。

 ・・・

 ・・・

 ・・・これは美味い♪

『あっさり魚介系が好きな人なら絶対好みそうな味ですね^^ちょっとファンになっちゃうかもですよ^^』と、思わず口をついたら

『そう言ってもらえるとありがたいよ。うん。ありがとうございます^^

 ガンガンしおかつおうどんを広めていこうと思ってるから宣伝よろしくね☆ アッハッハ^^』と、おじさんは喜んでくれた。

 その後は皆でズルズル~とすすってプハーと満喫です^^

 皆笑顔笑顔。

 やっぱり美味しいものってのは人を笑顔にさせるよね☆

 

 さあ、

『今からどんつく祭りをとりおこないます』とのアナウンスが響き渡った。

 まわりを見れば明るかった空もだいぶインディゴブルーに染まっていたーーー

 

 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 次回は・・・まだまだどんつく祭り編、最終回じゃ・・・ないかもですw

 

 おじちゃーん!言われた通り宣伝しといたぞー!

 しおかつおうどんを☆

 

※1 みんなのところに訪問出来てないのにもかかわらず・・・

 http://sinn-niwakunoakuma.blog.so-net.ne.jp/2013-06-20なぜかサブブログを更新する余力がある不思議w

 ええ、自分本意ですからねえ~w


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第579話 稲取・どんつく祭編☆vol④『こちらはーー広報ーー〇〇です』市町村防災無線&愛恋岬など [廃村さーくる]

 男性のアレを模したお御輿が遠やった後も、暫くは女子中学生のようにキャッキャ♪ウフフ♪していた女子軍団。

 ふと、リンダがこう聞いてきたのだ。

『スガワラサン?女子が男性のシンボルのお御輿で盛り上がってるってどう思いますかデース^^』

 そう聞いてきたリンダの顔は、別にボクを困らせようとした顔でもなく、

 ただ純粋に男の子としての意見を伺いたいって感じの真面目な顔だった。

 ボクはちょっとばかし頬をポリポリと掻く仕草をしつつも答えた。

『うん。正直・・・男の子のボクのほうが照れちゃうって感じかな^^

 アレをマジマジと見つめてはしゃぐ彼女たちに、こう・・・なんていうのかなあ、

 たくましさを覚えるよw

 

 ・・・とはいえリンダ?』

『はい?なんですか?スガワラサン^^』

『多分、このあと分かると思うんだけど、

 この“どんつく祭り会場”に居る人たちを見回してもらえばこの祭りの何かとか色々と分かると思うよ^^』

 ボクはあえてお茶を濁した。

 曖昧な答えで逃げてみた。

『ホワッツ?? ・・・でもわかりましたデース☆ 自分自身でこのカーニバルの意味を感じろということデスネ^^』

 ボクはリンダに親指を突き出してOK!と答えた。

 それにコクリと頷いた彼女は

 先行く女子チームの中にトットットと戻っていく。

 見上げれば、もう日も傾いていた。

 第579話スタートです☆

琴音・耳を澄ませば・どんつく祭り2.jpg

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(今回は菅原君視点です)

 お御輿を見送ったボク達は、このどんつく神社の脇に建つ、

 歌手の鳥羽一郎さんの『愛恋(あいれん)岬』という歌詞を刻んだ歌碑の前に居た。

『こ、ここで拝むとなんか恋愛成就とかに、な、なるのかしら^^;』と、なぜかちょっとばかし真剣に呟く首塚さん。

 ソレに対して琴音が苦笑いで答えた。

『いや。歴史浅いっすよ?2004年に建てたやつですし。そもそも地元っ子は愛恋岬なんて言ってないっすw

 ふっつーに稲取岬っす。というか稲取岬とも言ってないかなあ』

 ああーそうなんだ・・・と口にはしないけれども、なぜかガッカリな首塚さんがそこにいた(その肩をポンポンと慰めるように傍に立つリンダも居た^^;)

 

『ま、お祭までの時間もあるし、ぐるっと稲取岬を回って暇つぶししてから会場に向おうか^^』というボクの言葉に皆、賛同してくれた。

 ということで、レッツ!稲取☆

(ボクの中では稲取の魅力は港町ってだけじゃないと思ってるんだが、そこまでは時間も無いので港や岬周囲で彼女たちに色々知ってもらおうと思った。但し琴音と夕実ちゃんの地元っ子は除く^^)

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 どんつく神社脇から伸びる階段にボク達は進む。

『この先には何がアルデスカ!ワクワクドキドキデス☆』と、リンダがうずうずするのだが、

 特になんもないw

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 あるのは竜宮神社くらい。

 なんせそれ程大きな岬でもないのだから^^;

 

 さすがに何も無さ過ぎて、バツの悪い感じで苦笑いしながら琴音がフォローにまわった。

『リンダっちい・・・ごめんね^^; ぶっちゃけなんも無いし~、

 木ばっかで絶景が拝めるスポットも無いんすよw

 崖下に回ればいくらか伊豆七島を望めるベストビューっすけど、基本キッツイし^^;』

 琴音が言うように、この遊歩道は別段何も無い。

 先ほどのどんつく神社から眺める太平洋がせいぜいのベストビューってくらいだ。

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 ボク達は遊歩道を抜け、集落へと入っていった。

 そこで、ふと夕実ちゃんが立ち止まる。

 それにつられて皆が『どうしたの?』と立ち止まった。

 夕実ちゃんはみんなのそれに答えてるのかよくわからない、ぼんやりとした表情で遠くを見つめながらぼそりと呟くのでした。

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『ここからは見えないけど、はさみ石のある方角をここから見渡す景色が私は子供の頃から好き。大好き^^

 あの見下ろす屋根屋根も、港も、カグラ岩も^^』

 その夕実ちゃんの横顔に、なぜかボクはグッときた。

 彼女の地元愛に溢れた感情に感化したのもある。

 でもそれとは何かちょっとばかし違う感情も心の端っこでチクチクとボクをいじめてるような気がした。

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『凄い急階段ね^^;』と、急階段の手すりを伝って恐る恐る歩む首塚さん。

 基本、海と山と、それを繫ぐ坂しかない。

 海と山が喧嘩する町。それが伊豆稲取なんだ^^

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 稲取港まで出てきたボク達5人衆。

『ガァ・・・・ピイ・・・ガ・・・・』というノイズの後に

 町の広報が電信柱のスピーカーから響き渡った。

 

『本日ーー、どんつく祭りがーー。夜7時からーーー。執り行われますーーー。

 夜ーーー。9時ーーー。過ぎからーーー。花火大会もーーー。催されますーーー。

 皆様ーーー。是非ともーーー。

 お誘いあわせの上ーーー

 ご参加ーーー、してくださいーーー。

 広報ーーー、稲取ーーーでした☆』

 

 女性のアナウンスで、ひとつひとつ間延びした感じで町中に広がる、どんつく祭りのお誘い

(実際のアナウンスとは多少異なります。そこはご理解を^^ というか、そこまではっきり覚えてないw)

 

『ああ、なんだか懐かしいな。都内に出てからすっかり聞かなくなってたよ。このフレーズ^^』(菅原君)

『都心じゃあんまり防災無線とかスピーカーから流れてこないものねえ^^;』(首塚さん)

『迷子の連絡とかよくあったっすね。行方不明のおばあちゃんを探してますとかもさ^^;』(琴音)

『アメリカは基本、サイレンだけデス・・・^^; だから、なんか言葉があるってウラヤマシイ・・・』(リンダ)

『防災無線で流れる音楽とか結構好きですぅ☆ 夕焼け小焼けとか^^』(夕実ちゃん)

 

 実に何でもないことだった。

 

 でもなぜか皆、稲取港にこだまする、

 防災無線にノスタルジックや何かを感じたようだったーーー

 

 次回に続く☆

 ここまで読んでくださりありがとうございました^^

 例のお御輿画像を期待してた人はゴメンね~w

 特になんてこたーない話で閑話休題ではありますが、

 防災無線が妙に懐かしくってさw

 思わずここで区切っちゃった^^

(本当のこと言うと、動画の用意で手間取ってるのと、日々の疲れw)

 


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